■ Cry Danger/1951
ロッキーは五年の刑期を終えて出所し、事件の10万ドル金の行方を調べ始めた。
同じく金の行方を知りたい刑事が付きまとう。
一緒に逮捕されて、まだ服役中のダニーの妻ナンシーと接触する。
事件の関係者のカストロなどを追及して5万ドルの行方は判明。しかし残り5万ドルが不明である。


製作:1951年、脚本:ウィリアム・バワーズなど、監督:ロバート・パリッシュ   予告編  


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 ロッキー・マロイ(ディック・パウエル)
 ナンシー・モーガン(ロンダ・フレミング)
 ダニー・モーガン(-) ナンシーの夫、本作には登場しない
 ドロン(リチャード・アードマン)
 カストロ(ウィリアム・コンラッド)
 コブ(レジス・トゥーミイ)
 ダーリーン(ジーン・ポーター)
 ?・フレッチャー(-) 裁判で証言した人物、本作には登場しない
 アリス・フレッチャー(ジョーン・バンクス) フレッチャーの妻

本作のトレーラーパークは、利用者がトレーラーハウスを持ってくるのではなく、あらかじめトレーラーハウスを用意しておいて、それを貸し部屋として貸している。その他にフロント、シャワー室や売店などの共通施設がある。全体は塀で囲まれている。
 


■ あらすじ

◆ ロッキーは出所した

ロッキーは五年の刑期を終えて出所した。列車でロスアンゼルスまできて駅から出た。

駅から歩いていくと、二人の男がつけてくる。ドロンとコブ。ドロンとコブが声をかけて三人で飲み屋に入った。

コブは「24時間監視する」と言っている。ロッキーが事件の10万ドルを隠していると思っているからである。ロッキーは「自分は金のありかは知らない」と反論した。

コブは出ていき、ロッキーとドロンは残って話した。ロッキーと一緒に捕まったダニーは後半年で刑期が終了する。

ロッキーは「俺はやってない」とドロンに何度も強調した。

◆ トレーラーパーク

二人でトレーラーバークに行った。入り口の近くで女性が日向ぼっこをしていた。ダーリーン(この時はまだ名前は分かってない)。

12号車を借りて二人で住むことにする。ダニーの妻ナンシーは8号車に住んでいる。ロッキーは「金の回収に取り掛かる」と言う。

ナンシーは「ダニーは出所を待つだけ」。ロッキーがまだ事件のことを追及するようなことをいうと「今更、そんなことするの?」と言って、かかわりたくないようである。

もともとはロッキーがナンシーをダニーに紹介したのだが、二人が結婚したので「立ち直れなかった」。

◆ カストロに会いに行く

ロッキーはロス・アミーゴという店に入っていった。店員はロッキーのことを知っており、挨拶して二階に上がった。

カストロがいた。拳銃の弾を抜きながら「金をお前から回収する」と言った。

「俺の望みは五年分の代償」と言うと、カストロは500ドルを出す。「話にならん」。

カストロに「明日電話しろ」と言われてロッキーは立ち去った。ビルを出るとコブが近寄ってきて「カストロになんの用だ?」。

◆ フレッチャーに会いに行く

朝、8号車でナンシーとロッキーが食事をしている。「食事を二人ですると思ったことも」「現実は違ったわね」と言う話をする。

ナンシーは仕事に出かける。ロッキーはナンシーを乗せて送っていく。その後フレッチャーのところに行った。

フレッチャーの妻アリスが出てきた。「夫は死亡した」。

「夫が財産を貰った」「誰から?」「それを言ったら警察に捕まる」という会話をする。

電話を借りる。カストロにかけたと知るとアリスの表情が急変した。「出て行って!」。

◆ 競馬

先ほどのカストロとの電話に従ってクロスリーホテルに出かけた。一階に入ると店があって、ロッキーを見ると店員は頷いて二階に上がるように指示した。

二階で女性から馬券を購入した。ドラゴンフライが勝利し4000ドル。

あるタバコ店に行ってハリーという男から賞金を貰った。

◆ 賞金を取り上げられた

金が入った勢いで、ロッキーはナンシーにお土産を買って戻ってきた。ドロンには1000ドルを渡した。

クラブでロッキーはナンシーとダンスをしている。ナンシーは楽しそう。ドロンとダーリーンも踊っている。

四人で飲んでいるところにコブが来てロッキーに高飛車に申し渡した。「この金は盗まれた金だ。全部出せ」。ロッキーは「競馬で儲けたものだ」と言ったが、ドロンに渡した分も含めて取り上げられた。

そしてコブに連れられて出かけた。

まずタバコ店。「ハリーは?」「そんな人はいない」。次にクロスリーホテル。違う女性がいた。「ここで500ドルで馬券を買った」「そんなことはやってない」。二階の部屋に行ってみるが、昨日の女性はいない。

