軍師官兵衛 あらすじネタバレ 第25話「栄華の極み」
「そーれそーれそーれそーれ そーりゃ、そーりゃ、そーりゃ、そーりゃ!」
中庭で子供達が綱引きをしている。
官兵衛と光がそれを縁側で見守る。
「官兵衛、光、もらいものじゃ」職隆(もとたか/柴田恭兵)とぬい(藤吉久美子)がそこへ沢山の野菜を運んできた。
家臣と侍女達も楽しそうに子供達を見ている。
この平和なひとときを光は
「賑やかですね。これで又兵衛がいてくれたら言う事なのですが、それにしても二人目を心配していたのが嘘のよう。
みんなわたくし達の子供、殿がお救いなされた命です」と微笑んで満喫していた。
近江、坂本城。
明智光秀に朝廷の意向を伝えるため公家の吉田兼和(堀内正美)が、坂本城を訪れた。
「帝(正親町天皇)は、ひとかたならずお喜びであらせられましたぞ!
狼藉者に奪われていた丹波山国荘(たんばやまぐにのしょう)を、昨年、明智様が取戻し、
帝に献上なされた事は誠に良い働き。」との吉田兼和の言葉に続き、
細川藤孝(長谷川公彦/細川幽斎)が
「あの鎧は山国荘を献上した際、帝より賜ったものじゃな。羨ましい限り」
と光秀の功績を称えた。
[※細川藤孝の主君遍歴 3代将軍・足利義輝⇒15代将軍・足利義昭⇒織田信長⇒豊臣秀吉⇒徳川家康]
「我、明智家の家宝だ」と誇らしげな光秀に吉田兼和は
「帝はそなたをアテにしておられる」と言った。
当時、朝廷の財政が逼迫し、権威も地に落ちかけていた。
そんな折の光秀の朝廷への忠誠心を
「明智日向守が忠義、あっぱれじゃ~」と関白であり九条家第17代目当主の九条兼孝(くじょうかねたか)が、正親町天皇の言葉を代弁していたと言う。
[※九条家は、五摂家のひとつで公家である。]
帝は信長が官職を返上し、朝廷の意向をないがしろにしている事で、先行きに不安を感じ心を悩ませていた。
そんな折、光秀は吉田兼和より、信長が新たな官職を受けるように取り計らって欲しいとの依頼をされる。
是非とも力になりたい光秀であったが、相手はあの協調性に欠ける信長である…。
≪毛利攻め≫
天正九年(1581年)二月。
その頃、羽柴秀吉の住む姫路城は、官兵衛が普請して新しく美しく生まれ変わっていた。
齢36になった官兵衛を中心に、黒田家はさらに結束を固くし、賑々しい初春を迎えていた。
再び始まる毛利攻めを前に拠点としたニュー姫路城では、秀吉が主だった重臣らを集め評定を開いていた。
「いよいよ毛利攻めじゃ。官兵衛、どう攻める?」と秀吉。
「山陽道では備前と備中の国境に七つの城が並んでいる。
小早川隆景を大将とする毛利の守りは固い。それゆえ、時をかけて切り崩すのが得策」と、
官兵衛は調略を提案する。
羽柴秀長(嘉島典俊)>「すると当面の戦は山陰道だな。」
蜂須賀小六(ピエール瀧)>「山陰は吉川元治じゃ、こちらも守りは固いぞ」
官兵衛が、地図上の鳥取城を指さし「鳥取城はなんとしても奪い返さねばなりませぬ」と指摘した。
まずは、山陰道の吉川元春より一度落として奪い返された鳥取城を再び奪還する案が練られた。
山陰攻めは明智光秀の助力を仰ぐように信長より命があり、
官兵衛は自ら申し出て光秀に会いにゆく事となった。
官兵衛は言った。
「明智様は今や、織田家家中、一番の勢い、その様子を探っておきたいのでございます」
秀吉は官兵衛の体調さえ大丈夫ならばと、これを承認する。
≪官兵衛ヘッドハンティングされる≫
官兵衛が坂本城で光秀を待っていると、荒木村次の元より返された光秀の長女、倫が、
官兵衛の前に現れた。
倫は官兵衛に挨拶を済ませると急に泣きだした。
そして有岡城での信長による情け容赦ない成敗に、いかに心を痛めていたかを倫は官兵衛に語った。
「中でも美しく優しかっただしの事を思い出すと、胸が張り裂けそうになる」という倫の言葉に
