1923年8月10日~2020年10月14日
■ The Golden Hawk
フランス海賊キット=ゴールデン・ホークはルージュという女性海賊と何度も争ってかつまた助けられた。次第にルージュに惹かれていく。
製作:1952年、原作:フランク・ヤービー、脚本:フランク・ヤービー、ロバート・ケントフランク・ヤービー監督:シドニー・サルコー
■ あらすじのあらすじ
キット・ジェラルドは母親の仇ルイス・デル・トロを討つためにスペイン軍艦ゴルザ号を追っていた。
その過程でジェーン・ヴァン・コルテという女性に出会ったが、ジェーンは海に飛び込んで姿を消した。
さらにビアンカ・デ・ヴァルディヴァを捕虜にしたが、彼女はデル・トロの妻になる女性であった。
デル・トロと交渉してビアンカと金貨1万枚を交換したが、その後にスペイン船とイギリス船に襲撃されて捕らえられた。イギリス船の船長ルージュはジェーンであった。
なぜかキットは解放された。その後フランス軍の指示/支持で、ジャマイカを襲った。そこにいた農場主のジェーン・ゴルフィン夫人は、またしてもジェーン/ルージュであった。
キットはカルタヘナのデル・トロの屋敷に潜入してビアンカと接触した。フランス艦隊がカルタヘナを攻撃するための事前工作。しかし捕らえらて死刑が宣告された。
地下牢に変装したルージュが現れてキットは助け出された。
フランス艦隊とカルタヘナの要塞の間で砲撃戦が開始された。キットとルージュは要塞の火薬庫に侵入する。
■ はじめに
登場人物(キャスト)
キット・ジェラルド(スターリング・ヘイドン) ゴールデン・ホーク
ジャンヌ・ブヤン(-) キットの母親、本作当時は死亡
ジェーン・ヴァン・コルテ(ロンダ・フレミング) ルージュ船長、ジェーン・ゴルフィン夫人
ルイス・デル・トロ(ジョン・サットン) ガルザ号船長、カルタヘナ総督
ビアンカ・デ・ヴァルディヴァ(ヘレナ・カーター) → デル・トロの妻
エレナ(?) ビアンカの侍女
ジェレミー・スミザース(ポール・カヴァナー) キットの部下
■ あらすじ
◆ ゴールデン・ホーク
当時のカリブ海の状況は、イングランド+スペイン vs フランスという構図での勢力争い。双方の私掠船が相手側の船を襲撃していた。「私掠船」は補足参照。
フランス領バス・テール島の酒場では、キット・ジェラルド=ゴールデン・ホークが毎日のように酒を飲んでいた。
キットが乗っていた船が嵐で座礁したので船を持っていないという事情があった。暇になったキットは毎日毎日違う女性を口説いていた。
キットの女性の口説き方はバターン化されており、女性をおだてあげて、女性の好意を勝ち取ろうとするものである。
最後には「まるで大理石の女神像だ」との決め台詞を吐く。それでダメであれば拳銃を渡して「俺が嘘を言ったら、これで撃て」と言う。幸いなことに、実際に引き金を引かれたことはないらしい。
◆ ガルザ号が現れた
さて沖合に船が現れたとの連絡が入った。スペインの軍艦、ガルザ号。大砲を60門も積んでいるすごい軍艦である。
そしてキットにとって、さらに重要なのはガルザ号の船長がルイス・デル・トロであるということがある。デル・トロはキットの母親ジャンヌ・ブヤンを殺した憎い憎い憎い奴である。
海賊仲間では「ガルザ号を襲って宝を奪おう」「いやガルザ号には勝てない」という意見が対立する。
キットの意見は前者。結局前者の意見に合意する。そしてキットが指揮を取ることになるが、そもそもキットは船をもってない。
キットをスミザースに「船を貸してくれ」と言うがスミザースは拒否。剣で試合をして勝って船を借りることになった。「シー・フラワー号」というあまり海賊船らしくない名前。
◆ ジェーン・ヴァン・コルテを助けた
シー・フラワー号とガルザ号は並走した。双方戦闘準備→砲撃開始となった。
まだ挨拶程度に撃ち合っていたが、ガルザ号の甲板に数人の女性が現れて乗員を殴り始めた。それを見てシー・フラワー号は砲撃を中止。
多くの女性は捕まえられたが、一人だけ長~い重そうなスカートをはいた女性が海に飛び込んだ。その女性はシー・フラワー号に向かって泳いできた。
女性にロープを投げて助け上げた。しかしその女性は甲板に上がってくると、助け上げた乗員を殴った。キットが「命の恩人を大事にしろ」と言うと「ゴキブリ男」と言い返した。
その女性の名前はジェーン・ヴァン・コルテ。
ジェーンは風呂に入った。女性用の服がないので男物の大きなシャツを着た。キットは「どんな服を着ても美しい」とおだてるが、愛想がわるいので、キットはそれ以上は黙ってしまった。
「マリー・ガラント島が襲われた、オランダ人の私も捕虜になった。デル・トロを逃れてキット・ジェラルドに捕まるなんて」と話した。キットが「デル・トロは俺が殺す」と言うとジェーンは理由を聞くが「君には関係がない」。
◆ ジェーンは海賊ルージュ
キットは、例の調子で少しずつジェーンに近づいて行った。ジェーンはなかなか手強かったが、さすがのジェーンも少しずつキットに気を許した。
