自分の趣味の音楽やBGMを作る上で音楽の形式はとても大切な問題ですが、明確で、均整の取れた、合理的な形式と構成の正反対に位置するレチタティーヴォを取り上げてみたいと思います。

 

 

レチタティーヴォはいわゆる形式とは正反対の無形式の音楽であり、オペラでお話を進行させるための独白(モノローグ)部分で使われるのがもっとも一般的な用法です。

 

 

レチタティーヴォというと基本はオペラですが、私個人としてはベートーヴェンの第9番の4楽章の冒頭のレチタティーヴォが印象的です。

 

 

 

フルトヴェングラー ベートーヴェン 《歓喜の歌》

 

 

台詞はベートーヴェン音楽ノートに本人の楽譜の上に書き込みがあるのでそれを参考にしています。青文字がベートーヴェンの書き込みです。

 

 

①まず最初に暗い序曲(ニ短調)

 

 

 

 

「いや、これは私たちの絶望を思い起こさせる」

コントラバスとチェロがレチタティーヴォの台詞担当みたいになっています。

 

 

③もう一度序曲、今度は属和音化される

 

 

「今日はめでたい日だ。この日を歌で歌おう!そして…」ニ短調へ転調

 

 

⑤第1楽章の主題

 

 

「いや、これではない。これとは違う好ましいものが私の求めているものだ」途中でイ短調のⅡの和音へ変わって転調

 

 

⑦第2楽章のスケルツォ主題

 

「これでもない、良くなっていない、違った、ただもっと明るいものを。」

ロマンロランは「これでもない、道化に過ぎぬ、違った、ただもっと明るいものを、美しいものを」と訳しています。

 

 

⑨第3楽章のアダージョ主題

 

「これも優し過ぎる。……のような【快活なもの?】を探さなければならない。私は君たちに…(人)声部のところを自分で歌って聞かせよう。私のあとに…」

 

 

⑪歓喜の歌の主題の冒頭が登場

 

 

「これこそそうだ、見つかった歓喜。我らに不滅のシラーの歌を歌わしめよ」

 

 

⑭ここから歓喜の歌の主題が導入されてチェロ+コントラバスから徐々に盛り上がっていく。

 

 

 

…という風に歓喜の歌を導入するための方法として、1楽章、2楽章、3楽章のそれぞれのテーマを一度出しては否定し、最後に歓喜の歌を出して肯定するという方法が取られています。

 

 

「チェロ+コントラバス」と「それを除く管弦楽」の対話のようになっていますが、レチタティーヴォは本来オペラなどでお話の進行のモノローグのようにあまり厳格でないテンポで自由に歌われるものなのにベートーヴェンは「Selon le Caractère d'un Recitatif, mais in tempo」とこのレチタティーヴォは厳格な速度でテンポ通りにやってくれと楽譜にわざわざ書き込んでいます。

 

 


1825年のロンドンで第9の初演を担当した指揮者のジョージ・トーマス・スマートがこの部分に関して「テンポ通りと言いますが、それではレチタティーヴォでなくなっちゃいますよ?」的なことをベートーヴェンに質問したら、ベートーヴェンは「そういうことを言うヤツもいる」と答えたそうで、作曲者自身が楽譜にテンポ通りにと書き込んで、指揮者からの質問にもこのように答えているわけで、いわゆる典型的なレチタティーヴォとは違いますが、なるほど非常に効果的で面白い手法だと思います(このときベートーヴェンは55歳、スマートは49歳)

 

 

こうして歓喜の主題が表れるわけですが、自由に行われる二人の対話や独白(モノローグ)はいわゆるルールがあるわけではなく自由に進行していきます。

いわば形式のない形式ともいうべきものでこれは色々と応用が利きそうです。

 

 

 

 

 

フランク ヴァイオリンソナタ3楽章

 

レチタティーヴォの使い方は色々あって、バッハのマタイ受難曲が有名ですし、フランクはヴァイオリンソナタの3楽章にレチタティーヴォを持ってきています。ドビュッシーはペレアスで近代的な管弦楽のレチタティーヴォを使ったりしていて色々と作例は存在します。

 

 

一人で延々と喋ったり、対話をするようなフレーズがレチタティーヴォであり、そこには形式や構成のルールはないため何でもアリの無法地帯になるわけですが、これはこれで面白いので基本的な形式に飽きてしまった方にお勧めです。

 

 

 



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23番のピアノソナタ熱情はベートーヴェン中期の傑作であり、ソナタ形式の各部を有機的に結合することに成功しているおそらくは歴史上初の作品です。

 

基本的に一般の音楽を聞く愛好家の方は作曲における形式というものをほとんど重視しませんし、また意識することもあまりありません。ソナタ形式1つ取ってみてもただ聞くだけだとなかなかちゃんと理解するのが難しいです。

 

 

大抵はメロディーがカッコイイとかハーモニーが美しいとかリズムが面白いとか(楽器の)音色が素晴らしいとか短い時間軸で判断されることが多いのですが、作曲する側はある程度長い曲を作ろうと思うと、部分々々(例えばAメロとかBブロックなど)を並べていく作っていくわけで、形式とか構成といった問題を無視することが出来ません。

これは小品でも数時間に渡る大作でも同じです。

 

 

ポップスやロックなどの歌ものは基本的にAメロ、Bメロ、サビのようなシンプルなものが多く、多少の変化があってもほぼ固定化された形式があり、大抵の場合は歌のパートはAメロ、Bメロ、サビに分類されて、これらが順番通り並べられます。工夫の余地がないわけではありませんが、簡単に把握できる単純なものが多いです。

 

 

 

対してBGM的な作品やクラシックの作品は工夫されているものが多く、特にクラシック作品から得られるアイデアは多いです。特に趣味でクラシック的?な作品を作るのが好きな私はやはり古典の音楽に魅力を感じます。

 

 

 

形式における均整や有機的な繋がりや合理的考えを「現代に通用するレベル」で確固たる形にしたのはベートーヴェンであり、そこには単純な素材の羅列を大きく超えた美学のようなものが感じられます。

 

 

 

我々がある作品を作る時、Aメロを8小節、Bメロを8小節、Cメロを8小節、…と複数のブロックをただ並べるだけでもある程度長い曲を作ることが出来ますが、これだと単純過ぎますし、形式美や構成力としてはとても弱々しい作品になってしまいます。

 

 

タイトルの「熱情」の第1楽章は典型的なソナタ形式ですが、ベートーヴェンが各部分の結びつきを強くするため、言い換えると単なるA、B、C、D…と素材の羅列にならないように、全体を有機的に結びつけてようとして成功している作品のもっとも古い傑作の1つであり、この作品をほんの少しだけでも覗いてみることに意味があると思いますので一例を見てみましょう。

 

 

 

 

楽譜はこちら

 

 

第1主題の冒頭(第1動機)

冒頭

 

第1主題の確保(第一動機の変奏)

17小節目

 

 

まず第1主題が提示された後に、すぐに第1主題は確保されますが、そのまま登場させずに上行音型を保ったまま旋律が和音がされています。

 

確保兼展開みたいになっていますが、動機のリズムを縮小することで和音化されている例です。ドビュッシーも同じようなことをしていますが、多分動機の縮小をゼロ距離まで縮めたのはベートーヴェンが最初かもしれません。

