ケンタとジュンとカヨちゃんの国
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監督・脚本 大森立嗣
音楽 大友良英
主題歌 私たちの望むものは/阿部芙蓉美
出演 松田翔太、高良健吾、安藤サクラ、新井浩文、宮崎将、柄本佑、
柄本明、小林薫、多部未華子、美保純、洞口依子、山本政志
(あらすじ)
ケンタ(松田)とジュン(高良)は同じ施設育ちで
解体の仕事をしている。
ケンタは先輩の裕也(新井)から執拗ないじめを受けていた。
ケンタには兄・カズ(宮崎)がいる。
彼は解体の仕事の影響から、
時折体が硬直するようになっていた。
幼女誘拐未遂事件で逮捕され、
そのことを裕也にからかわれて刺してしまい、
今、網走の刑務所にいた。
慰謝料という名目で、裕也から金を取られているケンタ。
ジュンは緊張すると手が白くなる病を持っていた。
ケンタとジュンはカヨちゃん(安藤)をナンパした。
カヨちゃんはブスだった。
彼女にはその自覚もあり、それゆえに誰とでもセックスしてしまう。
カヨちゃんはジュンに夢中になるが、
ジュンはそんな彼女をうざく思い始めた。
鬱憤のたまったケンタとジュンは会社を荒らし、車とバイクを盗み、
裕也の車を壊して、網走目指して旅立つ。
そんな2人にカヨちゃんも着いて来た。
カヨちゃんをパーキングエリアに置き去りにして進むケンタとジュン。
盗んだ銅線を闘犬の男(小林)に買ってもらい、
ガス欠になったので車を捨てて
バイクで歩を進める2人。
友人の洋介(柄本)を訪ねる。
洋介は母(洞口)に片目を潰されていた。
精神薄弱者の世話をしている洋介。
ケンタの中で
「ジュンと自分は違う」という意識が強く芽生えてくる。
ジュンはゆみか(多部)と食事に行き、
その生き方の姿勢に衝撃を受ける。
そしてカヨちゃんを恋しく思うようになる。
別行動を取っていた2人は合流し、
フェリーの中でカヨちゃんと再会した。
カズと面会したケンタは
兄の覇気のなさに憤りを感じた。
追って来た裕也にバイクで突っ込んだケンタ。
ちょっかいを出して来た若者たちを殴りつけるケンタ。
カヨちゃんは彼を止める。
ジュンはそんな彼を銃で撃った。
カヨちゃんを置いて、
負傷したケンタを載せ、ジュンは車を走らせる。
車を乗り捨てた2人は
海の向こうを目指して海中を歩き始めた。
カヨちゃんは車内から男に路上へ放り出されていた。
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(感想)
麿赤児の長男で、
大森南朋の兄である大森立嗣監督作品。
1970年代のアメリカン・ニュー・シネマ的な作風。
主題歌に岡林信康の曲を使っており、
ATG作品のような
和製のそれを目指したのではないか?と思われる。
夢や希望というものが存在せず、
徹底したリアリズムが貫かれている。
観て晴れ晴れするようなものではない。
最初は時代錯誤的だなと思って観ていた。
ケンタとジュンは信じられないくらい頭が悪いし。
でも・・・
ゆとり教育の影響か、
最近の頭の悪い子は本当に頭が悪かったりもするなぁ、と思い、
これは現代にも通じることなんだ、って考え始めた。
それから彼らの世間がとても狭く閉塞的であることも
(2人が置かれていた状況は一般的ではないけど)
最近多いオタク的な思考を象徴しているように思い始めた。
これだけ情報化社会になっているのに不思議だよなぁ、と感じつつも、
そういう一般的な生活を送れない人もいるのかも、
格差社会だし、虐待は多いし・・・と考え出すと、これは本当に現代の話だな、と。
次々とやって来る負の連鎖、
結局突破口が見えないまま悲劇的なラストを迎えるのも、
現代の世相を象徴しているように思う。
松田と高良という美形2人が演じていることで
悲劇的要素が高まっている。
2人ともいい雰囲気を持ったいい役者。
腐女子は飛びつく世界では?(笑)
カヨちゃん役の安藤は奥田瑛二と安藤和津の娘だが、
DNA継承の難しさを感じさせる(笑)。
芸術文化系に多いタイプの顔。
こういう女いるよな、ってニュアンスを凄く上手く出していた。
毎度嫌な役の新井は、こういう役が多くて不憫に思えるくらい。
多部の役は話しているそばから否定し続けてやりたい感じだった(爆)
監督、翔太、サクラ、柄本父子、宮崎あおい兄など
芸能一家の出演者が多いのも特徴。
ステレオタイプの話ではあるけれど、
現代の暗部を象徴していると思うし、
大森監督の才能を感じたし、一見の価値はあると思う。
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オフィシャル・サイト
http://www.kjk-movie.jp/
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主題歌
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