WAVES Center

ステレオワイドなミックスやマスタリングで活用できる 
WavesのCenterについて書いてみたい。


このプラグインはミックスがモノラルっぽくなりがちで、
もっとステレオワイドな2mixにしたいという方や
マスタリングでMSのS成分の音を増やしたり、
M・S個別でバランス調整を行うのに活用できる。


このプラグインは音声をLRではなくCenterとSide、
つまりMS処理におけるMidとSideに分割して
ボリュームフェーダーで両者のバランスを調整したり、
簡単なイコライジングが出来るプラグインだ。


ステレオ感がいまいちな2mixをワイドに広げたいときに
マスタリングでも活用できるし、
ミックス時にドラムのアンビエンスやシンセのパッド系音色
あるいはミックスバスやマスターバスに挿すことも出来る。

WAVES S1

類似品にWAVES S1があるが、
効果も用途も異なるし、
単純に音をワイドに広げたい時や
左右の異なる音像を作りたいときはS1を使うが、
それ以外はCenterを使うことが多い。


CenterとSidesのフェーダー

CenterとSides(多分LRなので複数形のSides、以下Side)の
フェーダーで両者のバランスを簡単に取れるが、
単なるMidとSideのフェーダーコントロールだけなら、
MS処理が出来るEQやコンプのGAINと同じなので、
このプラグインって意味あるの?という感じになる。


このプラグインの面白いところは
単なるMSの音量調整だけでなくて
ちゃんとミックスやマスタリングで上手く使えるように
予めある一定の音楽的なEQカーブが設定されている点にある。


この特性をちゃんと理解していないと上手く使えないのだ。


まずはCenterから見てみたい。

Centerを10dBカットした場合(クリックで拡大)

上の図はCenter(M成分)を10dBカットした場合だが、
M成分すべてが10dBカットされるわけではなく、
実際にはローエンドとハイエンドの減衰は少なく
中域が凹んでドンシャリっぽくなっているのがわかる。


低域は具体的には500Hzあたりから100Hzあたりにかけて
高域は4kHzあたりから10kHzにかけてシェルビングしている。


つまりCenter(M成分)をカットすると
Center(M成分)の中域だけが減衰する。


丁度この辺りはボーカルがいる音域なので
これによって歌入りの2mixからベースやキックなどを残して
ボーカルを消す(小さくする)のに使えるし、
実際にそういうプリセットがある。



次にSideを見てみたい。

Sideを29dBカットした場合(クリックで拡大)

10dBだと画像でわかりにくいため
思い切って29dBもSide(S成分)を減らしているが、
Center(M成分)と逆の動きをしており、
ローエンドとハイエンドのみが減衰して
かまぼこ型のようなEQカーブが出来上がる。
(ハイの減衰はかなり少ない)


また画像を見ると29dBカットしても実際に
ローエンドは11dBくらいしか減衰していない。
(フェーダーの数値がそのまま音量の減衰と一致しないのは
よくあることです)


M成分と全くの対照で
低域は500Hzあたりから100Hzあたりにかけて
高域は4kHzあたりから10kHzにかけてシェルビングしている。


MとSでEQカーブが一致することで
変にバランスが崩れないようにしてある。


実際に良く使う設定は
マスタートラックにCenterを挿して
Sideのフェーダーをお好みで上げるという
やり方を個人的には使うことが多い。
(全部が全部やるわけではありません)



これによってMS処理におけるS成分が最初から多い2mixを
モニター出来るので、マスタリングでのMS処理をするときに
大体どうなるかが予測できるようになる。


最近の歌ものの曲のようにM成分もS成分も思い切り音が入っていて
音圧があり、ステレオワイドな感じしたいときは
予めこうしておいた方が失敗が少なくて済むのだ。


こうすることでDAWのパンを最大までLRに振った状態よりも
さらに広がりのある2mixを作ることが出来る。
(S成分を無理やり増やすので)



マスタリングで行うであろうMS処理を先に
ミックスの時点で体感しておくことで
「2mixでは良かったのにマスタリングのMS処理で
色々いじくったらなんかおかしくなった。
マスタリングって難しい…」

という事態を避けるのに役立つし、
なんならそのまま書き出すことも出来る。
(どうせマスタリングで行うなら
ミックスで行っても同じです)