少々長くなるが紹介。
ジェーンが甲板に出て海を眺めているとキットが話しかける。「カリブの全部の女に手を付けるつもりでしょ」。ここでまた「大理石の女神」を持ち出してキスをしようと両腕をジェーンの顔に近づける。ジェーンは腕をかいくぐって、キットの剣を抜き取って、キットに突き付けた。そして船室に戻った。
ジェーンの船室。キットが来て「この船室はカギがかからない。俺が見張る」「あなたが一番危険なの」。ジェーンはキットが差し出した拳銃を受け取る。
またジェーンが甲板。舵のそば。キットが来て舵を操作する。「自分でも操舵するの?」「君が来てからは目的地が分からない」「ヘボ船長」と言って立ち去る。注、「目的地が分からない」とは「ジェーンに対して迷っている」の比喩。
ジェーンの船室。キットが入ってきた。ジェーンは寝ている。キットが顔を近づける。するとジェーンは預かっていた拳銃の引き金を本当に引く。
キットが女性に預けていた拳銃を使われたのは初めて。キットは左肩を押さえながら船室を出た。しばらくキットは左腕を吊る生活となる。
ジェーンは外を見た。島が見えた。ジェーンは軽装に着替えて海に飛び込み、島に上陸して姿を消した。
キットなどが船室に入ってきた。ジェーンの置手紙。「撃ったのは、あなたが許可したこと。ルージュ」。ルージュとは有名な海賊のルージュである。「あの女、海賊だったのか?」「なぜ海賊のルージュがスペインの捕虜になった?」。
シー・フラワー号は、次々とスペイン船を襲った。キットの目的は「母親の仇をとる」ことに「ルージュを探す」ことが加わった。
◆ ビアンカ・デ・ヴァルディヴァ
あるスペイン船を襲って二人の女性が捕虜になった。ビアンカ・デ・ヴァルディヴァと侍女のエレナ。ビアンカもルージュに似てわりと気が強そうである。
ビアンカは結婚のためにカルタヘナに向かう途中。相手はデル・トロ。キットは「君は未亡人になる」。
キットはビアンカを金貨一万枚と交換することにした。取引場所となったクル・ド・サックへ向かう。今回は身代金の取引だけで「母親の仇は後で討つ」。
ビアンカが甲板に来た。キットに話しかける。「取引を中止してほしいの。他の女性に興味があるの?」。つまりビアンカはキットに惹かれたらしい。
クル・ド・サックに上陸した。まだしばらくガルザ号は到着しない。
またビアンカとキットは話をする。「ずっと私を避けてる。好きな人がいるの?」「(ルージュの)居場所が分からない」。
ついにガルザ号が到着し、デル・トロが上陸してきて、金貨一万枚とビアンカを交換した。
デル・トロ「なぜ我々の邪魔をする?」キット「ジャンヌ・ブヤン、お前が殺した」。ルージュについても話した。「船から脱走した赤毛の女は何者だ?」「気に入ったか?」「撃たれたけど」。
デル・トロとビアンカはガルザ号に乗った。
◆ 金貨一万枚を取り返された
取引が終わってシー・フラワー号も出航しようとした。しかし前方にガルザ号を含めた三隻のスペイン船。
入り江の入り口を塞いでいるので逃げられない。「降伏しろ」との合図が送られた。明日の朝には攻めてくる。
さて、このままやられるわけにはいかない。なかなかうまい作戦を思いついた。
ボートに火薬を積み込む。二人の乗員がそのボートを一番右側の船に向かって漕ぐ。ボートを横づけて導火線に火をつけて泳いで帰る。
爆発して一番右の船が燃え上がった。シー・フラワー号は燃え上がった船の右側を抜ける作戦。
しかし抜けたと思ったところ、前方にイギリス船が立ちふさがった。これだけ囲まれては勝ち目はない。シー・フラワー号は降伏した。
シー・フラワー号にデル・トロ(やビアンカ)が乗り込んできた。そしてなんとルージュも乗り込んできた。イギリス船の船長。
結果、先般貰った金貨一万枚が取り返された。ルージュはデル・トロに半分の5000枚を要求した。
シー・フラワー号の大砲は破壊されて捨てられた。ルージュは「拳銃は取り上げないで、女を口説けなくなるから」と付け加えた。
ビアンカはデル・トロに「全員殺せたはずなのに、なぜそうしなかったの?」と疑問を呈した。
◆ サント・ドミンゴ
シー・フラワー号はサント・ドミンゴに到着した。大砲が捨てられたので、まず再武装する。それと補給を行う。
キットは総督と話して、次のような作戦を要求された。
スペインの最大の根拠地カルタヘナを攻撃する。しかしそれでは背後からイングランド艦隊の攻撃を受ける。その前にイングランド艦隊の補給を断つためにジャマイカを襲って港や倉庫を破壊する。その後カルタヘナを攻撃する。
そのためにフランス艦隊をキットの指揮下に入れる。キット「全艦隊が犠牲になる可能性がある」総督「それは承知している」。
◆ ジェーン・ゴルフィン夫人
キットが指揮するフランス艦隊は、ジャマイカを砲撃し、さらに上陸して港や町を破壊した。物を奪い、火をつけた。
ある農場を襲い実った作物に火をつけた。その屋敷に入った。女性が拳銃を構えて出てきた。ルージュ!
