2月25日の予算特別委員会、保健福祉費の質疑の日には、まず都市型軽費老人ホームのことを質問しました。

 

都市型軽費老人ホームは、都心部を限定に、従来の軽費老人ホームよりも基準を緩和して、2011年から始まった老人福祉法上の施設です。

介護保険上の施設ではないので、基本的には身の回りのことは自分でできる人を対象にしています。ですので、介護が重くなったら他の施設に移る必要が出てくるということ。そこは制度上の課題だと思います。

この課題に取り組むことが、地域で一人暮らしをする人の課題を把握して地域包括ケアシステムを充実させる契機になるのではないかと質問しました。

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(かとうぎ桜子)

都市型軽費老人ホームの助成金について伺います。

1年半前に都市型軽費老人ホームについて質問した際に、待機が約100名であると伺いました。その後、待機の増減はあるか。

また現在、10カ所ある施設の施設ごとに、待機の状況の違いがあるかをまずお聞きします。

 

(高齢社会対策課長)

都市型軽費老人ホームの待機状況でございますが、区内10施設全体では、約100名の待機者がいらっしゃいます。

複数の施設に申し込まれる方が多い状況にあり、各施設ごとの待機者数につきましては、10名から100名ほどと、幅がある状況でございます。

 

(かとうぎ桜子)

それから、入居者の平均年齢や要介護度、生活保護を利用されている方の割合などの状況をお聞きしたいと思います。

そして、入居から年数が経過して、要介護度が上がってきたときに、どのような対応がなされているのかを伺います。

 

(高齢社会対策課長)

まず、入居者の年齢でございますが、80歳前後の方が多くなってございます。

要介護度についてですが、都市型軽費老人ホームにつきましては、一定程度自立した生活を送れる方を対象とした施設でございまして、利用者の3割弱は、介護を必要としない方です。

そのほか、要介護認定を受けている方も、その多くは要介護度2以下となってございます。

生活保護を利用されている方は約7割いらっしゃるほか、年収150万円以下の方が約2割あり、所得の低い方が入居されている状況にございます。

介護度が重症化した方への対応につきましては、それぞれの状態に応じて、医療機関や介護保険施設に移るほか、一定程度自立して活動できる方につきましては、外部の介護保険サービスをされるなど、さまざまな状況にございます。

 

(かとうぎ桜子)

介護の現場で働いている方とお話をしている中で、要介護度が上がって、都市型軽費老人ホームに暮らすのは大変になってきたけれども、特別養護老人ホームに入るほどの状況ではなかったり、待機があるので、すぐに入れないという場合に、低所得でも入ることのできる都外の有料老人ホームなどに入るケースもあるように聞いたことがあります。

都市型軽費老人ホームができた経緯が、都外施設の火災事故で、元は東京に住んでいた高齢者が亡くなってしまったという問題を受けて、できてきたという経緯を考えると、状態の変化によって退去が必要になるという制度そのものに課題を感じますし、要介護度の変化があっても、区内でケアできる選択肢の充実が必要であると考えるのですが、区としての考えをお聞きします。

 

(高齢社会対策課長)

都市型軽費老人ホームを退所した方につきましては、先ほどご答弁申し上げたとおり、さまざまでございます。

まず、特別養護老人ホームの事例でお答えしますが、区内の特別養護老人ホームは、入居待機者がいる状態でございまして、都市型軽費老人ホームの退所者の方が、区外の施設を利用する事例もあり得るものと考えてございます。

区は、こうした方々も含め、在宅での生活が困難な方全てが希望する時期に入所できるよう、特別養護老人ホームの整備を進めており、現在区内には都内最多の31施設がございます。

待機者はいらっしゃいますが、入所申込から入所までの待機期間も改善されています。

次年度には、1施設の新設と1施設の増所により、定員を80名に増やす予定でございます。

その後も、団塊の世代のすべてが後期高齢者となる令和7年に向けて、施設サービスと在宅サービスをバランスよく整備し、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、取り組んでまいります。

 

(かとうぎ桜子)

都市型軽費老人ホームの入居者の方が抱える課題は、地域で暮らすご高齢の方の課題と近いものがあると思いますので、しっかり現状を把握して、課題に取り組んでいっていただきたいと思います。

それから、都市型軽費老人ホームは、生活保護を利用している方も入居できる制度ですけれども、食費なども含めて、入居にかかる費用を全部引くと、手元に残るお金が1万円程度だということです。経済的な面で低所得者の高齢者の社会参加には課題があるということも指摘しておきたいと思います。