警察署に行って、コブはカストロに電話をした。「ロッキーに馬券を買わせたか?」「嘘だ。ロッキーには会ってない」。

すべてアウト。嵌められた。

◆ カストロを脅す

ロッキーはカストロにところに出かけていった。いなかったので、隠れてカストロが帰るのを待った。

カストロが入ってきたので殴り倒した。水をかけて起こして脅した。「5万ドルはどこだ?」「フレッチャーを買収したのお前だろ?」。

カストロは「金は半分戻す」と言った。「全部だ」「半分しか持ってない。明朝までに用意する」。

半分ではまだ不満だったが、ロッキーはカストロを殴り倒して出た。

◆ 銃で狙われた

ロッキーはトレーラーパークに戻ってきた。入り口の近くにライフルを持った男が二人潜んでいる。一方彼らとは別に警察も近くにいる。

ロッキーは門を入ってナンシーと話した。男たちはライフルを構えたが、二人が動いて陰に隠れたので撃てなかった。

二人は12号に入った。そこにはドロンとダーリーンがいた。四人で少し話したが、ドロンとダーリーンが外に出た。

待ち構えていた男たちは(相手を間違えて)ドロンとダーリーンを撃った。男たちは逃走し、警察が駆けつけたが、ダーリーンは死亡し、ドロンは病院に担ぎ込まれた。

ロッキーとナンシーは付き添って病院に行った後、トレーラーパークに戻ってきた。

◆ またカストロを脅す

ロッキーは拳銃を用意した。ナンシーは引き留めるが振り切って出ていった。

カストロが車に乗ろうとした。すると中にロッキーが潜んでいて拳銃を突き付けた。カストロの事務所に入った。

机の上にカストロを仰向けに寝かせた。拳銃から弾を抜き一発だけ弾を入れて、カストロに額に突き付けた。ロシアンルーレット。

それでカストロを脅した。カストロは粘ったが、残りが四つになると降参して白状した。「金は下の階の金庫にある」。

「それには興味がない」と言うと「お前は親友を失う。共犯はダニーだ。ナンシーが金を持っている」と驚くべきことを口にした。

カストロを立たせてコブに電話させて警察を呼び寄せた。カストロは逮捕された。

◆ トレーラーパーク

ロッキーはトレーラーパークに戻って、ナンシーと会った。

「カストロは家にも事務所にもいなかった」と嘘を言うと「彼の手の届かないところに一緒に逃げましょう」と言う。

「無理だ。金がない」「もし5万ドルあれば」「なぜ証言しなかったのか?」「カストロが怖かった。二人でやり直せるのよ」と展開した。

ロッキーは「一緒に行こう」と言って外に出た。外にいたコブに通告してトレーラーパークから立ち去った。
 


■ 補足

結局隠れていた悪人は(ダニーと)ナンシーなのだが、さっと本作を見ると、ナンシーは爽やかで、まったく悪人の雰囲気を漂わせていない(ように見える)。最後まで来て、ナンシーの正体が明かされる。

しかし丁寧に見てみると、ナンシーは途中で何度もロッキーを牽制したり、騙すようなことを言っている。表情とかでは表現されないので、なかなか分からない。

ロッキーは冤罪ではなく、犯人一味の一人。しかし金の行方は知らないという立場と思われる。そのように考えないと行動が説明できない。
 


■ 蛇足

そもそもの事件の内容は、まったく表されない。ロッキーとドロンの関係は示されない。

最初にロッキーは「金を回収する」と言うが、最後に金のありかが判明しても、取ろうとしない。

カストロは、最後までダニーとナンシーが金を隠していることを隠そうとするが、自分の金よりも二人を庇う必然性はないように思われる。
 


■ 出演作

◆ ディック・パウエル
「ブロンドの殺人者/Murder, My Sweet(1943)」

ロンダ・フレミング
(1945)白い恐怖/Spellbound
(1946)らせん階段/The Spiral Staircase
(1947)過去を逃れて/Out of the Past
(1951)犯人を逃がすな/Cry Danger
(1957)OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral
(1951)最后の砦/最後の砦/The Last Outpost
(1952)ゴールデンホークの復讐/The Golden Hawk
(1952)楽園の死闘/Hong Kong
(1953)楽園の決闘/TropicZone)
(1953)地獄の対決/Inferno
(1955)対決の一瞬/Tennessee's Partner
(1946)静かなる対決/Abilene Town
(1954)風雲のバビロン/La cortigiana di Babilonia
(1956)口紅殺人事件/While the City Sleeps
(1960)奴隷の叛乱/Revolt of the Slaves
(1965)甘い大陸/THE AMERICAN WIFE
(1950)メキシコの鷲と鷹/The Eagle and the Hawk

◆ ウィリアム・コンラッド
「凱旋門/Arch of Triumph(1948)」(イングリッド・バーグマン、シャルル・ボワイエ)
「私は殺される/Sorry, Wrong Number(1948)」(バーバラ・スタンウィック、バート・ランカスター、アン・リチャーズ、ウェンデル・コーリイ、エド・ベグリー、リーフ・エリクソン、ウィリアム・コンラッド)
「ジャンヌ・ダーク Joan of Arc (1948)」(イングリッド・バーグマン、ホセ・ファーラー、フランシス・L・サリヴァン、ウォード・ボンド、ヘンリー・ブランドン、ウィリアム・コンラッド、ジェフ・コーリイ、リーフ・エリクソン)
「犯人を逃がすな/Cry Danger(1951)」(ディック・パウエル、ロンダ・フレミング、リチャード・アードマン、レジス・トゥーミイ、ウィリアム・コンラッド)
「脱獄者の叫び/Cry of the Hunted(1953)」(ヴィットリオ・ガスマン、バリー・サリヴァン、ポリー・バーゲン、ウィリアム・コンラッド)

◆ レジス・トゥーミイ
「三つ数えろ/The Big Sleep(1944)」
「壮烈第七騎兵隊/They Died with their Boots on(1942)」
「ショウ・ボート/Show Boat(1951)」
「群衆/Meet John Doe(1941)」
「幻の女/Phantom Lady(1944)」