よしもとばななさんの小説。
姉のどん子と妹のぐり子は、両親を早くに亡くし、ふたりで寄り添い合いながら生きてきた。人のいい親戚に引き取られ、おじいちゃんの介護をし…。そうして今は、ネット上にしか存在しない「どんぐり姉妹」として、人々のメールに答えている。
現代の日本で、実際はこんなんでは生活できないかもしれない。でもぐり子の人生観、命の炎が弱まったときに、体が治りたがるのを、心が生きようとするのを、あせらずにただじっと待つことの大切さは、現代というスピード命の社会でないがしろにされすぎてやしないか。
自分を生きていると、ときどき世界とつながる感じ、あれもたまによくわかる。親戚はやさしかったが、自分には合わない場所で暮らすと命が弱まるとか、野生動物のようなおじいちゃんとのふとした会話、さりげなく美しく生きてそして死んでゆくことの偉大さ。好きなシーンがたくさんある小説です。