独学で和声法を学ばれる方へ
アドバイス的なことを書いてみたいと思います。

また独学で学ばれる方の多くは、
音大受験ではなく、あくまで作曲のために和声を学ぶという
意味合いが強いと思いますので、
下記の内容は音大受験生の方にはあまり参考にならないかもしれません。

また書かれていることはかなり独断と偏見に基づいています。


和声を学ぶ一番良い手段は良い先生に付くことであり、
それが理想ではありますが、
現実問題として様々な理由によって
それが難しい場合もあるので、
こうしたら助けになるのではと思う内容を
間違いが多分にあることを含んで頂きつつ書いてみますので、
興味のある方は読んでみて下さい。


まず和声とは何か?という問題ですが、
大きく分けて3つの意味があると思っています。


1つ目は作曲の土台となる基礎能力の向上です。
あらゆる種類のバス課題、ソプラノ課題、アルテルネ課題、
借用や変位や転調や主題構成を持つ課題を解くことは
それ自体が基礎能力の向上になりますし、
またクラシックの作曲技法になくてはならず、
BGM的な楽曲でも十分に応用が効く内容です。

作曲の最も根本的な基礎能力の向上と言えます。


2つ目は古典的な和声法を学ぶことです。
(あるいはロマン派の和声も)
具体的にはバッハやモーツァルトやベートーヴェンのような
様式の曲を自分でも作れるようになることです。
これは和声学の本を学ぶだけではほぼ不可能で、
実際の大家の作品の分析と合わせて行わないと難しいと思います。


古典和声を何年も掛けて勉強したのに、
ベートーヴェンやモーツァルトのような作品を自分で作れないというのでは
なんのために古典和声をみっちり勉強したのかわかりませんし、
古典和声に基づく曲を自分でも作れないのであれば、
残念ながら古典和声を習得しているとは言い難いと思います。


もちろん作曲と和声の勉強は別だという意見はあると思いますし、
事実その通りですが、
何のために和声を勉強するのか?と考えたときに、
作曲するために学んでいるのであるならば、
作曲に活かすところまでやらなければ意味がないように思えます。


単なる教養だとか、アナリーゼ目的だとか、受験のためであれば、
和声を作曲に活かす必要はありませんが、
作曲のために和声を学ぶのであれば、
作曲に全く役に立たない和声学に
果たして学ぶ意味があるのかは疑問です。


3つ目は色々な和声進行(コード進行)を学ぶことです。
簡単に言ってしまえばあらゆる種類の借用和音、
内部調、反復進行、保属音など、ポピュラー理論と大いに通じる部分がありますが、
こういったいわゆる音楽理論のテクニックを習得することです。
(ポピュラーでいうところの副属7、SDM、裏コードなどです)


自分の作品作りでももちろん役に立ちますし、
アナリーゼでも役に立ちます。

アナリーゼに関しては役に立つというよりは
和声の知識がないとアナリーゼそのものが不可能な場合が
多々あると思います。


主にこの3つが和声法の勉強における産物であり、
学習段階で心掛けて行かなければならない部分です。


先生がいれば、個人個人にあった方法で
良い具合に指導してくれるかもしれませんが、
独学の場合は常に自分で自分を指導して行かなければなりません。

この3つが得られるものであるということをまずは念頭においてみましょう。



次の問題は教科書です。
独学で学ぶ以上、必ず何らかの教科書的な本が必要になります。


どの教科書にも利点と欠点があり、
たった一冊で和声のすべてを学べるような本は和書ではないように思えますが、
先生がいれば、自分が出来るようになりたいレベルや方向性に合わせて
良い教科書を選んでくれたり、教科書に書いていないことを
補足したり、その習得に必要な課題を(添削を含め)出してくれるでしょうが、
独学の場合は、良い本と出会えるかどうかが問題です。


一般的には和声~理論と実習が一番スタンダードだと思いますが、
ほかにももっとライトな和声本もありますし、
全員が同じ方向性、同じレベルを目指している訳ではないので、
どの本が良いのかは一概には言えません。


音大受験のために和声を学ぶ方と
趣味で学ぶ方ではかなり変わってくると思います。


本屋さんなどで立ち読みをしたり、
評判などを調べたりしつつ、何冊も手にとっていくしかないでしょう。



この点においてアドバイス出来ることがあるとすれば、
本だけに決して頼り切ってはならないという点です。


添削してくれる誰かがいれば良いですが、
ここで言いたいのは添削云々ではなく、
本に書いてあることを決して鵜呑みにしてはいけないということです。


どの本にも禁則やよく使われる進行などが掲載されていますが、
例えば和声~理論と実習では
「導音は重複も省略も出来ない」書かれています。
公理A2(赤本P113)

BWV184 待ちこがれし喜びの光
第5曲 コラール『主よ、しかとわれら望むなり』(Herr, ich hoff je)


拡大して赤い線と緑の線の部分をよく見て下さい。



①の赤い部分では導音が重複しています。
バスとテノール両方に導音があり、
片方が上がり、もう片方が下がっていますが、
これは和声~理論と実習では禁則扱いになっている音使いです。


バッハが死んだずっと後に現代のような和声学のルールが出来たので、
和声における禁則を過去の大家に見いだすことは
割と容易いですが、
独学の問題点はこういった部分を指摘してくれる先生がいない点であり、
本に書いてあることを鵜呑みにしがちな点です。


また②の緑の例外進行については3巻の青本に
ある程度書かれていますが、
実際には書かれている内容よりももっと自由な使われ方を
バッハの作品に見いだすことが出来ます。

もう一つ見てみましょう。

ベートーヴェン ピアノソナタ3番 2楽章冒頭




割と声部書法を意識した書かれ方をしていますが、

上のベートヴェンの例でもⅤ7の和音で導音が重複しています。


さらに言うなら、このⅤ7の和音の前の部分の
ソプラノの声部(ミ
→レ#→ミ→ファ#)を還元するとミになるので、
ソプラノとテノールは連続8度になります。
ミ(sop)→ミ(ten)とレ#(sop)→レ#(ten)。


これはほんの一例に過ぎません。
探せばたくさん登場しますし、
バッハやベートーヴェンなどを弾いていて
「あれ??これって…」と気づく方も多いのではないかと思います。



教科書には連続5度が駄目だとか、Ⅱ7の第7音は予備が必要とか、
Ⅰの第二転回形はⅤをセットで使うとか、
ほかにも色々なことが書いてあり、
それ自体は決して間違いでも嘘でもなく、
ある程度までは有用なのですが、
実際の作品ではもっと柔軟に扱われており、
その臨機応変さというか、実際の作品における和声の活用方法を
学ばないと、本当の意味では古典和声は身に付かないと思います。


試験でマルが貰える課題としての和声」
実際の「過去の大家たちが使う和声」には
どうしても齟齬があるのです。


また古典以降、時代が現代に近づくに連れて、
段々と古典和声の禁則が無視されがちになっていきます。

このあたりも独学だと戸惑う部分があるのではないかと思います。


私はよくレッスンで赤信号で例えますが、
「赤信号を渡ってはいけない」という風に交通ルールでは習います。


それ自体は間違いでも嘘でもありませんが、
どんな時でも絶対に赤信号で停止しなければならないかというとそうではなく、
救急車やパトカーなどの緊急車両は、時に赤信号を無視して走っていきます。


つまり信号無視という連続5度や限定進行音の重複という禁則を犯しているわけですが、
交通ルール(和声の教科書)で頭がガチガチになると、
「赤信号を渡ってはいけない」と思い込んでしまい、
実際の社会(作品)における融通が効かなくなってしまいます。


急病人を乗せた救急車が赤信号を律儀に守るようなものです。


先ほどのバッハやベートーヴェンでは導音が重複していますが、
学習者がこういった柔軟な実際の大家の作品と適切に出会い、
そして適切にその融通、つまりどんな時に、どんな理由で、
どんな風に教科書に書いてある禁則を犯しているのかを
学んで行ければ良いのですが、
教科書一辺倒になってしまうと、そちらに目が行かないことが多いです。


結果として「教科書に書いてあることを
ひたすら遵守する融通の効かない人間」になってしまい、
当然、作る曲も現実の古典和声を用いている大家の作品のような柔軟さはないため
思うような作品にはならないということが多いです。


もちろん教科書的な和声でも綺麗な課題を作る方はいらっしゃいます。
(シャラン、フォーシェ、ビッチュなどをやると割と自由だったりとします)


この部分は独学の方は陥りやすい点だと思います。
こと和声に関しては教科書は一応正しいけれども、
100%というわけではないという姿勢が良いかもしれません。


じゃあ、何が正しいのか?というと実際の古典和声における実際の作品が
古典和声とは何かという質問に対する一つの解答だと思います。
(異論はあるかもしれませんが)


古文とは何か?という質問に対しても、
多少授業で習う文法と違うところがあったとしても
やはり徒然草や枕草子や源氏物語に出てくる文章こそが、
本当の意味での古文なのではないかと思います。