 

第1主題の冒頭はコードネームでいうとFmのアルペジオみたいな動きですが、これが全体の上行する動きを保ったまま和音化されているわけです。

 

無関係な素材ではなく、ただ反復するだけでもなく、展開しつつも確保しています。

 

 

 

第1主題 第2動機(赤い四角内)

冒頭

 

 

確保部分(第1動機の変奏と第2動機の組み合わせ変更の新フレーズ)

20小節目

 

 

こちらも確保の部分ですが、提示された第1主題の第1動機の変奏と第2動機が交互に表れて、既存のフレーズを変奏+並び替え+和声の変化で新しいフレーズを作っています。

 

新しい無関係なものを新しく並べるのではなく、提示された素材を変奏し、展開することで各部分を有機的に結びつけようとしています。

 

 

第1主題の第6動機の3連符のリズム

11小節目

 

 

推移部分は第6動機の3連符の上で第1動機のリズムの新フレーズ

27小節目

 

第1主題の第6動機で出てくる運命と同じ3連符のリズムは使い捨てではなく、推移部分でも使われています。このリズムの上で第1動機の冒頭のリズムが新しいフレーズを作り出していますが、ここでも無関係の新しい素材が挿入されるのではなく、主題を元に展開された推移フレーズとなり無関係な素材の羅列になっていません。

 

 

第1楽章はソナタ形式になっていますが、こんな風に全体を通して無関係な素材がどんどん登場して、素材の羅列によって曲が作られているのではなく、全体を有機的に結びつけようとするベートーヴェンのテクニックはかなり参考になります。提示部、展開部、再現部と通して見れば得られる技法はたくさんあります。

 

 

たまに「ベートーヴェンは偶発的要素を一切導入しない」みたいな文章を書籍で見かけますが、さすがにそれは言い過ぎとしても全体の傾向として(特に中期以降は)、素材の羅列を嫌い全体を有機的に結びつけて、ソナタ形式の各部分、あるいは各楽章間に関係性を持たせて、全体で1つの作品であるという性質を強めようと努力している例をたくさん見つけることが出来舞う。

 

 

 

彼の死後、ロマン派の時代に入ると循環形式やもっと複雑なソナタ形式などの形式が登場しますが、大体はベートーヴェンが元ネタになっている部分が多いので、ベートーヴェンの曲を現代の私たちが参考にするのは、ロマン派の作曲家たちが勉強したベートーヴェンの作品と同じものを勉強するという意味では有益です。

 

 

よくBGM系の曲でも勉強中の方がそのBGM作品を真似しようとしますが、それ自体は決してわるいことではないものの、その作品を作ったプロの作曲家は多分ベートーヴェンなどのクラシック作品を勉強しているはずなので、①ベートーヴェン→②有名な現代の劇伴作曲家→③自分だとコピーのコピーみたいになってしまいますので、①ベートーヴェン→②自分のほうがオリジナリティーは出しやすいはずですし、元となったものを学ぶのは意味があるはずです。

 

 

 

曲を作るときにAブロック→Bブロック→Cブロックと無関係の素材をただ羅列することは簡単なですが、それでは形式や構成力の美しさや統一性が弱いため、なんとかしたいという勉強中の方はベートーヴェン辺りからスタートすると良いのではないかと思います。

 

 

そこから初めてロマン派や近代・現代の作品に入っていければ構成や形式の側面で成長出来ると思いますし、同じ悩むにしてもより高いレベルでの悩みになるはずです。

 

 

単純にメロディーが綺麗だとか、コード進行がカッコいいとか、リズムが面白いとか、そういった短い時間軸のみに焦点を当てることは決して悪いことではないのですが、全体としての形式美や構成力という点を養うためにはもっと別の角度からの勉強方法が必要になります。

 

 

和声が理解出来るようになったら、作曲技法や全体の構成に目を向けるとたくさんのものを得る事が出来るはずです。

 

 



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今アナリーゼの本を書いているのですが、色々な内容を体系立てて整理していく中で理論上名称のないコードスケールをどうしようかと迷っています。

 

以前書いた作曲技法の本でも特別の名称を持たないコードスケールであるにも関わらず、実際の作品ではよく出てくるスケールについて述べていますが、知りうる限り広範囲に整理してまとめようとすると、ほかにもいくつか登場します。

 

 

例えばファリャの「恋は魔術師」の中に出てくる「火祭りの踊り」を見てみましょう。

 

 

 

譜例は動画の16秒辺りから

 

クラシック音楽というとバッハ、ベートーヴェン、モーツァルトを始めとするドイツ系・オーストリア系が最強で、あとはヨーロッパ圏の様々な国にボチボチ有名な作曲家が点在する感じですが、日本ではあまりスペインの作曲家は注目されていないように思えます。

 

スペインと言えば、ファリャ、グラドナス、サラサーテ、ロドリーゴなどが有名ですが、ドイツ、オーストリア、ポーランド、フランス、ロシアなどに比べると影が薄い感じでしょうか。

 

 

問題の?「火祭りの踊り」のフレーズですが、グラドナスやファリャといった本場のスペインの作曲家だけでなく、ビゼーのようなフランス人の作った作品でも登場するスケールで、ポピュラー理論を理解なさっている方に分かりやすく言うならばスパニッシュ8スケールの♭13thが♮13thになったスケールになります。

 

 

 

スパニッシュ8♮6と呼んでいます。

 

名前がないと困るので便宜上、今書いているアナリーゼの本ではスパニッシュ8♮6と呼んでいますが、ポピュラー理論に出てくるスパニッシュ8の♭13thが半音上がっています。

 

 

音階としてはスペインを題材にした作品でよく登場しますし、私自身もBGM制作でスペイン系の曲を作るときに使いますが、よく考えると、私の知りうる限りですが、名前がないように思えます(私が知らないだけでひょっとしたらあるのかもしれない)。

 

 

ラヴェルやドビュッシーもスペインを題材にした作品をいくつも書いていますし、このスケールはビゼーもよく使うのでなじみ深いのですが、ポピュラー理論では無視されています。

 

 

今現在ポピュラー理論と呼びうるものはジャズのスウィング期からバップ期に掛けて形成されたものですが、おそらくアメリカのジャズマンたちはあまり重要なスケールと見なさなかったか、単に知らなかったのか、民族音階として除外したのか、とにかく理由はわかりませんが、放置されています。

 

 

こういう普通に色々な作品で使われているのに名前がないスケールがほかにもあって、クラシックの和声法とポピュラー理論の両方をご存じの方は「そう言われればたしかにいくつもあるな…」と思われるでしょう。

ご自身で作曲する方にはこういったケースは少なからずあるように思えます。

 

 

この辺りはアナリーゼの本の中でどう解説したものかと思案しているのですが、とりあえず勝手に命名して、実例と共に説明することにしました。

 

 

クラシック和声ではコードスケールという考え方をせずに、すべて転位と変位で考えるためコードスケールに置き換えて考えるとこういったことが起きてきます。

 

しかし個人的にはコードスケールは非常に合理的な考え方であり、ロマン派以降のクラシック作品はむしろ出身キーを重視するコードスケールで考えた方が分かりやすいものもたくさんあるため、今書いているアナリーゼの本でも一応和声の説明も軽くしつつ、(調性の曲であれば)コードスケールですべての曲を解釈するというコンセプトで進めています。

