(「国栖奏」が舞われる大和国吉野郡の浄見原神社の「天皇淵」)



【古事記神話】序文 (~その4 天武天皇)


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【読み下し文】
皇輿忽ち駕して 山川を淩え渡り 六師雷のごとく震い 三軍電のごとく逝きき 杖矛威を擧げ 猛士に烟起こり 絳旗兵を耀やかし 凶徒瓦のごとく解けき 未だ浹辰移さずして 氣沴自ずから淸まりき 乃ち 牛を放ち馬を息め 愷悌して華夏に歸り 旌を卷き戈を戢め 舞詠して都邑に停まりたまひき


【大意】
(天武)天皇の輿(乗り物)を自ら操って山川を越え、まるで雷電のような凄まじい勢いで進軍しました。杖矛を突き挙げ、猛士たちが進むところに煙が立ち込め、御旗は兵を耀かせ、凶徒はどんどん瓦解していきます(敵軍は崩れ去っていきます)。そして12日を経ずして戦いは自ずから静まり、安らかな心持ちで華夏(都)に帰りました。旗を巻いて戈を納め 舞や歌をしながら都に留まりました。


【補足】
・細部においては正確な意訳ができていないところもあると思いますが、大まかな流れは以上の通りかと。
・そもそも前編と後編に分ける予定でしたが挫折…中編にしちゃいました。。。
・大海人皇子(天武天皇)の東国での戦いの描写。ここでの東国とは美濃国から近江国辺り。
・かなりの誇大表現がなされていて、とても面白いものに。これは日本書紀とは異なり、物語性の強い古事記ならではのもの。
確かにこの辺りにおいての大海人皇子軍の勢いを考えると、これくらいのレベルで描きたくなる気持ちは十分に理解できますが。
・「旗」と「旌」、「矛」と「戈」といったように、おそらくほぼ同じ意味の言葉が異なる字で登場します。残念ながらそこまで違いを解釈できるほどの頭は無いため同じ言葉として扱っています。これが解ればもっと面白くなるのかもしれませんが…。



(いずれも浄見原神社)