~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど -17ページ目

~Integration and Amplification~ クラシック音楽やその他のことなど

学生時代から断続的に聞いてきたクラシックCD。一言二言で印象を書き留めておきたい。その時の印象を大切に。
ということで始めました。
そして、好きな映画や読書なども時々付け加えて、新たな感動を求めていきたいと思います。

ショスタコーヴィチの時代 ㉞

いよいよジダーノフ批判の時代に入ります。この時代の代表曲はいろいろあるのですが、今回はジダーノフ批判の産物の一つの、ラヨークを鑑賞しましょう。作曲年代は1948年の批判以降ということですが、生前は公開での発表はされていません。ショスタコーヴィチの一面を推しはかることができる作品ではないでしょうか。

【CDについて】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:①交響曲第15番イ長調op141 (50:41)

   ②反形式主義的ラヨーク (17:11)

演奏:①ザンデルリンク指揮、クリーヴランド管弦楽団

   ②ロストロポーヴィチ指揮(p)、ドイチェ(bs)、ハーフヴァーソン(bs)、ロデスク(bs)、

    ヴェンツェル(bs)、ワシントン合唱芸術協会

録音:①1991年3月17-18日 クリーヴランド Severance Hall

   ②1989年

CD:0927 49621 2(レーベル:elatus、発売:Warner Classics)

 

【曲と演奏について】

ショスタコーヴィチは、1947年から1948年にかけて、初めてのヴァイオリン協奏曲を作曲します。ところが、1948年2月にジダーノフ批判が始まったことから、発表が控えられました。ジダーノフ批判は、ムラデリの「大いなる友情」がやり玉にあげられましたが、ショスタコーヴィチはじめ、プロコフィエフ・ハチャトゥリアンなど主要な作曲家が連座することになり、多くの曲が演奏禁止とされてしまいます。この批判の本当の目的は、交響曲第9番で当局の期待を裏切った、ショスタコーヴィチに向けられたものとも言われています。

 

このヴァイオリン協奏曲第1番は、オイストラフに献呈され、スターリンの死後の雪どけの雰囲気の中で、1955年にオイストラフとムラヴィンスキー=レニングラードフィルによって初演されました。ショスタコーヴィチの音型であるDSCHが初めて登場する曲でもあり、また交響曲第10番とも似た雰囲気を持つ、この時期を代表する曲でもあります。ただし、既にこのブログで2回登場してしまい、もう手元にCDを持っていませんので、ここはスルーします(笑)。私的には、この曲の演奏は、伝統的なオイストラフやコーガンによるソ連時代の堅い感じの現代曲風の演奏より、より演奏機会も増え、解釈もこなれてきた近年の演奏の方が、音楽的にもより美しくて、この曲の素晴らしさを鑑賞できると思います。

 

ヒラリー・ハーンとヤンソンス指揮ベルリンフィルによるライヴ。これは、とても素晴らしい演奏だと思っています。

 

さて、今日の本題はラヨークです。

まずは、このCDですが、ザンデルリンク指揮の第15番とカプリングされたもので、この演奏のCDは別に持っているのですが、カプリングでラヨークが入っているので、重複を承知で買ってしまいました😅。安価です。ラヨークが公開初演されたのは1989年で、その時期にロストロポーヴィチによってレコーディングされた、世界初録音のものです。オリジナルのCDはロシア語版と英語版が収録された形になっていますが、今、手に入れようと思っても手に入れづらく、少々お値段がお高めなので、逡巡しております(笑)。私は、このelatusというワーナーの廉価版CDはデザインが今ひとつで、録音データも書いていないのであまり好みではありませんが、今回やむなく買ってしまいました。ということで、持ってないCDのジャケット画像を拝借して、未練たらしく載せておきます。本来はこれを聴きたいのです(笑)。

曲自体は単純で、ピアノ伴奏の小さなオペラ、あるいはカンタータというもので、あらすじを簡単に記述しておきます。

 

「音楽におけるリアリズムと形式主義」をテーマとする会議が開催され、3 人の優秀な講演者が順番に登壇し、会場は彼らに盛大な拍手を送ります。
①同志エディニツィン(グルジアなまり)
リアリズムの音楽は民族音楽の作曲家によって書かれ、形式主義的な音楽は反国家的な作曲家によって書かれている。民俗作曲家がリアリズムの音楽を作曲し続け、反国家的作曲家が形式主義的な音楽で実験をやめることが主な課題であると考えている。

(この演説は、スターリンのお気に入りのグルジアの歌の平凡なメロディに乗せて行われる)

②同志ドヴォイキン

音楽には美しさと優雅さが求められる。さらに、白人のオペラには本物のレズギンカが存在しなければならないと主張する。
③同志トロイキン

リムスキー=コルサコフの姓を誤って発音し、古典的なグリンカ、チャイコフスキー、リムスキー=コルサコフを何度も賛美する。

そして、曲はカリンカの合唱が入り、中断されます。

 

といった感じです。①はスターリン、②はジダーノフ、③シェピロフであり、曲や歌詞には、実際の演説や、いろいろな音楽からの引用が入っているようですが、これについては長くなりますし、言われても判らないことも多いので、割愛します。詳しくは、ロシア語Wikipediaのこの曲の記事に解説されていました。

 

この曲の元ネタはムソルグスキーの風刺音楽の「ラヨーク」で、ジダーノフ批判を受けてショスタコーヴィチが思いついたもの。ジダーノフ批判により、ショスタコーヴィチは形式主義者とされ、レニングラード音楽院を解雇されたうえ、彼の作品はソ連の主要オーケストラで演奏されなくなりました。ラヨークの初版は1948年5月に完成し、少数の親しい友人に披露されました。そして「雪解け」後1957年に、上演に向けて改訂されますが、再び交響曲第13番の演奏が禁止されるような事態に、演奏不可能となり、最終形態は 1968 年に完成されましたが、存命中に演奏されることはありませんでした。

この曲を書いたショスタコーヴィチの心中は、推し量るすべもないのですが、強靭なしたたかさというものは感じることができるのではないかと思います。

 

PS.

