雑感(オクターブについて)

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前に作った【天使と妖精】の続きを作っているのですが、もっと高いオクターブが欲しいと最近よく思うようになりました。

 

 

 

 

前回の曲は出だしからして高い音で始まり、ピアノ最高音・最高のオクターブも頻繁に登場するわけですが、これでもまだ足りずもう2オクターブくらい上が欲しいです。

それくらいあれば、とりあえず作りたいと思える曲を当面作ることが出来ると感じています。

 

 

人間の可聴域は20,000Hzまでと言われていますが、実際はそこまで聞こえない人は多いものの、ピアノは88鍵盤で最高音はC88(4,186Hz)であり、まだまだ余裕があります。

 

 

つまり、あと2オクターブということは現行のピアノ最高音(C88)の1オクターブ上の8,372Hzや2オクターブ上の16,744Hzまで作ろうと思えば作れるわけで、鍵盤で言うとC112になり、現行のピアノ88鍵盤+24鍵盤で112鍵盤ピアノです。


20,000Hzまでもうちょっと余裕があるので、本当は2.5オクターブくらいは欲しいですが、シンセや音源では可能かもしれませんが、実際にそんなピアノが作れるのかどうかはコスト的にも、商品価値的にも、技術的にも疑問です。

 

 

 

余談ですが、ドビュッシーの海のスコアには下のような部分が出て来ます。

 

 

 

オーケストラをお作りになる方ならご存じの通り、グロッケンシュピールは記譜は実音の2オクターブ下なので、実際にはこの2オクターブ上の音が鳴ることになりピアノの最高音を超えてしまいます(このレ♭はピアノの最高音の半音上です)。

 

 

鉄琴はピアノの最高音のドからさらにレミファ(F93)まで出るタイプもあるのですが、それかと思ったらフランスではGlockenspielというと箱入りのいわゆる鍵盤付きグロッケンシュピールタイプを指すらしく、日本でいうGlockenspiel(いわゆる鉄琴)はjeu de timbresというらしいです。

 

 

 

鍵盤付きグロッケンシュピール

 

 

「箱入りのグロッケンシュピールってチェレスタとは違うのか?」と思われるかもしれませんが、バチの種類が違うので音はかなり違います。チェレスタはバチがフェルトなので丸みのある音ですが、鍵盤付きグロッケンシュピールは硬いバチ(金属や象牙など)で叩くので、音色もかなり硬くチェレスタというよりはほとんど音色はグロッケンシュピールと同じです。

 

 

チェレスタ

 

生の鍵盤付きグロッケンシュピールはまだ見たことがありません。動画の音も「それってただのグロッケンシュピールじゃん」という感じで、ブラインドで聞かされて「何の楽器が当ててみろ」と言われたらまず間違いなくグロッケンシュピールと答えます。

 

 

私の知る限り一番古い例ではモーツァルトの魔笛に鍵盤付きグロッケンシュピールが登場し(当時流行っていたそうですので、多分もっと古い曲があります)、その後一旦断絶?して、ドビュッシーやラヴェルの近代フランスの時代になると復活します。海やダフニスとクロエなどで使われていますが、日本で演奏される場合は果たしてチェレスタで代用するのか、グロッケンシュピールで代用するのか、それとも鍵盤付きグロッケンシュピールをなんとか手に入れるのか判断が分かれるのではないかと思います。

 

 

実際極端に珍しい楽器なので、プロオケでも魔笛をチェレスタで代用するという話を聞いたことがありますし、音的にはチェレスタよりもグロッケンシュピールのほうがずっと近いので、鉄琴で良いのではないかと思います。少なくともDTMでは普通のグロッケンシュピールでOKな気がします。

 

 

 

斉藤楽器 SG120

 

斉藤楽器のSG120のグロッケンシュピールはF93(ピアノの最高音の完全4度上)まで出ますので、記譜通り弾くならこの手のハイトーンが出るタイプで十分です。

 

 

音域が許せばチェレスタで代用するのもなしではないでしょう。古楽器を現代の楽器で代用したり、好みで使い分けたりすることもゼロではないですし、アマオケなら潤沢な資金を期待できない場合のほうが多いので、ありものの楽器でなんとかするというのが現実的なのではないと思います。

 

 

近代フランス音楽の作曲家たちが使っていたのは最高音がピアノの最高音の長3度上のE93まで出るタイプなので、譜面に出てくるGlockenspielは鍵盤付きグロッケンシュピールであって、チェレスタではないため、やはり前述の海では2オクターブ上で正しいということになります。


 

 

ちなみに海は表紙が思い切り葛飾北斎ですが、ドビュッシーは浮世絵や日本趣味があったらしく北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」から引用しています。

 

 

 

周波数のことを考えるとグロッケンシュピールは基音と4倍音が強く出るようにチューニングされていますので、ピアノのC88=最高音のド(4,186Hz)の4倍で16,744Hzが鳴っていることになります。

 

 

近代フランスで出てくる鍵盤付きE92は5,274Hz(基音)×4倍音=21,096Hz、

F93タイプのグロッケンシュピールなら5,586Hz(基音)×4倍音=22,344Hz、

となり倍音の方は可聴域を超えてることになりますが、こういう仕組みで楽器が作られているならピアノやその他の楽器も、もっと高い周波数を開拓してくれも良いのでは?と思います。

 

 

ちなみにModarttのpianoteqは通常の88鍵盤よりも下はオクターブ、上は完全4度まで鳴らせます(F93のグロッケンシュピールと同じ)。

 

 

 

 

88鍵盤以上の音域があるピアノを知っていますが、相当レアで一般に普及しているとはとても言い難く、作曲においても基本は88鍵盤内、拡張しても上はF93あたりまでというのが現代の限界なわけで、これを打破したいですし、打破すれば自分の作りたい音楽の一面を開拓出来ると考えています。

 

 

やろうと思えばWAVE化した後にピッチシフトでオクターブ上げたりするなど出来ないこともありませんので、色々挑戦中です。

 

 

鍵盤が88鍵より増えないのはそれ以上高い周波数が鳴っても現行の人類は音程を聞き分けられないという理由からですが、音程が欲しいというよりは(音程も欲しいですが)、もっと高い波長の透明感のある音色が欲しいというのが作曲上の要望です。表現したいものがそういうものに変わってくるにつれて必要となるオクターブや音色も少しずつ変わってきました。

 

 



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長らく絶版だったメシアンの論文である「わが音楽語法」が音楽言語の技法というタイトルで再版されるようです。

 

わが音楽語法は1954年の出版で64年振りの復刊となり、平尾 貴四男 (翻訳)が音楽言語の技法では翻訳が別の方になっているので、文体は違うと思われますが、目次を見る限り中身は全く同じようです(ページ数も同じくらい)。

 

高い金を払って中古を買うよりも新刊の方が絶対に良いと思いますし、私もよくBGMでメシアンの技法を使って作ったりするので作曲の幅を広げるという意味で勉強中の方は目を通しておかれると良いかもしれません。

 