 

少し先になると思いますが、書き上がったらまたブログで告知させて頂きます。

 

最後までお読み頂き有り難う御座いました。

 

 



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最近自分の作曲について色々と考えているのですが、技術的なことも色々と考えさせられると共にそもそも現代の平均律でいいのか?と思うようになりました。

 

DTMにおける調律は言わずもがな平均律であり、よく知られているようにこれは純正の3度や5度の美しさを犠牲にする代わりに、様々な調で作曲や演奏を可能にしたものです。

 

 

つまり平均率の和音の響きは数学的に完全調和した響きに比べて美しくないということなのですが、この問題はあらゆる転調、あらゆる借用和音を駆使する現在の作曲技法においてなんとかならないのか?と気になっています。

 

 

 

純正律と平均律の響きを聞き分ける動画です。

 

 

簡単に調律について振り返ってみましょう。

 

この方のサイトも非常に分かりやすいので予備知識がない方は是非参照して下さい。

 

 

まずここにギターの弦でもヴァイオリンの弦でもたこ糸でもゴム紐でも構わないので一本のピンと貼った紐があるとしましょう。

 

 

ここではこの弦を一秒間に300回揺れる=300Hzと仮定して(実際は現代の平均律で言うところのD4=293.66Hzが一番近いですが)説明と計算を簡単にするために仮のドと呼びたいと思います。

 

1.まずはオクターブ

 

ギターやヴァイオリンなどの弦楽器のご経験がある方はわかりやすいと思うのですが、弦のちょうど真ん中(ギターでいうところの12フレット)を押さえるとオクターブ上の音が鳴ります。オクターブの周波数は2倍なので600Hzです。

 

 

 

これをまた2倍にすればさらにオクターブ上で600Hz×2=1200Hz、さらにまた…と続けていけば好きなオクターブの周波数を出すことが出来ます。逆に周波数を半分にすれば1オクターブ下の音を得ることが出来ます。

 

つまり下のようになります。

 

主音       300Hz
1オクターブ上 600Hz
2オクターブ上 1,200Hz

3オクターブ上 2,400Hz

4オクターブ上  4,800Hz
5オクターブ上 9,600Hz
6オクターブ上 19,200Hz
7オクターブ上  38,400Hz

 

ただ数字を倍にしていくだけなので計算は簡単です。ここで大事なのは7オクターブ上の38,400Hzという数字です。

 

2.完全5度上の音

 

次に5度の音を探してみます。

完全5度の音は比率で言うと3分の2に相当しますので、元の数字に1.5を掛けます。

 

 

 

300Hz×1.5=450Hzが純粋な本当の意味での完全5度の音です。

これで仮のドに対して仮のソを得ることが出来ました。

ギターで言うと正確ではありませんが、7フレットの位置です。


 

この方法で常に×1.5をしていけば次々に完全5度の音を得ることが出来ます。

 

そして完全5度をド→ソ→レ→ラ→ミ→シ→ファ#→ド#→ソ#→レ#→ラ#→ファ→ドのように12回積み重ねると元の音に戻ります(異名同音あり)。

 

手元に鍵盤があれば是非やってみて下さい。これは元のドの7オクターブ上です。

 

では元のドの7オクターブ上のドが一体何Hzになるのか計算してみましょう。

元の数字に×1.5を繰りかえすだけです。

 

 

元の音ド    300Hz

1回目ソ   450 Hz

2回目レ   675Hz

3回目ラ   1012.5 Hz

4回目ミ   1518.75 Hz       

5回目シ   2278.125 Hz

6回目ファ# 3417.1875 Hz

7回目ド#  5125.78125 Hz

8回目ソ#  7688.671875 Hz

9回目レ#   11533.0078125 Hz

10回目ラ#  17299.51171875 Hz

11回目ファ# 25949.267578125 Hz

12回目ド      38923.9013671875Hz

 

 

これで元の音の7オクターブ上の周波数は38923.9013671875Hzであることがわかりました。

このような純粋に×1.5を掛けて得られる5度を純正5度と呼びます。

 

 

ここで問題になるのが、×2のオクターブ関係で得られた7オクターブ上のドである38,400Hzという数字と×1.5の関係である純正5度を積み重ねて得られた7オクターブ上のドの38923.9013671875Hzという数字が合っていないことです。

 

 

小数点を切り捨てると純正5度積み重ねて得られた7オクターブ上のドの方が約523Hz高くなっています。

 

これはセント(1セントは半音の1/100)で言うと23.46セントで大体半音の1/4くらいずれています。この数値をピタゴラスコンマと呼びます。

 

 

 

純粋な比率のオクターブと純粋な比率の完全5度は相容れないわけです。

 

 

3.長3度上の音

 

次に長3度の音を探してみます。

長3度の音は比率で言うと5分の4に相当しますので、元の数字に1.25を掛けます。

 

 

 

 

つまり元の仮のドが300Hzだとしたら、

300Hz×1.25=375Hzが本当に真の意味での完全に響き合う長3度のミということになります。

ギターでいうと正確ではありませんが、4フレットになります。

 

 

このような純粋に×1.25を掛けて得られる長3度を純正3度と呼びます。

 

ここで先ほど計算した純正5度のミの音を振り返りましょう。元のドからド→ソ→レ→ラ→ミと4回完全5度積み重ねるとミの音を探し出せます。

 

 

元の音ド    300Hz

1回目ソ   450 Hz

2回目レ   675Hz

3回目ラ   1012.5 Hz

4回目ミ   1518.75 Hz  

 

 

4回目のミは1518.75 Hzでこれは元のドの2オクターブと長3度なので、数字を半分の半分にして2オクターブ下の周波数を割り出します。

 

1オクターブ下のミは

1518.75 Hz÷2=759.375Hz

 

2オクターブ下のミは

759.375Hz÷2=379.6875Hzです。

 

 

ここでもやはり純正3度の375Hzと純正5度で得られた379.6875Hzは合いません。

 

このズレはシントニックコンマと呼ばれて、約21.51セント(半音の約1/5)ズレています。

 

 

つまり純正5度と純正3度は相容れないという結論に達するわけですが、純粋に和音としての響きを追求するなら単純な周波数によって音を鳴らしたほうが美しく響きます(差分はうねる)。

 

 

仮のドを300Hzとするなら、

仮のミの375Hzと仮のソの450Hzを鳴らせば

本当の意味での完全に数学的に調和した長3和音が得られるわけですが、その分ほかの音の響きを犠牲にしなければなりません。

 

 

DAWでやってみました。とても美しいです。

 

 

この方法で各弦をチューニングしていくと、仮にハ長調の主和音を完全に調和するようにすれば、ほかの調では上手く響かなくなり、転調や借用和音がボロボロになってしまいます。

 

 

シントニックコンマのズラし方には色々あり、よく知られているようにキンベルガーやヴェルクマイスターやミーントーンなど様々な調律があるものの、歴史的な経緯はさておいて現代では完全に12等分した平均律を用いるようになりました。

 

 