おまけではないのですが、併せて聴いたザンデルリンクの交響曲第15番はいい演奏だと思いました。この曲はある意味ショスタコーヴィチの生涯の自画像のような作品と思いますが、そのショスタコーヴィチの生涯についてどういう解釈をするかが、演奏に出てくるのではないかと思いました。ザンデルリンクは東独時代含め何度か録音しており、この曲は得意だったのではないか?と思ったりします。それはまたの機会にじっくり聴いてみたいと思います。

 

PS.のPS.

この文中で出てくるCDの価格の基準で、安価というのは200円以下、お高いというのは4000円以上というイメージです(笑)。

 

購入:2024/02/20、鑑賞:2024/03/12

 

ベドルジハ・スメタナ生誕200年 ③

スメタナのアニバーサリー鑑賞の3回目は、交響詩集にしました。スメタナはキャリアの比較的初期にあたりエーテボリ時代に、交響詩を3曲作曲しています。その他、「わが祖国」を始め多数の作曲していますが、明確に交響詩と題されているのは、「わが祖国」とこの3曲ですね。

【CDについて】
作曲:スメタナ

曲名:交響詩「リチャード三世」op11 (14:13)

   交響詩「ヴァレンシュタインの陣営」op14 (16:15)

   交響詩「ハーコン・ヤルル」op16 (17:20)

   祝典交響曲 op6 第三楽章スケルツォ (10:37)

演奏:レオシュ・スワロフスキー指揮 スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団

録音:2014年6月16-18日,23-24日

   ブラティスラヴァ Concert Haii of the Slovak Philharmonic

CD:8.573597(レーベル:NAXOS、発売:販売:ナクソス・ジャパン)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

今日は、アニバーサリー鑑賞ということで、スメタナの交響詩集を聴いてみました。スメタナは、プラハで一定の成功を収めてはいましたが、大成功とはいえずに伸び悩んでおり、32歳の時に、スウェーデンのエーテボリに移り、活動拠点としました。この3曲の交響詩は、エーテボリ時代に作曲されたものですが、その頃ワイマールのリストを訪問しており、当地でリストの「ファウスト交響曲」などを演奏したとのことです。スメタナはリストから多くの音楽的影響や霊感を受けているようです。「リチャード三世」は、もちろんシェイクスピア、「ヴァレンシュタインの陣営」はシラーの「ヴァレンシュタイン三部作」、「ハーコン・ヤルル」は、デンマークの詩人、アダム・エーレンスレーヤーの悲劇を題材としたもの。一方、祝典交響曲はエーテボリに移る前に、フランツ・ヨーゼフ1世の成婚記念に作曲されましたが、受け取りを拒否され、独自で初演を行ったものの不成功に終わったとのことでした。

 

【演奏について】

このCDは全曲聴いても同じような印象を受けましたので、まとめて感想を…。スメタナの交響詩ということで、管弦楽の印象は、後年の「わが祖国」のような壮大で華麗な音楽だと思いました。初期作品に属するのではないかと思いますが、音の厚さを十分感じるオーケストレーションです。交響詩ということで、当時のリストの影響を大きく受けた作品ではないかと思います。一方で、印象としては終始もっさりした印象を受けました。キレがないというか…。例えば「リチャード三世」は特にだと思いますが、全体に同じフレーズが微妙に形を変えつつ何度も何度も登場して、強弱は変化するもののテンポが変わらず、まったりしている感じです。

 

この印象は、演奏や録音からくるものかもしれません。オーケストラの音はかなり渋めの音で、演奏自体はよくまとまっていると思いますが、出てくる音色は、東欧伝統の…という風に形容されるものかもしれません。華麗な音にはならないようです。指揮も堅実ではありますが、ニュアンスはもっとつけられて、面白く演奏できるのではないか?というのが終始考えていたことでした。従って聴きながら、マイナーな曲を網羅的に録音したお仕事なのかなぁ…と思ったりしていたのですが、そこでTouTubeなど見ていて見つけたのが、これですね…。

 

クーベリックとバイエルン放送響による交響詩集から、「ヴァレンシュタインの陣営」

 

このジャケット、LP時代に雑誌とかでたびたび見た記憶がありますし、名盤的に紹介されたいたような気もします。当時は実は今以上に取り上げられていたのかな?と思ったりしました。曲自体の印象は、だいたい前と同じなのですが、演奏はもっとメリハリの効いた感じだと感じました。このCDもしばらく見かけないのではないかと思うのですが、アニバーサリーイヤーでもあり復活するか、あるいはこの曲の真価を発揮させるような新しい録音を期待したいと思いました。

 

【録音について】

2014年の録音ですが、あまり輝かない録音だと思いました。

 

【まとめ】

スメタナの分厚い感じの管弦楽を聴くことができ、スメタナはリストの影響が大きいことを理解しました。これは、今回なるほど…と思ったことでした。いろいろ発見があって面白かったと思います。しかし、このクーベリックのCD、懐かしさもあって欲しくなってきました(笑)。

 

購入:2024/02/09、鑑賞:2024/03/08

 

スメタナ生誕200年シリーズのリンクです

 

 

 

【CDについて】
作曲:ウェーバー

曲名:クラリネット五重奏曲 変ロ長調 op34 (26:41)

作曲:フンメル
曲名:クラリネット四重奏曲 変ホ長調 (25:14)

作曲:ライヒャ

曲名:クラリネット五重奏曲 変ロ長調 (25:47)

演奏:ナイディック(cl)、ラルキブデッリ
録音:1993年9月19-22日 オーストリア グラフェネック城 Reitschule

CD:SK 57968(レーベル:SONY Classical)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

今日は、ラルキブデッリとナイディックによるクラリネット五重奏曲集です。クラリネット五重奏曲といえば、モーツァルトやブラームスというところですが、こうしてみると、いろいろな曲がありますね。ウェーバーはこの中では比較的演奏機会が多い曲ではないかと思います。楽しそうなCDですので、まずは聴いてみます。