土牢に幽閉中、だしに優しくされた官兵衛は共感した。
後から現れた光秀は倫の事を「有岡城より連れて帰ってから、ずっと塞ぎこんでいる不憫でならんのじゃ」と官兵衛に語ったが、官兵衛は無言であった。
官兵衛と光秀、二人が顔を合せるのは2年ぶりである。
光秀によると荒木村重は毛利を頼って安芸(あき)へ落ち延びたと言う。
「わしは村重と親しかったがゆえ、あの男の気持ちがわかるような気がする。
恐ろしかったのだ。上様が。同時にお慕いする思いもあった。
その二つの思いがせめぎ合い、ついには怖れる方が勝った。
わしとて上様は恐ろしい。だがそれ故、懸命に働くのだ。」
この独白のような光秀の心中の吐露を、官兵衛は一言も差し挟まず無言で聞いていた。
本題の毛利攻めに関しては
「まずは山陰に入り鳥取城を落とします。出陣は六月頃、何卒、お力をお貸しくださいませ」と官兵衛は願いでた。
それを承認すると、光秀は唐突に官兵衛をヘッドハンティングしようとする。
「官兵衛、わしに仕えぬか?」
秀吉が授けた1万石の5倍、五万石で自分の右腕にならないかと言い出した光秀。
しかし官兵衛は秀吉のもとで働く以外考えた事はないと断る。
光秀は「そういうと思っておった。義理がたいのう。ますます気にいった。
何としてもお主のような優れた軍師が欲しい。わしはあきらめんぞ。」と熱意を見せる。
(しかし…信長への謀反フラグを垣間見せられた後でヘッドハンティングされても…と、
この時、官兵衛が思ったかどうかは定かではない)
更にその後、官兵衛は、坂本城に滞在していた吉田兼和に面会を願われる。
吉田兼和は「播磨を平定し、いよいよ毛利攻めと言う事は信長の天下は近いという事か…」
と官兵衛の前でボソッと呟く。
朝廷方はけっして信長を快くは思っていないとわかっていた官兵衛は
「何かご不満が?」と憂鬱な顔をして尋ねる。
吉田兼和は、逆らう者に容赦のない信長の気性から、信長が作った新しい世に、
我ら朝廷方の居場所は果たしてあるのか?と、それを杞憂(きゆう)しているのだと話す。
「信長様は官職などいらんと言われるが、そのように朝廷の意向をないがしろにされたのでは、
帝もこの先行きをご案じめされ、明智光秀殿を深く頼みにされておられる」
などと語り光秀の謀反フラグを更に鮮明なものにしてきた上で
「その光秀様に播磨にこの人ありと謳われた黒田様が力を貸して…良き世の中が築けると思うのや。古きものが心安らかに生きていける世が…」と持ち掛けて来た。
「それは、どういう意味でございましょうか?」と危険な匂いを察知して官兵衛が聞くと、
「わしの勝手な思いや…」とお茶を濁し立ち上がってニヤリと笑った。
≪宇喜多直家の予言≫
一方、希代の悪人と言われた宇喜多直家は、臨終の時を迎えようとしていた。
最後に病床を見舞った時、直家はまだ10歳の息子八郎(後の秀家)を秀吉に託した。
秀吉はその頼みを即答で了解したが「口約束だけでは心配じゃ」と、
直家は妻のお鮮(笛木優子)も自分の死後、側室にしてくれるようにと重ねて頼む。
秀吉は紹介されたお鮮の美しさにドギマギしながらも、動揺して席を外してしまう。
その場に残された官兵衛に直家は言った。
「宇喜多家は秀吉殿に賭ける。それはあの男が天下を狙える器だからだ。
織田の天下が成るとは思えぬ、信長は危うい――」
その夜、宇喜多家に止まった秀吉と官兵衛であったが、翌日の明け方に
秀吉の寝室からお鮮が出て来るのを官兵衛は見た。直家に命じられたのであろう。
お鮮と一夜を共にして舞い上がっている秀吉を残して官兵衛は一足先に宇喜多を立ち、
備中の様子を探りに出た。
それから間もなく直家はこの世を去った。
普請が済んだ姫城におねがやってきて綺麗で広い城に大喜びしていた。
その後、おねは光と初対面する。
光は松寿の命を救う折に力になってくれたおねに、心からのお礼を述べる。
