不育症では卵巣予備能が低い? | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

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本論文は、不育症と卵巣予備能低下の関連を示したものです。

Fertil Steril 2016; 105: 1236(トルコ)
要約:2011~2015年に通院されていた不育症の方71名と年齢を一致させた対照群70名の卵巣予備能を横断調査しました。結果は下記の通りで、全ての項目に有意差を認めました。

    不育症  対照群
FSH   8.6   7.1(IU/L)
AMH   2.9   3.6(ng/mL)
FSH>11 18.3% 4.3%
AMH<1  19.7% 5.7%

解説:本論文は、不育症の方は卵巣予備能が低下していることを示しています。加齢に伴い卵子数が減少しますが、加齢でなくとも不育症の方で卵子数が減少しているということは、不育症では卵子の質が悪くなっている可能性を示唆しています。大規模な調査が必要ですが、今後注目したい案件です。