 

【演奏について】

ウェーバー:クラリネット五重奏曲

ウェーバーの曲といえば、私にとってハズレのない作曲家というイメージで、初めての曲でも、どの曲を聴いても楽しく聴けてしまうという印象です。概して明るくメロディが美しい曲が多いと思います。この曲も最初から明るいメロディに溢れていて、思わず鼻歌が出そうな雰囲気でした。

この曲は、当時のクラリネットの名手、ハインリヒ・ヨーゼフ・ベールマンの誕生日のために作曲されたということですが、このハインリヒ・ベールマンという人は19世紀前半のクラリネットの巨匠で、ロマン派の作曲家たちから曲を贈られたとのことです。クラリネットの奏法の発展にも貢献し、特にウェーバーはベールマンのためにたくさんのクラリネット作品を残しています。

 

短い序奏のあとでクラリネットが登場すると、すぐに華々しく展開し始め、明るく技巧的なフレーズが続きます。クラリネットが全体を支配して活躍する、まさに巨匠であったベールマンのために作曲された作品という感じです。第二楽章はクラリネットがメランコリックな旋律を奏で、第三楽章、第四楽章と活発かつ華やかに疾走していきます。まさにクラリネットの室内楽を楽しむという音楽でした。何度も楽しみました。

 

フンメル:クラリネット四重奏曲

フンメルといえば、エステルハージ家に仕え、ハ長調ミサの件でベートーヴェンをあざ笑った?ようなエピソードもあり、実際いいイメージは持っていないのですが、実は当時はベートーヴェンと並び称される音楽家だったようです。長い間忘れ去られていたのは、作品に交響曲が無いということもあるのかと考えたりします。それでも、後続の19世紀のロマン派の音楽に与えた影響は大きなものがあったという事です。特にピアノ曲が多いみたいです。

 

さて、曲はクラリネット四重奏で、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロが一台づつ。この曲もクラリネットの音を生かした素晴らしい音楽で、比較的堅実な展開を見せます。まず気にいったのは、第二楽章のスケルツォでした。疾走するようなスケルツォで、なんかメンデルスゾーンが書きそうな雰囲気でした。この雰囲気であれば、時代を先取りしているのかも…。と思いました。これもなかなか楽しい作品でした。

 

ライヒャ:クラリネット五重奏曲

ライヒャといえば、たくさんの木管五重奏曲を作曲していますが、もちろんその他の曲も残しています。その作品群の全貌と言えばまだ研究途上といったところのようです。ライヒャはチェコ出身でパリを拠点として活躍した音楽家で、パリ音楽院の作曲科の教授として、19世紀に活躍した名だたる作曲家を育て上げた人物でもあるとのことです。

 

そんなライヒャのクラリネット五重奏曲。まず第一楽章は美しいメロディにはっとします。クラリネットの旋律に呼応するヴァイオリンのメロディの美しいこと。ライヒャは美しいメロディと木管の音色をうまく掛け合わせて展開し、バランスの良い、聴いていてなんとも居心地のいい音楽を作り上げているようです。この木管楽器の響きとメロディの美しさはその後のフランスの音楽に引き継がれているということかもしれません。

 

ライヒャのクラリネット五重奏曲を、出身地であるチェコのベネヴィッツ四重奏団とフランティシャクが演奏した動画です。

 

ラルキブデッリは、ビルスマが創設した古楽器の弦楽オーケストラですが、美しい音色と真摯な演奏で、とても美しい音楽を作り上げています。古楽器の音がクリアでとても繊細に聴こえました。このCDは古典派からロマン派にかけての年代。ベートーヴェンやシューベルトが活躍していた頃の同時代の音楽が集められています。形式的にも音楽の雰囲気も似てはいますが、ウェーバー、フンメル、ライヒャの特徴が良く表れていて、大変聴きごたえのあるCDでした。

 

【録音について】

素晴らしい録音だと思います。大変雰囲気のいい音がしています。

 

【まとめ】

いろいろと未知の曲を聴くのは大変楽しいのですが、このCDはそんな未知の曲が、最初から親しみを持って語りかけてくるような、素晴らしい選曲であり、演奏であったと思います。しばらく堪能していました。

 

購入:2024/02/05、鑑賞:2024/03/06

 

このブログからの関連のリンクです

 

 

 

最近リリースされた新譜から ㉝

今週の新譜は、ピアノロールによる演奏のCDを聴いてみました。ピアノロールと実演は鑑賞にあたって、いろいろな意味で異なる部分はあるかとは思いますが、あまり気にしないということで…。当時よく演奏されていたと思われる曲が聴かれるのも楽しみではあります。

あと、これを新譜というのかどうかは諸説アリ(笑)。

【CDについて】

作曲:シャミナード

曲名:アメリカ風行進曲 op131 (3:09)1921収録

   華麗なるワルツ第3番 op80 (5:37)1921収録

   ガヴォット第5番 op162 (3:53)1921収録

   エレヴァシオン(6つの無言歌) op76-2 (2:46)1921収録

   枯れ葉 op146 (3:27)1921収録

   森の精 op60 (3:28)1921収録

   ギター op32 (3:05)1921収録

   秋(6つの演奏会用練習曲) op35-2 (5:17)1921収録

作曲:モレット

曲名:花嫁と蝶々のワルツ (5:10)1925収録

作曲:テルシャック
曲名:ムリーリョ op138 (6:43)1924収録

作曲:レイバッハ
曲名:わが孤独(6つのサロン小品集)op36-1 (5:16)1928収録

作曲:J.シュトラウス2世
曲名:ウィーンの森の物語 op325 (7:40)1929収録

作曲:スヴェンセン
曲名:ロマンスト長調 op26 (8:01)1926収録

作曲:オッフェンバック
曲名:序曲「天国と地獄」 (9:30)1926収録

演奏:シャミナード作品:シャミナード(p)