ちなみにこんな設定だ。


Centerは0dB、Sidesは6dBブースト。

Centerは0dB、Sidesは6dBブーストという設定なのだけれど、
実際は以下の画像のようなEQカーブになっている。



上記の設定でのEQカーブ

Sideを持ち上げても、実際に持ち上がるのは
Sideのローエンドとハイエンドだけで
全部が均等に持ち上がっているわけではないことがわかる。


実際にミックスで使っている所感としては
ローは低域は500Hzあたりからのシェルビングなので
鍵盤でいうと大体「中央ドの1オクターブ上のド」のあたりから、
ブーストが始まるということになる。


この周波数帯域はボーカルやあらゆる楽器の基音が密集する帯域で
基音をやんわりを持ち上げることでSideの音量が上がったように聴こえる。


なぜ500Hzからのシェルビングなの?と思うが、
全部均等に上げてしまうと中域の
音の堅さや輝きなどが存在する
1kHzから4kHzあたりまで上がってしまい、
S成分がM成分を必要以上に邪魔してしまうということが一点考えられる。


そしてもう1点はミックスでS成分に音を入れにくい周波数が
個人的にはこの中低域の周波数(具体的には100Hzから300Hzくらい)
だと感じているのでWAVESの製作者さんが
「こんな感じがMSでやるときに音楽的なんじゃないの?」という
判断に基づいてるのだと思う。


また高域は空気感、アンビ感を出すのに適切な設定になっている。



要するに単なるMSのレベルを均一で変更するものではなくて
MSそれぞれのフェーダーを動かすと
ある程度音楽的な観点に基づいてEQカーブが
形成されるプラグインということだ。


この「音楽的な観点」というのがWAVESの製作者さん独自のものなので
人によっては「オレとは合わない」ということになるだろうし、
また別の人にとっては「これっていい感じじゃん」という風にもなり、
結局は好みの問題となるが、
個人的には丁度ここが欲しいという部分を上手く扱っているので
良い感じの設定になると感じている。


ここまで詳しくわかってしまえば、

「それってマスターにMSイコライザー挿して
上の画像みたいなEQカーブを好みで作れば同じってこと?」

と考える方も出てくるはず。


Centerの内部処理がどうなっているのか詳しいことはわからないが、
理論的にはEQカーブとMS成分の周波数分布のみを考えるなら
同じということになる。


またCenterにはほかにも
LOW、HIGH、PUNCHのパラメーターが
CenterとSideにそれぞれ振り分けることが出来るが、
これは上述のEQカーブをより顕著にするものであり、
PUNCHも主に中域から高域(WAVESの製作者さんがパンチと考えた帯域)が
持ち上がるようになっている。


LOW、HIGH、PUNCH


要するにワンタッチでWAVESが音楽的と考えた
MSの音像やEQカーブに対する効果を得られるというものだ。



Centerはそのまま挿しても十分使えるが、
このように特性を分析することで
ミックスやMS処理に対する考え方のヒントを得ることが出来る。



どう考えても私なんかよりもWAVESの制作さんたちのほうが
ミックスに対する理解は深いに決まっているので、
彼らの作ったパラメーターをそのまま利用することで
カッコいい音を得るのも良いけれど
(簡単操作で良い音がWAVESのコンセプトっぽいが…)
その中身を分析することで自分自身のMS処理に対する
考えを発展させて行く上での参考にもできるのだ。



また訳もわからずただ使うよりも
何がどうなっているのか自分で理解している方が
ミックスやマスタリングを行う上で
良いに決まっているので、そういった意味でもこういった考察は役に立つ。



