最近リリースされた新譜から ㉝
今週の新譜は、ピアノロールによる演奏のCDを聴いてみました。ピアノロールと実演は鑑賞にあたって、いろいろな意味で異なる部分はあるかとは思いますが、あまり気にしないということで…。当時よく演奏されていたと思われる曲が聴かれるのも楽しみではあります。
あと、これを新譜というのかどうかは諸説アリ(笑)。
【CDについて】
作曲:シャミナード
曲名:アメリカ風行進曲 op131 (3:09)1921収録
華麗なるワルツ第3番 op80 (5:37)1921収録
ガヴォット第5番 op162 (3:53)1921収録
エレヴァシオン(6つの無言歌) op76-2 (2:46)1921収録
枯れ葉 op146 (3:27)1921収録
森の精 op60 (3:28)1921収録
ギター op32 (3:05)1921収録
秋(6つの演奏会用練習曲) op35-2 (5:17)1921収録
作曲:モレット
曲名:花嫁と蝶々のワルツ (5:10)1925収録
作曲:テルシャック
曲名:ムリーリョ op138 (6:43)1924収録
作曲:レイバッハ
曲名:わが孤独(6つのサロン小品集)op36-1 (5:16)1928収録
作曲:J.シュトラウス2世
曲名:ウィーンの森の物語 op325 (7:40)1929収録
作曲:スヴェンセン
曲名:ロマンスト長調 op26 (8:01)1926収録
作曲:オッフェンバック
曲名:序曲「天国と地獄」 (9:30)1926収録
演奏:シャミナード作品:シャミナード(p)
その他の作品:ピトー(p)
天国と地獄:ピトー、アームブラスター(p)
CD:CDSOL-48019 (レーベル:Condon Collection、発売:ソリッド・レコード)
【3月のお題:今日の初登場曲は?】
シャミナードの演奏する自作曲と、ピトーの演奏するサロンが似合う作品たちのCDです。シャミナードは、作曲によって経済的に自立した初の女性作曲家といわれていて、作品には管弦楽曲もありますが、多くをサロン用の小品が占めるようです。これらの曲が主な収入源となったことや、女性作曲家というイメージからそれらの作品が持て囃されたということのようです。管弦楽曲であれば、フルートのコンツェルティーノが有名ですね。
ピトーは、ニューオリンズでフランス人の両親のもとに生まれ、パリやアメリカで活躍した作曲家、ダンサー、ピアニスト、編曲者と多才な方でした。昔のハリウッド映画の主人公で出てきそうな経歴です。多彩な曲を弾いていて、「ウィーンの森の物語」や「天国と地獄」といった今でも定番の曲も入ってますね。エンターティナーなのかもしれません。ただ、この2人は年の差が44もあるので、並べられてはいますが、世代は一つ違いますね。ニューオリンズと言えば、かつてのフランス領ルイジアナの首府であったわけですが、スコット・ジョプリンなんかは弾かなかったのかな…。
【演奏について】
ピアノロールってどんな感じで聞こえるのだろうと興味もあったのですが、普通にピアノですね。当たり前ですが(笑)。実演と比べてどうだこうだと言っても仕方がない気がするので、とりあえず聴いてみます。イメージとして、シャミナードは強くゴージャスな感じ、ピトーは柔和で美しい感じでしょうか。曲にもよるとは思いますが。サロン的という意味では、ピトーの方が今風のサロンのイメージに近く、「ウィーンの森の物語」などのニュアンスは、思わずいいなぁと思ってしまいました。一方で、この少し前の時代は、ショパンの曲もサロン的に演奏されていることも考えると、シャミナードの曲は伝統的なサロンの曲の小品集という感じでしょうか。
ピアノロールは、音色は難しいにしても、テンポや強弱はそのもののはずですから、このCDを流していると、1920年代のフィッツジェラルドたちも訪れていたパリの狂乱の時代の音楽を聴いていることになる訳です。ピトーはその頃20代で、パリでデビューした訳ですから、まさにこのタイミングです。そして今でもその演奏をピアノそのものの音で聴くことができるのが、この録音方式のいいところですね。ということで、部屋の中でずっと流して1920年代のパリにいる気分になるのでした。「ミッドナイト・イン・パリ」にならないかな…(笑)。
【録音について】
あまり気にしませんでした(笑)。
【まとめ】
このシリーズのピアノロールのCDは、まだまだ続いているようですが、コルトーも予定されているようで、これは聴いてみたいです。古めの録音の音で聴くのではなく、ピアノの音で聴くコルトー。どんな感じかなぁと、すごく興味が湧いているのでした。
購入:2024/02/09、鑑賞:2024/03/11