   その他の作品:ピトー(p)

   天国と地獄:ピトー、アームブラスター(p)

CD:CDSOL-48019 (レーベル:Condon Collection、発売:ソリッド・レコード)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

シャミナードの演奏する自作曲と、ピトーの演奏するサロンが似合う作品たちのCDです。シャミナードは、作曲によって経済的に自立した初の女性作曲家といわれていて、作品には管弦楽曲もありますが、多くをサロン用の小品が占めるようです。これらの曲が主な収入源となったことや、女性作曲家というイメージからそれらの作品が持て囃されたということのようです。管弦楽曲であれば、フルートのコンツェルティーノが有名ですね。

 

ピトーは、ニューオリンズでフランス人の両親のもとに生まれ、パリやアメリカで活躍した作曲家、ダンサー、ピアニスト、編曲者と多才な方でした。昔のハリウッド映画の主人公で出てきそうな経歴です。多彩な曲を弾いていて、「ウィーンの森の物語」や「天国と地獄」といった今でも定番の曲も入ってますね。エンターティナーなのかもしれません。ただ、この2人は年の差が44もあるので、並べられてはいますが、世代は一つ違いますね。ニューオリンズと言えば、かつてのフランス領ルイジアナの首府であったわけですが、スコット・ジョプリンなんかは弾かなかったのかな…。

 

【演奏について】

ピアノロールってどんな感じで聞こえるのだろうと興味もあったのですが、普通にピアノですね。当たり前ですが(笑)。実演と比べてどうだこうだと言っても仕方がない気がするので、とりあえず聴いてみます。イメージとして、シャミナードは強くゴージャスな感じ、ピトーは柔和で美しい感じでしょうか。曲にもよるとは思いますが。サロン的という意味では、ピトーの方が今風のサロンのイメージに近く、「ウィーンの森の物語」などのニュアンスは、思わずいいなぁと思ってしまいました。一方で、この少し前の時代は、ショパンの曲もサロン的に演奏されていることも考えると、シャミナードの曲は伝統的なサロンの曲の小品集という感じでしょうか。

 

ピアノロールは、音色は難しいにしても、テンポや強弱はそのもののはずですから、このCDを流していると、1920年代のフィッツジェラルドたちも訪れていたパリの狂乱の時代の音楽を聴いていることになる訳です。ピトーはその頃20代で、パリでデビューした訳ですから、まさにこのタイミングです。そして今でもその演奏をピアノそのものの音で聴くことができるのが、この録音方式のいいところですね。ということで、部屋の中でずっと流して1920年代のパリにいる気分になるのでした。「ミッドナイト・イン・パリ」にならないかな…(笑)。

 

【録音について】

あまり気にしませんでした(笑)。

 

【まとめ】

このシリーズのピアノロールのCDは、まだまだ続いているようですが、コルトーも予定されているようで、これは聴いてみたいです。古めの録音の音で聴くのではなく、ピアノの音で聴くコルトー。どんな感じかなぁと、すごく興味が湧いているのでした。

 

購入:2024/02/09、鑑賞:2024/03/11

【CDについて】
作曲:ベートーヴェン

曲名:ピアノ・ソナタ第30番ホ長調 op109 (20:22)
   ピアノ・ソナタ第31番変イ長調 op110 (20:16)

   ピアノ・ソナタ第32番ハ短調 op111 (27:24)

演奏:アシュケナージ(p)
録音:1974年12月(No30)、1972年7月(No31)、1971年5月(No32)

   ロンドン Kingsway Hall(No30)、ロンドン London Opera Center(No31,32)

CD:POCL-5133(レーベル:LONDON、原盤:DECCA、発売:ポリドール)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

ベートーヴェンの後期の3つのピアノ・ソナタです。今まで出ていませんでした。それぞれ性格は異なるとは思いますが、雰囲気は似ていると思います。最後のピアノ・ソナタになりますので、晩年の境地と思ったりしますが、ベートーヴェンが亡くなったのはまだ5年ほど先で、まだ交響曲第9番は出来ていませんし、後期の弦楽四重奏曲もまだ先の話しですね。それでも、この3曲は、形式は尊重しながらもとても自由に展開し、また叙情性に富み、静逸な美しさを持つもので、最後のピアノ・ソナタという言葉からくる印象と合致する作品でもあると思います。

 

【演奏について】

CDのライナーノートは石井宏さんの執筆で、アシュケナージの演奏を熱く持ち上げられていました。その中で、ベートーヴェンの演奏の伝統というものに触れられ、それは「シュナーベルがこうあるべきだと努力して確立し、その路線でバックハウス、ナット、ケンプ、アラウたちが弾いてきた」と、そのようなことが書かれています。確かに私の若い頃は、ベートーヴェンと言えばバックハウスを聴け、というのが本や雑誌のおすすめでありました。(実際、私は当時何を聴いていたか、全く忘れてしまいました。いろいろ安価で手に入るレコードをいろいろと取り混ぜて聴いていた気がします。上記以外には、ホロヴィッツとか聴いてたかも…)

 

後期のピアノ・ソナタでは、ポリーニの録音の評判が高かったような気がします。演奏自体は伝統的な枠に入るものだったかな?と思っています。私が後期のソナタを好きになったのは、比較的最近のことですが、プレスラーの晩年の演奏を聴いた時ではなかったかと思います。プレスラーの演奏するシューベルトのソナタと一緒に聴いていたのですが、両方の曲が頭の中でよく溶け合って、静逸な境地を作り上げていました。ベートーヴェンの最後のソナタは、古典派の枠は通り過ぎて、ロマン派への道が開けていると思いました。素晴らしい音楽です。

 

プレスラーさんの第31番第一楽章のリンクです。

 

