さて、今までご紹介した2020年度予算質疑の最後に、予算の賛否を述べて意見表明をしました内容をご報告します。

 

---------

市民ふくしフォーラムとして、2020年度一般会計、国民健康保険事業会計、介護保険会計、後期高齢者医療会計予算に反対の立場で意見を表明します。

予算の質疑の中で特に課題と感じた点をいくつか挙げると、まず男女共同参画計画ではセクシュアルマイノリティに関する様々な施策やパートナーシップ制度のことなど、計画に明文化されていない課題が多くあります。今後検討すべきものとして捉えていくということですがが、明文化されないことが組織として将来的に引き継がれていくのかが心配です。担当者が変わっても、取り組むべきことが将来に引き継がれるような明確な仕組みが必要です。

高齢者施策では、例えば都市型軽費老人ホームには要介護度が高くなった時に暮らし続けることが難しいことや、低所得の高齢者の手元に残る生活費がかなり少なくなるといった点は、制度的課題といえます。区は、高齢者施設を作って待機の数を減らすことだけではなく、そこで暮らす人の生活の質を向上させるため、課題を把握する努力をもっとすべきです。そうすることで、施設入所者はもちろんのこと、地域で暮らす高齢者の地域包括ケアの充実に生かせるはずです。

また、住宅セーフティネット法に基づく住居はいまだ少ないため選択肢が少ないですし、今年度作った住まい確保支援事業はまだ十分に機能していません。住まいに困窮する住宅確保要配慮者への寄り添い支援のしくみの構築と住宅の確保に真剣に取り組む必要があります。

 

以下、各款について意見を述べます。

 

・災害が多発する中、財政的な面からも、被災地支援のあり方を検証し、仕組み作りをすること。

防災学習センターの取り組みの中で、地域で暮らす障害のある人、高齢の人などの生活を支える福祉事業所や民生委員、ボランティアの方などに対する実践的な防災研修、講座などを実施すること。

・パートナーシップ制度をはじめ、セクシュアルマイノリティに関わる施策の充実を図ること

・子育て、介護、障害者に関わる様々な施策において、男女共同参画の観点からの計画策定を行なうこと。

・区民事務所における「配慮が必要な方の専用窓口」では、翻訳アプリなどの通訳の工夫のみならず、国による習慣の違いに配慮するなど支援のスキルアップに努めること。

亡届を提出する方にお渡しするご案内は、グリーフケアなどの情報をより分かりやすくするなど、ご遺族のケアの視点に立った情報発信の工夫すること。

観光施策にもユニバーサルデザインの視点を持ち、障害のある人が練馬区の魅力を伝えるイベントなど、誰もが楽しめる取り組みを進めること。

蛍光管の資源化は、職員体制など検証しながら進めること。

福祉避難所、災害医療機関の太陽光発電設備等の設置が進んでいないことから、関係者の意向を確認し、改善に努めること。

・都市型軽費老人ホームは制度的課題をふまえ、低所得の高齢者が介護が重くなっても地域で暮らすことのできるしくみづくりをより一層進めること。

福祉・保健のコーディネーターは区の職員、それを補助する生活サポートセンターは社会福祉協議会という違いがあるため、役割分担と円滑な運営については検証しながら取り組むこと。

・新型コロナウイルスを理由にした学校の休校により、障害のあるこどもの生活に影響が生じている。放課後等デイサービス、居宅介護、移動支援など、関係する福祉サービスの実態把握と支援に努めること。

・住宅確保要配慮者専用住宅の数が少ないため、確保に努めるとともに、区内のセーフティネット登録住宅の実態把握を進めること。

・住まい確保支援事業は不動産情報の提供をするだけではなく、相談や同行などの支援も行ない、実効性のあるものになるよう改善を図ること。

教育だよりをはじめ、学校教育に関する情報発信は、保護者への情報提供としてはもちろんのこと、インクルーシブ教育を進めるという観点からも、特別支援教育についての発信を充実させること。

タブレット導入に当たっては、教員の過度な負担とならない形で有効活用が図られるしくみづくりをすること。

都との児童相談体制のあり方の検討の中では、財政的な役割分担も含めた検討を進め、区としての役割の明確化を図ること。

ファミリーサポートセンターの障害児の受け入れは援助会員に対する継続したフォロー体制を充実させること。