中瀬賢次 著より 抜粋
鎌倉時代後期の1285年(弘安8年)に内大臣・花山院師継(かざんいんもろつぐ)が
長子・花山院忠季(かざんいんただとし)の死を悼み、
山荘を寺院に改め、臨済宗の僧・「心地覚心」を開山に迎えたお寺で
覚心(法燈円明国師)は入宋して無門彗開禅師の法を継ぎ、味噌醤油の技法を日本に伝えた。
当寺は京都市右京区宇多野上ノ谷町三番地にあり、
元葛野郡花園村字鳴滝に属し鳴滝の虚無僧寺または印金堂の名をもって世に聞こえている。
即ち高雄街道に沿うて仁和寺の西方約三丁近衝家の陽明文庫(旧境内地)に西接し、
西は植木畑(旧境内地)を隔てて百抽和尚の海雲法蔵寺と袋中上人の泉谷山西寿寺等に隣りし、
紫金台寺の旧趾で有名な紫金台(当時の主山)の南麓に位置していて頗る景勝の地を占めている。
創建当時の妙光寺は、花山院家の山荘時代の頗る広大な領域を占めていて、
今の嵐電高雄口駅の南方約二丁双ヶ丘(ならびがおか)の西辺(妙光寺大門跡という)にまで延びていたものとみてよかろう。
応仁乱後は高雄街道以北の領域に限られたようである。
花山院家 菖蒲菱
大正の末年頃までは高雄街道に沿うて約三千平方メートル(三段)の大きな庭池があって
妙光寺池と呼ばれていた。
現在は題七十一世住職文学博士今津洪嶽師没後の間のない
昭和四十年十月から四十二年五月にわたって、
荒れるにまかせた本堂・庫裏・書院などの解体修理が完成。
築地土べいに囲まれ江戸初期の禅寺の復元を見ている。
とくに境内墓地には、俗に言う
仁和寺の清兵衛で名高い京焼の元祖、色絵陶器を開発した野々村仁清(にんせい)の墓が発見されて
陶芸家の資金援助もあって、復興は予想以上に進捗したわけ。
墓碑にきざまれた命日の二月五日を選んで昭和四十一年から毎年名陶工追善の法要が
墓前で行われている。
それまでは、寛永年間(後述)に再興された一、二の堂宇が荒廃して
漸く名残りをとどめていたに過ぎなかったものが、
創建当時の面影をしのぶには、なお遠いものがあろうが、
純粋の禅宗寺院として京都における最古の道場として両目を維持したことは、
後世へのよき道標ともなろう。
当時の特色は、仏教とくに禅宗史上では東山七葉と称して
中国の立祖法演、開腹道寧、無門慧開の正法を伝えていることと、
吉野朝廷との特殊な関係にあって、吉野朝廷の上に重要な地歩を占めていたことである。
更に当時の異色は開山されて以来、明治維新に至るまで六百年史を通じて、
いわゆる忠君愛国の昔流の日本精神に終始していることである。
忠実としては、花山院家の私寺であるのに、亀山・御醍醐・後村上の三帝より山寺号を賜っていること、
また方丈に神器の間と伝承する一室があって、かつて健武・嘉吉(かきつ)の両戦に一時、三種の神器が奉安されたことがあったという。
(この乱のとき南朝の武士が御所をおそい三種の神器を奪って一時当寺に安置したというもの)
ご縁有って、訪問させていただきました。
心地覚心(法燈国師)さんが、和歌山の興国寺以外にも開山しているもう一つのお寺です。
後醍醐天皇さんから 呼ばれて来たらしいです。
明治維新後 このお寺は、荒れ寺になってしまって
改修するのに大変だったと聞きました。
でもやはり 由緒あるお寺で、登場人物が凄い
心地覚心(法燈国師) 後醍醐天皇 栄西 楠木正成 桂小五郎 坂本龍馬
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