石井宏さんのライナーノートでは、アシュケナージは伝統的な演奏から飛び出して新しい歴史を作ろうとしていると書かれています。今やいろんなスタイルの演奏が溢れている時代ですが、あの頃の状況の中では、確かにそうであったのかもしれません。アシュケナージと言えば、ショパンやラフマニノフの演奏がまず頭に浮かぶ、詩情豊かなロマンティックな演奏の印象です。それが、ベートーヴェンのソナタとどう結びつくのか。アシュケナージのこの演奏は、あまりベートーヴェンらしくないような軽やかで美しい音を紡ぎながら、特に緩徐楽章の情緒は、全く何物にも代えがたい静寂を聴いている印象を残します。当時の革新的な演奏であり、さらにはこの曲の演奏の自由度の大きさを感じることになりました。このCDは、若きアシュケナージの初回の全集に組まれているものですが、素晴らしい演奏を残してくれたと思います。

 

【録音について】

ピアノの音が輝かしく、とても綺麗な録音です。

 

【まとめ】

ベートーヴェンの後期ソナタの演奏は、いろんなタイプのものが出てきているので、それはそれでとても楽しいのですが、こういった演奏で聴く、ベートーヴェンの後期ソナタは、やはり好きだな…、と思いました。

 

購入:2023/11/22、鑑賞:2024/02/28

 

ベートーヴェンのピアノ・ソナタの記事のリンクです

 

 

 

 

 

3月はシベリウスの交響曲を聴いてみましょう ②

シベリウスの交響曲、今週は第3番を聴いてみたいと思います。これも普段あまり聴かない曲です。シベリウスの交響曲の中でも、演奏頻度が少ない方ではないかと思うのですが、どうなんでしょうか?

買ったCDはちゃんと聴こうシリーズ ㉕

【CDについて】

作曲:シベリウス

曲名:交響曲第3番ハ長調 op52 (30:52)

   交響曲第7番ハ長調 op105 (22:52)

演奏:コリン・デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団

録音:2003年10月1-2日(第3番),2003年9月24-25日(第7番)

   ロンドン Barbican(ライヴ)

CD:LSO0051(レーベル:LSO LIVE)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

交響曲第3番

すでに名声を得ていたシベリウスですが、享楽的な生活に陥ってしまい、健康を害してしまいます。創作活動も停滞してしまう状況に、シベリウスは1904年、ヘルシンキ郊外のヤルヴェンパーに移り住みました。自然に囲まれて創作意欲を取り戻したシベリウスは、ロイヤル・フィルハーモニー協会の委嘱による新作交響曲に着手します。しかし様々な仕事の依頼で、作曲は中断を重ね、完成したのは予定の半年遅れの1907年秋でした。この曲は、シベリウスの新居が妻の名前をとって「アイノラ」と名付けられたことから、「アイノラ」と呼ばれることもあるそうです。

曲は3楽章形式ですが、最終楽章がスケルツォとフィナーレの性格を併せ持っており、この手法は最終的に第7番の単一楽章へと発展していきました。また、第2番までの派手な後期ロマン派様式から、後期の純粋な密度の高い作風の過渡期にあたり、転換期の曲と認識されています。

 

【演奏についての感想】

まず、交響曲第3番から。低音の弦でリズミカルに刻まれる主題が登場し、さらにチェロの旋律の主題が登場して、展開していきました。楽章全体を通しで、弦で刻まれるリズムが印象的でした。波のように盛り上がったり、静かに引いていったりと繰り返しながらの展開でした。後半に入るとかなり元気のいい雰囲気になってきます。第二楽章は一転静かな展開です。フルートで主題が提示される変奏曲。素朴で美しいメロディがいろいろな楽器で演奏されます。変奏と言ってもメロディ自体はあまり変わらない感じですが、オーケストラの色彩が次々変化している感じです。第三楽章は今まで登場したメロディが次々と出て来て、全体が構成されます。そして後半に入ると、新たな主題が出て来て高揚していくという感じです。

 

いろいろ盛りだくさんの音楽で、細かく聴いていくとなかなか楽しめました。コリン・デイヴィスの演奏も、細部までよく表現されているもので、派手に何かを聴かせるといった風ではなく、コリン・デイヴィスらしいく、真摯で実直にこの曲を表現していると思いました。しっかりシベリウスをまとめた感じですかね?第二楽章などとても美しく、伴奏の弦の雰囲気なども良かったと思います。コリン・デイヴィスはシベリウスを得意にしている指揮者の一人ですね。

 

第7番は、先週聴いたマゼールとは違って、普通のテンポの演奏です。短い間にいろいろな楽想が詰まっている曲を、堂々と構築された演奏で聴かせてくれる録音だと思います。これがライヴ?という感じがするほど、整っていますね…。録音技術も進歩したものです。最近は北欧系のオーケストラや指揮者が幅を効かせていて、伝統的なオーケストラの演奏がいまいち盛り上がらない感じのあるシベリウスですが、立派な表現というのはあるものだと思いました。

 

【録音に関して】

ものすごくクリアか?と言われると、完全ではないかもしれませんが、細部までよく聴こえて、かつ全体の雰囲気が良くまとまっているいい録音だと思います。ライヴ録音とは思えないようなクリアな音です。

 

【まとめ】

シベリウス、この際全部久しぶりに聴いてみようと、順番に進行中です(笑)。ここから奥深い世界に入っていきますね。(と言っても、最初から第7番を聴いてしまっているのですが…。

 

購入:不明、鑑賞:2024/02/27

 

とりあえずシベリウスで書いた記事を少しリンクしておきます。

 

 

 

【CDについて】
作曲:ヨアヒム

曲名:ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調 (35:16)

   序曲「ハムレット」 op4 (17:19)

   序曲「ハインリヒ・フォン・クライストの記念に」op13 (10:23)

演奏:西崎崇子(vn)、ミンスキー指揮 シュトゥットガルト放送交響楽団

録音:1983年9月9-11日 シュトゥットガルト

CD:8.223373(レーベル:MARCO POLO)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