もちろん受験としては現代人が文法化した古文こそが
受験でマルが貰える正しい?古文であることは言うまでもありません。

これがそのまま和声に置き換わるように思えます。


そもそも古文と一口に言っても、時代ごとに表現はかなり変わり、
個人個人の言い回しの違いもあるでしょう。
(現代の日本語でも同じですし)


クラシック音楽の大家たちの和声法も時代ごとに変わりますし、
また同じ時代を生きた作曲家でも個性が多分に発揮されているため、違いがあります。


こういった問題は教える側が随時内容に応じて適切に譜例を提示し、
どういう理由で、どういう風に、またどんな時代の誰の作品でどうなっているかを
習得段階で指導するべき部分ですが、
独学の場合はこの部分をフォローしてくれる先生がいないため、
自分で学んでいくしかありません。



そこで私としては教科書半分、実際の作品半分で
勉強進めることをお勧めしたいです。


例えば和声~理論と実習であれば、
古典和声に焦点を当てているので、バッハ、ハイドン、モーツァルトの
作品を和声の教科書を学びながらやっていくと良いと思います。


ベートーヴェンの中期あたりまでなら十分古典和声で解釈が可能なので、
ベートーヴェンのピアノソナタなども良いかもしれません。


独学で学ぶ方にとって何よりも重要なのは
実際の作品に触れることです。


和声の教科書だけを学んでも、古典和声は習得出来ません。
もちろん実際にはもっと入り組んだ問題で、
何をどれだけ習得したら古典和声を習得したと言って良いのかによりますが、
なるべくたくさんの作品を和声学の観点からアナリーゼしましょう。


その中で教科書との矛盾点を見つけ、
誰が?なぜ?どんなときに?どんな理由で?そうなっているのかを
考えていくことで、実際の芸術作品における和声の用法が見えてくるはずです。


私は和声~理論と実習に載っているような和声の内容やサンプルを否定しているわけではなく、
美しいとも思いますし、ある程度までは有益で有用なのですが、
それだけでは不十分なので、実際の作品になるべくたくさん目を通しましょう。
出来れば演奏しましょうということを言いたいのです。


私は中学から大学を出るまでに中学3年、高校3年、大学4年で
合計で10年間英語を学びましたが、
10年も掛けて英語を学んだにも拘わらず道で外国人に
道を聞かれたときに満足に英語で答えることが出来ません。


英語圏の国で一人でレストランに入ったり、買い物をしたり、
英会話が出来ないと生活できないようなシチュエーションでは会話に困ってしまう
カタコトの英語力しか持っていないのです。


DTM関連のソフトも英語の説明書だと
一応頑張って読みますが、やっぱり日本語マニュアルはないのか?と思いますし、
海外メーカーのサポートを受けるときは英語なので、
やりとりにはまず翻訳サイトを使い、それでも意味が理解出来ない文章もたくさんあります。


向こうが私の英文メールを見ても、さぞおかしな英語になっていることでしょう。


10年も勉強したのにこの有様です。
私だけでなく、こういった方は多いはずです。


少なくとも高校3年生の時点で英語を学んで6年目なわけですから、
英語で道を聞かれたらスラスラと答えられるくらいの英語力があって然りですし、
出来なければ毎日のようにあった英語の授業を受け続けたその6年間の
努力は一体何だったのか?とも思います。


普通に考えて、6年もほとんど毎日習い事をするのに
ピアノ教室や料理教室で置き換えて考えると
その成果がほとんどないというのはちょっとおかしい気もします。


なぜ私が何年も英語を勉強したのにロクに会話も出来ず、読み書きも苦労するのかは
やはり生の英語に触れず、教科書だけに頼ってきたからでしょう。


本当に英語が話せるようになりたいなら、
直接英語圏に行って生活すること、
これがベストだと思います。


それで否が応でも英会話能力は身に付いていくはずです。
実際の英語に触れないということはそれだけデメリットが大きいのです。


和声学でも教科書だけで学んだら10年やっても
私の英語と同じような感じになってしまうかもしれません。


つまり英語圏に行って、実際の英語に触れるという経験が必要であり、
和声で例えるならバッハやモーツァルトの実際の作品を大いに演奏し、
その和声をアナリーゼする必要があるということです。


あまりにも極論ですが、バッハやモーツァルトの作品に精通し、
同じような作品を作れるなら
和声学の教科書を見たことがなくでも、
受験を度外視していいのであれば、
古典和声を習得したと言えるかもしれません。


日本の英語の教科書を見たことがなくても、
アメリカに行けば幼稚園児でも英語を話すわけですから、
英会話の習得という目的であるならば
教科書が絶対に必要ということはないと思います。


しかし英語圏の外国人が英語を話せるかと言って、
東大入試の英語の試験問題や英語検定1級で高得点が取れるのか?というと
やはりこれは疑問です。


求められる能力が英語の会話や読み書きなのか、
日本の大学受験や検定に合格するためなのか、
同じ英語を学ぶという行為でも目的が違えば、
勉強方法も違わなければならないと思いますし、
事実違うはずです。


中・高・大と10年もひたすら英語を勉強しながら、
日常会話すらままならず、いまさら英会話教室というのは
10年間一体何をやってきたのか?と外国人は思うかもしれません。


和声学の習得においても実際の作品に触れないというデメリットは
果てしなく大きいので、
独学で学ばれる方は大いに実際の作品を研究する必要があります。


教科書とアナリーゼを5:5と言いたいところですが、
先生の指導がない分6:4、か7:3で実際の作品に触れる分量を
増やしても良いかもしれません。


教科書という第3者のフィルターを通して英語(和声)に触れるのではなく、
実際の生の英語(和声)に直接触れるのです。


本当に英会話を習得したいなら教科書ではなく、
実際の外国人の英語に範を求めるべきであり、
本当に和声を習得したいなら教科書ではなく、
実際の大家の和声作品に範を求めるべきです。
(あくまで試験ではなく、作曲におけるという意味で)



そして、最後になりますが、出来れば古典和声を活用した楽曲を自分でも書いてみましょう。
バッハやモーツァルトやベートーヴェンなど素晴らしいお手本は
枚挙に暇が無く、いくらでもあるわけですから
バロック的、古典的な作品を学んだ古典和声を大いに活用して作曲してみましょう。


フーガは対位法的な能力が必要になりますが、
コラール的なものなら和声法だけで対応出来ますし、
古典的なものは小規模でも良いのでロンドやソナタを書いてみると良いと思います。


モーツァルトっぽい、ベートーヴェンっぽいという感じが出せるようになったなら、
それはもう古典和声の様式を習得しつつあるということであり、
自分がしてきた努力が力となって現れている証拠です。


特に苦労もせずにスラスラと英語で外国人と会話が出来るようになってきたら、
英語が身に付いてきている証拠なのです。


教科書を学びテストで良い点を取っても実際の英語の会話や
読み書きが上手く出来ないのでは、
受験やテストでは役に立つかもしれませんが、
現実の生活ではあまり役に立ちません。


和声学も同様なのだと思います。


譜面を読む力、アナリーゼする力、各声部を美しく書く力、
内部調、転調、あらゆる借用和音、転位や変位を使った声部、
禁則に対する柔軟な対応など、
作曲能力が高まってきていることを何より感じることが出来るはずです。


それはクラシックのみならず、あらゆる種類の音楽を作曲する土台として
極めて強固で頼りになる土台です。


教科書的な和声が実際の作品でどう活かされているのか?は
随時教える側が臨機応変に伝えていく必要がありますが、
独学であれば常に実際の作品と教科書で学んだことを
見比べ、聞き比べて、何がどう違うのか?どんな風に柔軟に使われているのか?を
常に考えて行く必要があります。


教科書の内容と実際の作品の橋渡しとなる部分は
一言で終わるような内容ではないので、
ケースバイケースでとにかくたくさん見ていくうちに
わかってくることもたくさんあるはずです。


教科書の和声の勉強に10の力を注いでいる方が、
その半分の力を実際の芸術作品の和声の勉強に注いでしまったら
教科書の進歩状況は半分になってしまいますが、
独学ということを鑑みればそれが遠回りのようで
実は近道になっているように思えます。


あくまでこういう考え方の人間がいる程度に受け止めて下さい。


和声法や対位法は、現実問題として独学がかなり困難な分野ではありますが、
実際の作品に大いに触れるということを忘れなければ、
絶対に独学は不可能とも思えないので、
学習中の方はどうか頑張って下さい。



AD
昨今Viennaなどのソフト音源でオーケストラを作る環境が
簡単に手に入るようになり、
色々な形で楽しむことが出来るようになりましたが、
自分で好きなように作るだけならまだしも、
過去の大家のオーケストラ作品を参考にしようと思った場合、
慣れていないと譜面を読むのは結構大変だったりします。


特に近現代のオーケストラの譜面は
カッコ良いものも多いですが、段数も多く
読むだけでも力が要ります。


読めるようになるコツは一言で言うなら「慣れ」なのですが、
練習次第で段々読む速度や正確さは上がっていくので、
オーケストラを勉強したいという方のために
お勧めの練習方法を紹介します。


まずは次の譜面のコードとコードスケールをとってみましょう。

クリックで拡大

難しい…と思っても僅か2小節ですので、
じっくり読んでみましょう。

ポップスやロックと同じようにコードネームや
コードスケールを付けることが出来ます。

これくらい余裕という方もいれば、
難しいという方もいらっしゃると思いますが、
慣れるまでひたすら練習です。


コードとコードスケールは何でしょうか?


