我らのロンダ・フレミングが女王になる映画が二作ある。
クレオパトラもセミラミスも実在の女王。
我々が「クレオパトラ」と言うのは長く続いたプトレマイオス王朝の最後の頃の「クレオパトラ7世」。クレオパトラは三回/四人を出産しており、子供の行く末も判明している。
シーザーとの間で男児、カエサリオン(プトレマイオス15世)、その後三頭政治の一角アントニウスとの間で双生児と男児を出産。双生児の一人は女児。
最後は三頭政治の一角オクタウィアヌスの軍隊とクレオパトラ、アントニウスの連合軍が対決(アクティウムの海戦)。だがクレオパトラが自軍を突如として引き上げ、アントニウスは破れて自殺。
クレオパトラはオクタウィアヌスに捕らえられたが、毒蛇に自らを咬ませて自殺と言われている。遺言でオクタウィアヌスと一緒に葬られた。
本作はほぼ、このラインで展開している。
セミラミスは紀元前800年ころのバビロンの女王。本作のストーリーは架空のもので、羊飼いの女性が最後に女王になる。
なおセミラミスの映画には本作の他に「(1963)女王セミラミス/I Am Semiramis/Slave Queen of Babylon」がある。
セミラミスの映画は二作ともイタリア映画。
■ (1953)ナイルの妖女、クレオパトラ/Serpent of the Nile
題名から分かるようにクレオパトラは悪女として描かれている。
シーザーが暗殺され、さらにブルータスも殺された後、ローマは三頭政治となった。オクタヴィアヌス、アントニウス、レピドゥス。
次にはエジプトを征服しようとアンソニーが兵を進めてくる。
一方、クレオパトラ(7世)はシーザーとの間に息子を生んでおり、アンソニーを取り込んで、息子をローマ皇帝にしようと画策している。
そしてアンソニーはクレオパトラの術中にはまるというか、クレオパトラの魅力に負ける。
この事態を見たオクタヴィアヌスはエジプトに軍を向けた。クレオパトラ+アンソニー軍とオクタヴィアヌス軍が激突した。
このあたりでずいぶん長く続いたエジプトのプトレマイオス王朝が消滅する。
補足。本作はアンソニーがクレオパトラを訪ねてきた後からの物語となっている。エリザベス・テイラーの「(1963)クレオパトラ」ではクレオパトラとシーザーの物語も語られている。
■ (1954)風雲のバビロン/バビロンの女王/The Queen Of Babylon
こちらも実在の女王で、紀元前8世紀、バビロニアの女王セミラミス。イタリア映画。ただしストーリーは架空。
バビロニアはアッシリアに征服された。抵抗運動が行われている。
羊飼いの女性のセミラミスは家族を殺されて一人で暮らしている。
ある日、川べりにいたところ一頭の馬が近づいてきた。その馬はセミラミスを誘導していった。
そこには傷ついて倒れている若者がいた。アマール。アッシリアの兵に追われていた。
二人は一緒に暮らしたが、傷が治りアマールは再び戦うために旅立った。
しかしセミラミスが兵に捕らえられて、王の宮殿に連れていかれた。
それを知ったアマールは助けに行くが捕らえられた。そしてセミラミスが王の愛を受けていると知って、アマールはセミラミスを裏切りとみなした。
アマールは囚人として石切り場で働かされた。
政変が起きて王が殺された。セミラミスの使いが石切り場に走り状況を知らせた。
アマールたちは警備の兵士たちを倒して宮殿に進撃した。
アマールたちは戦いに勝ってアッシリアを倒して、セミラミスはバビロニアの女王となった。
■ 出演作
◆ ロンダ・フレミング
(1945)白い恐怖/Spellbound
(1946)らせん階段/The Spiral Staircase
(1947)過去を逃れて/Out of the Past
(1949)腰抜け大捕物/The Great Lover
(1951)犯人を逃がすな/Cry Danger
(1957)OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral
(1951)最後の砦/The Last Outpost
(1952)ゴールデン・ホークの復讐/The Golden Hawk
(1952)楽園の死闘/Hong Kong
(1953)楽園の決闘/Tropic Zone
(1953)地獄の対決/Inferno
(1955)対決の一瞬/Tennessee's Partner
(946)静かなる対決/Abilene Town
(1954)風雲のバビロン/バビロンの女王/The Queen Of Babylon
(1954)ヤンキー・パーシャ/Yankee Pasha
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps
(1960)奴隷の叛乱/Revolt of the Slaves
(1965)甘い大陸/THE AMERICAN WIFE
(1950)メキシコの鷲と鷹/The Eagle and the Hawk
(1956)オドンゴ/odongo
(1958)西部を股にかける女/Bullwhip
(1964)インスタント・ラヴ/Instant Love
(1959)腰抜け列車強盗/Alias Jesse James
(1958)黄昏に帰れ/Home Before Dark
(1956)殺し屋は放たれた/The Killer Is Loose
(1953)ナイルの妖女、クレオパトラ/Serpent of the Nile
(1980)ヌード爆弾/The Nude Bomb
(1951)欲望の河/Crosswinds
(1953)ナイルの妖女、クレオパトラ/Serpent of the Nile
(1954)風雲のバビロン/女王セミラミス/The Queen Of Babylon