ルージュはジェーン・ゴルフィン夫人と名乗った。この農場の所有者とのこと。「この農場を築き上げたが、フランスとの戦争で財産を奪われた。それで海賊になった。今回はまた財産を奪われた」と泣きながら話した。
ルージゅが「あなたほど憎い人は初めて」と言うとキットは「愛している」とピント外れな回答。「必ず仕返しする」。
フランス艦隊はカルタヘナへ向かった。
◆ キットが上陸
カルタヘナ沖にフランス艦隊が集結した。スペインの要塞は迎え撃つ準備を整えている。
シー・フラワー号の中で、キットたちが話している。結局これだけの艦船を集めても勝てるかどうかは分からない。
それに要塞の大砲の射程が艦隊の大砲の射程よりも長いので、先に撃たれる。
キットは次のような案を披露する。要塞の火薬庫を爆破する。要塞に侵入するために、ビアンカに助けてもらう。
もちろんビアンカは総督の妻である。いかにも己惚れたキットの案である。
36時間の期限をきめて、期限が来たら、潜入結果にかかわらず、要塞への砲撃を開始することにして、キットと部下の一人が陸に向かった。
◆ キットが捕らえられた
キットはビアンカの侍女のエレナを脅してビアンカの部屋に入った。
「なぜ来たの?」「俺のことを忘れないでくれ」「ルージュは?」「見つからない」と話した後、目的の言葉「砦の内部構造の地図をくれ」。
ここでビアンカをプッシュするためにキスをする。ビアンカはキスに応じたものの、すぐに離れてキットを引っぱたいた。そして警備兵を呼んだ。
キットは捕まって明日裁判にかけられることになる。
デル・トロは、なぜかキットを裁判にかけることを躊躇しているようである。ビアンカは「妻の部屋に侵入した男なのよ」と言う。デル・トロは黙っている。
ビアンカは続ける。「船を捕らえた時も殺さなかった。どうして?」。
ここに至ってデル・トロは真実を話した。キットはデル・トロの息子。デル・トロの妻でキットの母親ジャンヌ・ブヤンは行方をくらました。追いかけて見つけたが、ジャンヌは事故で死亡した。それを子供だったキットが誤解して、デル・トロがジャンヌを殺したと思い込んだ。
◆ キットに絞首刑の判決
キットの裁判が開かれた。裁判長はデル・トロ。数人の裁判官。それとビアンカが出席。
裁判官は、キットの絞首刑を主張する。しかしデル・トロは「確かな証拠がない」と、何かとキットの死刑を回避しようとする。もちろんビアンカや我々にはもう理由は分かっている。
死刑回避の情勢となった。しかしここで女性が乗りこんできた。お分かりのようにルージュである。
ルージュは「ちゃんとした証拠がある」と言って死刑を主張する。
「沖にフランス艦隊が集結している。イングランド艦隊は(ジャマイカを襲撃されたので)、救援にこれない/こない。キット・ジェラルドの仕業。これは立派に死刑の理由になる」。
ルージュの勢いに押されたのか、はたまたルージュの美貌に判断を狂わされたのか、雰囲気が一変した。
デル・トロは裁判官の意見を聞いてみることにした。それぞれが自らの意見を書いてデル・トロに提出した。
デル・トロは「明日、キットを絞首刑」と宣言した。
キットは連れ出されて、裁判官とデル・トロは退廷した。ビアンカとルージュは残って話をした。
ルージュ「キットの恋人に会えて幸せ」ビアンカ「相手にされてないの」。
ルージュ「生きがいを灰にされた」ビアンカ「土地や財産が大事なの?」ルージュ「男よりは大事よ」。
まだ二人は話した。
◆ キットは助け出された
キットは部下と一緒に地下牢に入れられている。明日の絞首刑を待つばかりである。
フランス艦隊は、キットからの連絡がこないので、時間切れで船を要塞に向けて前進させた。
地下牢に「確実に絞首刑をするために身長を図る」と男が入ってきた。いや男に変装したルージュ。
ルージュはキットの身長を図る振りをして、そばにいた牢番を殴り倒した。
二人より先に牢の扉を出て、外にいた牢番をまた殴り倒して、二人を外に出した。
三人で地下牢を脱出した。ルージュが用意していた馬に乗った。
倒れていた牢番が非常用の警報を鳴らした。
「船を用意している」「デル・トロを殺す」「殺されるわ」「君なら中に入れる。力を貸してくれ」と展開して要塞に潜入することになった。