上からコールアングレー(完全5度低い)
クラリネット(長2度低い)
バスーン(実音ですが、テノール記号)
ホルン(完全5度低い)
ヴィオラ(実音ですが、アルト記号)
チェロ(実音ですが、テノール記号とヘ音記号)
コントラバス(1オクターブ低い)
となります。


既存曲を参考にしたいと思って譜面を見ても
作曲家にとって煩わしいは
やはり移調楽器で、これのせいでかなり譜面が読みにくいのが実情です。


レッスンでもオーケストラを書く内容を取り扱っていますが、
既存の曲を分析したり、参考にしたりするときに
オーケストラの譜面を読むことそのものが大変な方が多いので
何よりもまず移調楽器になれることです。


音名を譜面に振ってみました。

クリックで拡大

ト音記号とへ音記号は普通に読める方が多いと思いますが、
この譜面では実音のト音記号は出てきませんし、
ヘ音もチェロの片方とコントラバスだけです。


移調楽器の読み方はたくさん本が出ていますし
ネットでもちょっと検索すれば出てくるので
わざわざ書きませんが、
ひたすら移調譜面を読み続けることで段々慣れてきます。


譜面そのものはなんでも構いません。
ポップスでもクラシックでもジャズでもロックでも何でもOKです。


○クラリネットB管 長2度下で読みます。

クリックで拡大 クラリネットB管

上の画像をクラリネットのB管として読んでみましょう。
全音下で読み替えながら音名を口に出して読んでみて下さい。

鍵盤が手元にあれば弾いてみるのも良いかもしれません。

答え(選択で反転)
ミソミレド#レミド シーラシソファ#ソ

慣れている方にとってはどうということはありませんが、
慣れていないと長2度下にずらして鍵盤で弾くだけでも
意外と大変だったりします。


○クラリネットA管 短3度下で読みます。

クリックで拡大 クラリネットA管

今度はクラリネットのA管です。
同じように読んだり、鍵盤で弾いてみましょう。


答え(選択で反転)
ファードーシ♭ラシ♭ファ
ミ♭レ♭ラ♭レ♭ドーシ♭ー

○ホルンF管 完全5度下で読みます。

クリックで拡大 ホルン

古典時代のオーケストラは色々な移調楽器のホルンが出てきますが、
上の譜面はF管として完全5度下で読みましょう。

答え(選択で反転)
ドシシ♭ド ソソ♭ファミ

ここまでなんとなくわかったと思いますが、
譜面は何でもいいので、
自分でその譜面を○○と仮定して読む練習をするということです。

手持ちのピアノ曲でもバンドスコアでも楽譜は何でもOKです。
アルト記号やテノール記号でも同様です。


例えばポップスのボーカル曲のボーカルメロディーを
クラリネットのA管として読んだり、
ベースパートをアルト記号やテノール記号として読むことによって
譜面を読む力を鍛えていきます。


慣れてくると段々スラスラ読めるようになりますが、
加えてオーケストラスコアでは
複数の読み方の違う移調楽器と音部記号が出てくるので、
それらを脳内で変換して読まなければなりません。


基本的に①移調楽器が苦手、
②移調楽器は読めるけど、複数の違う移調楽器と音部記号が同時に出てくると苦手の
2段階の苦手の生徒さんがいらっしゃいますので、
まずは①の移調楽器そのものに対する苦手を克服していきましょう。


②のクラリネットA管、コールアングレー、ホルン、アルト記号、テノール記号など
複数の組み合わせを同時に読んでいくのは
実際のオーケストラスコアを見ながら練習していくしかありません。


段数の多い譜面が大変なら木管五重奏などの規模の小さい室内楽から
スタートするのも良いと思います。


しかし移調楽器がスラスラ読めるならば、
組み合わせて読んでいくのは練習次第ですので、
まずは移調楽器が苦手という方は
ひたすら色々な移調楽器や音部記号と仮定して譜面を読む練習を
積むことで段々慣れてきます。


移調楽器が苦手という方は、
手持ちの譜面を色々な移調楽器や音部記号として読み替えて練習してみましょう。


////////////////////////////////////////////////////////////

作曲・DTMの個人レッスンの生徒を募集しています。
このブログの書き主の自宅&skypeでマンツーマンレッスンをしています。
(専門学校での講師経験があります)
詳しくはこちらをどうぞ。


電子書籍ですが作曲・DTM関連の書籍も書いています。
宜しければどうぞ。

DTMマスタリングのやり方


DTMミキシングのやり方

 

作曲基礎理論~専門学校のカリキュラムに基づいて~

(作曲の基礎理論を専門学校レベルで学べる本です)




パソコンで始める日本一簡単なDTM作曲本

(初心者向けの作曲導入本です)
AD
生徒さんへのネタ提供と自分の勉強も込みで
ディレイ&リバーブレシピという本を買いました。

スグに使える ディレイ&リバーブ・レシピ
DAWユーザー必携の事例別セッティング集 (DVD-ROM付) 単行本



実際に読みながら付属のMP3を聴き、
また自分でも手持ちのプラグインでポチポチと
設定を真似ていると非常に勉強になります。



どんなところが勉強になるのか?というと、
プラグインの設定そのものではなく、
エンジニアさんが何を考えてその設定にしているか?の解説が
とても含蓄に富んでいてためになりました。


設定そのものは二の次で、
「何がしたくて」「どういう目的で」「どういう効果を狙って」「どういう意図があって」
どのパラメーターをどのように動かしているのか?というのが
最も大切なことであり、
具体例はあくまで一つの具体例に過ぎず、
ケースバイケースの一例に過ぎません。


よくEQなどの解説でべースは〇Hzを〇dBをブーストして~
などど具体例が書かれている書籍があって、
それはそれで初学者の方にとってある意味参考にはなるのでしょうが、
どうしてそのようなことを行ったのかの意図を
深く理解していないと
結局実際の作品で取り扱うベースの音は千差万別なので、
十分な学習効果とは言えません。


元の音が違えば
同じことをしても逆に音が悪くなったり、
不要である場合も多々あるからです。


空間系はコンプやEQに比べるFairchildやpultecのように
銘記と呼ばれるようなヴィンテージ機種が比較的少ないので、
人気がないためか、
適当に、なんとなく、それっぽくなれば良いという感じで
プリセットを選んでいる方が多いのでないかと思うのですが、
この本はかなり詳しく空間系エフェクトについて述べられているので、
初学者にとっては非常に有益な本だと思われます。


もちろん本書内で書かれていることは
著者さんの考え方であり、これもあくまで一例に過ぎませんが、
これから勉強する方にとってはとても良い取っかかりの一つだと思います。


少なくともリバーブのダンピングの調整とか
ディレイの後にEQ入れて音を作っていくとか
そういった初歩的なことが曖昧な方にとっては
基礎から学習するという意味でとても良書であり、
ミックス中級者くらいの方は前半半分くらいは知っていることばかりかもしれませんが、
中盤以降は飛び道具的な設定もたくさんあって、
BGM系の楽曲で使えそうな音作りのヒントになるアイデアがたくさん掲載されています。


私としては15年とか20年前に読みたかった…と思えるくらい良い本で
特に初心者に優しく書かれているのではないでしょうか。


私が長い時間掛けて試行錯誤してきたことが
わかりやすく書かれているのを見ると、
これから勉強する若い世代の方たちは勉強するのが楽でいいなぁ~と思います。


こんな本が当時あったらどれだけ便利だったか思うことしきりで
近年ミックスの勉強を始める方は
情報が氾濫し過ぎて取捨選択に困るかもしれませんが、
良い本や情報と出会えれば有益に活用できますので、
私やそれより前の世代の方たちよりもずっと勉強が楽になっているのではないかと思います。


20年前はこういった本の内容は私が知る限り、
サンレコなどの雑誌にチョロチョロっと載っているくらいで、
あとはエンジニアの方や先輩に直接習うくらいしか方法がなかったけれど、
今は当時に比べて遙かに開かれています。


当時は勉強することそのものよりも、
情報を集めることの方が大変だったのですが、
今は逆で情報が多すぎて、
正しいもの、自分にあったものを選ぶのが難しくなってきています。



①ミックスにおける音像に明確なイメージを持つこと、
②そしてその具体化の手段を知ることの二段階が必要な過程ですが、
この学習過程を実例を山ほど出しつつ、エンジニアの意図を述べ、
段階的に教えてくれる内容になっているので、
少なくともお値段分の価値は間違いなくあります。


結局ミックスはケースバイケースなので、
実際の曲の中でどうするべきかは千差万別であり、
まさに其処こそが個性の発揮のし所なのですが、
其処に至る道としてはなかなか空間系について
まとめられた本は少ないと思うのでお勧めです。