今日は、ロマン派の作曲家たちを語る際に頻繁に登場するヨーゼフ・ヨアヒムです。ブラームスやシューマン夫妻との親交、ワーグナー・リスト派との対立など話題は豊富で、メンデルスゾーンに師事しています。また、稀代のヴァイオリニストとして多くの弟子を育て、今やその後継者が世界中で活躍しているという事になっています。ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団でも活躍し、ゲヴァントハウス四重奏団も創設しました。そんな、クラシック至上に大きな影響を残した音楽家ですが、作曲方面ではあまり語られることが無いようです。今回は、そんなヨアヒムのCDをたまたまGETしたので、聴いてみることにしました。

 

【演奏について】

ヴァイオリン協奏曲第3番

さて、ヨアヒムについて調べ始めると、膨大なものになり、かなりの研究も必要になりそうなので、とりあえず今回は曲を聴きます(笑)。ヴァイオリン協奏曲は3曲作曲されていますが、これは最後のもので、ドイツの詩人ブレンターノの妹で作家で作曲家でもあったアルニム伯爵夫人の娘の、グリム夫人(夫の父はグリム兄弟の一人で、彼女自身も童話作家として活躍した)の追悼のために作曲されました。第一楽章の主題はアルニム伯爵夫人の曲を使用しているとのことです。短い序奏の後、ヴァイオリンの独奏が開始され、連綿と反復されながら音楽が続いていく感じがしました。

第二楽章は追悼音楽で、葬送行進曲のような歩みと美しいメロディを持っています。主題は、シューベルトの八重奏曲の冒頭の主題を想起させるものでした。第三楽章は打って変わって躍動的な音楽になり、複雑な技巧で展開していきました。若き時代にライプツィヒで活躍したヴァイオリニストのヨアヒムということで、この曲を聴きながらメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の面影が浮かび上がりました。全体として、ロマン派のヴァイオリン協奏曲という雰囲気ですが、後世的には古典的な形になっていると思います。展開がヴァイオリンの技巧重視で連綿と続く感じがして、メリハリや盛り上がりというと少々物足りないところを感じたりしましたが、充実した内容の作品と思いました。私はメンデルスゾーン的な雰囲気の影響をの中で、もっと実直な曲だという印象を持ちました。ライナーノートには、シューマンやシュポアの精神に由来すると書かれています。

追悼音楽としても、母の曲を使い、葬送の歩みを挿入し、ロマン派のヴァイオリン曲の技巧で締めるという事で、よく練られた形で構成されている思いました。

 

これは、この音源そのものですね。

 

演奏する西崎崇子さんは、ヴィオラの今井信子さんとともにジュリアードのご出身で、海外のレーベルに多くの録音を残されており、新しい曲の録音にも大変意欲的であったと思います。西崎さんは夫がナクソスの創業者ということもあってか、ナクソスレーベルに有名曲稀少曲を問わず多くの録音を残されていますね。これは偉業だと思います。音は繊細で透明感を持ち、技巧的なこの曲をよく歌わせながら演奏されていると思いました。

実は、西崎崇子さんのCDは、ベートーヴェン・ブラームス・ブルッフ・メンデルスゾーン・チャイコフスキーと、私のCD棚に並んでいるのですね…。三大ヴァイオリン協奏曲を網羅しています(笑)。

 

序曲「ハムレット」

CDのブックレットには、ヨアヒムは一般的な文化に対する幅広い興味を持っていたが、ブラームスは、その生立ちからその部分が不足していて、ヨアヒムが大いに不足を補ったと書かれています。確かに、ブラームスはこういった一般的な文化を基礎とした表題的な楽曲は少ないような気がします。そのヨアヒムの序曲「ハムレット」は、他の同種の演奏会用序曲と同様、劇的に開始され、ゲネラルパウゼでアクセントをつけられたりと、少々凝った作品になっていました。敵対していたワーグナーやリストのように肥大化しないので、展開や盛り上がりは大人しいところもありますが、なかなか面白い曲だと思いました。

 

序曲「ハインリヒ・フォン・クライストの記念に」

この曲は、クライストの生誕100年にあたって作曲された作品で、1877年に作曲されました。クライストは劇作家であり、ドイツロマン派の発展にとって重要な作品を残したとブックレットに書かれています。岩波文庫ででていた「こわれがめ」でその名を知っていました。ロマンティクな味わいのある管弦楽曲だと思いました。この二曲の管弦楽曲を聴いていると、上質でスタンダードなロマン派の音楽を感じます。

 

【録音について】

問題ない録音ですが、今となってはちょっと古く感じるかもしれません。

 

【まとめ】

ヨアヒムはどうやら、広範な交流と知識を持った人物だったと感じました。ヨアヒムを中心に、この時代の文学、芸術や、交流関係を追っていくのも面白そうですし、そこからいろいろな楽曲が生まれてきているのも興味深いと思いました。なかなか興味深いCDでした。

 

購入:2024/02/26、鑑賞:2024/02/27

ショスタコーヴィチの時代 ㉝

しばらくは、第二次大戦の影響もあって、重い音楽が続いたのですが、今週はちょっと息抜きということで、久しぶりの映画音楽です。「ピロゴーフ」は、1947年の作品で、ショスタコーヴィチは、この他にもコンスタントに映画音楽の作曲を続けていますが、手元にあったのはこれでした。この時期ですが、他には「ミチューリン」や「ベルリン陥落」なども作られています。カプリングの「馬あぶ」は1955年の作品で、このブログでは既出ですが、編曲などが違っています。「馬あぶ」のほうは、映画音楽の中でもよく演奏される曲目だと思います。

【CDについて】

作曲:ショスタコーヴィチ

曲名:組曲「馬あぶ」op97a (45:40)

   組曲「ピロゴーフ」op76a (17:01)

演奏:セレブリエール指揮、ベルギー放送交響楽団

録音:ブリュッセル Maison de la Radio

CD:6603-2-RC(レーベル:RCA、発売:BMG Music)

 