旧刊は500円ですが、新刊は7,560円と時代を感じる価格設定です。関係ありませんが、調べたところ当時の物価は下のような感じです。

 

 

大卒初任給(公務員)8.700円 

高卒初任給(公務員)5.900円 

牛乳:15円 

かけそば:25円 

ラーメン:35円 

喫茶店(コーヒー):40円 

銭湯:15円 

週刊誌:25円 

新聞購読料:280円 

映画館:130円

 

 

単純比較は出来ませんが、(2018年現在は)映画は通常料金だと1,800円くらいなので当時の13.8倍、銭湯は600円くらいなので当時の40倍、週刊誌はどういうのを指しているのかわかりませんがジャンプなら250円、ゴシップ誌なら400円くらいなので10倍~16倍、大卒初任給は大雑把に20万円くらいなので約22倍。

 

 

銭湯は当時はお風呂がなかったアパートも多く必須だった人もいたはずですが、今は風呂なしのアパートはほぼゼロでしょうし、銭湯はレジャー的な意味合いに変わりつつあり、当時と社会における立ち位置が変わっている面があります。

 

喫茶店のコーヒーは個人経営なら大体400円~450円くらいなので、8倍か9倍です。

 

ラーメンは有名店だと一杯800円くらい?なので22倍くらいですが、今のラーメンはどちらかというとグルメっぽいカテゴリーになったような気もしますし、初任給は景気にも左右され、牛乳やかけそばもデフレが関係するので一概に単純計算出来ませんが、肝心メシアンの本の価格は15.5倍で週刊誌の倍率と比べると同じような設定なので、当時も今も音楽を学ぶ人の財布と相談すると似たような金銭感覚なのではないかと思います。

 

 

当時(1954年)の人も「メシアン本は500円か~、ちょっと高いな…」って言っていたことでしょう。

 

 

作曲的にも示唆し富んだ内容ですし、技術の幅も広がりますし、ちょっと高めですがお勧めです。

 

 

 

 

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自分の趣味の音楽やBGMを作る上で音楽の形式はとても大切な問題ですが、明確で、均整の取れた、合理的な形式と構成の正反対に位置するレチタティーヴォを取り上げてみたいと思います。

 

 

レチタティーヴォはいわゆる形式とは正反対の無形式の音楽であり、オペラでお話を進行させるための独白(モノローグ)部分で使われるのがもっとも一般的な用法です。

 

 

レチタティーヴォというと基本はオペラですが、私個人としてはベートーヴェンの第9番の4楽章の冒頭のレチタティーヴォが印象的です。

 

 

 

フルトヴェングラー ベートーヴェン 《歓喜の歌》

 

 

台詞はベートーヴェン音楽ノートに本人の楽譜の上に書き込みがあるのでそれを参考にしています。青文字がベートーヴェンの書き込みです。

 

 

①まず最初に暗い序曲(ニ短調)

 

 

 

 

「いや、これは私たちの絶望を思い起こさせる」

コントラバスとチェロがレチタティーヴォの台詞担当みたいになっています。

 

 

③もう一度序曲、今度は属和音化される

 

 

「今日はめでたい日だ。この日を歌で歌おう!そして…」ニ短調へ転調

 

 

⑤第1楽章の主題

 

 

「いや、これではない。これとは違う好ましいものが私の求めているものだ」途中でイ短調のⅡの和音へ変わって転調

 

 

⑦第2楽章のスケルツォ主題

 

「これでもない、良くなっていない、違った、ただもっと明るいものを。」

ロマンロランは「これでもない、道化に過ぎぬ、違った、ただもっと明るいものを、美しいものを」と訳しています。

 

 

⑨第3楽章のアダージョ主題

 

「これも優し過ぎる。……のような【快活なもの?】を探さなければならない。私は君たちに…(人)声部のところを自分で歌って聞かせよう。私のあとに…」

 

 

⑪歓喜の歌の主題の冒頭が登場

 

 

「これこそそうだ、見つかった歓喜。我らに不滅のシラーの歌を歌わしめよ」

 

 

⑭ここから歓喜の歌の主題が導入されてチェロ+コントラバスから徐々に盛り上がっていく。

 

 

 

…という風に歓喜の歌を導入するための方法として、1楽章、2楽章、3楽章のそれぞれのテーマを一度出しては否定し、最後に歓喜の歌を出して肯定するという方法が取られています。

 

 

「チェロ+コントラバス」と「それを除く管弦楽」の対話のようになっていますが、レチタティーヴォは本来オペラなどでお話の進行のモノローグのようにあまり厳格でないテンポで自由に歌われるものなのにベートーヴェンは「Selon le Caractère d'un Recitatif, mais in tempo」とこのレチタティーヴォは厳格な速度でテンポ通りにやってくれと楽譜にわざわざ書き込んでいます。

 

 


1825年のロンドンで第9の初演を担当した指揮者のジョージ・トーマス・スマートがこの部分に関して「テンポ通りと言いますが、それではレチタティーヴォでなくなっちゃいますよ?」的なことをベートーヴェンに質問したら、ベートーヴェンは「そういうことを言うヤツもいる」と答えたそうで、作曲者自身が楽譜にテンポ通りにと書き込んで、指揮者からの質問にもこのように答えているわけで、いわゆる典型的なレチタティーヴォとは違いますが、なるほど非常に効果的で面白い手法だと思います(このときベートーヴェンは55歳、スマートは49歳)

 

 

こうして歓喜の主題が表れるわけですが、自由に行われる二人の対話や独白(モノローグ)はいわゆるルールがあるわけではなく自由に進行していきます。

いわば形式のない形式ともいうべきものでこれは色々と応用が利きそうです。

 

 

 

 

 

フランク ヴァイオリンソナタ3楽章

 

レチタティーヴォの使い方は色々あって、バッハのマタイ受難曲が有名ですし、フランクはヴァイオリンソナタの3楽章にレチタティーヴォを持ってきています。ドビュッシーはペレアスで近代的な管弦楽のレチタティーヴォを使ったりしていて色々と作例は存在します。

 

 

一人で延々と喋ったり、対話をするようなフレーズがレチタティーヴォであり、そこには形式や構成のルールはないため何でもアリの無法地帯になるわけですが、これはこれで面白いので基本的な形式に飽きてしまった方にお勧めです。

 

 

 



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23番のピアノソナタ熱情はベートーヴェン中期の傑作であり、ソナタ形式の各部を有機的に結合することに成功しているおそらくは歴史上初の作品です。

 

基本的に一般の音楽を聞く愛好家の方は作曲における形式というものをほとんど重視しませんし、また意識することもあまりありません。ソナタ形式1つ取ってみてもただ聞くだけだとなかなかちゃんと理解するのが難しいです。

 

 

大抵はメロディーがカッコイイとかハーモニーが美しいとかリズムが面白いとか(楽器の)音色が素晴らしいとか短い時間軸で判断されることが多いのですが、作曲する側はある程度長い曲を作ろうと思うと、部分々々(例えばAメロとかBブロックなど)を並べていく作っていくわけで、形式とか構成といった問題を無視することが出来ません。