作曲が専門でミックスはあまり得意でもないし、
将来エンジニアになりたいわけでもないけれど、
コンペにエントリーしたり、BGMを作るのにミックス技術が必要だから上手くなりたい…
でも空間系のエフェクトはあまり整理して勉強したことがない。
という方にお勧めできます。


此の一冊のみで空間系がすべて完璧になるとは言いませんが
一つの整理された書籍として、また一つのアプローチとして有益なので、
興味があれば本屋さんなどで覗いてみて下さい。


また本書でフリーソフトとして使われている
soundhackの+DELEYもお勧めです。

SoundHack Delay Trio


フリーウェアですが、非常に優秀である意味、
WAVESなどのシェアウェアではできないことも一台で出来たりする優れものです。


DLはこちら

PROTOOLS11はAAXのみなので使えませんが、
PROTOOLS10以前であればなんとRTASにも対応しています。


使っているうちに普段はWAVESなどのディレイを使っていたのですが、
おもいのほかこのディレイが優秀で、
フリーソフトではあるもののメインで使うディレイの仲間に入ってしまいました。


////////////////////////////////////////////////////////////


作曲・DTMの個人レッスンの生徒を募集しています。
このブログの書き主の自宅&skypeでマンツーマンレッスンをしています。
(専門学校での講師経験があります)
詳しくはこちらをどうぞ。


電子書籍ですが作曲・DTM関連の書籍も書いています。
宜しければどうぞ。

 
作曲基礎理論~専門学校のカリキュラムに基づいて~

(作曲の基礎理論を専門学校レベルで学べる本です)



パソコンで始める日本一簡単なDTM作曲本

(初心者向けの作曲導入本です)


DTMマスタリングのやり方

DTMミキシングのやり方

独学で作曲を学ばれている方にお勧めな勉強方法というか、
勉強として取り組んで非常に有意義であると思われる曲を
ご紹介したいと思います。


実際有意義かどうかは主観によりますが、
少なくとも私個人の場合は
ドビュッシーによって目が開かれました。

良くも悪くも私は極めて強烈な影響をドビュッシーから受けています。

クロード=アシル・ドビュッシー



作曲とは何か?作曲とはどのように行うかのか?という
作曲に対する非常に根本的な態度や
音楽を音楽として興味深く意義あるものにするための様々な創意工夫、
旋律とはなにか?という問題、
調性とハーモニーの拡張、隠されたリズムの使い方、
また音色という楽譜に記すことの出来ない要素への
向かい合い方などドビュッシーから学んだことは
枚挙に暇がないくらいです。


私にも先生がいるけれど、
私にとっての作曲の先生はドビュッシーと言っても過言ではなく、
そのほとんどは独学ではありますが、
一体どれだけドビュッシーから作品から音楽における
示唆を得たのかわからないほどです。


それがボーカル曲であれ、BGMであれ、
ドビュッシーから学んだことはもの凄く役立っており、
これから作曲を真剣に勉強していこうという方に対しても
とても価値あるものになるのはないかと思います。


ドビュッシーにはとてもたくさん曲がありますが、
最も示唆に富んでおり、また学習という見地から有意義だと思われる作品は
個人的には前奏曲集だと考えており、これをお勧めします。

これを1曲ずつ分析して勉強していくと
得られるものは計り知れないと思われます。


著作権も切れいているので、
楽譜は楽器屋さんで簡単に手に入りますし、IMSPLでもDL出来ます。


IMSPLの前奏曲集第1巻のページ
音源や楽譜をDL出来ます。

分析のやり方はいつもこのブログで書いてるのと同じで
上にコードネーム、下にディグリーとコードスケールを書き込みます。
(出来れば出身キーも)


第1曲 ディルフィーの舞姫の冒頭の分析例



スコアへの直リンクはこちら


曲そのものをご存じでない方はスコアをDして
一度聴いてみて下さい。


実際の分析ですが、分析例の画像の左上のように、まずは調判定をします。
ドビュッシーに限らずクラシックのスコアでは
調号とそのときの調が違うのはよくあることなので、
まずは調判定能力が必須になります。


調判定くらい余裕だという方は多いと思うのですが、
ドビュッシーに限らず何かの曲に取り組むときに
調を取るのに苦戦する方がいらっしゃるかもしれません。


特に借用和音や内部調が増えると「??」となってしまうかもしれませんが、
調号や臨時記号、大きく見た和声の流れ、
作曲者がどの音をどのように扱っているか?
そして作曲者の意図を読み取る力が必要になってきます。


十全に分析を行い、たくさんの収穫を得ようと思うなら
クラシックの和声の知識、ポピュラージャズの理論の知識、
どちらも役に立ちますし、またどちらも必要です。



調判定に続いて、コードを付けます。コードを付けるのは比較的簡単で、
冒頭であれば、下からシ♭、シ♭、ファ、シ♭、レ、ファと鳴っているので
Bbコードであることがわかります。

KEY-BbにおいてBbコードはディグリーⅠなので下にディグリーを書き、
さらに下にコードスケールと出身キーも書き込みます。
BbMはBbメジャーの略。CmmはCメロディックマイナーの略です。


こんな感じで最後まで進めていきます。
これとは別に全体の小節構造などを別途書き出すと良いでしょう。
構成の勉強にもなります。


これだけだと寂しいので、
少しだけこんな風に分析していくと良いですよ、
という一例をお見せします。


実際にはコードやコードスケールや出身キーを明確にしつつ、
気づいたことなどを片っ端から楽譜に書き込んでいきます。


まず最初にピアノで弾いて気がつくのは、
ピアノの音の配置が倍音列そのままになっているということです。

6倍音までを完全になぞったボイシングになっています。


これは彼のオーケスレーションでも同じことが言えますが、
明らかに意図的に倍音列に沿ったボイシングを行っています。

もっとも和音が美しく響く配置の一つですが、
このようにドビュッシーの曲にはボイシングそのものに
意図や特徴がある場合もあるので無視できない要素です。


彼のオーケストレーションをアナリーゼするのも良いでしょう。



次に和声(コード進行)を見ていきましょう。

1拍ごとの出身キーが全部違います。

KEYーBbメジャーですので、
最初のBbはディグリーⅠで、Bbアイオニアンなので普通ですが、
次のAm7-5がくせ者です。

Am7-5はディグリーⅦm7-5ですので、
普通にダイアトニックコードのように思われますが、
旋律でシのナチュラルの音が出てくるため、
純粋な意味でのKEYーBbメジャーと考えることが出来ません。


旋律はシ♭→シ→ド→ド#という半音階なので
Am7-5のシをただの半音階的経過音と解釈することが出来ますが、
そもそも半音が4つも並ぶキーは存在せず、
ドビュッシーが通常のメジャーキー、マイナーキーを脱しようとした結果の
旋律であると個人的には考えたいので、
これは単なる気まぐれな経過音として考えるべきではなく、
立派な和声を構成する一つの音をして捉えたいと思います。


そうなるとAm7-5の部分では「ラシドレミ♭ファソラ」という
ミだけが♭になるスケールが見いだされますが、
ミだけが♭になるキーは何でしょうか?


Cメロディックマイナーですね。
これがすぐに出てこない場合はメジャー&マイナーのスケールの練習が足りない
ということになってしまいます。


和声学ではコードスケールという概念はありませんが、
出身キーという概念があるのでⅤのⅤの和音のように書かれますが
これは「Ⅴ度のキーのディグリーⅤの和音」という意味であり、
コードスケールがない代わりに出身キーを明確にします。



これをバークリー系の書籍のようにペアレントと呼んでも構いません。
呼び方は何でも良く、大切なのは調性の揺らぎを明確に把握して、
そして自分で応用できるレベルになれるかどうかです。

これを行うためにコードスケールや出身キーを把握するはとても役に立つのです。


和声のように音の並びから出身キーを見いだすことも出来ますし、
ロクリアン#2スケールはメロディックマイナーの6番目のスケールという
ポピュラー理論も役立ちますので、
どのみちこのAm7-5はCメロディックマイナーキー出身の和音であることがわかります。


3つめのFaugですが、
これはaugのド#をレ♭と読み替えてオルタードの♭13thと考えることが出来ます。


画像ではホールトーンスケール出身と書いてありますが、
♭13thだけならミクソリディアン♭6thかもしれないし、
ほかにも可能性があるのでは?と思うかもしれません。


♭13thはホールトーンでもミクソリディアン♭6でも当てはまる。
ほかにもドミナント系で当てはまるスケールは存在します。



全くその通りでホールトーンスケールはドビュッシーが良く使うスケールなので、
一例としてそう書いてあるだけで、
この部分で使われているスケールを、
譜面にある情報だけで特定することは出来ず複数の可能性に
絞り込むまでしか出来ません。


実際の作品でスケールの音がすべて出揃っている例はむしろ稀ですが、
分析の中で前後の流れや読み取れる作曲者の意図、あるいは一般的な原則から
おそらくは〇〇ではないか?と自分なりに解釈するのもOKです。


ホールトーンスケールと解釈するなら出身キーは「なし」ですし、
ミクソリディアン♭6スケールと解釈するなら出身キーは
Bbメロディックマイナーとなります。
ミクソリディアン♭6スケールはメロディックマイナーの5番目からスタートです。