最初に述べたようにこれは自然現象としての、数学的に完璧に調和した美しい和音の響きを犠牲にする代わりに、転調や借用和音という素材を作曲家に提供してくれるもので、まさに作曲の進歩の歴史そのものです。これがなければ音楽の進歩はなかった、あっても今とは全く違うものになっていたでしょう。

 

 

少し歴史的なことを考えてみるとバッハが一体何の調律を使っていたのか?は諸説あり書物によって書いたあることが違ったりするので、私も正確なことは言えませんが、ある書物ではバッハは平均律を使っていたと言い、別の書物ではヴェルクマイスターを使っていたと言い、現代同様の平均律はショパン頃からだなどと書かれている書物もあったりします。

 

 

これに関しては学者さんや研究者さんにお任せしたいと思いますが、平均律という言葉の意味を、現代とは多少の差違があっても「すべての調で演奏出来るように調律する」という意味で大雑把に使うならバッハは平均律を使っていたと言えます。

 

 

有名な『平均律クラヴィーア曲集』は原題でDas Wohltemperirte Clavierですが、Wohltemperirte=よく調整された音律という意味で使うのが現在の常識ではあるものの、広い意味ですべての調で演奏できる調律を平均律と呼んで良いならやはり『平均律クラヴィーア曲集』でも良いように思えます。

 

 

いずれにしても、数学的に完全に調和した自然の美である完全に美しい響きというものを知っていると、そうでない響きで作曲するのに「これで良いのか?」と思ってしまうわけです。ピアノを弾いても違和感みたいなものを感じます。

 

 

平均律しか知らなければどってことはないのですが、本当に美しい良いものを知ってしまうと、そうではないものに対して不満が出てくるわけで、鍵盤楽器は1音1音に対して周波数を割り当てていくので、すべての調の、すべての和音の、すべての転回形の、すべてのオクターブの、すべてのボイシングで完全な響きを得ることは出来ず、借用や転調を多用する現代の作曲法ではどうしようもありません。

(単に1つの調のみで純正律やヴェルクマイスターなどで遊べるソフト音源はたくさんあります)

 

 

これが可能なのは極めて正確な音感を持つ歌手や弦楽器、管楽器奏者であり、実際に純正の響きを売りにしている団体も存在します。

 

管楽器や弦楽器や歌なら簡単に奏者や歌手が音程を変えられますので、成り立つわけですが、鍵盤楽器ではそうはいきません。

 

 

 

そういう音源を作って欲しく思いますが、すべての異名同音やすべての借用和音やすべての転調をどう定義するか?コンピューターが判断するのか?という問題の解決はとても大変であると思います。

 

 

例えばKEY-CでAmへの副属7ならE7でソ#(第3音)ですが(KEY-AmのⅤ)、準固有和音のFmならラ♭(第3音)で、ソ#とラ♭は全然違う音です(KEY-CmのⅣm)。

 

 

代理のA♭でもラ♭ですが、今度は根音になりますし(KEY-Cmの♭Ⅵ)、B♭7のラ♭は第7音になります。

ナポリのDbならラ♭は第5音になりますので(KEY-A♭のⅣ)、すべて周波数が変わるはずです。

 

 

A♭でも借用旋律音でレ♭を用いる場合はリディアンではなく、アイオニアンになるわけで、問題はかなり複雑です。

 

 

さらに借用和音と転調した状態と別々の意図で使うときはどう区分するのか?など実に様々な問題が発生し、やってやれないことはないのかもしれませんが、技術的には相当難しそうです。

 

 

 

つまり、現実問題として美しくない響きで作曲するしかないわけですが、それも納得行かないわけではありませんが、本当に美しい響きではないので、なんとなく味気ない感じがして、これで良いのか?と思ってしまうわけです。

 

 

実はこの問題は手間を惜しまなければ解決する方法はあり、簡単に想像出来ると思いますが、すべて波形化した後にメロダインやオートチューンなどのピッチ修正ソフトで弄れば良いわけです。

 

 

しかしこれはあまりにも膨大過ぎて非現実的に思えます。

 

 

いつか将来この問題を解決するソフト音源が出るかもしれませんが、今のところはその兆しすらなくなんとも言えない状態です。

 

 

最後までお読み頂き有り難う御座いました。

 

 



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以前書いた作曲の基礎技法の本のレビューに楽曲分析の仕方の本を出して欲しい云々~というレビューを頂きましたので、楽曲分析の仕方の本は出せませんが、私なりに楽曲分析の仕方について触れてみたいと思います。

 

 

楽曲分析の仕方に何か特別な方法があるというわけではなく、普通に進めていくだけなのですが、クラシックの作品やゲームやテレビドラマやポップスのヒットソングなどに関係なく、まずどんな作品でもコードネームが取れるか?が一番重要になります。

 

 

たくさんの生徒さんを見てきましたが、どのくらい現時点で理解力を持っているかは千差万別で、疑問に思うところや躓く部分も人それぞれなので、まずコードネームが上手く取れない、あるいは複数可能性がある場合はどちらで取ればいいのかわからないという場合はまずはそこから頑張る必要があります。

 

 

レッスンではゲームBGMやボーカル曲などなんでもやりますし、誰でも他人の曲を聞いたり、演奏したりして勉強するという事は普通のことだと思います。

 

そういった時に自分の作曲に生かせるように音楽の意味が分かるというのはかなり大事なことだったりしますので、アナリーゼにご興味がある方はぜひ今回練習をやってみてください。

 

 

今回はちょっと難しめな譜例でいきたいと思いますので、クラシックからブルックナーの交響曲曲8番第3主題を見てみましょう。

 

 

ポップスであれ、BGMであれ、あるいはクラシックの作品であれ、全部ドレミファソラシドで出来ていることには変わりなく、基本的にはコードネームが付き、同じようにアナリーゼしていくことが出来ます。

 

 

クラシックの作品を難なくアナリーゼできるレベルになっている方にとってはおそらくポピュラー音楽のボーカル曲を聞いてわからないことないのではないかと思いますし、簡単な内容を取り上げてもブログでやる意味がないと思いますので、難易度は比較的高めなものを選んでみました。

 

BGM系の音楽制作を行いたい方は特にそうですが、幅広いハーモニーの勉強という意味でクラシックの楽曲を学んでおくと様々なメリットがあります(色々なシーン・雰囲気のBGMを作るときに役立ちます。)。

 

 

ブルックナーの交響曲曲8番第3主題

(画像は右クリックで保存すると大きな画像で保存出来ます)

 

本気でアナリーゼする能力を身に付けたい方は上の楽譜にまずコードネームをつけて、キーが何であるか考えてみましょう。

ポピュラーのボーカル曲に比べたらかなり難しいですが、 BGM楽曲やクラシックの作品ではそこまで難易度が高い楽曲ではありません。

 

 

あえて比較的難しい譜例を選んでいますが、わずか9小節しかありませんので、ぜひ取り組んでみてください。

続きは次回書かせて頂きます。

 

 



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長管トランペットの話。

テーマ:

ロマン派までのオーケストラでは現在のような短管トランペットではなく、長管トランペットが用いられていたという記述をよく見かけます。

 

 

 

 

写真を見て分かるとおり通常のトランペットよりも大きいです。管も太く、長さも明らかに現在の短管トランペットに比べると長く見えます。

 

