「高天山(金剛山)」の手前に聳える「白雲峰」。この辺りがかつての「高天原」。





【古事記神話】本文 
(~その49 ついに天岩戸へ)





ついに天岩戸神話までたどり着きました。

九州に行きたいな~
でもムリやな~



でも…

そもそも「高天原」が九州と言われだした歴史は非常に浅く、

少なくとも平安時代~江戸時代頃までは
大和国葛上郡(現在の御所市)の「高天山(金剛山)」の中腹に広がる台地とされていたのです。

ということは…

「天岩戸」も葛上郡にあったと考えられていたはず。現在そのような史跡は見当たりませんが…。

「天の安河」は三社あるんですけどね。



スサノオの度重なる狼藉に気丈に振る舞っていたアマテラスですが、機織をしていた時に皮を逆剥ぎにされた馬が投げ込まれ、天衣織女が驚き梭(ひ)で女陰を突き死んでしまうという事件が起こりました。

今回はその続きから。


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【読み下し文】
故に是に於ひて天照大御神見畏みて 天石屋戸を閇てて刺し許母理 [此の三字以て音] 坐しき也 爾に高天原皆暗くして 葦原中國悉に闇し 此れに因りて而して常夜往きき 是に於ひて萬神の聲は狹蠅那須 [此の二字以て音] 滿ち 萬の妖悉に發す


【大意】
(天衣織女が死んだのを見て)天照大御神は畏れ、天石屋戸を閉じて引き籠ってしまいました。すると高天原は真っ暗になり、葦原中国は闇の世界となり永遠の夜の国となったのです。萬神の騒ぐ声で充満し、あらゆる災害が起こりました。


【補足】
◎気丈に振る舞っていた天照大御神も、ついに恐くなって天岩戸の中に逃げ込みました。

神は決して強大無敵ではなくどこか親近感のあるように描かれるもの。ところが奉斎はまた違うもの。絶対なる神として祀り上げるものです。

◎天照大御神は太陽神であるからして…高天原も葦原中国も真っ暗闇になったのです。

◎これは「皆既日食」であろうと考えられています。ま…そうなのでしょうが。

時代背景を整理しておきます。

記が編纂されたのは天武天皇の時代。既に大陸や朝鮮半島から多くの渡来人がやって来て住み着いていた時代(「新撰姓氏録」記載の全氏族の1/3は渡来人)。
もちろん暦も入って来ていたわけで、特に天武天皇はその分野においてはエキスパート。聡明な天武天皇はこの神話を、「皆既日食」であると当然分かっていたはずなのです。

◎この神話は完全な創作話。現実には起こり得ないこと。既に伝承としてあったものなのか、或いは編纂時に新たに創作されたものなのかは分かりません。

この時代にこのような描かれ方をすること、それが大事な事と思います。


過去記事一覧
■本文 11.天地開闢 12.淤能碁呂嶋 13.美斗能麻具波比 14.蛭子・粟嶋 15.大八州國前編 16.後編前半 17.後編後半 18.国生みその他主要六嶋 19.神生みの開始 20.河と海の神生み 21.大地の神生み 22.伊邪那美命は病に 23.病の伊邪那美命が生んだ神 24.伊邪那美神が神避り… 25.迦具土命を斬って神々が生まれる 26.軻具土命を斬って…続き 27.軻具突智命の遺体からも神が… 28.黄泉国へ 29.変わり果てた伊邪那美命の姿 30.「逃走中!」 31.桃の名は… 32.永遠の別れ…  33.筑紫の日向の小門の阿波岐原へ 34.禊祓で成った神々 1 35.神々 2 36.神々 3 37.「三貴子」の誕生! 38.天照大御神に高天原を事依さす 39.月讀命に夜之食國を事依さす 40.スサノオ神に海原を事依さす 41.伊邪那岐大神が須佐之男命に怒る 42.スサノオはアマテラスの元へ 43.宇氣比で諌めよう! 44.宇氣比の結果は… 45.三女神 46.五男神のうちの… 47. スサノオが暴れる 48.機織る忌服屋に逆剥ぎ馬が…