つまり調の流れとしては
①key-Bbメジャー

②key-Cメロディックマイナー

③key-Bbメロディックマイナーもしくはなし

という流れになります。

たった3つの和音の流れだけを見ても
ドビュッシーのオリジナリティーというか、
既存の調性から彼なりの方法で脱却しようという意図が明確に見られます。


和声をしっかり勉強なさった方は最後のFaugは
属和音の第5音の上方変位なのではないの?と思われるのではないかと思いますが、
もちろんその分析も正解で、
単なる変化和音の一種として処理してもOKです。


しかし個人的にはシンメトリックなホールトーンや
ディミニッシュスケールを除けば
「出身キーを明らかにする」という行為は
作曲への応用としては非常に有益な行為だと思われますので、
このように分析しています。


またこの場合はたった1拍で四分音符1つですので変化和音解釈もありですが、
もしこれが1小節丸々使われていて、
旋律が色々動いていたら、
コードスケール分析が必要になり、
それに応じて出身キーも明らかにする必要が出てきます。


実際にはそうしなければいけない場合も多く、
今回のケースのように1拍のみであれば変化和音の一言で片付けることも可能ですが、
様々な曲への応用を考えると、やはりコードスケールとしても分析でき、
なおかつ和声的にも分析出来るという両方の解釈ができるほうが
「作曲」という見地からは有効です。

なぜなら
①key-Bbメジャー

②key-Cメロディックマイナー

③key-Bbメロディックマイナーもしくはなし
というキーの流れを学習者が理論的に把握出来れば、
自分のオリジナルの曲でこのアイデアをそのまま応用して使えるからです。

この曲は3/4拍子で四分音符1つずつで上述の流れですが、
オリジナルの曲を作るときに4/4拍子で1小節ずつコードが変わる曲にすれば
おそらくほとんど方はドビュッシーの応用だとは気がつかないでしょう。


大切なのは作曲家が音楽における技法を
明確に的確に自分が応用できるレベルで把握できるかどうかであり
(この場合はハーモニーの揺らぎや調性の拡張)
分析の方法は、極論を言えば、どんなやり方でも構わないのです。


前奏曲集が出版されたのは1910年ですが、
比較的初期の頃に書かれた弦楽四重奏や牧神と違って、
ドビュッシーのエッセンスが詰め込まれた内容となっており、
たった1小節だけでもなかなか面白いな、とは感じないでしょうか?


とくに将来BGM系のサウンドクリエイターを目指してらっしゃる方にとっては
非常に有益な勉強になると思います。


レッスンでもよくドビュッシーは取り上げていますが、
実際には割と高度な部分になってくると思いますので、
「書いてあることがドウもさっぱりわからん…」とか
「ある程度はわかるけれど、わからない部分もある…」という方は
より基礎的な内容をしっかり勉強すると良いと思います。


結局は何をやるにしても基礎が必要になるのは
音楽に限ったことはありませんが、
少なくともポピュラーの理論習得が終わっていないと
ドビュッシーは難しいかもしれません。
(出来れば和声も)


実際に勉強を進めるには誰のどんな本で勉強しても構わないし、
どんな方法で分析しても構いません。


結局は自分自身がより高いレベルで作曲できるようになれれば
それで良いわけで自分なりに一番良いと思った方法で勉強を進めてみてください。


私の場合はドビュッシーから多大な示唆を受けたというだけであって、
別の人は別の作曲家から同じものを受けるかもしれません。


一人ひとりの今現在の到達しているレベルや
精神構造、作曲家としての素養が違えば、
「何を」「どう受けとるか」は変わってくるのが当然ですが、
現代においてBGMや歌ものなどの作曲を学ぶ上で
ドビュッシーは非常にためなるので、
お勧めできる作曲家の一人であるということが言いたいわけです。


興味がある方は是非取り組んで見て下さい。


////////////////////////////////////////////////////////////


作曲・DTMの個人レッスンの生徒を募集しています。
このブログの書き主の自宅&skypeでマンツーマンレッスンをしています。
(専門学校での講師経験があります)
詳しくはこちらをどうぞ。


電子書籍ですが作曲・DTM関連の書籍も書いています。
宜しければどうぞ。

DTMマスタリングのやり方


DTMミキシングのやり方

 

作曲基礎理論~専門学校のカリキュラムに基づいて~

(作曲の基礎理論を専門学校レベルで学べる本です)



パソコンで始める日本一簡単なDTM作曲本

(初心者向けの作曲導入本です)




独学で作曲を学ばれる方へ、
色々なジャンルと雰囲気の曲を作る練習の方法を
ご紹介したいと思います。

基本的には前回の基本理論の続きのような内容です。


最初は「①ジャンル」と「②雰囲気」を別に考えていくと良いと思いますが、
方法と言っても特別なやり方があるわけではなく、
基本的には地道な勉強になります。


例えばロックというジャンルを作れるようになりたいとしましょう。
既にある程度出来る方も出来ない方も色々な方がいると思いますが、
成り立ちから現代最先端のロックまで
一通りのスタイルを網羅するだけでも結構大変です。


【ジャンル別の勉強方法】

①歴史的な成り立ちや有名なアーティストや曲を知る。
まずはロックの大ざっぱな成り立ちや歴史について調べます。
いつ頃、どんな理由で、どうやってその音楽が生まれたのか?
どんな有名な曲があるのか?どんなアーティストがいるのか?
などは実際の作曲と関係がないと思う方もいるかもしれませんが、
深く広くその音楽を理解しようと思うと、
どうしてもこういった内容を無視出来なくなります。


ロックであれば、発生から現代に至るまでおおよそ60年くらいですので、
初期のロックンロール(あるいはそれ以前)の部分から
現代に至るまで自分で年表を作るのも良いと思います。

有名なバンド、アーティスト、曲などを知ることからスタートです。
各スタイルに取り組むことになったときも
有名な曲のリフやバッキング、あるいはアーティストのプレイスタイルは
大いに参考になります。

ロックの歴史


②1つ1つのジャンルのスタイルに取り組む。
そして1つ1つのジャンルのスタイル、
例えば「ロックンロール」「ヘヴィメタル」「パンク」などの
音楽的な特徴を分析します。

一口にロックというジャンルでも、
チャック・ベリーやプレスリ-のロックンロールと
現代のマリリン・マンソンやリンキンパークから聞えてくる音は
同じロックというジャンルに括っていいのかと思えるほどスタイルはまるで違います。

1つ1つの音楽的な特徴、
具体的にはコード進行やギター、ベース、ドラムなどのアレンジの手法、
各楽器の音色作り、ミックスのやり方などです。


基本的には各楽曲の音源とバンドスコアの分析し、
自分でもそのスタイルで作るという勉強方法になります。


楽器屋さんで売っている教則本なども非常に参考になります。
特にアーティスト別、スタイル別に焦点を当てている本も
世の中にはたくさんありますので、
そのとき自分が知りたいこと「ロックロール」「ハードロック」「ヘヴィメタル」「スラッシュ」
「パンク」「サイケ」「グランジ」etc…
これらに付いての資料があった方が助かるという方は
ネットや楽器で探してみましょう。


きっとたくさん揃うはずです。


そうして例えばロックンロールなら
何か1曲モデルを決めて自分でも分析で得た知識を活かして
見よう見真似でとにかくたくさん作っていきます。


そのようにして1曲1曲出来ないことを少しずつなくしていきます。


これと同じことをジャズやクラシックや民族音楽や電子音楽でも行います。



③汎用アレンジについて
具体的なジャンル作りの前にそもそもギターやドラムに関して
基本的な知識を持ち合わせていない方は
おそらくいきなり分析するのは難しいでしょう。


バンド系の音楽をやってらっしゃる方はギター、ベース、ドラムなどに
ある程度知識をお持ちの方が多いですし、
クラシックをやってきた方はピアノやヴァイオリンやクラリネット、
あるいはオーケストラに関する内容が得意だったりします。


また電子音楽が得意な方は
シンセの音作りやリズムマシンに強い方もいらっしゃいます。


このあたりは個人よって千差万別ですが、
具体的な曲作りの前に
ギター、ベース、ドラムなどの基礎を勉強する必要が人によっては
あるかもしれません。

例えばギターであればエレキギターの入門書的な本から勉強するか
誰かからギターレッスンなどを受けるなどして
各楽器に関する知識・技術を習得していきます。


何もプロのギタリスト並に上手く弾けるようになる必要はなく、
アレンジするのに困らないだけの基礎知識があれば
「とりあえずは」OKなので、
自分が全く触れたことのない楽器は
機会があればなるべく触れてみるのが得策です。


クラシックなら最低限ピアノを始めとして弦楽器、管楽器、打楽器などの
いわゆる管弦楽法(オーケストレーション)の知識が必要になります。
(和声法や対位法も)


電子音楽ならシンセサイザーやリズムマシンの音作りに関する知識が
必要になりますが、
誰しも自分が普段取り組まないジャンルに関しては弱いものなので、
だからこその練習・勉強となるわけです。


既に持っている自分の強みをさらに伸ばすのか?
それとも自分の弱点を補強するのか?は
自分を最終的にどういう音楽家にしたいのかという指針によって
変わってくると思います。