これは小品でも数時間に渡る大作でも同じです。

 

 

ポップスやロックなどの歌ものは基本的にAメロ、Bメロ、サビのようなシンプルなものが多く、多少の変化があってもほぼ固定化された形式があり、大抵の場合は歌のパートはAメロ、Bメロ、サビに分類されて、これらが順番通り並べられます。工夫の余地がないわけではありませんが、簡単に把握できる単純なものが多いです。

 

 

 

対してBGM的な作品やクラシックの作品は工夫されているものが多く、特にクラシック作品から得られるアイデアは多いです。特に趣味でクラシック的?な作品を作るのが好きな私はやはり古典の音楽に魅力を感じます。

 

 

 

形式における均整や有機的な繋がりや合理的考えを「現代に通用するレベル」で確固たる形にしたのはベートーヴェンであり、そこには単純な素材の羅列を大きく超えた美学のようなものが感じられます。

 

 

 

我々がある作品を作る時、Aメロを8小節、Bメロを8小節、Cメロを8小節、…と複数のブロックをただ並べるだけでもある程度長い曲を作ることが出来ますが、これだと単純過ぎますし、形式美や構成力としてはとても弱々しい作品になってしまいます。

 

 

タイトルの「熱情」の第1楽章は典型的なソナタ形式ですが、ベートーヴェンが各部分の結びつきを強くするため、言い換えると単なるA、B、C、D…と素材の羅列にならないように、全体を有機的に結びつけてようとして成功している作品のもっとも古い傑作の1つであり、この作品をほんの少しだけでも覗いてみることに意味があると思いますので一例を見てみましょう。

 

 

 

 

楽譜はこちら

 

 

第1主題の冒頭(第1動機)

冒頭

 

第1主題の確保(第一動機の変奏)

17小節目

 

 

まず第1主題が提示された後に、すぐに第1主題は確保されますが、そのまま登場させずに上行音型を保ったまま旋律が和音がされています。

 

確保兼展開みたいになっていますが、動機のリズムを縮小することで和音化されている例です。ドビュッシーも同じようなことをしていますが、多分動機の縮小をゼロ距離まで縮めたのはベートーヴェンが最初かもしれません。

 

第1主題の冒頭はコードネームでいうとFmのアルペジオみたいな動きですが、これが全体の上行する動きを保ったまま和音化されているわけです。

 

無関係な素材ではなく、ただ反復するだけでもなく、展開しつつも確保しています。

 

 

 

第1主題 第2動機(赤い四角内)

冒頭

 

 

確保部分(第1動機の変奏と第2動機の組み合わせ変更の新フレーズ)

20小節目

 

 

こちらも確保の部分ですが、提示された第1主題の第1動機の変奏と第2動機が交互に表れて、既存のフレーズを変奏+並び替え+和声の変化で新しいフレーズを作っています。

 

新しい無関係なものを新しく並べるのではなく、提示された素材を変奏し、展開することで各部分を有機的に結びつけようとしています。

 

 

第1主題の第6動機の3連符のリズム

11小節目

 

 

推移部分は第6動機の3連符の上で第1動機のリズムの新フレーズ

27小節目

 

第1主題の第6動機で出てくる運命と同じ3連符のリズムは使い捨てではなく、推移部分でも使われています。このリズムの上で第1動機の冒頭のリズムが新しいフレーズを作り出していますが、ここでも無関係の新しい素材が挿入されるのではなく、主題を元に展開された推移フレーズとなり無関係な素材の羅列になっていません。

 

 

第1楽章はソナタ形式になっていますが、こんな風に全体を通して無関係な素材がどんどん登場して、素材の羅列によって曲が作られているのではなく、全体を有機的に結びつけようとするベートーヴェンのテクニックはかなり参考になります。提示部、展開部、再現部と通して見れば得られる技法はたくさんあります。

 

 

たまに「ベートーヴェンは偶発的要素を一切導入しない」みたいな文章を書籍で見かけますが、さすがにそれは言い過ぎとしても全体の傾向として(特に中期以降は)、素材の羅列を嫌い全体を有機的に結びつけて、ソナタ形式の各部分、あるいは各楽章間に関係性を持たせて、全体で1つの作品であるという性質を強めようと努力している例をたくさん見つけることが出来舞う。

 

 

 

彼の死後、ロマン派の時代に入ると循環形式やもっと複雑なソナタ形式などの形式が登場しますが、大体はベートーヴェンが元ネタになっている部分が多いので、ベートーヴェンの曲を現代の私たちが参考にするのは、ロマン派の作曲家たちが勉強したベートーヴェンの作品と同じものを勉強するという意味では有益です。

 

 

よくBGM系の曲でも勉強中の方がそのBGM作品を真似しようとしますが、それ自体は決してわるいことではないものの、その作品を作ったプロの作曲家は多分ベートーヴェンなどのクラシック作品を勉強しているはずなので、①ベートーヴェン→②有名な現代の劇伴作曲家→③自分だとコピーのコピーみたいになってしまいますので、①ベートーヴェン→②自分のほうがオリジナリティーは出しやすいはずですし、元となったものを学ぶのは意味があるはずです。

 

 

 

曲を作るときにAブロック→Bブロック→Cブロックと無関係の素材をただ羅列することは簡単なですが、それでは形式や構成力の美しさや統一性が弱いため、なんとかしたいという勉強中の方はベートーヴェン辺りからスタートすると良いのではないかと思います。

 

 

そこから初めてロマン派や近代・現代の作品に入っていければ構成や形式の側面で成長出来ると思いますし、同じ悩むにしてもより高いレベルでの悩みになるはずです。

 

 

単純にメロディーが綺麗だとか、コード進行がカッコいいとか、リズムが面白いとか、そういった短い時間軸のみに焦点を当てることは決して悪いことではないのですが、全体としての形式美や構成力という点を養うためにはもっと別の角度からの勉強方法が必要になります。

 

 

和声が理解出来るようになったら、作曲技法や全体の構成に目を向けるとたくさんのものを得る事が出来るはずです。

 

 



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ナジェンダ・フォン・メック婦人(仮名です、チャイコフスキーの有名なパトロン)が学生のためのレッスン費用を(まずは実験的に6回=3ヶ月分)負担して下さることになったので6回分の無料レッスン生(未成年のみ)を若干名募集致します。

前回と年齢と審査内容が変わりました。ピアノ曲(手書き譜面あり)のみの審査です。


未成年の方で無料でDTM作曲レッスンを受けたいという希望をお持ちの方は下記要件をお読みになってから、審査に必要なデータを添えてメールにてご連絡下さい。(6回分レッスン致します)。

条件は婦人と話し合って決められたものですが、募集して下さった方全員が受講することはおそらく不可能なので、駄目でも恨まないで下さい。



婦人からは学生のためにある程度のレッスン代を頂いていますが、まずは実験的にやってみる感じです。

 

 

