王女でも姫でも、はたまた女王でもよいが、今までの自分の人生に満足できずに、外の世界に出ていく映画がある。
- (1933)クリスティーナ女王/Queen Christina
- (1935)浮かれ姫君/Naughty Marietta
- (1943)カナリア姫/PRINCESS O'ROURKE
- (1944)姫君と海賊/The princess and the pirate
- (1945)夢のひととき/Her Highness and the Bellboy
クリスティーナ女王は実在のスウェーデンの女王だが、本作は伝記映画ではなく、単に彼女の名前を拝借した映画である。
これらの映画は、彼女たちが迷った結果、新しい道・新しい人生を選択するストーリーになっている。一般庶民ではないので、そこのところは現実離れしているが、一人の人間が決断する姿は映画のテーマとしては優れたものである。
ストーリーはすべて恋愛話である。ここが当たり前ではあるが少し残念。例えば「拳銃の名手になるために拳銃修行の旅に出る」と言ったような話はない。
有名な「(1953)ローマの休日/Roman Holiday」。最初に断っておけば、私はこの映画を見たことがない。有名映画なので、トレーラーや解説は見たことはある。なので本作が好きな方には失礼なのは承知している。
簡単に言えば某国の王位継承者アン王女(オードリー・ヘプバーン)は、自由のない生活や過密なスケジュールに嫌気がさしてローマ市中に抜け出す。そこで新聞記者のジョー・ブラッドレー(グレゴリー・ペック)に出会って、ローマの町を冒険する。このようなストーリーであると理解している。
だがしかし最後は、元の地位・立場に戻ってしまう。ここが今回私が紹介しようとしている映画と比べていかにも残念である。最後が違っていれば、私が好きな映画のリストに入っていたかもしれない。いやでもグレゴリー・ペック出演だからな....。
ついでではあるが、アン王女の役は、ジーン・シモンズにオファーされたのだが、ジーンと契約していたハワード・ヒューズが断り、オードリー・ヘプバーンに回ったという経緯がある。
ジーンは私のようには偏屈ではないと思うので、本当は出演したかったのではないかと思う。
私はジーン・シモンズをかなり好きなのだが、もし本作に出演していても、やはりジーンを好きなままでいただろうか?それとも嫌いになっただろうか?はたまた、この映画も好きになっただろうか?
王女役ではないがジーン・シモンズには新しい人生に踏み出す映画がいくつかある。例えば「(1956)ヒルダ・クレイン/Hilda Crane」「(1958)黄昏に帰れ/Home Before Dark」「(1969)ハッピーエンド、幸せの彼方に/The Happy Ending」。
■ (1933)クリスティーナ女王/Queen Christina
クリスティーナ役はスウェーデンの大女優グレタ・ガルボ。
わずか6歳でスウェーデン国王の地位についたクリスティーナは大人になって、チャールズ皇太子と結婚することを期待された。
クリスティーナは雪が降っている時に、従者と狩りに出かける。途中である男性に出会う。
その男性と宿屋に泊る。雪が降りやまず数日滞在する。その中で何があったかは不明だが、ともかく二人の間には友情なり愛情が芽生えた。
その男性はスペイン王家から派遣された使者アントニオ(ジョン・ギルバート)であった。訪問の目的はスペイン王家とクリスティーナの縁談。
もちろん、そのような話は簡単に進むものではない。スペインはカトリック、スウェーデンはプロテスタントと言う問題もある。
そして財務官のマグナム伯爵がクリスティーナに言い寄っている。それ以上にクリスティーナがアントニオを好きになったというもっと大きな問題があった。
アントニオは帰国することになる。
クリスティーナは退位することにする。しかし突然の退位表明に周囲は反対する。
退位に伴って頭から王冠を取り去る儀式をするのだが、誰もしようとはしないので、クリスティーナが自分で王冠を取った。
そしてアントニオを追いかけた。
■ (1935)浮かれ姫君/Naughty Marietta
本作はジャネット・マクドナルド出演なのでミュージカルになっている。
公爵の娘マリー(ジャネット)はスペイン貴族との結婚を嫌って脱出し新大陸のルイジアナに向かった。
当時の新大陸は男性過多の状態であり、それらの男性と結婚しようという女性たちの船に乗り込んだ。
ルイジアナに到着してマリーは劇場で得意の歌を披露した。そしてリチャード・ウォリントン大尉(ネルソン・エディ)と親しくなった。
しかし父親と婚約者が来て連れ戻されることになった。このあたりがかなりドタバタして、本作のメイン。
しかしリチャードが活躍してマリーを連れ出し、さらに駆け落ちしてハッピーエンドとなった。
■ (1943)カナリア姫/PRINCESS O'ROURKE
本作はかなりのドタバタコメディ。
某国王女のマリア(オリヴィア・デ・ハヴィランド)は戦火を避けてニューヨークにきている。
カリフォルニアに行くために飛行機に乗ったが睡眠薬を飲みすぎて眠った。この飛行機には寝台席がある。
しかし飛行機は悪天候でニューヨークに引き返した。マリアが起きないので、操縦士のエディは自分のアパートにつれていった。注、これってすごく変だろ?