現代のトランペット奏者が使うトランペットは基本的に短管のB♭管ですが、古典時代からロマン時代初期にかけてはたくさんの種類の管があり、そのどれもが長管トランペットでした。

 

歴史的にはハイドンやモーツァルトの時代には実に様々な種類のトランペットがあり、替管を用いることによっていろいろなキーに対応していました。C管のトランペットは8フィート(2.4384m)もあったそうです。

 

 

当時はまだ現在のようなバルブシステム(バルブシステムの発明は1815年)はなく替管によって様々なキーに対応し、後は唇の緊張だけで様々な音を出すことによってフレーズを演奏するという現代人から見れば不便この上ない方法が行われていました。そのため古典時代のオーケストラでは、盛り上がる部分なのに突然トランペットがいなくなるなどの現代人から見ると違和感のあるオーケストラションが行われていることが多々あります。

 

 

これらは現代のCDを聞くと親切心からという意味なのか、聞き映えがするという意図なのか、指揮者が楽譜を書き換えて「本当はこうを書きたかったのだろう」という古典時代の作曲家の意図を想像してレコーディングされており、楽譜に書いていないことが鳴っていることもよくあります。

 

このようにたくさんの種類のあるトランペットですが、1800年代初頭近くになって色々あったトランペットの管はF管のトランペットに統合されていきます。これはウォルター・ピストンの管弦楽法によれば管長約6フィート(1.8288m)だそうです。

 

 

 

ブルックナー交響曲7番のトランペットパート

 

 

いま個人的にブルックナーの交響曲7番を勉強しているのですが、やはりトランペットはF管で書いてあります。

 

 

もちろんこの時代の作曲家のすべてがF管のトランペットを想定してスコアを書いたということはありません。例えばブラームスはトランペットパートに様々な管を用いています。ただブラームスはバルブシステムがあるにもかかわらず、ベートーヴェンの時代のような自然ホルンのようなフレーズをあえて書く作曲家なので、意図的に古い時代のトランペットを使っていたと言う可能性もありますが(私の偏見です)、ブルックナー以外だとマーラーや交響曲やドビュッシーの管弦楽にもやはりF管のトランペットが使われています。

 

 

面白いのが、この方の記事サン=ジャコメの教則本(1870年出版)にトランペットのパートをコルネット(短管)で移調読みする練習があると書いてあるので、当時の作曲家がF管以外の様々な管で楽譜を書いても、実際にF管で演奏されていたかどうかはわからず、現代のように別の管で吹くという風習はこの時代から始まったのかもしれません。

 

 

現在の短管トランペット

 

現在のような短管トランペットがいつ作られたのは正確にはわかりませんが、19世紀の終わりの時期なのではないかと言われています。

 

このトランペットの長さは現在のメインであるB♭管であれば、約4.3フィート(1.3mちょっと)なので、古典時代のトランペットと比べると約半分の長さということになります。

 

 

歴史な事は置いておいて、私が最も興味があったのは音色の側面で、管の長さが2倍近いのであれば基音も当然1オクターブ下になるはずであり、それで同じ音を出そうと思えば当然音色が変わってくるということです。

 

 

実際に長管トランペットの基音は現在の短管トランペットの1オクターブ下であり、当時の長管トランペット奏者は楽譜に書いてある事をそのまま吹いていると考えるのであれば、現在の短管トランペットよりも高次の倍音を吹いているということになります。

 

 

長管トランペットの倍音列(C管)

 

 

C管の場合、長管トランペットの基音は中央ドの2オクターブ下の音になります。例えば中央ドの1オクターブ上のドをならしたいと思ったら8倍音を吹かなければならないということになります。

 

 

 

短管トランペットの倍音列(C管)

 

 

しかし現代の短管トランペットであれば中央ドの1オクターブ上のドを吹きたい場合は、5倍音を鳴らすということになります。管の長さが半分なので基音も1オクターブ上になるわけです。

 

 

いろいろな本あるいはネット上の記事を読んでいると長管時代から短管時代に移り変わる際には、トランペット奏者の戸惑い・不満も当然あったようですが、現在では多くの人が知っている通り短管に統一されています。総合的な面を見て短管の方が有利なのでしょう。

 

 

管の長さが約2倍なわけですから、もっと深みのある音が出るように思いますが、こればかりは聞いたことがないので何とも言えません(ひょっとしたら何かのCD聴いているのかもしれませんが)。

 

 

古典時代の長管トランペットは12倍音(C管の場合は中央ドのオクターブ+完全5度)まで使用するのが一般的な常識だとウォルター・ピストンの本には書いてありますが、現代の短管トランペット奏者は8倍音、9倍音あたりまで使うのが基本となります(管によって高い音が出にくい出やすいというのがあります)。

 

 

つまりモーツァルトやベートーベン、あるいはブルックナーあたりまでが生きていた時代に演奏されていたオーケストラの金管楽器の音と現代の金管楽器の音は厳密には違うものであり、当時どんな音色で演奏されていたのかという点に非常が興味があります。

 

 

DTM音源では当然、長管トランペットの音色などあるはずもなく、基本的にはすべて短管トランペットの音です。古楽器をフューチャーした音源であれば長管トランペットもあるかもしれませんが、一般的では無いというのが現状です(個人的にはDTMで使ってみたいと思っています)。

 

 

(長管トランペットについてはこの方の記事が詳しいです。)

 

お読み頂き有り難う御座いました。

 

BGMで色々作りたい方やボーカル曲で幅広いアレンジを目標とする方にとっての基礎的な内容の習得として今まであまりブログにジャズボイシングのアプローチのことを書かなかったので、少し所見を述べてみたいと思います。

 

和声学の偶成和音のジャズ版ように私が勝手に感じているジャズボイシングのアプローチですが、クラシックの作曲において偶成和音がいまいち上手く習得出来てない、あるいはよくわからないという方はジャズのアプローチを勉強するとヒントになるかもしれません。

 

 

 

 

シューマン 子供の情景よりトロイメライ(5小節目から)

 

 

まず偶成和音とは何?という方は上の譜例を見て下さい。(動画は18秒あたりから)

 

有名なシューマンのトロイメライですが、3小節目のFmの部分がいわゆる偶成和音です。これはアルトに相当するパートの半音階的な経過音によって偶然発生している和音であり、ノンダイアトニックコードですが、こういった和音が挟まることによって調的な広がりや響きの豊かさを得ることが出来ます。

 

 

和声学の本にも偶成和音については書かれていますし、実際のクラシックの作品において偶成和音の譜例には枚挙に暇がないのでわざわざ説明の必要はないかと思いますが、言葉のみで簡単に説明すると「コードトーンや経過音などの非和声音が集まり、カデンツに矛盾して成立している和音」のことを指します。

 

 

実際は偶然そうなっているというわけではなく、意図的に豊かな響きを求めて行うもので、作曲家ごとに使い方に個性があったりします。

 

 

フォーレっぽい偶成の用法

 

 

例えば先日の記事でフォーレの弦楽四重奏を軽くアナリーゼしてみましたが、フォーレなら偶成の借り元を同主短調や準固有和音調(同主短調のダイアトニックコードを主和音とする調)に求める傾向があり(すべてがそうという意味ではありません)、色んな作曲家の曲を分析・解析するうちに傾向予測が出来るようになります。

 