おそらくレッスン内容は作曲理論や和声、対位法などの基礎的な内容になると思われますが、基本的に生徒さんの御希望の内容を行います。



【目的】
経済的に自立していないが、作曲を学びたい優秀な学徒への支援。
但し一定以上の作曲レベルに到達している方のみに限ります。
 *下記の審査方法をお読み下さい。


【募集資格】
■年齢などについて
・未成年であること
・安定したネット環境があること(skypeのIDを予め取得して下さい)
・パソコン、DAWなどDTM環境を持っていること
・将来プロの作曲家を目指していること 
 趣味や別の職業を目指している場合はご遠慮下さい。

・年齢、身分を偽る方はいないと思いますが、もしかしたら高校生以下であることを確認出来る何か(学生証など)を提示して頂くかもしれません。その場合は提示をお願いします。



【募集期間】

2018年2月23日まで(定員になり次第終了)
 

【定員・形態・期間】
・募集若干名(審査あり、1~2名)
・skypeでのレッスンのみ
・2週間に1回の3ヶ月分(全6回)です。

 

【審査方法】
・審査があります。落ちても恨まないで下さい。審査は婦人と私が致します。データ形式という特性上、返却は致しません。また審査以外には使いませんのでご安心下さい。

 

自作の①ピアノ小曲(2分~3分程度)の【譜面(手書きでもソフト浄書でも可)】【MIDIかMP3を提出】して下さい。MP3などだけで譜面がないものや編成などの条件に沿わない作品は不可です。曲に関する簡単な解説もあると有り難いです。

 

手書きの譜面はスキャナーで画像データ化して下さい。スキャナーはコンビニのプリンターでも出来ます。PNG,JPG、PDFなどでページ順番がわかるようにお願いします。

 

 

譜面のみの場合は可としたいのですが、「MIDIが作れない」=「DTMでの音楽製作環境がない」ということになりますので、市販のDAWソフトがなければフリーのDAWなどを活用するようにして下さい(今日の音楽製作においてはDAWは必須という理由からです)。

 

 

譜面は重要な審査基準です。DAWのスコア画面をそのままスクショしただけの譜面とは呼べない譜面、読みにくい・汚い・譜面は減点対象になります。

 

 

審査の目的は最低限の楽典レベルの知識の確認や最低限のメロディーやコードを自分で作れるか?を計るためです。

 

 

【簡単な音楽歴など】

氏名、年齢、音楽のご経験や使用音楽ソフトなど簡単にメールに記載して下さい。



【音楽について】
・一般的な音楽理論や和声法や対位法に関しては未習得で構いません。

【回数・日時】

60分・1コマ・月2回を予定しています。

日時は原則的にこちらの要望でお願いします(相談可)。

今回は6コマ分(3ヶ月)のみですので、6コマ行った時点で一旦打ち切りになる予定です。
 

 

【メールアドレス】

http://uyuu.jp/lesson.html

上記のサイトにメールアドレスが記載されています。

件名を【作曲レッスンの件】などにして頂ける助かります。

迷惑メール設定などで送受信が上手く行かない場合が

  ありますので、予めご注意下さい。

 

【応募に必要なものまとめ】

・メールに氏名、年齢、音楽のご経験や使用音楽ソフトを記載

・ピアノ小曲のMP3かMIDIデータと譜面(手書きかFinare Notepadなどで作ったもの)


 

【通知】

原則通知は2018年2月23日以降になります。早めに定員になった場合はそれ以前になるべくご返信し、このブログ内でも告知致します。

 

審査における夫人とのやりとり、また送られてきた作品の確認などで、返信に時間が掛かることがあります。

ご興味がおありの方はご連絡下さいませ。

 

 

現在skypeでDTM・作曲のレッスンをやらせて頂いているのですが、数としてはそれほど多くないものの忙しいなどの理由でレッスンは出来ないけれど、メールなどで曲や課題を送って添削して欲しいというご要望が少しずつ増えてきました。

 

 

ですので赤ペン先生みたいな感じで、データのやり取りだけで良いので課題や曲を見て欲しいという方がいらっしゃいましたら私で良ければ添削やアドバイスなどをさせて頂きます。

 

 

skypeでレッスンする時間が取れない、skypeで直接話をするまでもないけれど、課題や曲を見て欲しいという方はあまりいらっしゃらないと思いますが、宜しければどうぞ。

金額は決めておりませんが、内容と分量で判断させて頂きます。最低で\2,000-~\5,000-(1レッスン分)くらいで妥当だと思う分量を送って下さると有り難いです。

 

 

理論的な内容は通信添削で問題ないと思うのですが、曲の添削などは試験的な試みですので、質問内容が不明瞭だったり、書面だと解答が難しい場合があると思います。複雑なケースも考えられますので、内容や金額はメールにて御相談させて頂くことがあると思います。

 

 

主に私が書いた作曲の基礎理論の本汎用アレンジの本に掲載されている【理解度の練習問題】と【課題】について、果たしてちゃんと課題曲が作れているのか?理論的な内容が理解出来ているのか?について通信添削致します。

それ以外のアナリーゼやDTMの御相談などでもお受けしますので、何か御座いましたらこちらのレッスン案内ページのメールアドレスから御相談下さいませ。

 

作曲基礎理論は下記のようなchapter構成になっていますので、ご参考下さい。



【初級者の方はこちらからスタートがお勧めです】

作曲の初心者、あるいは初心者ではないけれど基礎的な内容を完璧にしておきたい方にお勧めです。作曲は基礎がないがしろにされても簡単な曲を作ることが出来ますが、高いレベルに達するためには基礎内容の明確な理解は絶対に必要です。

 

Chapter 2 音程

音程がちゃんと分かっていない方は意外に多いのですが、とても大切なところなのでどんな音程も確実にわかるようにします。主に問題と添削になります。

 

Chapter 3 調と音階

すべてのメジャースケールとマイナースケールを覚えましょう。こちらもちゃんと覚えていない方が意外に多いです。基本的に暗記的内容になりますの、暗記と確認テストのみとなります。


Chapter 4 和音

すべてのメジャースケールとマイナースケールを覚えましょう。こちらもちゃんと覚えていない方が意外に多いです。基本的に暗記的内容になりますの、暗記と確認テストのみとなります。


Chapter 5 コード進行の基礎

自力で基本的なコード進行を作れるようになるのが目的です。ポピュラーソングのコード進行などもある程度まで理解出来るようになるのが目的です。

自力でコード進行を作る課題を添削致します。

 

 


【中級者の方はこちらからスタートがお勧めです】


Chapter 6 コードスケール

すべてのコードスケールをすぐに言えるようになるのが目的です。この後に続く作曲技法の基礎的な土台となる箇所です。

考え方、覚え方、応用方法などを理解しているか確認テストを行います。


Chapter 7 ボイシング

様々なボイシングテクニックを活用した実際の作品を制作し、その添削を致します。


Chapter 8 ドミナントモーション&II-V

Chapter 9 セカンダリー・ドミナント
Chapter 10 サブスティチュート・ドミナント
Chapter 11 サブドミナントマイナー
Chapter 12 ナポリの和音
Chapter 13 ディミニッシュ
Chapter 14 sus4コード
Chapter 15 ブルース的アプローチ
Chapter 16 ペダル音
Chapter 17 アッパー・ストラクチャー
Chapter 18 スラッシュコード
Chapter 19 メロディックマイナー
Chapter 20 ハーモニックマイナー