まだまだ私は勉強が足らず修行中の身なので、
もっと勉強しなければならないのだけれど、
誰かの役に立つかもしれないので、
良ければ参考にしてください。


Centerに関する動画なども参考になります。





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WAVE ARTの「Panorama 5」を購入した。






音楽のブログ


http://www.minet.jp/wavearts/panorama







バイノーラル録音を擬似的にシミュレートすることで


3Dパンナー・プラグインとして使うことが出来る。






リバーブとは全く異なる「空間」というものを演出できるので、


こういうのが一つ欲しかったのだ。






私はあまり実際のレコーディングに立ち会う機会がなく、


DTMで作曲することがほとんどなのだが、


その時にアンビの音をリバーブで補うというのが


実はあまり好きではなくて、


アンビの音がソフト音源上にある場合はなるべく


それを使うようにしている。






例えばSuperior DrummerやEZdrummer、


あるいはAmplitubeやEW製品の一部にはちゃんとそういう項目があるので


ある場合はなるべくそちらを使うようにしている。






リバーブで行う場合は後段にステレオイメージャーや


コンプを入れるなどして工夫している。







空間を演出するときにリバーブの質そのものも非常に大切だけど、


どれくらいの量をどういう風に響かせるかはもっと重要だったりする。








そういった工夫の余地はあるけれど、


それでもやっぱり擬似的なものなので限界があるのだが、


このPanorama5があれば随分と作業の幅が広がる。






まだまだ使い込んではないけれど、


ミックスで使ったりマスタリングで使ったり、


あるいはボイス加工で使ったりも出来るだろう。








それにしてもバイノーラル特性をを擬似的にシミュレートできるなんて


科学の進歩はすごいなぁと思う。









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bx control v2を購入。

発売セールの時に買ったので日本円で1万円くらいだった。

感想を書いてみたい。



音楽のブログ

bx control v2




早速マスタリングなどで活用しているが、

MS処理をするためだけなら、

WAVESのS1にあるMS MATRIXだけでも良かったが、

MONO MAKERもちょっと気になっていたし、

葛巻善郎先生をはじめ、方々で評判を聞くのでちょっと購入してみた。




WAVESのS1をはじめステレオイメージングのプラグインを持っていない方は

bx control v2を普通にステレオイメージャーとして使ったり、

ステレオデータをそれぞれM・S・L・Rだけの音声にしたり出来るので、

MS処理目的以外でミックスでも使えたりする。



パン・イメージングではLR処理・MS処理を含め、

およそ考えうる限りの処理が可能なので、

ミックスでの使用の可能性を探っていくことも出来る。




せっかく購入したのでMS処理マスタリングで使用しているが、

S1と比較した場合、単にMSエンコーダーとしての性能は

残念ながら私の耳ではわからない。



S1は音がー3dBくらい小さくなるが、

bx control v2では音量に変化がないくらいしか違いがわからない。



具体的にマスタリングで使えそうなのは以下の二つのパラメーター。


音楽のブログ
ステレオウィドス

ミックスの音像を広げることが可能だが、

完成した2mixの段階で目的の広がりを出しているので

あんまり使ったりはしない。



他人の曲をマスタリングしたり、自分の昔の曲をリマスタリングするのに

使うくらいだが、いまのところあまり積極的には使っていない。




音楽のブログ
モノメーカー



こちらは指定した周波数より下のステレオ成分をカットして

モノラルに出来るパラメーター。




こちらも私は2mixの段階で低音がブヨブヨしないように

ぎゅっと締める方法が好きなので、

この機能をアテにしたミキシングはしていないが、

概ね50Hzくらいから下で使ったりする。

(やらないときもあれば、もっと上のときもある。曲により様々)




面白い機能ではあるが、

モノメーカーがあれば何でもかんでも大丈夫なのかと言ったら

そうでもなくてやはりミックスの段階でしっかりしていないといけない。




ただないよりはずっとマシだし、

楽曲によってはバッチリ嵌るものもあるかもしれない。



この機能に頼るというよりも、

しっかり作った2mixをさらにブラッシュアップするという意味で

使えるのであれば非常に効果は大きいと言える。




総評としては動作も比較的軽いので、

購入して良かったと思っている。



WAVESのS1では出来なかったマスタリングでのさらなる追い込みが

可能になったので、今後も重宝することになると思う。




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音楽のブログ


Bass Tightenerはベースの定位を狭めるもの。

ミックスにおいての音像イメージ(サウンドデザイン)の1つとして

低音は締め、高音域には広がりを持たせるというものがあるが、

通常の手法ではモノラルデータはそれ以上定位が狭くなることはない。



Bass Tightenerは用いればモノラル以上に狭い定位を作り出せる。

低音のブヨブヨ感が嫌なときはこれを使うと良い。