上の譜例ならソプラノの最初のシと最後のソに対してEmGという和声付けがされています。ソプラノはシ→シ♭→ラ→ソという風に一部クロマチックオルタレーションを含み、シ♭に対してE♭という偶成和音を当てていますが、この和音は同主短調の♭Ⅲを借りてきているわけで、フォーレが好んで用いるパターンの一つです。

 

 

こういったことを言い出したら、また記事が長くなってしまうのでこれだけにしたいのですが、色んな作曲家の偶成の使い方には個性があり、時代によっても違います。既に自分なりのお気に入りの偶成和音の使い方を確立している作曲家の方もたくさんいらっしゃると思います。

 

 

なかなか素敵な偶成和音なのですが、レッスンで和声をやらせて頂いている中でどうにも感覚が掴みにくいという方が多く、独学でやってらっしゃる方にも偶成和音の意味はわかるけれど、いまいち実際に自分が使う上では上手く活用出来ていないという方のために、ちょっと趣向を変えてジャズのアプローチを勉強してみると良いかも?と思いました。

 

 

クロマチックアプローチ、ドミナントアプローチ、ディミニッシュアプローチ、etc…など色々あり、バップ期までのジャズよりも近年はもっと発展的なアプローチの用法もあって、ある意味偶成和音に近しい考え方をしています。

 

 

 

例えばコードがFの時にドソラというメロディーがあったとします。これにFコードに合わせてハモリを付けると次の譜例のようになります。

 

 

 

特に難しいことはなく、Fコードの下にFM7のファラドミの音を下に足しているだけでいわゆるハモリと言い換えても良いかもしれません。

 

響きとしてはトップにある2つ目の「ソ」を除けば完全にFM7の範疇なのでよく言えばコード通りの協和度の高い和声付け、悪く言えば変化のないつまらない和声付けです。

 

 

これにジャズでいうところの「ディミニッシュアプローチ」を行ってみましょう。

 

 

真ん中のトップが「ソ」の下にB♭dimが割り当てられてちょっと響きが豊かになっています。ディグリーでいうとⅣdimですね。

 

このレ♭は何処から来たのか?というとC7の♭9thなわけですが、ノンダイアトニックの音が鳴ることで色彩的にも豊かになりますし、出鱈目な響きではなくちゃんと4和音の形態を取っていますので美しく響きます。

 

鍵盤で弾いてみるとFM7だけで和声付けするよりも別の可能性や広がりがあるわけですが、これはある意味においてクラシックの偶成和音である倚和音とよく似ています。似ているというか、倚和音そのものです。

 

偶成和音とジャズのアプローチの違いは偶成和音は一切の制限がなく、ジャズのアプローチは一応は種類が限定されていることでしょうか。

 

 

用法としてはクラシックの方が自由であり何をやってもいいので面白い響きが作れますし、方向性を決めればそれがフォーレのように自分の個性にも繋がってきます。

 

何でもアリと言われてしまうと逆に困ってしまう方もいるわけで、ジャズのアプローチのようにある程度限定された内容から取っ掛かりを得てみるのもありかもしれません。

 

 

ジャズのアプローチ=クラシックの偶成和音ではないので、あくまで違う角度からの勉強方法のお勧めという意味であり、結局はたくさん色んな作曲家の作品を聴くのが一番かと思いますが(後期ロマンや近代フランスは特に面白いです)、これを勉強しておけばジャズを作曲するときに多いに役に立ちますし、ビッグバンドはこれを理解していないと書くことが出来ないため、ジャズも作りたいという方は手を出してみると良いかもしれません。

 

 

お読み頂き有り難う御座いました。

 

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木管楽器と金管楽器の移調楽器はそれぞれ成り立ちが異なり、なぜ移調楽器が存在し、どうして移調楽器用の譜面が必要なのかは多くの方がご存じだと思いますが、普通オーケストラスコアを見るとクラリネット、ホルン、コールアングレ、トランペット、サクソフォン、etc…は移調譜で書かれています。

 

 

移調譜面は(特に木管がそうですが)、基本的に演奏者側の都合で存在するものだと個人的には思っていますし、移調で書いてある譜面を読むのが普通だとも思っていますが、あまりにもややこしい譜面になってくると脳内移調が面倒臭くなることもあります。

 

 

01

 

上の譜面はサクソフォン四重奏ですが、コードネームで表すとなんというコードネームになるでしょうか?ソプラノサックスはBb管なので長2度下、アルトサックスはE♭管なので長6度下、テノールサックスはBb管なので長2度下+1オクターブ下、バリトンサックスはE♭管なので長6度下+1オクターブ下です。下に答えがありますが、出来れば自分で楽譜を読んでみて下さい。

 

サクソフォンについて

 

 

これにサックスやクラリネットなど普段から演奏者側で移調楽器に慣れ親しんでいる方以外で、即答出来る方は相当譜面に強い方だと思います。

これを大譜表に直すと下の譜例になります。

 

 

001

 

正解はFM7ですが、実際のサクソフォン四重奏はかなり複雑なので譜面を読むのはそれなりに大変です。

 

サクソフォン四重奏は実音が一つもないので常に脳内移調で読み進めていきますが、オーケストラスコアでも似たような箇所はたくさんあり、A管のクラリネットとコールアングレとテノールで書かれたバスーンと調号のないホルンのような譜面はト音とヘ音の実音が一つもないので、同じように大変です。

 

 

01 ト音とヘ音の実音が一つもないケース(バスーンは途中からヘ音)

 

しかしこれは「慣れ」の問題であり、訓練次第で段々と速くなってきます。レッスンでも移調譜面が苦手という方はいらっしゃいますが、ト音やヘ音が読めるようになったのなら、同じ理屈で移調譜面やアルトやテノールやソプラノ記号も読めるようになりますし、移調も慣れていきます。

 

 

打ち込みだけで音楽をやっていて、市販のオケ譜面などを一切読まない人にとっては移調楽器は全く関係ないですし、それどころかト音とヘ音さえ読めればアルトやテノールやソプラノ記号すら読む必要はありません。もっと言うならピアノロール主体で作業する人もいるわけで譜面そのものと付き合う必要が全くない方もいると思います。

 

 

しかしアレンジの仕事で誰かに演奏してもらう場合にはこういったことは必要になりますし、市販のスコアのほとんどは移調楽器はそのまま移調譜面で書かれていますので、やはり無視することは出来ないのが現状です。

 

 

とはいえ、面倒と言えば実際に面倒ではあるのですが、むかし千住明のピアノ協奏曲「宿命」というテレビドラマのスコアに手書きのオケ譜面が掲載されていて、作曲家がオケ譜を書くときはすべて実音で書いてありました。

 

私たちもホルンやクラリネットをDTMでDAWに打ち込む時にB管やF管として打ち込む人はおそらくいない?と思いますが、千住明のような立派な人でも移調譜面は演奏者側の問題であり、作曲の段階では無視しているのがわかり安心?した記憶があります。

 

 

手書きの譜面の段階で移調譜面で書く人が、果たしてプロの作曲家でどれくらいいるのか私はよく知りませんが、少なくとも出版される段階ではほぼ100%移調されて出版されるのが普通です。楽譜は演奏するために出版されるのですから、移調楽器のパートがすべて実音で書かれていたらクラリネットやホルンの人たちは困るのではないかと思います。