 

Chapter8~Chapter20はいわゆる作曲でよく用いられる音楽理論です。内容の理解度確認の問題とそれらを実際に用いた課題曲の添削を致します。

 

 

【中級者の方+αの内容です】
Chapter 21 メロディー
Chapter 23 転調
Chapter 24 長調・短調を脱した作曲法
Chapter 25 楽式(曲のフォーム)ついて
Chapter 27 作曲理論に関する補遺
Chapter 28 自己分析

 

Chapter21~Chapter28はいわゆる作曲でよく用いられる音楽理論です。内容の理解度確認の問題とそれらを実際に用いた課題曲の添削を致します。

 

 

 

UADのChandler Limited【Zener Limiter】を導入しました。

マスタリング用、バス用、トラッキング用、など色々な用途で使えるとても個性的なコンプレッサーで、要所要所でぼちぼち使っています。

 

 

UAD Chandler Limited【Zener Limiter】

 

 

 

こちらは実機

 

実機はとてもではありませんが価格的に手は出ないのですが、Abbey Road系のプラグインは昔から好きなので気に入っています。

 

以前はAbbey Roadスタジオから複数出ていたプラグインも大棚のAbbey Roadスタジオが経営難でプラグイン版は一部softubeに移行し、使えなくなってしまったものもあるのでUADで復活してくれて嬉しい限りです(作っているのはSoftubeですが)。

 

 

RS124

 

昔RS124というコンプレッサーのプラグインがあったのですが、RS124とキャラ的に似ています。

 

 

UADの販売カテゴリーではマスタリングに分類されていて、ステレオコンプレッサーですのでマスタリングで使っているスタジオもあり、原則プラグインでも同じ用途だと思うのですが、私はバスコンプレッサーとして使うことが多いです。

 

〇3つのコンプ・リミッターモード

 

 

 

Fairchild660

 

3種類の設定がありますが、comp1はRS124をエミュレートし、LimitはFairchild660のレスポンスカーブをエミュレートしているらしく、comp1はアタック遅め、Limitは速めです。

その中間くらいの設定がComp2でコンプでアタック感を作りたい時に使えます。


 

VUメーターでGRを見れらるのも良い感じです。

 

 

〇アタックとリリース

 

 

アタックとリリースは具体的な数字ではなく感覚的な設定になります。これはコンプモードとリミッターモードで実際の数字が変わるからだと思いますが、Comp1、Comp2、Limitの3つのモードで幅の広いアタックとリリースの設定が可能なので使い勝手は良いです。

Limitモードは遅いアタックで使えばハイレシオのアタックの遅いコンプと同じですので、実際は3つのコンプレッサーがあると言えるかもしれません。

 

〇サイドチェイン

 

これがなければ買わなかったというパラメーターがHPFサイドチェインです。昨今のコンプではHPF以外にも多彩なサイドチェインが付いているものがありますが、とりあえずバス用やマスタリング用として、あるいはトラッキング用としてもHPFがあれば十分です。

 

むしろサイドチェインがないとどうしてもポンピングっぽくなってしまうことがあるので、重宝するというよりはバスでは必須とも言えます。ベースやキックでもよく使います。

 

ポンピングしないようにローを減らせばサイドチェインなしでも行けますが、それだと寂しいですし、それでなくてもキャラ作りとしても有益なのでサイドチェインはあった方が便利です。

 

 

このサイドチェインとアタック・リリース+3つのモードで結構広い音作りが可能であり、見た目よりもずっと応用の効くコンプレッサーと言えます。

 

 

〇INPUT GAIN

High で 300Ω 、Low で 1200Ω と説明書に書いてありますが、HIGHにするとより強烈なZener Limiterのキャラクターを得ることが出来ます。キャラを薄くしたいときはLowにするのですが、元のソースが小さい時にINPUTだけで対応出来なかったり、INPUTを下げてHIGHモードにしたりしたりするものの、私の耳ではインピーダンスによる音色の違いはいまいち感じ取れません(実際はエミュレートされているのかもしれませんが…)。

 

キャラが強くなるという言葉を単純に入力音が増えればコンプを通る音が増える=個性が強く反映されるという意味で使っています。将来的にUnisonレコーディングに対応すればその辺も実装されるのかもしれません。

 

 

〇MSモード

MSモードがあるので、ミックスやマスタリングでMS処理をしたいときに簡単にできます。マルチモノとして動作しているのでL/R、またはM/Sで個別の設定が出来ます。

 

 

〇THDモード

THDはtotal harmonic distortion、つまり歪みを加えるだけのモードでコンプレッションが行われない設定です。

 

よくコンプにあるレシオ1:1の設定と同じで単純にそのコンプのカラーを付け加えるためだけのモードですが、サイドチェイン+INPUT(スレッショルド)の動きに対応して倍音が加わります。

 

最大で5%と設定次第で結構強い歪みを得ることが出来ますが、これがZener Limiterの個性的な音のポイントとも言える部分で、アナログ的な心地よい歪みです。

 

 

Distressorの1:1レシオ

 

 

Kramer PIE Compの1:1レシオ

 

 

1176のコンプレッションOFFモード(1:1と同じ)

 

 

1:1のレシオでコンプレッサーのトランスやアンプだけを使う設定はほかのコンプにもたくさんありますが、プラグインにおいていまいちそれらの使い方に魅力を感じなかったものの、Zener Limiterではその魅力を感じさせてくれます。

 

 

テープや真空管やコンソールやプリアンプのシミュレーターと似ていますが、それらとはまたちょっと違った個性的な音であり、効果の強弱をコントロール出来るので、単にアナログ的な歪みを加えるだけの目的で薄らと使うこともあります。

 

 

コンプレッションとしては個性の強いものですが、設定としてはサイドチェインに加えて幅広い色々な設定が出来るためトラッキング、バス、マスタリングなんでも使えます。

 

 

アナログ感が強いため透明な感じが欲しいとは選択肢から外れますが、デジタル全盛のこの時代にソフト音源中心で曲を作る中では質の良いアナログ感を出してくれる優秀なプラグインです。

 

 



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UAD版のEmpirical Labs EL8 Distressorを導入しました。

 

 

 

プラグイン版Empirical Labs EL8 Distressor

 

 

こちらは実機

 

プラグインは実機を真ん中で切って2段に重ねたようなレイアウトなのですが、なぜかGUIがほかのプラグインに比べて大きいです。妙にサイズが大きいのはなぜでしょうか。個人的には実機そのままで横長にして欲しいと思ったりします。

 

 

色々なアナログエミュレーションが可能であり、スタジオでもとても評価の高いコンプレッサーで私も常々実機が欲しいと思いつつ、「エミュレーションはなぁ…」と渋っていたのですが、エミュレーションと考えずにDistressorという個性を持ったコンプだと考えれば、非常に自然でロック系のギター、ベース、ドラムに適したハイクオリティーコンプレッサーだと感じています。

