ベドルジハ・スメタナ生誕200年 ③
スメタナのアニバーサリー鑑賞の3回目は、交響詩集にしました。スメタナはキャリアの比較的初期にあたりエーテボリ時代に、交響詩を3曲作曲しています。その他、「わが祖国」を始め多数の作曲していますが、明確に交響詩と題されているのは、「わが祖国」とこの3曲ですね。
【CDについて】
作曲:スメタナ
曲名:交響詩「リチャード三世」op11 (14:13)
交響詩「ヴァレンシュタインの陣営」op14 (16:15)
交響詩「ハーコン・ヤルル」op16 (17:20)
祝典交響曲 op6 第三楽章スケルツォ (10:37)
演奏:レオシュ・スワロフスキー指揮 スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2014年6月16-18日,23-24日
ブラティスラヴァ Concert Haii of the Slovak Philharmonic
CD:8.573597(レーベル:NAXOS、発売:販売:ナクソス・ジャパン)
【3月のお題:今日の初登場曲は?】
今日は、アニバーサリー鑑賞ということで、スメタナの交響詩集を聴いてみました。スメタナは、プラハで一定の成功を収めてはいましたが、大成功とはいえずに伸び悩んでおり、32歳の時に、スウェーデンのエーテボリに移り、活動拠点としました。この3曲の交響詩は、エーテボリ時代に作曲されたものですが、その頃ワイマールのリストを訪問しており、当地でリストの「ファウスト交響曲」などを演奏したとのことです。スメタナはリストから多くの音楽的影響や霊感を受けているようです。「リチャード三世」は、もちろんシェイクスピア、「ヴァレンシュタインの陣営」はシラーの「ヴァレンシュタイン三部作」、「ハーコン・ヤルル」は、デンマークの詩人、アダム・エーレンスレーヤーの悲劇を題材としたもの。一方、祝典交響曲はエーテボリに移る前に、フランツ・ヨーゼフ1世の成婚記念に作曲されましたが、受け取りを拒否され、独自で初演を行ったものの不成功に終わったとのことでした。
【演奏について】
このCDは全曲聴いても同じような印象を受けましたので、まとめて感想を…。スメタナの交響詩ということで、管弦楽の印象は、後年の「わが祖国」のような壮大で華麗な音楽だと思いました。初期作品に属するのではないかと思いますが、音の厚さを十分感じるオーケストレーションです。交響詩ということで、当時のリストの影響を大きく受けた作品ではないかと思います。一方で、印象としては終始もっさりした印象を受けました。キレがないというか…。例えば「リチャード三世」は特にだと思いますが、全体に同じフレーズが微妙に形を変えつつ何度も何度も登場して、強弱は変化するもののテンポが変わらず、まったりしている感じです。
この印象は、演奏や録音からくるものかもしれません。オーケストラの音はかなり渋めの音で、演奏自体はよくまとまっていると思いますが、出てくる音色は、東欧伝統の…という風に形容されるものかもしれません。華麗な音にはならないようです。指揮も堅実ではありますが、ニュアンスはもっとつけられて、面白く演奏できるのではないか?というのが終始考えていたことでした。従って聴きながら、マイナーな曲を網羅的に録音したお仕事なのかなぁ…と思ったりしていたのですが、そこでTouTubeなど見ていて見つけたのが、これですね…。
クーベリックとバイエルン放送響による交響詩集から、「ヴァレンシュタインの陣営」
このジャケット、LP時代に雑誌とかでたびたび見た記憶がありますし、名盤的に紹介されたいたような気もします。当時は実は今以上に取り上げられていたのかな?と思ったりしました。曲自体の印象は、だいたい前と同じなのですが、演奏はもっとメリハリの効いた感じだと感じました。このCDもしばらく見かけないのではないかと思うのですが、アニバーサリーイヤーでもあり復活するか、あるいはこの曲の真価を発揮させるような新しい録音を期待したいと思いました。
【録音について】
2014年の録音ですが、あまり輝かない録音だと思いました。
【まとめ】
スメタナの分厚い感じの管弦楽を聴くことができ、スメタナはリストの影響が大きいことを理解しました。これは、今回なるほど…と思ったことでした。いろいろ発見があって面白かったと思います。しかし、このクーベリックのCD、懐かしさもあって欲しくなってきました(笑)。
購入:2024/02/09、鑑賞:2024/03/08
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