おねはにこやかな笑顔を浮かべて光の手を取ると
「光殿、私もどれだけあなたにお会いしたかったか」と述べ、
松寿の二人の母の対面を秀吉は「美しいのう~」と喜び、
その夜は、羽柴家、黒田家、両家での祝いの宴が催された。
はしゃぐ秀吉や両家の家臣達を見て、官兵衛の顔からも思わず笑みが零れる。
≪光、第2子を懐妊≫
光が第2子を懐妊した。
「でかしたぞ!光!」官兵衛は妻を抱きしめた。
黒田家家臣や侍女達も皆、我事のように大喜びしている。
安土城を吉田兼和が訪ねて来た。
朝廷は明智光秀を仲介役に、信長に官職を授けようとしていたのである。
吉田兼和は
「帝は織田様を左大臣に任じたいとのご内意にございますのや」と伝えた。
信長の「よかろう。」という意外な返事に一瞬、安堵した光秀と吉田兼和
だったが
「ただし引き換えとして、帝がご譲位なさればお受けいたそう」と信長の
言葉は続き、兼和と光秀は顔を引きつらせる。
「何故、そのような事を!」と問う光秀に信長は
「光秀、そちは何もわかっておらん」と吐き捨てた。
≪信長の果てしなき夢≫
安土城を、
宣教師のオルガンチノ(ボブ・ワーリー)と、巡察師ヴァリニャーノが訪れていた。
オルガンチノは「本日は上様に珍しいものをお見せ致しましょう」と
連れてきた黒人(ベルナール・アッカ)を見せた。
信長とお濃(内田有紀)は初めて見る黒人に驚く。
信長はアフリカから来たという彼を貰い受け、弥助と名をつけた。
そして迎えた天正十年、正月。
飛ぶ鳥を落とす勢いの、信長わが世の春である。
安土城には、これまでにない数の人々が年頭の挨拶に訪れた。
「天下が治まった暁には、わしが何をしたいかわかっておるか?」
年頭の挨拶で訪れた秀吉と官兵衛を前に上機嫌な信長は語り出した。
「わしは世界へ出て行く!この小さな日の本から飛び出し、広い世界を見てみたいのだ。
そこには我らの思いもよらぬ世界が広がっておる。その全てを、わしは手に入れたい。」
その果てしなく大きな信長の夢に、秀吉は興奮した。
「それがしもお供致します!世界を見とうございます!」
「そうか!官兵衛、そちはどうだ?」と信長は官兵衛の気持ちを確かめた。
「むろん見とうございます!南蛮は子供の頃からの憧れでございました」
すると、信長がふいに真顔になって言った。
「おかしなものよ、天下に名乗りを上げ、ここまで大きくなったというのに、
わしのまことの心中をわかっておるのは、そのほうらだけとは…」
官兵衛は、恐れるものなど何も無い虎の孤独をふいに見たような気がした。
小早川隆景(鶴見辰吾)は織田の進行に備え、国境の城主たちを集めた。
「鳥取城も落ちた。もはや織田の勢いは止まらぬ」と隆景が、
国境の7つの城の城主達に覚悟のほどを尋ねる。
城主たちが秀吉を軽く見る中、備中高松城主、清水宗治(宇梶剛士)だけは
「侮ってはなりません。羽柴秀吉は織田家中随一の戦上手。
しかも名うての軍師・黒田官兵衛がついております。そうたやすく倒せる相手ではございません。むしろ勢いは向こうが上と。
されどこの宗治、死ぬ覚悟はできております。
命の限り戦い抜き、城を枕に討ち死にすることお誓い申し上げます」と
覚悟のほどを語った。
「それでこそ山陽道に知らぬ者なき清水宗治じゃ!」と隆景は感嘆し
「おぬしを一人で死なせはせぬ」と誓った。
姫路の官兵衛の屋敷では、
松寿丸の元服の儀式が執り行なわれていた。
祖父、職隆も大叔父、休夢(きゅうむ/隆大介)も、長政(ながまさ/松坂桃李)となった松寿丸のりりしい姿に感激している。
天下を揺るがす大きな戦いに今、ひとりの若武者が加わった。
[軍師官兵衛 第25話「栄華の極み」終わり]
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