 

 

一応アナログエミュレーションを謳っていますが、音は本物のアナログ機器というよりはもっと綺麗なアナログと言った感じです。

 

 

一応設定でいくつかのアナログ有名コンプレッサーの設定をシミュレート出来ると説明書には書いてあります。

 

 

LA-2A

 

dbxのover easyモード
 

1176LN

 

 

Fairchild670

 

 

これらのコンプをどうやってDistressorで再現するのかというと、各種パラメーターの設定をある特定の位置に動かすとそれっぽくなるそうです。

 

個人的にはdbxだ、LA-2AだFairchildだ、と考えずにソースに対して適切な処理をするという使い方をしているので、特定の機器のシミュレートはあまり意識してはいません。

 

設定出来るパラメーターを簡単に見てみましょう。

 

〇レシオ

 

レシオ

 

レシオは1:1~20:1、またはNUKEです。NUKEは核兵器みたいな意味ですが、20:1を超えるハイレシオでリミッターモードみたいな感じでしょうか。

10:1がOPTOモード(LA系になっています)。

LA-2Aはレシオが3;1のはずですが、入力によって動作が変わると説明書にあるのDistressorもひょっとしたらそうなのかも?しれません。

 

 

〇4つの基礎パラメーター

 

4つの基礎パラメーター

 

 

アタックは50マイクロ秒~30ミリ秒です。高速アタックで音も作れますし、LA-2Aみたいなヌルんとした遅い感じも可能な幅広い設定です。但し説明書にはレシオが 2:1, 3:1, 4:1のときはもっと短いアタックになると書いてあります。

 

多分1176は通常設定最短の50マイクロ秒よりもさらに短い20マイクロ秒なのでそれを意識しているのではないかと思います。内部では複雑なことをやっていそうな感じです。

 

 

リリースは50ミリ秒~3.5秒までで、長い設定幅を持っています。音作りには困らなさそうな感じです。10:1 のOpto modeだと20秒まで長く出来ると書いてありますが、リリースのダイアル自体がOpto modeだと長めの設定に変わるようです。

 

INとOUTは実機のアンプやトランスをフルエミュレーションしていると書いてありますが、1:1で使ってもDistressorのカラーを加えることが出来ます。

 

 

 

〇ヘッドルーム設定

 

ヘッドルーム設定

 

ヘッドルーム設定はUADのプラグインによく付いているキャラ付けの強さをコントロール出来るオリジナルパラメーターです。Distressorの実機には付いていませんが、必要に応じてクルクル回します。

 

また同じく実機にない機能としてパラレルコンプレッサーの機能も付いています。

 

 

〇DETECTOR SECTION

 

DETECTORの種類

 

DETECTORは直訳すると探知機ですが、サイドチェインのHPFと同じくサイドチェインのピークディップで6kHzを強調出来ます。組み合わせも可能であり、サイドチェイン機能は昨今コンプでは必須なので重宝しています。

 

ただHPFが固定なのでもっと下をバッサリ切って使いたいときに不便を感じますが、6kHz強調のサイドチェインはコンプの振る舞いが結構変わるので素敵です。

 

 

リンクはステレオリンク機能です。API2500のようにステレオリンクのパーセントを調整出来たりはしませんが、ステレオ素材の時は必要に応じてスイッチを押してみます。

 

 

〇AUDIO SECTION

 

オーディオボタン

 

出力にHPF、Dist2、Dist3の3つモードの効果を加える機能が付いています。

Dist3は3倍音が入る比較的テープっぽい歪みで、このモードだとTHD(total harmonic distortion)のランプがしょっちゅう点滅します。

 

Dist2の方は説明書には3倍音も入ると書いてありますが、基本的には2倍音系なので真空感に近い印象です。

 

AUDIO SECTIONのHPFはサイドチェインではなく、イコライザーとしてのHPFです。

回路の何処の段階で加わるのか気になったので説明書を見てみたのですが、下記の回路図の通り「INPUT」→「コンプ」→「倍音付加」→「HPF」→「OUTPUT」のようです。

 

 

 

 

なかなか汎用性の高いコンプレッサーで音も非常にクリアですし、また1つお気に入りが増えました。

 

デモソングはこちらで聞けます。

 

欲を言えばサイドチェインの周波数を自分で設定出来るようにして欲しかったですが、これからメインで使えるトラッキングコンプレッサーの1つとして活躍しそうです。

 

 

ちなみにプラスα機能のBritishモードは付いていません。ひょっとしたら将来アップグレードで付くのかもしれませんが、それでなくてもお勧め出来る相当良い仕上がりです。クリアなのに良い意味でアナログ的にも出来る応用幅の広いコンプレッサーです。

 

 



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今回はDTMでの音楽製作初心者向けの内容です。

 

前回のVUメーターの記事と内容はそのままリンクするのですが、マスタリング前の丁度良い2mixのダイナミクスがどれくらいなのか?について個人的な見解を述べてみたいと思います。

 

 

 

なぜわざわざこんなことを記事にするかというと、ミックスの初心者の方はよくマスタリング前の段階で音圧を稼ぎ過ぎてマスタリング時のコンプ・リミッターで上手くいっていない生徒さんをよく見かけるからです。当たり前のことでありつつ、また大事なことでもありますので人それぞれ考え方やアプローチは色々とあると思いますが、このことについて考えてみましょう。

 

 

まずあまりお勧め出来ない極端な例から見てみます。

 

 

まるでマスタリング済みの波形のようです。

 

上の画像はまるでマスタリングが終了した後の波形のようです。マスタリング後は実際こんな感じになると思うのですが、マスタリング前でこの状態ではほとんどダイナミクスが残っていませんのでこの状態からEQをブーストして使うことは出来ませんし、コンプやリミッターをこれ以上掛ける余地はないように思えます。

 

 

これはかなり極端な悪い例を挙げていますが、ここまで酷くなくても似たようなケースに陥ってしまう理由はDAWのピークメーターの0dBを基準にミックスしているからだと思います。

 

 

ちょっとやり過ぎかも?でもギリギリあり?やっぱりちょっと大きいか?