先生や自分が目指しているスタイルを既に体現している人に
アドバイスをもらうのも良いでしょう。



簡単にまとめると①~③のように勉強しつつ、
自分の技術の幅を広げていきます。

言葉にすれば短いですが、
実際にやってみるととても大変かもしれません。
かなり膨大な量です。


とりあえず音楽ジャンルとして
「こういうの作ったことないな~」というのを
1つでも減らしていくのが目標です。


慣れてくるとやったことがないジャンルでも
簡単に真似て作れるようになります。



【雰囲気別の勉強方法】

雰囲気別の勉強方法はとても簡単です。
なぜならこれを十全に習得し、また勉強を進めていく上では
理論的な音楽の理解とジャンルの習得が伴っていないと
まともに進めていくことが出来ないからです。


音楽理論もばっちり習得(前回の牧神が分析できるくらい)、
ジャンル別作曲方もポップス、ロック、ジャズ、フュージョン、電子音楽、
民族音楽、クラシックetc…何でも作れることができるならば
あとは雰囲気別の作曲法は分析と作曲の
経験を積む問題になってきます。


一口にロックと言ってもロックンロール、ハードロック、ヘヴィメタル、パンク、etc…
ジャズもディキシーランドやニューオーリンズジャズ、スウィング、バップ、モード、フリー、etc…
クラシックもバロック、古典、ロマン、近代、現代、etc…
電子音楽もハウス、テクノ、トランス、ユーロビ-ト、ブレイクビーツ、ダブ、etc…
民族音楽もケルト、雅楽、ガムラン、ボサノバ、サンバ、フォルクローレ、ハワイアン、etc…
まだまだありますが、こういった書き切れないくらいたくさんのジャンルを習得してきた方は
既にたくさんの経験を持っていますので
基本的な勉強は既に終わっているはずです。


というよりは基本的な勉強が終わっていないと出来ないはずです。
私が昔書いた作曲基礎理論の本の内容くらいは
最低限終わっていないと少々苦しいかもしれません。


雰囲気別の勉強は実際の楽曲を分析して
「〇〇な雰囲気」を出すために実際の楽曲で
どのようなテクニックが使われているのかを分析し、
分析が終わったら、それで得た知識を活かしてどんどん作っていきます。


「感動的な雰囲気」「コミカルな雰囲気」「夕方っぽい雰囲気」
「戦闘っぽい雰囲気」「悲しい雰囲気」「楽しそうな雰囲気」etc…
こちらも例を挙げたら切りがありません。


具体的には自分の好きなゲーム、アニメ、映画なんでも構わないので
何かサントラを用意して、
自分がそのサントラを担当したつもりで
丸々作品1つ分の音楽を作ってみましょう。


ある意味実際の仕事の疑似体験なので、
とても有益な訓練になります。


もちろん分析しながらなので、
オリジナリティーの追求というよりは技術習得の意味合いが強いです。


実際にやっていく中では上手く作れなかったり、
真似出来ないものも出てくるでしょう。

そんなときは基礎理論かジャンル別の勉強に戻ります。
誰かにアドバイスをもらうのも良いかもしれません。


そもそも「クラシックの現代音楽って何?」という方が
何かのサントラでウェーベルンのような現代音楽を聴いて、
聴いただけでいきなり作るというのは難易度が高いです。


ですので実際には基礎理論やジャンル別を行ったり来たりしながら
勉強を進めていくことになりますが、
とにかくサントラを聴きまくり、
自分が作ったことのない雰囲気を持ったBGMがあったら
どんどん挑戦していきます。
ボーカル曲でも全く同じです。


ジャンル別もそうですが、雰囲気別も千変万化で色々ありますので、
全部網羅するのは難しいですが、
やはりこれもやったことのないことを一つでも減らすのが目標です。


毎日続ければそのうち終わりが見えてくるので、 独学で作曲を学ばれている方は、 一つの方法論として取り入れて見て下さい。

書いてあることは当たり前のようなことばかりですが、
逆に言えば作曲に近道はないということでもあります。

頑張れば頑張った分だけ自分の財産になりますので、
地道に勉強や練習を続けて下さい。

いざという時に役に立つのは付け焼き刃ではなく
体に染みついた技術だけです。


////////////////////////////////////////////////////////////


作曲・DTMの個人レッスンの生徒を募集しています。
このブログの書き主の自宅&skypeでマンツーマンレッスンをしています。
(専門学校での講師経験があります)
詳しくはこちらをどうぞ。

電子書籍ですが作曲・DTM関連の書籍も書いています。
宜しければどうぞ。


 作曲基礎理論~専門学校のカリキュラムに基づいて~
(作曲の基礎理論を専門学校レベルで学べる本です)


パソコンで始める日本一簡単なDTM作曲本
(初心者向けの作曲の本です)

DTMマスタリングのやり方

DTMミキシングのやり方





レッスンではポピュラー理論や和声楽や対位法、
クラシックのアーリーミュージックから近現代の作曲法や
ポップス、ロック、ジャズ、フュージョン、テクノ、民族音楽、
アニソンやバンド曲あるいはボカロ曲の作り方や、ミキシング、マスタリング、
果ては映画音楽やゲームミュージックの分析に至るまで色々なことをやっていますが、
独学で作曲を勉強なさっている方のために、
ここまで出来たらちゃんと「基礎」の勉強が出来ているという目安を
出して差し上げたいと思います。


私のレッスンで「これが出来たらポピュラー・ジャズ理論(基本理論)が
十分理解出来てる」という理論習得のテストで使っているのが、
ドビュッシーの牧神の午後への前奏曲のピアノアレンジ版です。



ドビュッシーの牧神の午後への前奏曲のピアノアレンジ版
横山 幸雄編



なぜポピュラー・ジャズ理論(基本理論)なのに、
クラシックの曲なんだ?と思われるかもしれませんが、
理由は簡単で副属7や裏コード、sus4やモードや転調など
ポピュラー・ジャズ理論で学ぶ基本的な知識の詰め合わせとして
適切な難易度の楽曲だからです。


クラシックの曲ではありますが、
ポピュラーと同じようにコードネームやディグリー、
コードスケールをつけることが出来ますので、
この曲が難なく分析出来るのであれば、
ボーカル曲の作曲と分析で理論的に困ることはなくなるはずです。


実際には流行のアニソンやバンド曲、ゲームや映画音楽の分析なども
レッスンでやっていますが、
1曲のみで理解度を測るというのであれば、
この曲が非常に適切だと思います。


ここで「何処までを基本理論と呼んでいいのか?」と問題が起こりますが、
一応私が昔書いた「作曲基礎理論」という本に載っている内容を
基礎と仮定しましょう。
(基礎の範疇は人それぞれです)


Chapter 24の「長調・短調を脱した作曲法」は
モードや移調の限られた旋法、12音技法や神秘和音etc…など
これって基礎か?と思える比較的高度な内容がありますが(BGM制作で使います)、
詳しい応用を説いているのではなく、
あくまで分析やBGM系の作曲で必要になる基礎レベルに過ぎないので
作曲の土台という意味では一応の基礎と考えています。



移調の限られた旋法、12音技法がポピュラーのボーカル曲で
登場することはほぼないと思いので、
コンペなどのボーカル曲のみが志望でBGM系のお仕事は範囲外という方は
これらは理解出来なくても何の問題もないと思います。



実際にどうやるかというとまず楽譜の入手ですが、
私が使っている横山 幸雄編の牧神のピアノアレンジ版は
どうも絶版になっているのかネットで検索しても出てきません。


IMSPLのここからDLしてもいいかもしれませんが、
以前ある生徒さんがIMSPLからDLした楽譜で分析していたら
普通に音が間違っている部分があったので、
正直IMSPLに上がっているスコアはいまいち信用出来なかったりします。



しかし無料で手に入る著作権フリーの楽譜なので、
手っ取り早く手に入れるならとても便利です。


実際の分析のお手本。


実際の分析は上の画像のように
五線譜の上のコードネーム、下にディグリーとコードスケール、
出来れば出身キーも書き込んでいきます。


大切なのは調判定で、その部分が一体なんのキーなのかが
ちゃんと取れない生徒さんが結構いますので、
しっかり調判定できるようにしましょう。


まずはコード進行の面白さ、高度さだけでも理解出来たらOKで、
余裕があれば作曲技法的な面に目を向けるのもありです。


この曲は変奏曲+3部形式のような非常に変則的な形式であり、
主題展開の多彩さやオーケストレーションにも語るべきところに
枚挙に暇がありませんが、
「調判定」「コードネーム」「ディグリー」「コードスケール」「出身キー」だけ
ちゃんと理解出来れば
「これが出来たらポピュラー・ジャズ理論(基本理論)が十分理解出来てる」
ということになると思いますので、
独学で頑張っていらっしゃる若い作曲家の卵さんたちは頑張ってみて下さい。


今までレッスンをしてきた中で最年少で高校生の子が
牧神の分析を何なく出来ていましたので、
やろうと思えば誰にでも可能なはずです。



これが出来ればポピュラーの歌ものやゲームBGM作りの
技術の幅の広さはかなり広がっているというか、
一応職業として成り立つレベルの音楽の理解度(理論だけですが)となりますので、
このあたりを目安に理論の勉強はしていけばいいのではないでしょうか?