【曲と演奏について】

大戦中から、戦後にかけてもショスタコーヴィチは映画音楽を継続して作曲しています。少し前の時代ですと、バレエ音楽や劇音楽というところだと思いますが、これらは市民の娯楽であり、国策であり、また作曲家の生活の糧でもある訳ですね。戦争中に映画?と思われるかも知れませんが、これは日本でも同じで、大戦中もその世相に合わせた映画が制作されています。基本は検閲を経てということですが、それでも名監督の作品は、これ反戦映画ではないか?という映画もあります。陸軍省監修の木下惠介監督の「陸軍」なんかは最たるもので、見事に裏切り、陸軍省から睨まれることになります。このあたりの事情は洋の東西を問わずという事で、ショスタコーヴィチの音楽にも共通していますね(笑)。

戦中戦後の映画音楽は、「ゾーヤ(1944)」「普通の人々(1945)」「若き親衛隊(1947)」「ピロゴーフ(1947)」「ミチューリン(1948)」「エルベ河の邂逅(1948)」といったところでしょうか。

 

組曲「馬あぶ」op97a

この曲に関しては、カプリングされていましたので、一度登場しました。ショスタコーヴィチの映画音楽の中でも、比較的取り上げられる頻度が多いものではないでしょうか。アイルランドの小説家ヴォイニッチの原作によるもので、革命闘争に巻き込まれた主人公が悲劇的最期を遂げるお話。アイルランドの小説ながら、ソ連や中国で大流行したようで、4回も映画化されたとのことです。1955年に制作された映画につけられているのが、ショスタコーヴィチの音楽で、特に「ロマンス」は有名になりました。全曲を通して明るく楽しい曲や、盛り上がる曲やロマンティックな曲が散りばめられていて、45分ほどの長さになりますが、楽しめる組曲になっています。組曲はショスタコーヴィチの編曲でお馴染みのアトヴミャーンによるものです。

 

ショスタコーヴィチの「ロマンス」。タスミン・リトルのヴァイオリンとピアーズ・レーンのピアノによる演奏です。メロディの美しさが際立ちます。御用とお急ぎの方も、つかの間の美しいメロディに浸ってみませんか?(笑)

 

ここで、「馬あぶ」が出てくる過去記事のリンクです。

 

 

 

組曲「ピロゴーフ」op76a (17:01)

さて、本題の「ピロゴーフ」です。この時期に制作された「ミチューリン」と同じ系統の映画で、あちらは農学者ですね。一方、ピロゴーフは最初にエ-テル麻酔を臨床医学に役立て、また、石膏のギブスによる骨折個所の固定手術を最初に行ったロシアの外科医とのこと。クリミア戦争に軍医として従軍し、数々の手術手法を創案して、野戦外科の父とも言われているそうです。伝記映画ですね。「先駆者の道」という邦題で、1950年に日本でも公開されています。

曲のほうは、映画は見たことがないのでよく解らないのですが、野戦外科の偉人ですので、戦争場面も多いのではないかと思います。「序曲」から軍隊のトランペットの音が登場し、「情景」では激しい音楽が展開していきます。今や、お得意の戦争シーンです(笑)。そして、定番の舞曲など織り込まれますので、楽しめる組曲になっていると思います。

 

組曲「ピロゴーフ」から第4曲スケルツォ。短いですが、なかなか面白い曲です。シャイーとコンセルトヘボウにょる録音です。

 

ここで、もう一つ過去記事リンク。「ミチューリン」の入ったセレブリエールのCDの記事です。

 

さて、ショスタコーヴィチの映画音楽を楽しみました。セレブリエールの演奏は、もたれず重くならずという感じで、映画音楽らしい演奏で、なかなかいいと思います。楽しめます。しかし、かつてはこのあたりの曲の音源を探すのは一苦労でしたが、今やたくさんの音源があるのですね。ちょっと驚いています。交響曲をひと通り聴いたら、こちらの方を聴くということになるのでしょう。私もそうでした。やはり、それだけ楽しい曲が多いという事だと思います。

 

次回は、打って変わってガチな曲に戻ると思います。

 

購入:1993頃?、鑑賞:2024/02/26(再聴)

【CDについて】
作曲:モーツァルト

曲名:弦楽五重奏曲第5番ニ長調 K593 (26:59)

   弦楽五重奏曲第6番変ホ長調 K614 (24:17)

演奏:メロス弦楽四重奏団、ファルルリ(va)

録音:1989年11月 ノイマルク

CD:POCG-1081(レーベル:DG、発売:ポリドール)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

今日は、モーツァルトの最後期の弦楽五重奏曲を聴いてみることにしました。この曲を聴くのは何年振りだろか…。二桁の年数かもしれません。なんとなく、モーツァルトの弦楽五重奏曲というと、スメタナSQとスークによるLPを連想してしまいます。レコード店に足しげく通っていた頃、かなり目立っていたLPでした。LPを持っていたような記憶もあるのですが、今手元に置いていないので、定かではありません。

 

第5番は、死の前年に作曲された作品でした。生活が困窮する中でのことです。チェロが良く目立ち、ヴィオラ2台による内声部が充実した作品で、ところどころにハッとするような展開が現れます。最後期の透明感のある充実した作品です。第6番はさらに死の8ヶ月前の作品になります。器楽曲は、あとはK622のクラリネット協奏曲を残すのみです。大変明るい曲で、この後作曲される「魔笛」の音楽をイメージするかもしれません。最晩年の澄み切ったというか、振り切れた明るさに包まれている作品です。それでは、初心に返った気持ちで聴いてみましょう…。

 

【演奏について】

第5番

チェロとの応答で始まるゆったりとした序奏から、構えの大きい曲であるとうかがい知ります。主部に入って輝かしく時に激しく展開していき、時々挟まれる休止などに意表を突かれつつ、モーツァルトの作品の面白さを改めて知ることとなります。第二楽章がとても美しい曲で、長調の第一主題と短調の第二主題の対比が見事です。モーツァルトの哀愁を讃える朗々とした短調を聴くことができます。躍動的な第四楽章は対位法的な書法も使われていて変化に富んだ曲になっています。