 

最初の例ほど酷くはありませんが、こちらも割と波形サイズがマスタリングでの大きくコンプレッションの余地が少なめです。さっきに比べたら全然マシですが、マスタリング前としてはもう少し波形が小さく、ダイナミクスも残っていたほうがいいかな?というのが個人的な感想です。

 

 

もちろん何をどうするか?どういう考え方を持ち、どういうコンセプトで作業するのかは人それぞれであり、また曲によっても変わってきます。上の画像のような状態でミキシングが終了するのも絶対にダメとは個人的には思っていません。

 

 

要はミキシングにおける領域とマスタリングにおける領域において、出来ることとその効果が違うためその両者を理解して、バランスの問題を考える必要があるということです。

 

これについてどんな曲でもどんなジャンルでも画一的に絶対的に固定されたアプローチがあるとは思えませんし、音楽的にという条件を付けるなら、稼げる音圧レベルにはある程度の限界がありますので、何処までをミックスで行い、どこからをマスタリングで行うかの問題です。但し行程上絶対にマスタリングが後になりますので、常にミックスでは後ろの行程のことを考えて作業する必要があります。

 

特に自分でミックスもマスタリングも両方やる場合は何を何処までどちらに分担させるのか多いに考える必要があるでしょう。

 

 

概ねミックス終了時点で音が大き過ぎるケースは下記のような感じが多いようです。

 

 

ピークメーターのクリップランプは音が割れるから付いてはいなけい。

 

↓↓↓↓↓↓

 

クリップランプが付かなければOK。音は大きいほうが良いので0dB直前くらいにする。

 

↓↓↓↓↓↓

 

でもそこを基準にすると色々なトラックでバスが飽和するのでリミッターを入れたり、コンプを強めに掛けないと…

または

音は大きい方がカッコ良いのでついついトラックの音量を上げてしまう。

 

↓↓↓↓↓↓

 

そうするとクリップランプがたまについてしまうのでマスターフェーダーやミックスバスにリミッターを入れて解決する

 

↓↓↓↓↓↓

 

結果、2mixが仕上がった時点でかなり波形の大きい、マスタリングでコンプを掛ける余地のない2mixが出来上がってしまう。

 

…というようなケースが初心者の方には多いのでないかと思います。

 

 

ミックス時のマスターフェーダーやバスにコンプやリミッターを掛けるのとマスタリングで掛けるのは一緒なのでは?という考えもありますが、まずマスタリングではコンプの前に行うEQ補整や取り込み行程を行うことが多いので、その行程なしでマスターフェーダーに直接リミッターを入れるならば行程が異なるため結果は変わってきます。

 

 

また大抵はマスタリング専用の音は良いけれど動作の重いコンプを使うことが多いですし、プラグイン(またはアウトボード)のルーティング順もあるので、マスターフェーダーに直接やコンプを指してリミッター終了というわけにはいかないことが多いため、個人的には分けて考えた方が良いように思えますし、実際に分けて考えられています。

 

 

 

やり過ぎてマスタリングしていない状態の波形なのに、マスタリング後みたいな波形になってしまっている方もいらっしゃいます。

入力レベルが高すぎるとマスタリング時のコンプやリミッターを上手く使えない場合もありますし、EQも最初から飽和しているような状態から始めるのはあまりお勧め出来ません。

 

 

 

ではマスタリング前にダイナミクスが残っており、なお且つ丁度良い音量でミックスを終わらせるにはどうしたらいいのか?という問題になりますが、これはVUメーターを使うことをお勧めしたいです。
 

 

 

 

詳しくはこちらの過去記事で色々述べていますが、簡単にいうとVUメーターの「0dB」位置は固定ではなく設定次第でDAWのピークメーターとの相関関係を変化させることが出来ます。

 

上の画像の青線のReference Level-14dBというのは正確な数値ではありませんが、おおよそDAWのピークメーターの-14dBの位置がVUメーターの0dBの位置になるという意味です。

 

 

 

 

常に0dBを基準にミックスしている人にとっては「-14dBも天井が空いたら音が小さすぎないか?」と思われるかもしれませんが、VUメーターはハイハットなどの高い音には反応しにくいですし、300ms以下の瞬間的な音には反応出来ないので、VUメーターが0dBを指していても実際のドラムあり、ベースあり、ギターあり、ボーカルあり、…etcの曲ではDAWのピークメーターは-14dBを大きく超えています。

 

ミックスではおおよそ-18dB~-10dBの間で使われることが多く、私は普通のBGMっぽい作品ならVUメーターを-16dB~-14dBに設定してすることが多いです。この設定で作業すると大体どんな感じになるのかイメージの波形を見てみましょう。

 

 

VUメーターを-14dB~-16dBで設定した場合のイメージ画像

 

大きすぎず、小さすぎず丁度良い感じです。これならマスタリングでコンプレッションの余地が残っていますし、EQ処理にも取り掛かることが出来ます。

 

 

作業時に音量に対する絶対的な基準があるということですが、VUメーターを使わないと下の画像のようになってしまっている生徒さんも時折見かけます。

 

 

波形が小さすぎる例

 

 

元の波形やDAWのパラメーターやフェーダーが小さいのをオーディオインターフェースのボリュームを上げることで音を大きくして作業していると思うのですが、これだとちょっと小さ過ぎますね。音量を上げると同時にノイズも持ち上がってきたりするのでやはり適切な大きさの波形で仕上げることに越したことはありません。

こういった問題はVUメーターを使うことで解決出来ます。

 

 

また、もっと数字を上げてVUメーターをReference Level-12dBや-10dBで作業する場合もあります。ダンス系やロック系のように音圧重視で作っていく場合はミックスの時点である程度音圧を出しておいた方が良い結果が得られるため、その場合は必然的にミックスないで強めにコンプレッションやリミッターを使うことになります。

 

 

分かりやすくするために比較画像を見てみましょう。

 

 

VUメーターを-14dB~-16dBで設定した場合のイメージ画像

 

VUメーターを-10dBで設定した場合のイメージ画像

 



VUメーターを-10dBに設定したほうが明らかに波形が大きいです。これはヘッドルームが狭くなる分だけ瞬間的なダイナミクスをコンプレッションしなければならないためにこのように波形が大きくなってしまいます。

 

 

コンプレッションは一度行ってしまうと原則的には戻すことができません。トランジェントなどのエフェクトを使って擬似的にダイナミクスを復活させることが出来ますが、元々持っていたその音楽のダイナミクスの自然さが復活するわけではないので個人的には一度コンプレッションしたものをトランジェントなどでダイナミクスを戻す方法はあまりやりたくない単なる対症療法みたいなものとして考えています。

 

 

ミックスでコンプレッサーやリミッターを使えば使うほどマスタリングでダイナミクスを扱う余地が減っていきますので個人的にはどれだけ大きくてもReference Levelは-10dBくらいが限度なのかな?と思ってます。

 

 

ヘッドルームはある程度残しておいた方が良いのは言うまでもありませんが、いくら音圧を稼ぐといってもコンプレッション出来る限界というのは決まっているので、マスタリングで全体をブラッシュアップするためにコンプレッションするのか、ミックスで各トラックの処理を行うためにコンプレッションするのかを必要に応じて考えていく必要があります。

 

 

注意点としてはいくらVUメーターを使って作業してもコンプやリミッターをミックス内で使い過ぎると下のような波形になってしまうことです。

 

 

波形そのものは小さいけれどダイナミクスがなくなっている例

 

 

 

これもかなり極端な例を出していますが、音量は小さいですが、ダイナミクスがなくなっているためマスタリング後の波形とあまり変わらない状態になっています。音圧を稼いだ後の波形を小さくすればこんな感じになります。

 

 

VUメーターのリファレンスレベルをいくつに設定するのかは人それぞれですが、高めに設定してミックスでやや音圧を稼ぐ感じで仕上げるのも良いですし、後段のマスタリングにそれを残しておくのもありです。