ここで述べていることはあくまで私個人の独断と偏見に満ちた主観ですが、
「基礎の習得」という目安は人それぞれであり、
現実にはこれよりも遙かに低いレベルでも基礎の習得が出来ていると
考える方もいらっしゃいます。



それはそれで全然ありだと思いますし、
自分がやろうとしてる音楽の方向性によって
求められる知識・技術は変わってきます。


DJ志望の方とコンペの歌もの作曲家志望の方と
BGMでオールジャンル作れる作曲家志望の方は
それぞれ必要となる知識と技術の内容とその分量は違うので、
最終的には作曲を続ける中で
「自分が困らなければ何でも良い」という状態を目指すのが目標です。


言葉にするのは簡単ですが、
なかなか簡単にできることではなく、
この基本理論習得のテストである牧神の分析一つとっても
実際多くの方にはとっては難しいのではないかと思われます。


独学で作曲を頑張っている方にはおおざっぱに
「なるほど、これが分析出来たら作曲の基礎理論はOKなのか」と
誰かが言っていたと思って頂き、
出来ない方はここを目標に頑張ってみて下さい。


ゴールがあれば、音楽の何を何処までやったら一応の目処が立つのか
わかりやすいと思うので、
分析していてわからない部分が出てきたら
市販の理論書などを紐解いて自分の理解度が足りていない部分を
どんどん埋めていきましょう。



さて、ここまでが基礎です。


「牧神のスコア見たけど、難しい…」という風に
感じた方がいらっしゃるかもしれませんが、
あくまでここまで述べたことは基礎に過ぎません。


基礎は何よりも重要である意味、
応用的なテクニックよりは遙かに重みがあるのですが、
それでもやはり基礎は基礎です。


大切なのはここから先で、
実際の曲をたくさん分析して、
自分でも分析で得た知識を活用し、
たくさんの曲を書いていきます。



それって基礎とどう違うの?と思うかもしれませんが、
例えば「ポップス」「ロック」「ジャズ」「フュージョン」「電子音楽」
「民族音楽」「クラシック」などのジャンル別作曲法は
副属7やSDMがわかるだけでは作ることは当然出来ません。


ギターやドラムなどのアレンジに習熟しなければいけませんし、
ジャンル別作曲法に取り組みたい方は
勉強すること目白押しです。


さらにBGM系やコンペなどのボーカル曲を作るかたは
単なるジャンルを飛び越えて「雰囲気別」の作曲技法も
習得していく必要があります。


例えば「感動的なシーン」とか「カッコいい感じ」とか「夕方っぽい感じ」とか
「重々しく暗い雰囲気」「ホラーっぽい」「戦闘曲っぽい」
「遊園地みたいな感じ」などこういったことは
基礎でもなければジャンルでもありません。



実際には依頼に基づいて、
あるいは自分が作りたいものに基づいて作曲していくわけですが、
こういった「雰囲気別」の作曲技法も重要です。


レッスンでは基礎がある程度終わった方には
任意でこれに取り組んで頂いてますが、
これが基礎の土台がある上で
実際の作曲で必要になる能力となります。



BGMと歌物とクラシックジャズで何曲かずつ例を挙げてみましょう。







例えば流行のアニソンがあったとします。
コンペや依頼制作というのはリファレンスがある場合がほとんどですが、
上の曲を聴いて一言で言うなら「同じような雰囲気を作れますか?」ということです。


コード進行などの基礎はもちろん、ジャンル別の技術習得も重要ですが、
それ以上にどうやったら「こういう感じになるのか」がわからないと
実際の作曲ではかなり手間取るはずです。


コード進行やリズムの特徴、
ギターやベースやドラムなどのアレンジのされ方、
ボーカルのメロディーラインの作られ方、
ミックスの仕上げ方の方向性etc…。


即座に分析し、自分のテクニックとして吸収し、応用する力が必要になります。


こういった技術は千差万別で個性に繋がっていく部分ですが、
ある程度依頼や趣旨に基づいて作る力が求められる場合がほとんどです。


BGMも見てみましょう。





この曲を聴いてやはり「同じような雰囲気を作れますか?」というのが
ポイントなります。

曲そのものは古いのですが、それは音源の問題であり
作曲技法的には今も昔も変わらないので、
現代のVienna Instrumentなどの楽器に差し替えれば
そのまま現代のゲーム音楽で通用します。


長調とも短調とも取りにくい、
何とも言えない不思議なBGMと
破滅的な暗さを持ったBGMですね。



分析してみるとなかなか興味深い技法が使われているので
是非やってみて欲しいのですが、
色々な雰囲気別の作曲技法は
基礎やジャンル習得の土台の上に存在します。


実際にレッスンでやっていると
生徒さんが苦戦するのはこのあたりです。


次はジャズです。


どうでしょうか。作れるでしょうか?

これはビバップスタイルですが
一口にジャズといっても 様々なスタイルが存在し、
さらに一つのスタイルの中でも 色々な雰囲気を持った曲が存在します。

ロックや民族音楽なども同様です。



クラシックはせっかくですから牧神と 古典和声の権化とも言えるモーツァルトにしましょう。




端的に言うならドビュッシーやモーツァルトの和声法、作曲技法を理解し応用できますか?
ということになります。

バッハやハイドン、ベートーヴェンやショパン、シューマンやブラームス、
ラヴェルやシェーンベルク、メシアン、スクリャービンも同様です。


もちろん完全にある一人の作曲家(例えばドビュッシー)を理解するのは難しくても
なんとなくそれっぽい曲を作れるか?がポイントです。



特に依頼制作、もっというならBGM系がまさにそうですが、
「なんとなくそれっぽい曲」を作れるかどうかが
作曲する上での最大のポイントとなります。


これが出来るようになるには色々なアプローチがあり、
耳コピだけを頼りに努力で出来るようになった人もいますし、
地道にコツコツ勉強して出来るようになった人もいます。



聴くだけで出来るようになる人は
どちらかというと天才肌のタイプで
そういう方は勉強の必要はないのでしょうが、
勉強していくのであれば
①基礎理論(牧神が分析出来たらOK)、
②ジャンル別作曲法(色々なジャンル)、
③雰囲気別作曲法(色々な雰囲気)

の3段で勉強を進めていくと良いと思います。



実際の勉強では①から③を進んだり戻ったりを繰り返しつつ
進めていくことになりますが、
概ねこんな感じで勉強を進めていくと良いのではないでしょうか。
(あくまで私からの提案ですが…)


これらに加えて、自分で2mixの完成まで持っていこうとすると
ある程度はミックスやマスタリングの勉強もしなければならないので
勉強することがたくさんあって大変だと思いますが、
どうか頑張って下さい。


年単位の勉強量ですが、
やってやれないことではありません。

続きはこちら


////////////////////////////////////////////////////////////


作曲・DTMの個人レッスンの生徒を募集しています。
このブログの書き主の自宅&skypeでマンツーマンレッスンをしています。
(専門学校での講師経験があります)
詳しくはこちらをどうぞ。


電子書籍ですが作曲・DTM関連の書籍も書いています。
宜しければどうぞ。

DTMマスタリングのやり方


DTMミキシングのやり方

 

作曲基礎理論~専門学校のカリキュラムに基づいて~

(作曲の基礎理論を専門学校レベルで学べる本です)



独学で作曲を学ばれる方へお勧めの
ジャズ・ビックバンド編曲本として
「ビックバンドジャズ編曲法」をご紹介します。



独学で学ばれる方にとって
ジャズのビックバンドを書くための本は意外に少なく、
既にこのブログでも過去記事で紹介していますが、
これらよりももうちょっとライトで取っつきやすいのがこの本です。
(値段もそんなに高くないです)


CD付きではなく、実例としての総譜は最後に4ページあるだけで、
基本的には楽器とその用法の基礎知識とボイシングに
終始しています。


値段相応とも言えますが
むしろ逆に内容を適切に絞った感じで独学で学ばれる方で
「ラージジャズアンサンブルのアレンジ」
「スモール&ミディアムアンサンブルのための モダンジャズヴォイシング 」
に比べると著者が日本人というのもあって読みやすいです。



普通に読み進めて、譜例をDAWに入力するなどすれば
楽器の音域などのことも含めて
ビックバンドの基礎を学ぶことが出来ますし、
従来のコードトーンへのアプローチだけではなく、
テンションに対するアプローチの仕方なども
示唆に富んでいるので十分に実践的と感じています。


