Q&A1099 43歳、海外で治療中、流産2回、着床前診断すべきか | 松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

松林 秀彦 (生殖医療専門医)のブログ

生殖医療に関する正しい知識を提供します。主に英語の論文をわかりやすく日本語で紹介します。

Q 43歳、海外で治療中
41歳、自然妊娠により妊娠、胎芽確認できずに5週間で稽留流産、手術
43歳、体外受精で妊娠、心拍確認後8週間で稽留流産
これ以外に妊娠、出産経験はありません。

採卵は今回の1回のみで卵子は11個採取、そのうち9個受精、7個が3日目まで発達、5個胚盤胞になりました。左側の卵巣は20年ほど前に卵巣嚢腫の手術をしたためか、卵巣がほとんど機能していないと云われました。左側からは2個のみ卵子が採れたようです。胚盤胞それぞれのグレードはHatching AA, Hatching AA, Expanded BA, Expanding BB, Expanded BBです。今回初回はHatching AAの胚盤胞で妊娠、流産しました。
今回の流産がとてもつらく、しかも2回たて続けで流産していることでとても心配なのですが、担当医は私の年齢からすると運が悪かっただけで、残り4つあるので次をがんばりましょうと特に検査等進められませんでした。年齢のこと、これ以上流産を経験をしたくないこともあり、着床前診断を考えています。悔やまれますが勉強不足で治療開始前に着床前診断という選択肢を知りませんでした。また、担当医からも進められませんでした。ただ、着床前診断に関しいろいろな情報をインターネットで見てみると残り4つの胚盤胞の着床前診断でどれほど優位性が得られるのかも悩みます。幸い英語はわかりますので、外国の医療機関のウェブサイトなど確認しています。担当医は着床前診断はやりたければできますというスタンスで、アドバイスはありません。

選択1:このまま4つの胚盤胞を着床前診断なしで移植していく。ただ、また流産の可能性があると思うだけで気が引けます。
選択2:4つの胚盤胞を着床前診断をする。ただ、担当医からは正常胚が無い可能性もあるので移植ができないかもしれないといわれています。
選択3:まず採卵をして更にいくつか胚盤胞ができたらそれを併せてすべて着床前診断をする。ただ、採卵をして着床前診断をすると余計に3ヶ月ほどかかってしまいます。流産をしたばかりなので、これから2ヶ月ほど待って治療にかかると最低でも移植までこれから5ヶ月以上かかり、年齢のこともあるので時間の経過がとても気になります。なお、着床前診断には1ヶ月強ほどかかり、採卵の翌月に移植はできないと云われました。

担当医は私の年齢で胚盤胞が5つできそのうち2つはグレードがいいからと繰り返し、着床前診断自体もあまり薦めていないように思えます。先生ならこのような場合、着床前診断が自由にできること前提とした場合、どのようにお考えになりますか。

A 着床前診断に1ヶ月強かかるのは、検査が普及した海外では、少し時間がかかりすぎだと思いますが、その程度時間がかかるようでしたら、次の治療を待っている今の時期に4つの胚盤胞を着床前診断するのが良いと思います。正常胚があれば移植をすればよいですが、正常胚がひとつもなければ、妊娠許可が出しだいすぐに採卵をプランするのが良いでしょう。着床前診断なしで移植して流産すると、次の治療がさらに遅れます。これは、得策ではないと思います。