しかしプロコフィエフのようにオケ譜を実音で書いたものもあり、近年でもどうも現場によって色々な考えがあるようです。

 

01

プロコフィエフ  ピアノ協奏曲2番 第4楽章

 

 

ベートーヴェンだとかブラームスだとかドビュッシーの譜面は移調譜があるのが当然ですが、プロコフィエフの譜面を見ているとホルンやトランペットやクラリネットパートに違和感を感じて、読み始めるとたまに「??、、、、あぁー実音か…」となるときがあります。特にホルンが実音で書いてあるのが未だに不思議に感じます。

 

移調楽器に限らず対位法でもソプラノ、アルト、テノール、バスの記号を別々に使うので、慣れないうちは誰でも大変ですが、トータルで見ればあらゆる譜面に対応出来た方が絶対的に有利です。

 

どんな練習方法がありますか?と問われることがありますが、移調譜として書かれていない普通の簡単な譜面でも移調譜面やト音とヘ音記号以外の音部記号のつもりで読む練習をすれば段々慣れてきます。

 

 

一番簡単なものをご紹介します。

 

 

001

 

例えばこの譜面はヘ音記号で書かれていますが、これをト音記号だと思って読めば当然音は変わってきます。同じ理屈でアルトやテノールやソプラノ記号だと思って読み直せば良い練習になります。

 

さらにト音でクラリネットのB管だと思って読んだり、F管のホルンだと思って読んだり、D管のトランペットと思って読んだりすればいいわけです(この楽器でこんな音出ないよ、というのは無視して練習します。)。

 

 

#や♭が付いていると逆さまにして活用するのに不具合が出ますが、変化記号がない譜面であれば前述の練習に加えて、逆さにして読む練習も出来ます

 

001

普通の譜面

 

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上下逆にした譜面

 

こうすれば一つの譜面で2回練習が可能ですし、移調譜面として読めばさらにバリエーションも増えます。

 

ほかにも色々な練習方法があるのでしょうが、個人的には実際の譜面に慣れ親しむのが一番だと思います。

 



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よく使用する音源や自作のパーカッションをKontakt音源化しておくと色々便利なので、私なりの方法をご紹介したいと思います。

 

 

kontakt01

 

 

特に利便性が高いのはIntegra-7などのハード音源や自分でマイクを使って収録したパーカッションなどで、Kontakt音源化しておくとボリューム、パンニング、エフェクト、ピッチ変更、そして高速書き出しなどメリットがたくさんあります。

最近はライブラリー化していくようになりました。

 

 

例えば3分のBGMでハード音源から5種類のパーカッションを使った場合は個別にWAVE化する場合3分×5トラックの時間が掛かり面倒ですし、それぞれの個別のトラックに、最終的に行う予定のエフェクト処理がどれくらい行えるかは音源の性能に依存し、VSTエフェクトで行うような何でもアリというわけには行きません。

 

 

例えばIntegra-7ではRPN・NRPNを使ってDrum Inst PanやDrum Inst Levelなどの調整は出来ますが、1つのチャンネルのドラムキットの中のスネアのみ、キックのみに個別のインサーションエフェクトを掛けることは出来ないため、大抵は個別に録音した後でトラックごとに編集を行います。

 

たった1つのパーカッションのためだけに1ch(1trackではなく)潰しても良く、エフェクトのRolandのインサーションエフェクトで良いなら個別のパーカッションにエフェクトを掛けながら製作することは可能ですが、ベロシティーレイヤーの数が少ないものであれば、Kontakt上で扱ったほうがミックス処理が遙かに楽だったりします。

 

○具体的なやり方

やり方は簡単で、まずは音源化したい楽器・声などをWAVEで録音します。個人的には効果音系で使いたいものに対して行うことが多いです。

 

 

wave01

 

編集時には0秒発音にすること、ノイズの混入などに気を付けましょう。

冒頭に不要な無音部分があると無音部分も再生されるためMIDIの発音タイミングと音が鳴るタイミングがずれてしまいます。

 

ノイズ処理に関しては、生録音した場合や何らかの特殊な事情でノイズは入ってしまっている場合はノイズリダクション系のソフトでノイズを除去しておきます。

 

 

znoise

WAVES Z-noise

 

 

Kontakt上で波形の何処から再生するかは実は設定出来るのですが、特別な意図がないなら綺麗に処理しておいたほうが賢いです。

 

 

音源によってモノラル・ステレオ、あるいは16bit・24bit、44,1kHz~96kHzなどを決めていくと良いと思います。私の場合はモノラルかステレオかは音源次第ですが、基本的には簡単なパーカッション系やSEにしか使わないので44,1kHz/16bitで作っています。

 

ハイレゾに拘る方は高いレートで行うのもありですが、そもそも発音元の音源側がハイレゾでなく、受け取り側だけをハイレゾにしてもあまり効果的でありませんし、生録音の場合もマイクの価格帯やアウトボードの性能に依存するので一概に録音ソフト上のみでハイレゾだから良いとは言い切れないと感じています。

 

 

ともあれ、とにかく音源化した波形を片っ端から録音していきます。ここで問題になるのがレイヤーをいくつにするか?ということですが、自分がその波形をどういう風に使うのか?によって1つで良かったり、4つくらい欲しかったりするのでまちまちです。

 

 

wave02

必要に応じてベロシティーレイヤーを考えて録音します。

 

 

ボリュームフェーダーを書くことでベロシティーレイヤーがあるかのように聞こえさせることは音源によっては可能ですが、生楽器の場合は複数のレイヤーがあったほうがリアルです。例えたった2つだけだったとしても1つしかないよりは全然マシです。

 

 

シンセで作った1発もののFX系であればレイヤーは1つで良いでしょうし、生録音時に強弱を付けにくい、あるいは付ける意味があまりない楽器もありますので、その辺りはケースバイケースです。

 

 

例えば楽器屋でタンバリンを買ってきて、それをKontakt音源化するなら、レイヤー数よりも鳴り方のバリエーションの方が大切なので、レイヤーは2つもあれば十分な表現力を持っています。

 

もちろん曲中でどんな使い方をするかによって変わりますが、左右にパンを振ってサイドで小さく聞こえる脇役程度の扱いであれば、レイヤー数よりも鳴らし方のニュアンスが多い方が重要です。

 

 

wave03

色々なニュアンスを録音しておきます。

 

 

録音したものをそのまま使うこともありますが、この時点でコンプやEQ、あるいはその他のエフェクト処理をして音作りを行うこともあります。

 

 

例えばキックの音であれば、思う存分波形に対してエフェクト処理を行い思い通りのキックを作ってしまえば、それを使うことが出来るのでクラブミュージック系を製作するときはよく過剰なコンプやEQやディストーションなどを予め波形に対して行ってから使うことが多いです。

 

 

出来上がったらWAVEファイルをKontakt上にドラッグ&ドロップします。

 

 

 

kontakt02

 

 

ドラッグ&ドロップするだけで普段DAWで使っているソフト音源と同じように使うことが出来ますので、エフェクト処理やパンニングやフェーダーを調整しつつ使うことが可能です。

 

 

 

 

1つの波形をドラッグ&ドロップした状態では中央ドの位置が元のピッチになっていますが、敢えて多少高い・低いピッチを使うことで異なるニュアンスを活用することもあります。

