レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)初のツアーとして,1968年9月7日デンマークは グラッドサクセのグラッドサクセ・ティーン・クラブを皮切りに行われた北欧ツアー,10月4日英国はニューカッスルのメイフェア・ボールルームを皮切りに行われた英国内ツアー(北欧ツアーを含め初期の幾つかの公演は ニュー・ヤードバーズ:New Yardbirds 名義)に続き,12月26日米国はコロラド州デンバーのデンバー・オーディトリウム公演を皮切りに,年を跨いで1969年2月15日フロリダ州はマイアミ・ビーチのジー・イメージ・クラブ公演まで行われた,レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)結成後初の北米ツアー.
 
 実は,この北米ツアーは,マネージャーの ピーター・グラント(:Peter Grant)が,当時,並行してマネージメントをしていた,ジェフ・ベック(:Jeff Beck)が,ヴァニラ・ファッジ(:Vanilla Fudge)との北米ツアーに参加できなくなった関係で,代わりに レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)を送り込んだもの.
 当然,メイン・アクトは,ヴァニラ・ファッジ(:Vanilla Fudge)で,オープニング・アクトと言うか前座的に出演している レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)ですが,このツアーへの参加で,1969年1月に米国で発売予定のデビュー・アルバムに 5万枚の予約が殺到すると言う,爆発的な評判を呼び,同時に人気を博しました.

 本商品は,上述の結成後初となる北米ツアーから,ツアー中盤に当たり 4夜連続(1969年1月9日ー12日)行われたカリフォルニア州サンフランシスコのフィルモア・ウェスト公演の 2公演目に当たる 1月10日のオーディエンス録音を収録した 『 Fillmore West 1969 Day 2 (No Label) 』 で,1st ステージを Disc 1 に,2nd ステージとアンコールの ”For Your Love” を Disc 2 に収録しています.

 既発ではメーカー情報にも記載されていますが,2019年に Graf Zeppelinレーベルから 初日に当たる 1月9日を除いた 3日間の音源を収録した 4枚組の 『 Fresh Garbage : Fillmore West January 1969 (LZSC-169) 』 が,また古くは 2008年に Scorpioレーベルから 5枚組の 『 Fresh Garbage (LZ-08011) 』 がリリースされていますが,今回の 『 Fillmore West 1969 Day 2 (No Label) 』は,この 7月に KRW_COが公開した音源を使用したものとの事.

 元々,高音質のオーディエンス録音で知られる定番公演日で,音像も割と近く楽しめます.

 それにしても,昨年夏頃から 1969年の音源のリリースが多いですね.

 メーカー情報では
 『ZEPがヤードバーズの「For Your Love」を演奏していたことで昔から有名な1969年1月10日のフィルモア。
 それに加えてまだファースト・アルバムをリリースしただけでアメリカに認知されていなかったバンドが初めてフィルモアに見参、四夜に渡って行われた公演の中でほぼショウの全長を捉えてくれている点でも価値が高く、なおかつ1969年初頭のZEPを捉えた貴重音源としてアナログ時代から早くもリリースされていた定番の一つでもありました。
 とはいえ69年でしかも1月という時期のZEPです、さすがに極上といえるような音質ではなく、むしろいい意味で69年ビンテージ・オーディエンスのお手本というべきなのが本録音。中域に寄った音質と程よい距離感が相まって意外なほど聞きやすい。それ故にLPの時代からリリース(その名も「FOR YOUR LOVE」)されるというお眼鏡に適ったのでしょう。
 逆に言えばそうした録音状態のせいでカセット・ダビングによるジェネ落ちが生じるとショボく聞こえてしまうのも事実。実際CD時代を迎えてからリリースされた本音源タイトルのいくつかでは正にそうした状態に陥っているものがありましたし、それをイコライズで解消させようとしたアイテムすらあったのです。
 こうした状況の中でもっともナチュラルな状態で本音源を収録してくれたのがSCORPIOの「FRESH GARBAGE」ではないでしょうか。そもそも我が国では「エディー」や「ブルーベリーヒル」と違ってあまり脚光を浴びない時期でもありますので、この画期的なリリースもあまり評判を呼ばなかったことが惜しまれます。さらに最近になってGRAFF ZEPPELINが再び「FRESH GARBAGE」の名の下で初めて本音源のファースト・ジェネレーション・コピーから収録するという快挙を成し遂げたのは記憶に新しいところ。
 
 2019年には「録音者から確認済」との触れ込みでファースト・ジェネレーション・コピーがネット上に現れていたのですが、この7月また別のファースト・ジェネレーションを謳ったバージョンが現れました。それを公開してくれたのはおなじみKrw_co。もちろん先のようなバージョンが既に流通していたことから、どうせ同じ1st Gen.だし大した違いがないのでは…とタカをくくっていたところ、どっこい2019版よりも明らかに音質が向上していたという。
 それと比べるとよりナチュラルかつウォーミーな音質であり、今回のバージョンを前にしてしまうと2019年版がシャカシャカとして聞こえ、おまけにヒスノイズも気になってしまう。最初に申しましたように元が中域寄りのアナログ感全開な録音ですので、ちょっとしたジェネレーションの違い現れやすい。もしくは再生やトランスファーに使用した機材の違いが現れたと言えるかもしれません。
 その反面、今回のバージョンでは過去のいくつかのバージョンと同じく「Babe I'm Gonna Leave You」を終えた後の余韻が消え入る寸前で切れているのですが、あくまで余韻というレベルですので今回の音源本体を尊重して補填などは行いませんでした。その代わり本音源における最大の欠点と言えた「Dazed And Confused」から先の「Babe I'm~」に生じていたピッチの狂いを緻密にアジャスト。全編を安心して聞き通せるように仕上げました。