この手の本は種類自体がすくないので、
ビックバンドを書けるようになりたいけれど、
まだ手つかずの方にはお勧めです。



////////////////////////////////////////////////////////////

初心者の方用の作曲本と
ミキシングとマスタリングの本を書きました。

電子書籍ですが宜しければどうぞ。


DTMマスタリングのやり方


DTMミキシングのやり方。


【パソコンで始める日本一簡単なDTM作曲本】 

販売ページへのリンクです。




名曲で学ぶ和声法という本を
近所の楽器屋で見かけたので
前回の名曲で学ぶ対位法の記事同様に
レッスンで使えそうな譜例目当てで買ってみた。


和声のレッスンをするときに
有名な「和声-理論と実習」を使って進めているのだが、
この本はレッスンをする際に手間を取られる「実際の作品での譜例」と
「ロマン派の和声法」を比較的簡便に述べているので、
独習者の方にもお勧めできる。


またあまり小難しく述べていないのも
学習者にとって親切なのではなかと思う。


実際にレッスンするときに感じる
「和声-理論と実習」の難点は、
とても良い本だと思うのだけれど、
大体以下のものが挙げられる。



・用語・説明が難解
もちろんある程度は仕方ないにしても
「何もこんな難しい書き方しなくても…」と思うことがある。
特に青本は独学の方は挫けてしまいかも…と思うくらい難解な説明がある。


・禁則がなぜ禁則なのか書いてない
例えばなぜ属7の和音の以外の7の和音は予備が必要なのか?などの説明が一切ない。
ただ駄目の一言で本の中では終わっているので、
意味もわからず独学の方は鵜呑みにするしかないが、
そうすると何のためにこんなことするかよくわからないまま
結局身に付かないことが多い。


・実際の作品での譜例がない
譜例はレッスンの時に私が用意したり、
実際の作品を分析したりするときに用意するが、
譜例は学習者にとってはあったほうが親切だと思われる。


・最後の方まで進まないとロマン派の和声法が説明できない。
これが一番難点なのだが、かなり最後の方まで進まないと
内容が古典和声の一部に限定されており、
学習者が実際の作品を分析するときに多くの疑義、齟齬が発生する。

例えばⅢの和音は青本の最後の方にならないと出てこないし、
Ⅰ7、Ⅵ7や偶成和音、Ⅵの一転などロマン派の作品のみならず、
古典派の作品でも当たり前のように使われるような音使いが、
かなり最後の方まで進まないと説明できない内容になっている。


大体上記の点が難点だったのだが、
受験目的なら別として作曲するために和声を習得したいなら、
今回の名曲で学ぶ和声法の方がはるかに親切だと思えてくる。


一言で言うと「実際の作品の和声法」と「和声-理論と実習の和声」は
狙いがズレており、
純粋に自分の作品を作るために和声を勉強したい、役立てたい、
またはバロックからロマン派までの音楽の勉強を
効率的に進めたいという内容を和声-理論と実習は求めていない気がする。


試験で採点しやすくするためとか、
考え方を簡単にするために実際の作品にあるような和声法を除外していたりとか、
ちょっとそういうところがあったりする。


多分この辺りは世の中の先生が独自でフォローなさったり、
生徒自身が実際の作品を分析していく中で矛盾点に気が付いたり、
そんな感じでみんな勉強を進めてきたのだと思う。
(私自身もそうだった)


例えばⅢやⅥ、あるいはその転回形や偶成和音といった用法は
多くの作曲家の作品に当たり前に出てくるが、
名曲で学ぶ和声法だと比較的最初の方に出てくるので、
さっさと実際の作品の和声法を理解できるようになるのは
学習者にとっては嬉しいことなのではないかと思う。



個人的には和声法は対位法と同じで訓練的な側面があると感じており、
「連続五度は~」とか「属9の和音の時に9音は~」などの
ルールをただ丸暗記することにはあまり意味がない。


自分でバス課題やソプラノ課題を軽々と解けるようになり、
実際の作品を分析できるようになるには
相当な訓練が必要だが、
それは理論的な内容を暗記しても出来るようにはならない。


筋トレの本を買って効率的な腕立てや腹筋、スクワットのやり方を
本で勉強してもそれだけでは筋肉は付かない。


筋肉を付けたければ実際に自分で汗水垂らして
体を動かさなければならない。


作曲において「理論」と「実践」は全く別物、別問題なのだ。



和声-理論と実習ではそういったストイックな訓練を求めるなら
かなり良い練習になると思う。
単純に和声を把握する力、譜面を読む力、楽譜を書く力、
声部を美しくする力、etc…などは課題をひたすら解いて、
出来れば先生に添削をしてもらうことで身についていく。


しかし、実際の作品に多く触れて、
それらの和声法を理解し、
自分でもそれらを活かした曲作りが出来るようになるためには
和声-理論と実習のみやっていれば足りるということは
大変申し訳ないながら難しいので、
名曲で学ぶ和声法はその辺りを上手くカバーした良書だと思う。


ただ訓練的な側面を行わないと和声学の勉強はあまり意味がないので、
実際に独学で勉強するならやはりたくさんの課題を解いて、
自己批判を行えるかどうかがポイントになる。


和声学の習得のゴール?なんてものはないのかもしれないが、
少なくとも「○○っぽい曲」が作れるか?ということと、
「○○の曲を見てその和声を理解し、自分で応用できるか?」ということが
1つのゴールだと思う。


○○の中には過去の大家たちの名前が入るが、
例えばバッハっぽい曲、モーツァルトっぽい曲、ベートーヴェンっぽい曲、
ショパンっぽい曲、シューマンっぽい曲、ドビュッシーっぽい曲、
ラヴェルっぽい曲、スクリャービンっぽい曲、シェーンベルクっぽい曲etc…
を作って?と言われて
「いいよー。はい、出来たよ」と実際に作れるようになるのが一つの
通過点だと思う。


また彼らの作品を見て「なぜここでこの和音が使えるの?」とか
「どうしてここで#が付くの?」などわからないことがなくなり、
ちゃんと理解できて、さらに自分の作品に応用できるようになる必要もある。


ここまででも初心者の方には大変に思えるかもしれないが、
ここまで出来れば座学としての和声学はひと段落だと思う。



あとはそれらを適宜に活かして自分の作品作りに没頭すべきであり、
もし叶うなら自分なりの和声語法を探求するべきだ。


そういったことを目的に独学で作曲の勉強を進めていく上で
名曲で学ぶ和声法は今までにあまりないタイプの親切な本なので
僭越ながら感想を書かせて頂いた。



もちろんこの本でカバーしているのはロマン派までであり、
調性の枠を出てはいないが、
これから勉強したい、あるいは赤本、黄本、青本は難しい…と
頓挫してらっしゃる方には一見の価値があると思う。

////////////////////////////////////////////////////////////

作曲・DTMの個人レッスンの生徒を募集しています。
このブログの書き主の自宅&skypeでマンツーマンレッスンをしています。
(専門学校での講師経験があります)
詳しくはこちらをどうぞ。


電子書籍ですが作曲・DTM関連の書籍も書いています。
宜しければどうぞ。

DTMマスタリングのやり方


DTMミキシングのやり方

 

作曲基礎理論~専門学校のカリキュラムに基づいて~

(作曲の基礎理論を専門学校レベルで学べる本です)




パソコンで始める日本一簡単なDTM作曲本

(初心者向けの作曲導入本です)




前回の記事での独学での対位法学習にお勧め本は
訓練に主眼を置いた本だったが、
今回のお勧めは実際の対位法の譜例がたくさん載っている本で
実際の曲中でどのように対位法が応用されているのかを知りたいという
方に紹介したい。


最近楽器屋さんでよく見かける「名曲で学ぶ対位法: 書法から作編曲まで」という
本なのだがレッスンのネタにならないかと思い購入してみた。
(譜例の資料を自作するのが大変なので、譜例目当てで)


名曲で学ぶ対位法: 書法から作編曲まで


訓練的な内容も一応書かれているのだが、
どちらかというと主に古典からロマンまでの作曲家が
実際の作品の中でどのように対位法を応用してきたか?を
譜例を持って紹介しつつ、技術を習得(紹介?)していくタイプの本なので、
実際の作品の中でどう使われているのか?という
対位法の具体例が欲しい方にはお勧めだ。


前回の記事で紹介したような訓練主体の教科書と組み合わせて使うと
良いかもしれない。


バッハ以前の16世紀の対位法(パレストリーナなど)には
ほとんど触れておらず、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューマン、
ショパン、フランク、ワーグナー、チャイコフスキー、ブルックナーなど
バロックからロマンにかけての譜例が豊富であり、
ページ数もそれほど多くないので読みやすい。


これだけで対位法を身に付けるのは難しいだろうが、
対位法に対する導入としては豊富な譜例を掲載した面白い本なので
お勧めできる。


実例を見て、対位法を編曲に移す資料としても有効かもしれない。



////////////////////////////////////////////////////////////

作曲・DTMの個人レッスンの生徒を募集しています。
このブログの書き主の自宅&skypeでマンツーマンレッスンをしています。
(専門学校での講師経験があります)
詳しくはこちらをどうぞ。


電子書籍ですが作曲・DTM関連の書籍も書いています。
宜しければどうぞ。

DTMマスタリングのやり方


DTMミキシングのやり方

 

作曲基礎理論~専門学校のカリキュラムに基づいて~
(作曲の基礎理論を専門学校レベルで学べる本です)



パソコンで始める日本一簡単なDTM作曲本
(初心者向けの作曲導入本です)