本論文は、閉経時期の予測に関するレビューです。
Fertil Steril 2024; 121: 737(オランダ)doi: 10.1016/j.fertnstert.2024.02.029
要約:閉経および早発卵巣不全(POI)の時期の予測には、これらのに寄与する要因を解明する必要があります。閉経は通常は51歳前後に起こりますが、POIは40歳未満での卵巣機能の喪失を指します。どちらも原始卵胞プールがほぼ完全に枯渇することによるものです。年齢、AMH、インヒビン、FSH、胞状卵胞数(AFC)、月経周期などの因子が関与していますが、年齢が最も優れた予測因子です。しかし、個人差が大きいため閉経とPOIの時期を予測することは困難です。女性の生殖機能は閉経の10年前に終わり、生殖能力は15年前に大幅に低下すると考えられています。しかし、閉経期への移行は、人種や民族によって異なるようであり、社会的要因やライフスタイル要因の影響を受けます。最近特定された遺伝子マーカー(FMR1など)は、近い将来、閉経をより正確に予測できる可能性のある有望な指標として浮上する可能性があります。
解説:現在のところ、閉経時期の予測はできていません。個人差が大きいのが一番の理由になります。
早発卵巣不全(POF、POI)の遺伝子変異については、下記の記事を参照してください。
2021.1.21「DORの原因遺伝子」
2021.1.7「早発卵巣不全に対するIVAとLOI:ビデオ論文」
2020.6.10「早発卵巣不全のMCM9遺伝子変異」
2019.12.14「STAG3遺伝子変異による精子形成過程における減数分裂停止」
2015.7.13「NGSでPOFの原因遺伝子検索」
2015.5.13「☆POF(早発卵巣不全、早発閉経)の発生率」
2013.10.23「☆GDF9遺伝子変異でAMHが減少します」
FMR1遺伝子変異については、下記の記事を参照してください。
2016.7.4「FMR1遺伝子と妊娠成績の関係」
2015.11.14「FMR1遺伝子と卵巣予備能の関係」
BRCA遺伝子変異については、下記の記事を参照してください。
2016.4.22「BRCA遺伝子変異を有する方の妊娠治療による卵巣癌リスク」
2013.5.31「乳癌遺伝子(BRCA)と早発閉経の関係」
2013.8.29「BRCA遺伝子変異があるとなぜ早発閉経になるか」
2015.1.20「BRCA遺伝子変異とAMH低下の関連」
2015.6.7「BRCA遺伝子変異保因者における卵巣癌発症リスク」
AMH低下については、下記の記事を参照してください。
2020.11.7「37歳以下で採卵数低下女性の加齢依存性疾患罹患」
2020.8.4「☆卵巣予備能低下の35歳以下の女性の妊娠予後」
2020.6.7「AMH低下で不育症増加!?」
2018.7.22「AMHと妊孕性」
2018.7.9「AMHと流産との関連」
2018.7.7「卵巣反応不良の方の出産率」
2017.12.29「卵巣予備能低下と流産の関係は?」
2017.10.3「AMHと卵子の質の関係は?」
2016.5.24「不育症では卵巣予備能が低い?」
2016.5.14「不妊症の方はAMHが低いのか?」