皆さま
突然、時間ができたら
皆さんは何をします?
僕は自然のある場所へ
出かけます。
ちゃまみつはどうするんだろう?
詳しくは本文をお読みください。
本日もよろしくお願いします。
【自己紹介】
-----------------------------------------------------------------------------
「オウムの一生物語」
~⑲個性を発揮するために必要なこと~
前回までのお話しはこちらです。
【第一部①~⑩話/人生の課題が作られる】
【第二部⑪~⑮話/人生の課題と向き合う】
【第三部⑯話~/自分らしく生きて、使命を果たす】
師匠雲十郎から突然休暇を
言い渡されたちゃまみつは、
あくる朝起きて、行き先を
決めたようでした。
どうやらちゃまみつは、その夜
夢をみていたのです。
それは、なぜだか久しぶりに
家族が出てきました。
失踪した父ユクオや厳しかった母トモコ、
やっぱりかわいい妹アヤコたちです。
夢の中での家族は、まさにちゃまみつの
理想とするような普通の家族でした。
4羽で食卓を囲んで、話しをしながら
ご飯を食べる、本当にこれだけでした。
「一家団欒」
この夢をみたからなのか、休暇を
もらったちゃまみつは、実家を
訪れることにしたのです。
ちゃまみつが、家を出てから
実家に帰るのは初めてのことでした。
早朝、雲十郎に「よろしくお願いします」と
言って、看板屋を出ようとしました。
白いフワフワの毛に寝癖が残る
雲十郎は、一言だけ言います。
「ちゃまみつ、今日は電車もバスも乗るな」
「お前には羽がある」
内心、ちゃまみつは、ドキッとしましたが、
そうだった、僕はこの曲がった左羽も
受け入れると決めたんだった、そう
誓い直して、「いってきます」と
力強くあいさつをして、看板屋を
後にしました。
ちゃまみつは、周囲を気にしながら
本当に久しぶりに羽を使って
飛び立ちます。
少し不安もありましたが、徐々に
慣れてきて、ちゃまみつは空を
飛んでいます。
でも、誰かが自分の飛び方を見ているのでは?
と、少し気になることもありました。
その度に首を左右に振って、ちゃまみつは
自分らしく、少し曲がるけど、それでも
飛び続けるのです。
その飛行する姿に、幼少期のビクビクしながら
飛んでいたちゃまみつの姿は重なりませんでした。
ちゃまみつは、自分の曲がった左羽を
しっかり自分の身体として、使って
飛んでいるのです。
しばらくして、懐かしいあの実家の
近くまで飛んできました。
窓から家の中を見ると、母トモコが
妹アヤコのためにお弁当を作って
いるところでした。
「なんだか懐かしいなあ」
そのうちに妹アヤコが慌ただしく、
玄関から出てきて、学校へ
行ったようです。
それから、ちゃまみつは、久方ぶりに
実家に足を踏み入れました。
母トモコは
「ちゃまみつ!」
とだけ言って、とても驚いていました。
驚きよりも、それよりも本当は
喜んでくれているようです。
ちゃまみつにもそれはわかりました。
ちゃまみつ自身もうれしかったのです。
母トモコといろいろな話をしました。
こんなにトモコと話をしたのは、ちゃまみつは
初めてのことでした。
仕事のこと、師匠がいること、
懐かしい昔ばなし、昔の不仲は
どこ吹く風と言わんばかりに
話しに花が咲くのです。
ちゃまみつが、看板を書いて、
それが評判もよくて、仕事をして
毎日充実して過ごしていると
聞いた母トモコは、いろいろな
感情が湧き出てきたのか、
涙を流しながら、喜んでいました。
ちゃまみつは、実は働いてもらった
お給料を少しずつ貯めていました。
それを、母トモコに渡したのです。
母トモコは、「ありがとう」と
顔をシワシワにしてお礼を言いました。
そうして、母トモコは、
「小さい頃は、寂しい思いをさせてごめんね」
ちゃまみつにとっても思いがけない
言葉でした。
まさか、母トモコがそんなことを言うとも
まったく予期していなかったのです。
あまりに不意をつかれたちゃまみつは、
「う、いやいや、お母さんも大変だったの知っているから」
と、言いつつもちゃまみつも
涙をこらえることはできませんでした。
しばらく母トモコとちゃまみつの涙は、
止まることがありません。
目一杯、2羽とも涙を流し続けました。
その後、ちゃまみつはもちろん、母トモコも
とてもスッキリとして、それでいて柔らかな
表情に変わっているのです。
3時のおやつを食べながら、
親子は笑っていました。
妹アヤコが帰ってきて、これまた
驚いています。
「おにいちゃん!ひさしぶり!」
ちゃまみつの表情がさらに
緩んでいきました。
ちゃまみつの夢にまでみた
「一家団欒」がそこにあります。
【続く】
-------------------------------------------------------------------
執筆依頼なども承っております。
-------------------------------------------------------------------
この物語を読んで何か一つでも
感じていただけたら嬉しく思います。
世の中が今よりも幸せな場所になっていきますよう
想いを乗せて書いています。
皆さまよろしくお願いいたします。