三人は馬に乗って要塞に急いだ。
◆ 砲撃戦→火薬庫の爆破
フランス艦隊と要塞の砲撃戦が始まった。
双方に被害が出るが、どちらと言えば艦隊の方が被害が大きい。
三人は要塞に到着した。ルージュの名前を出して、中には入ることができた。
しかしそれからは容易ではない。隠れながら火薬庫に近づく。
その間も双方の砲撃戦が続いている。艦隊側はもう崩壊寸前である。
三人は火薬庫の中に侵入し、火薬に導火線を張り付けて、火をつけて脱出した。
火薬庫が大爆発した。
◆ ラスト
艦隊側が上陸し、要塞を占領した。
デル・トロが負傷して倒れている。そばにキット、ルージュ、ビアンカ。
「俺の船に行って手当てをしてもらおう」「捕虜に優しい船長だな」「父親だからな」「知っていたのか?」。
ビアンカが「話したのよ」と答えた。
「なぜ真実を隠していた?」「信じないと思っていた。お前の母親を傷つけるはずはない」。
出港したシー・フラワー号にキットとルージュが乗っている。二人がキスする。ルージュは預かっていた拳銃を手から離す。
■ 補足
本作は「キャラクタの構成とバランスが非常によい」と感じる。キット、ルージュ、デル・トロ、ビアンカのキャラクタがはっきりしており、相互に他のキャラクタの邪魔をせずに、それぞれが特徴を発揮している。
私掠船は海賊船と同じようなものだが、国家の許可を得て敵国の船を襲撃するもの。
「ゴールデン・ホーク」の由来は示されない。
キット・ジェラルドが主人公だが、キャスト紹介はルージュ=ロンダ・フレミングがトップとなっている。
ロンダ・フレミングがジェーン・ヴァン・コルテ、ルージュ船長、ジェーン・ゴルフィン夫人と変幻して大活躍。very good。
■ 出演作
◆ スターリング・ヘイドン
(1956)現金に体を張れ/The Killing
(1953)カンサス大平原/Kansas Pacific
(1952)虐殺の砂漠/HELLGATE
(1952)ゴールデン・ホークの復讐/The Golden Hawk
◆ ジョン・サットン
(1952)海賊船長/Captain Pirate
(1944)ジェーン・エア/Jane Eyre(1944)
(1947)征服への道/Captain from Casile
(1952)ゴールデン・ホークの復讐/The Golden Hawk
(1948)川の女、偽りの瞳/River Lady
(1951)血に飢えたデイヴ/Double Crossbones
(1952)ゴールデン・ホークの復讐/The Golden Hawk
◆ ロンダ・フレミング
(1945)白い恐怖/Spellbound
(1946)らせん階段/The Spiral Staircase
(1947)過去を逃れて/Out of the Past
(1949)腰抜け大捕物/The Great Lover
(1951)犯人を逃がすな/Cry Danger
(1957)OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral
(1951)最后の砦/最後の砦/The Last Outpost
(1952)ゴールデンホークの復讐/The Golden Hawk
(1952)楽園の死闘/Hong Kong
(1953)楽園の決闘/TropicZone)
(1953)地獄の対決/Inferno
(1955)対決の一瞬/Tennessee's Partner
(946)静かなる対決/Abilene Town
(1954)風雲のバビロン/バビロンの女王/The Queen Of Babylon
(1954)ヤンキー・パーシャ/Yankee Pasha
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps
(1960)奴隷の叛乱/Revolt of the Slaves
(1965)甘い大陸/THE AMERICAN WIFE
(1950)メキシコの鷲と鷹/The Eagle and the Hawk
(1956)オドンゴ/odongo
(1958)西部を股にかける女/Bullwhip