 

バリリSQの1954年の演奏ですが、バリリのロマンティックな響きは、1950年代のウィーンの音楽の情感を今に伝えている録音です。

 

第6番

こちらは、打って変わって楽しい曲。美しいメロディが楽器の間で受け渡されながら発展していきます。第一楽章では、ホルンを思わせるようなヴィオラの音や、森の小鳥のさえずりのようなヴァイオリンの歌を楽しむことになりました。第三楽章の素朴なメヌエットと、第四楽章の疾走するロンドと、長く聴いてきたモーツァルトの究極の姿がここにあるという感じです。

 

アメリカ的な演奏スタイルを作り上げたブダペストSQの録音で、モーツァルトを浮かび上がらせてみましょう。このスタイルは後のジュリアードSQへと引き継がれていきました。

 

そういった感じで、モーツァルトの晩年の音楽を深く味わう事の出来る曲なのですが、メロスSQは強く分厚い音を持って、流麗に演奏していくスタイル。伝統的な重厚な演奏の流れを引くものと思います。K614のフレーズの受け渡しやヴィオラの音などは、克明かつ特徴的に印象付けられました。ドイツ的生真面目さというと先入観で聴いているという事になるかもしれませんが、言い方はおかしいですけど、力強くて、そのものずばりの演奏だと思いました。じっくりと長く聴ける演奏だと思います。

 

【録音について】

かなり強めだとは思いますが、個々のパートの音が非常に明瞭で素晴らしい録音です。

 

【まとめ】

モーツァルトの曲なので、演奏者の特徴がとても出やすいですね。上記に貼り付けた演奏以外でも、往年の四重奏団が録音を残していますので、YouTubeなんかで聴き比べると、四重奏団の性格がとても判りやすいと思いました。モーツァルトの弦楽五重奏曲は、まだまだ他の演奏者でもたくさん聴いてみたい曲です。

 

購入:2023/11/25、鑑賞:2024/02/25

 

モーツァルトの室内楽…ということで関連のリンクです

 

 

【CDについて】
作曲:ラヴェル

曲名:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」全曲 (58:31)

演奏:レヴァイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

   ウィーン国立歌劇場合唱団
録音:1984年6月 ウィーン ムジークフェラインザール

CD:F35G 50260(レーベル:DG、販売:ポリドール)

 

【3月のお題:今日の初登場曲は?】

今日は、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」にしました。私は、この曲を始めて聴いたのは、高校の頃になりますが、冨田勲がきっかけです。この時期、冨田勲の演奏で、たくさんの曲を教えていただきました。冨田勲のLPは友人がよく買っていたので、借りてほとんどの作品を聴いたと思います。その影響もあって、この曲のLPを買ったのはクラシックを聴き始めて間もない頃で、ミュンシュ/ボストンso、RCAの廉価版でした。

 

この曲、若い頃から聴いていた割には、ラヴェルの曲の中ではあまり聴かない曲になっています。バレエ音楽だからという事もあるのですが、全曲聴くと同じような雰囲気が続いて、ちょっと退屈になってしまうのでした。バレエを見ながら聴くといいのかもしれませんね。それでも、この曲の第3幕は素晴らしいと思います。夜明けから、全員の踊りへと盛り上がっていきます。ボレロなどもそうですが、ラヴェルのこういった盛り上がりは迫力があって大好きです。

 

この作品は、バレエ・リュスのディアギレフがラヴェルに作曲を依頼したもので、全1幕3場。あらすじは、「第1場:若い牧人たちが祭壇に集まり、その中にダフニスとクロエもいますが、ダフニスはクロエに横恋慕するドルコンと、クロエの口づけをかけて舞踏で競い合うことになります。ダフニスが勝ちますが、クロエは海賊に誘拐されてしまいます。第2場:海賊は夜営地で宴を催し、クロエをものにしようとしますが、パン神の巨大な幻影に脅され、海賊たちは退散します。第3場:再会を喜び合うダフニスとクロエは、パン神が自身の愛の思い出故にクロエを救い出したと知らされます。二人はパン神とシリンクスの物語をパントマイムで再現して神に感謝し、牧人たちの全員の踊りで大団円となります。」さて、久しぶりに聴いてみましょう。

 

【演奏について】

まずは、このレヴァイン・ウィーンpoの演奏は素晴らしい演奏だと思います。この曲の輝くような管弦楽をよく表現している演奏だと思います。ただしですね…上にも書いたりで、私はこの全曲盤を真正面から何度聞こうとしても、気もそぞろに…という風になってしまうのですね。逆に何かしながら流しておけば、いい雰囲気で、何度も繰り返して永遠に聴けてしまうのですが(笑)。そして、第3幕に入ると、音楽に引き寄せられていきます。もしかしたら、第3幕の音楽からなる第2組曲を、いつも聴き慣れているからかもしれません。

 

確かに、バレエ音楽の全曲盤を楽しむというのは、曲によってはなかなか厳しいこともあって、「春の祭典」とかは全曲盤一択なのでしょうけど、「白鳥の湖」とか「くるみ割り人形」とか、あるいは「ジゼル」とか、けっこう全曲通して聴くのは大変ですよね。この曲も60分に満たないので、勿論全曲版で美しいラヴェルの管弦楽を聴くという楽しみはあるのですが、それでも第2組曲、あるいは第1+第2という形でいいとこどりする方が、自分には合っている気がしました。

 

【録音について】

ウィーン・フィルがラヴェルを演奏するとどういう音になるか、という事ですが、それがとても美しい音で聴こえています。いい録音です。

 

【まとめ】

何か、中途半端な感想になってしまいましたが、この演奏自体はいいと思います。この時期一世風靡したレヴァインの美しくも明るい演奏です。ダフニスとクロエは、ちょっと私自身の相性のこともありそうですが、懲りずにまた別の演奏を聴くと思います(笑)。

 

購入:2024/02/13、鑑賞:2024/02/23

 

このブログからの関連のリンクです