(近江国の琵琶湖 中央左に見えるのが竹生島)



【古事記神話】序文 (~その3)


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【読み下し文】
境を定め邦を開き 近淡海を制め 姓を正して氏を撰び 遠飛鳥を勒めた 歩驟各異なるやうに文質同じからずと雖も 縄風既にくずれ 以て稽古せずこと莫く 今に照らし以て展教に於て絶へむと欲するには補はざるはなし

【大意】
(成務天皇は)国境を定めて国を開き、近淡海(近江国)を定めました。(允泰天皇は)氏姓を正したり、遠飛鳥(飛鳥)を治めました。歩くと走るでは違うように、記したことと実際の様子とは違うのでしょうが、風紀風習は既に変わっており古いものが留まることはなく、過去の教えを現在に照らし合わせて補うべきでありましょう。

【補足】
・今回は短いわりに難易度が高くかなりてこずりました。「大意」に関して、大まかにはずれてはいないのだろうと思いますが、ちょっと自信はありません。
・「近淡海(ちかつおうみ)」は近江国の古い国名。ちなみに「遠淡海」は遠江国のこと。「遠飛鳥(とおつあすか)」とは大和国高市郡の飛鳥のこと。ちなみに「近飛鳥(ちかつあすか)」は河内国の現在の太子町の辺り。
・今回までのところで、「序文」の中の一区切りに。次回よりいよいよ天武天皇についての記述となります。あくまでも「序文」。詳細を記したものではありませんが、抽出された部分こそ太安万侶が天武天皇に対しての思いがあることのように思います。