 

結局は曲によって変わってくるので、自分で何曲も取り組みながら丁度良い数字を見つけていくことになります。

 

 

マスタリング前に波形が大きすぎたり、小さすぎたり、ダイナミクスがあり過ぎたり、なさ過ぎたりするとマスタリング上手くいかないことが多々あります。

特にDTMを初めて最初のうちは悩むことが多いと思いますので、是非参考にして下さい。

 

 

 



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ミックスの最初にラフミックスとして、あるいはDAWで制作した時の各トラックごとのフェーダーバランスを作っておいても、EQやコンプを掛けていく中で音量が変わってしまい、元々作っておいたバランスが崩れてしまうことがよくあります。

 

 

EQは各帯域ごとにブース・トカットするので最終的な音量が増減しますし、コンプもゲインリダクションとアウトプットのバランスでやはりコンプの前と後では微妙に、または大きく音量バランスが変わってしまい、このせいでミックスに不要な時間を取られたり、ミックスが上手く行かない原因になっている方もいらっしゃいます。

特に初心者の方にとっては面倒な問題と言えるかもしれません。

 

この問題を解決するとてもシンプルな(いちいち記事にするまでもない?)簡単な方法をご紹介します。

 

 

A.O.M tranQuilizr

 

A.O.MのtranQuilizrにはAGC(Auto Gain Control)機能というのが付いていて、EQでカットしたりブーストしたりする分をプラグイン内で差し引いて音量バランスが変わらないようにしてくれる便利な機能がありますが、こういった機能はかなり珍しく普通は変わってしまったバランスを自分で調整し直すのが一般的です。

 

 

AGC機能

 

こういった便利な機能がなくても、マスターフェーダーにVUメーターやアナライザーを入れておけばそれだけで解決だったりします。特にVUメーターがお勧めです。

 

 

 

PSP TripleMeters

 

針の動きを見て音量を揃えることでプラグインのBeforeとAfterの音量の違いをかなり合わせることが出来ます。

プラグインをバイパスした状態の音量とプラグインを掛けた状態をメーターを見ながら揃えるだけでOKです。

 

基本的にはたったこれだけなのですが、ダイナミクスの激しいトラックはVUメーターが見にくい場合もあります。

PSP TripleMetersは「Hold」というスイッチがあり、最大音量が一時的に赤いマークで残るようになっていますので、私はよくこれを目印にしています。

 

 

イコライザーはそうでもないのですが、コンプレッサーはダイナミクスの幅が変わるためHoldスイッチだけを頼りにやっていると上手くいかないケースもありますが、特にミックスを始めたばかりの方は「目で確認」というのは大いに役立つはずです。

 

 

コンプレッサーはよく潰した分をゲインで上げると言われますが、ゲインリダクションの量が多かったり、元のトラックが持っているダイナミクスをどのように変更したかによって変わってくるので、コンプレッサーのオートゲインボタンが必ずしも当てにならない場合があるため注意が必要です。耳+目が一番確実な確認方法です。

 

 

 

WAVES CLA76

 

 

プラグインにVUメーターが付いている場合もありますのVUメーターのインとアウト切り替えることができるプラグインであれば基本的には同じことができます。

 

 

ただしHold機能のような便利な機能がついていませんし、〇dBFS=0VUのようにリファレンスレベルを設定出来ないので、私はいつもPSPのVUメーターを見るようにしています。

(普段使っているのと違うという意味で見にくいので)

 

 

VUメーターを常にモニターの何処かに表示させつつ作業すると色々と捗りますが、マスタリング前に丁度良い2mixを作るため、無意味にBussを破裂させないため、そしてトラッキングの音量バランスを崩さないためなど色々便利に活用することが出来ます。

 

レッスンでも生徒さんにご紹介していますが、フリーソフトやDAW付属のものもあるのものの、やはりシェアウェアのほうが細かい設定や使い勝手が良いためそこまで高額なものでは無いと思えるなら購入してみるのも良いかもしれません。

 

 

VUメーターの欠点として小さい音や高い音はメーターが反応しにくい、見にくいというものがあります。

 

 

音が小さくなると目盛りが大雑把になる。

 

特に「10」より下の目盛りは大雑把過ぎて使いものになりません。ハイハットなどの高い音などには反応しにくいためそういう場合はVU形式ではなくピークメーターにするか、もっと緻密に見れる針式ではないVUメーターに切り替えます。

 

むしろ単にピークメーターを見るだけならDAWのフェーダー画面でも十分の場合もあります。

 

  

DAWのメーター(VUより細かい目盛り)

 

 

専用のアナライザーで細かく見る

  

最大音量の跡が残るようなものが一番使いやすいです。上の画像の Flux::Pure Analyzerはピークの残る秒数や画面のサイズや目盛りの数字まで自分で増やすこと出来るカスタマイズに優れたアナライザーです。

 

元々「-9」と「-18」と飛んでいたので中間に「-12」「-14」「-16」を作りました。一口にアナライザーと言っても何処まで見やすいか?はかなりプラグインによって違うので、この辺りもいつか別記事で書いてみたいと思っています。

 

 

基本的には「耳で行う作業を目でも補助する」というコンセプトを推奨していますが、アナライザーに頼って耳を軽んじるのは言うまでもなく良くありません。とは言え、音楽雑誌やインターネットの情報ではアナライザーに頼らずに出来るようになることが大切です、のように書かれていることが多いものの、確かにその通りではあるのですが、それが出来ないからミックスが上手くならなくて困っているという方は多いはずです。

 

 

確かに昔のエンジニアはアナライザーなしで作業していたのに違いはありませんが(そんなもの無かったので)、純粋に耳だけを頼りに素晴らしいミックスをすることが出来る人は実際には一握りしかおらず、耳そのものに自信がない、または耳の使い方に自信がない場合はどうしても上手くミックスすることができません。

 

「VUメーターやアナライザーなしで出来るようになれ!」というのはいわゆる出来る人、才能のある人の理屈であって、それを万人に当て嵌めるのはやはり無理があります。

 

 

ですので、私としてはメーターリング機能やアナライザーを補助として使うことによって、またはこれらの便利な使い方が多くの方がご存知であるように沢山ありますので、それらを上手く活用することによって自分の作品のクオリティーを上げる助けにすることが出来ると考えています。

 

 

また様々な住宅事情で大きな音を出せないなどの問題もアナライザーやメーターによってある程度までは補助することができますし、昨今の発達したそれらは現実問題かなり役に立っています。

 

 

耳ですべてを調整するのでVUメーターも、アナライザーも使わないという方もいらっしゃると思いますが、そういった方は優れた耳を持つごく一部の方であり、大抵は誰でもミックスについて多かれ少なかれ悩んだりするのが普通ですので、補助としてのメーターリングやアナライザーを導入するのはとてもお勧めです。

 

 

一度作ったラフミックス時やDAWで制作した時のバランスを崩したくない場合はVUメーターがお勧めです。結構便利ですよ。

 

 

 



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