 

 

kontakt03

 

 

1つのWAVEファイルだけで良い場合はこれだけでOKなのですが、レイヤーを作ったり、キーごとに異なるサンプルを割り当てる場合は「スパナのマーク」をクリックして「Mapping Editor」と「Wave Editor」で設定を行います。

 

 

 

kontakt04

 

 

ファイル名が日本語だとKontakt上では「????」と表示されてしまいますので、複雑なものを作る場合は半角英数にしておきましょう。

 

 

キーマッピングしたいファイルをドラッグ&ドロップしていきます。ピッチの変化のニュアンスを残したい場合は1つのキーにつき3~5半音当てれば十分ですが、純粋にそのまま使う場合は鍵盤1つのみにします。

 

 

kontakt05

 

 

レイヤーを作るときもマッピングエディター上でのマウス操作で簡単に作れます。

 

 

kontakt06

 

完成したらKontakt上部のファイルメニューから保存をします。「.nki」という拡張子のファイルが出来ますので、2回目以降は一度作ったものをそのまま使えます。

 

 

一度作ってしまえばハード音源やいちいちマイクを使って録音をする手間が省けますので、こういったライブラリー化は時間の短縮という意味で便利ですが、個人的には時間の短縮よりも、ピッチの変化やエフェクトでの音作り、波形の途中や逆再生などの面白い効果を活用したクリエイティブな側面が面白いと感じています。

 

 

たった1回しか使わない音であっても、Integra-7などのハード音源から録音したり、あるいはソフト音源から1つの音だけを書き出して、あれこれ弄くることも多々あります。

 

 

ソフト音源だったらいちいちそんなことをする必要はないのでは?と思われるかもしれませんが、これもケースバイケースで例えばSUPERIOR DRUMMERの場合はクラッシュシンバル用のマイクが個別にないため、クラッシュシンバル類に対する個別処理が上手く出来ません。

 

 

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SUPERIOR DRUMMERのミキサー画面

 

 

ですのでシンバル類のみを別に書き出しておいて、Kontakt上で前述のような方法で扱えばエフェクト処理やパンニングもかなり明確に行えるので、SUPERIOR DRUMMERの欠点を補うことが出来ます。

 

ほかにもその時々の意図でいちいち1つの音だけを書き出して面白い効果音的な音を作っていくことはよくあります。

 

波形をそのままDAWのオーディオトラックに貼り付けるということも昔はよく行っていましたが、Kontakt上でMIDI管理した方が編集の幅が大きいので最近はその場での生録音以外は積極的にKontaktのライブラリー化を行うようになりました。

 

面倒と言えば面倒ですが、1回やってしまえば2回目以降は楽ですし、例え1回しか使わないとしても面白い効果を得られる場合が多いので面倒がらずにやっています。

 

お勧めなのが楽器屋さんでカスタネットやタンバリンなどの簡単な打楽器を買って自分で録音する方法で、これによって自分の思い通りのニュアンスの音源を作ることが出来ます。

 

ソフトorハード音源にもカスタネットやタンバリンなど楽器は入っていることが多いですが、「自分の思い通りのニュアンス」でなくて不満がある方は自分で録音してしまうのが一番です。

 

 

「やっているうちにフリーのKontakt音源ってこうやって作っているんだなぁ」という風にやり方がわかってきますし、規模が大きくなれば製品として販売されている音源もやっていることは基本的には同じだということがわかってきます。

 

 

もちろんレガート機能のようにサンプル間をうまく繋ぐプログラムを組んだり、入力ベロシティーの変動によって選択するサンプルを変えたり、ギター系のコード検出機能などのように特定の組み合わせのキーが鳴った時は○○のサンプルを再生するなどのように入り組んで来ると素人にはお手上げですが、ただサンプルを鳴らすというだけでも十分過ぎるくらいクリエイティブな効果を上げることが可能です。

 

 

とくにソフト音源のプリセットだけで作っている方にとっては他者との違いを出すための有力なツールにもなり得ます。

 

 

実はこういった手法は遙か昔から存在するのですが、ソフト音源の充実と共に自分で録音してサンプラーで使うということをしなくなって来たという方も多いのではないかと思いますし、最近DTMを始めた方であれば音源が充実しているのでこんなことをしなくても大抵欲しい音は手に入るため、そもそもやらないという方が多いのではと思います。

 

 

マイクで録音するのは面倒ですし、録音するにはある程度の道具も必要になるため録音環境を揃えるのも面倒だったりします。

 

しかし職業作曲家が担当したBGMなどでomnisphereなどのプリセットの音がそのまま使われていたりする時代なので、他者の差を付けるという意味で音源が充実してきた今だからこそやる価値があるのではないかとも思います。

 

パーカッション系はKontakt音源化するのが楽なのですが、最近は慣れてきたのでウクレレなどの音源にも挑戦してみようかと思っています。

 

お読み頂き有り難う御座いました。

 


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バルトークは作曲は全く教えませんでしたが、ピアノ教育にはかなり関心を持っており、教育目的の作品をたくさん残しています。

 

ミクロコスモス」「子供のために」が代表的ですが、ほかにも「10のやさしいピアノ小品」など子供が音楽に親しむための簡単な作品をいくつも残しており、これらに触れているうちに私も作ってみたくなりました。

 

 

小学校低学年あたりの子供が弾けるような、複雑な和音やオクターブの出てこない(手が小さいから弾けない)簡単で20秒~60秒くらいの短いピアノ曲をたくさん作っています。

 

 

 

forchild

1曲目 DLリンク

 

 

子供が喜びそうなタイトルで作っているのですが、まだ始めたばかりなので10曲ちょっとしかないものの、いつものように作曲そのものよりもFINAREでの浄書に時間が掛かります。

 

 

とりあえず30曲くらい溜まったらセットでA4サイズでまとめようかと思っていますが、作曲3分、FINARE30分以上の手間が掛かり、手書きの汚い楽譜なら速攻ですが、浄書はいつになっても面倒です。作曲よりも、子供たちにどんなことを覚えて欲しいか?指使いはどうするか?のほうが考えるのが難しいです。

 

 

鍵盤で弾くと単純な曲でも、子供たちに様々なアーティキュレーションやディナーミク、音楽用語などを覚えてもらうために書き込むことが多くなるので、上の画像の1曲目もピアノ弾いたら超絶単純のただのスケール上行ですが、楽譜に書き込むとなると文字や記号がどうしても増えていきます。

 

 

ピアノが下手くそなので、技術的な専門性の高いものは私には無理ですが、BGMのように様々な雰囲気を表現して、楽しい、悲しい、不気味、コミカル、綺麗、間抜けetc…、のような表現性の高い小曲はネタが山ほどありますので、それらを子供向けに単純化して、指使いと楽典的な内容の習得に絡めて作っている感じです。

 

 

私には潰せるよな暇はありませんが、ちょっとした時にささっと作って溜めていけばそのうち曲集みたいに出来るかもと考えています。

 

 

悩むのが、何処まで難しいことを曲に取り込んで良いのか?で少しずつレベルアップしていくように考えていますが、アイデアはたくさんあるのである程度まとまったらまた記事を書いて紹介したいと思います。

 

 



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