エディとマリアは相思相愛となり結婚しようとするが、エディはアメリカ国籍を捨てなければならないと聞いて拒否する。
しかしマリアはエディと結婚したい。マリアは王女の地位を放棄してエディと結婚した。
邦題「カナリア姫」の由来。マリアの部屋にカナリアが飼われている。鳥籠に閉じ込められているカナリアを見て、自由がない自分の姿と重ね合わせている。
■ (1944)姫君と海賊/The princess and the pirate
王女のマーガレット(ヴァージニア・メイヨ)は国王が勧める結婚を嫌がってジャマイカ行の船に乗った。マーガレットは本当は単なる一兵士と交際している。
船の中でシルヴェスター(ボブ・ホープ)という役者に出会った。
だがしかし船はフック船長(ヴィクター・マクラグレン)という怖~い海賊に襲われた。
なんとか逃げ出してある島にきたが、島の総督(ヴァルター・シュレツァク)もフックと通じており、一難去ってまた一難の状態。
結局は捕らえられてフックの船に乗せられる。「もう終わりか?」と思った時、国王の船が現れてフックの船を制圧。
国王はマーガレットと恋人の兵士との結婚を許した。
■ (1945)夢のひととき/Her Highness and the Bellboy
本作ではヘディ・ラマーがわりと毒気がない役をしている。
ベルボウイのジミー(ロバート・ウォーカー)はホテルに宿泊していた王女のヴェロニカ(ヘディ・ラマー)の世話をすることになった。
ヴェロニカは以前に付き合ったコラムニストのポウル(ワーナー・アンダーソン))に会いに来たのだが、ポウルは自分の地位にこだわるヴェロニカを相手にしない。
ジミーはヴェロニカと接触するうちに、一番大事な恋人のレスリー(ジューン・アリソン)のことを忘れてしまった。
ジミーはヴェロニカに「自分の国に来て」と言われて「ヴェロニカが自分を好き」ととんでもない誤解をした。
出発のためにアパートに戻り、レスリーに会ったジミーは「やっぱりレスリーが一番好き」と分かり、残ることにした。
それを見たヴェロニカは自分の地位を捨ててポールと一緒になった。
■ 出演作
◆ ヘディ・ラマー
(1945)夢のひととき/Her Highness and the Bellboy
(1946)奇妙な女/The Strange Woman
(1949)サムソンとデリラ/Samson and Delilah
(1947)退職した女/Dishonored Lady
(1941)結婚を買う女/Come Live With Me
(1958)女優と養女とエキストラ/The Female Animal
◆ オリヴィア・デ・ハヴィランド
(1935)海賊ブラッド/Captain Blood
(1936)進め龍騎兵/The Charge of the Light Brigade
(1937)恋愛合戦/It's Love I'm After
(1938)ロビンフッドの冒険/The Adventures of Robin Hood
(1938)結婚スクラム/Four's a Crowd
(1938)黄金の罠/Gold Is Where You Find It
(1939)無法者の群/Dodge City
(1939)太平洋の翼/海の荒鷲/Wings of the Navy
(1939)女王エリザベス/The Private Lives of Elizabeth and Essex
(1939)風と共に去りぬ/Gone with the Wind
(1940)カンザス騎兵隊/Santa Fe Trail
(1941)いちごブロンド/The Strawberry Blonde
(1941)壮烈第七騎兵隊/They Died with Their Boots On
(1943)カナリア姫/PRINCESS O'ROURKE
(1946)遥かなる我が子/To Each His Own
(1946)暗い鏡/The Dark Mirror
(1948)蛇の穴/The Snake Pit
(1949)女相続人/The Heiress
(1952)謎の佳人レイチェル/My Cousin Rachel
(1958)誇り高き反逆者/The Proud Rebel
(1964)不意打ち/Lady in a Cage
ふるえて眠れ/Hush… Hush, Sweet Charlotte(1964)
(1977)エアポート'77/バミューダからの脱出/Airport '77
(1933)クリスティーナ女王/Queen Christina
(1935)浮かれ姫君/Naughty Marietta
(1943)カナリア姫/PRINCESS O'ROURKE
(1944)姫君と海賊/The princess and the pirate
(1945)夢のひととき/Her Highness and the Bellboy