法律家ではなくまったくの素人ですが、
だからこそ、素人の私が裁判所で知り得た思いを記録として綴って行きたいと思います
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公正証書遺言をつくるにあたって
の続きです。
もしも「認知症」になってしまっても、
公証人が、「この人は本当に自分の意思で遺言を述べている」と判断すれば、
公正証書遺言は作成していただけると前記事で書きました。
なぜそう言い切れるのか???
それは実際に認知症である私の母が作成できたからです。
参考までに、母の認知症の症状を時系列でまとめてみました。
【時系列】
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平成24年9月
認知症の疑いが出たため精神科で初診
長谷川式簡易スケールをするも非認知症の結果 ※長谷川式21点
診断としては、夫のガン告知による精神不安定と思われるとのこと
精神安定剤リーゼと抑肝散を処方され継続通院
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平成25年11月
長谷川式簡易スケールを行った結果初期の認知症と診断される ※長谷川式16点
アリセプトを追加で処方され継続通院
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平成26年10月
夫が死去
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平成26年12月
本人・同居家族共にアリセプトを飲むと攻撃性が著しいと主治医に訴えるも処方変更拒否
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平成17年1月
独断でアリセプトの服用を中止したところ落ち着きを取り戻す
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平成27年2月
別の病院の精神科へ転院
長谷川式簡易スケールをするも非認知症の結果 ※長谷川式21点
しかしながら認知症の入り口にいることは確かなので、
予防のため病院併設のデイケアへ通所し始める
処方はリーゼと抑肝散
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平成27年8月
公正証書遺言を作成
その際、極限の緊張状態だったため、現住所を言えない事が1~2度あり
主治医に相談し大学病院で精密検査を受ける
初期のアルツハイマー型認知症であると共に脳アミロイド血管症であることが判明 ※長谷川式17点
メマリーを追加処方され、大学病院から元の病院へ戻って継続通院及びデイケア通所
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平成28年1月
長女が独断で成年後見開始を申立
診断結果は極めて初期の認知症であり「補助」 ※長谷川式24点
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平成28年3月
「補助」なのにさらに精神鑑定を要求する長女
(通常 精神鑑定は「保佐」「成年後見」の場合のみ)
診断結果は変わらず 極めて初期の認知症であり「補助」 ※MMSE26点
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平成28年5月
成年後見開始の申立 却下命令が下る
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平成30年1月
ここ最近不穏行動が増えたので認知症検査 ※長谷川式12点
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と、こんな流れでした。
母は公正証書遺言を作成するまでに3年も精神科の通院歴があります。
症状としては、認知症の初期を行ったり来たりですが、
実際に認知症系の薬を処方された状態で3年も継続して通院している訳ですから、
「そんな状態で作成された公正証書遺言は無効である」
と言われても仕方がない状態だったと思います。
でも、諦めないでください。
認知症の介護に携わったことのある方ならおわかりかと思いますが、
認知症の初期段階というのは、全然普通に感情があるんです。
確かに物忘れは日常茶飯事だし、小難しい話は理解できないことが多いでしょう。
でも、自分の財産は何と何がどれくらいあって、
それを自分が死んだらどうしたいかくらい全然普通に判断できるはずです。
どうか自信を持ってください。
その作成者本人の強い意思がきちんと公証人に伝われば必ず成功します。
何度かやり直しにはなるかも知れません。
でも公証人はプロなので、「遺言を残したい」という願いをかなえるためならとことん付き合ってくれます。
それが彼等の仕事だからです。
みなさんがそんな素敵な公証人に出会えることを祈っています。
【結論】
認知症だからといって公正証書遺言の作成をあきらめてはいけません
プロである公証人が「イケる」と判断すれば作成はできるのですから
ただし、家族が無理矢理作成させたい場合は難しいと思ってください
そういう無理矢理感は本人にも公証人にも伝わってしまいます
もしも家族が頑張るとすれば、公正証書遺言がどれだけ大切かを本人に納得してもらうこと
そして、本人の強い意思こそが公証人の心を動かし、本人も最後までやり遂げられるのです
焦りは禁物です。簡単ではありませんが家族の絆を信じてください
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