 そしてこの日は何と言っても演奏が抜群。ファースト・アルバムを出したとは言えど、まだアメリカにとって海のモノと山のモノともつかなかった時期のZEPがフィルモアに集まった観客の心を掴むべく大熱演を披露。オープニング「The Train Kept A Rollin'」の出だしからしてジミーの気合が入りまくったカッティングで攻めてきますし、一枚目に収められたファーストセット全編を通して彼のトリッキーなプレイが炸裂。この時期のジミーの足腰の軽いフレーズだけでも圧倒されてしまうかと。
 それだけではありません、ファーストセットにて披露された「As Long As I Have You」は間違いなく69年1月におけるベスト・バージョン。それ以前のゴンザガ大学やウイスキー・ア・ゴーゴーで繰り広げられていた実験的な展開がここで頂点を迎えた感じ。何より感動的なのが、本曲を初めて聞かされたであろうこの日のオーディエンスがどんどん引き込まれていく様子まで捉えられていること。その緩急自在な演奏が3月のデンマークや4月のフィルモア凱旋といった同曲の名演の基礎になったと言えるでしょう。
 セカンドセットを迎えると「Killing Floor」に「You Shook Me」というサイケデリック・ブルースの連続がまた強烈。これがまたこの時期のZEPならではなのですが、特に前者ではこの後のライブの展開や新しい曲のネタとなるようなフレーズが随所に盛り込まれていて、ジミーの創造性に溢れたプレイと若くてスクリームを軽々とこなすプラントがこれまたフィルモアの観衆を虜にしている様子がはっきり伝わってくる。

 そしてこの日の目玉であるアンコールの「For Your Love」。同曲を演奏したことでZEPがヤードバーズの発展形であることをフィルモアのオーディエンスに知らしめる形となった一方もはや原型を留めない、これまたサイケデリック・ブルース的なアレンジが初期ZEPらしい。今でこそウイスキー・ア・ゴーゴーのテイクが発掘されて「この日だけ」という価値がなくなってしまいましたが、そこから演奏が明らかに発展しているのがライブ一日単位で進化を遂げていたこの時期のZEPならでは。
 ブルースの影響が色濃く、それでいてジミーを中心として創造性溢れる演奏でアメリカのオーディエンスの心を掴んでいた時期の記録でもある。そんな時期のライブをもっとも長時間に渡って捉えてくれた音源としての価値はもちろん、ビンテージ・オーディエンスらしいアナログ感がさらに増した今回のバージョンで69年1月の名演を心ゆくまで味わってください。この日は全編を聞きどころと言っても過言ではないのですが、中でも「As Long As I Have You」は壮絶!

 (リマスター・メモ)
 ★Dazed And Confused途中からBabe I'm Gonna Leave You途中までは、ランダムに大きくピッチが遅いのでなるべく調整しました。』

Fillmore West 1969 Day 2 (No Label)
 
 Live At Fillmore West, San Francisco, CA, USA 10th January 1969
 [UPGRADE]

  Disc 1
   1. The Train Kept A Rollin'
   2. I Can't Quit You Baby
   3. As Long As I Have You
   4. Dazed And Confused
   5. How Many More Times
   TOTAL TIME (44:41)

  Disc 2
   1. White Summer / Black Mountain Side
   2. Killing Floor
   3. You Shook Me
   4. Pat's Delight
   5. Babe I'm Gonna Leave You
   6. Communication Breakdown
   7. For Your Love
   TOTAL TIME (48:37)

 As Long As I Have You
 
 How Many More Times
 
 For Your Love
 

[参考]
 Fresh Garbage : Fillmore West January 1969 (LZSC-169)
 
 Fresh Garbage (LZ-08011)
 

North American Tour 1968–1969
1968
 December
  26 Denver Auditorium Arena,Denver,CO,USA
  27 Seattle Center Arena,Seattle,WA,USA
  28 Pacific Coliseum,Vancouver,BC,Canada
  29 Civic Auditorium,Portland,OR,USA
  30 Kennedy Pavilion,Spokane,WA,USA

1969
 January
  02 Whisky a Go Go,West Hollywood,CA,USA
  03 Whisky a Go Go,West Hollywood,CA,USA
  04 Whisky a Go Go,West Hollywood,CA,USA
  05 Whisky a Go Go,West Hollywood,CA,USA
  09 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
  10 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
  11 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
  12 Fillmore West,San Francisco,CA,USA
  13 Fox Theater,San Diego,CA,USA
  15 Iowa Memorial Union – Ballroom,Iowa City,IA,USA
  16 Baltimore Civic Center,Baltimore,MD,USA
  17 Grande Ballroom,Detroit,MI,USA
  18 Grande Ballroom,Detroit,MI,USA
  19 Grande Ballroom,Detroit,MI,USA
  21 Hunt Armory,Pittsburgh,PA,USA
  23 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
  24 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
  25 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
  26 Boston Tea Party,Boston,MA,USA
  27 Symphony Hall,Springfield,IL,USA
  29 Electric Factory,Philadelphia,PA,USA
  31 Fillmore East,New York City,NY,USA

 February
  01 Fillmore East,New York City,NY,USA
  02 Rockpile,Toronto,ON,Canada
  07 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
  08 Kinetic Playground,Chicago,IL,USA
  10 Elma Roane Fieldhouse,Memphis,TN,USA
  14 Thee Image Club,Miami Beach,FL,USA
  15 Thee Image Club,Miami Beach,FL,USA









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#2021‐07‐14