【古事記神話】序文 (~その4 天武天皇)


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【読み下し文】
飛鳥淸原の大宮に曁りて 大八州に御大し天皇の御世は 龍体の元を潛み 雷洊りにして期に應ずる 夢歌を開き而して業を纂がむことを相せ 夜の水に投りて而して基を承けむことを知りたまひき 

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然れども天の時未だ臻らずして 南の山に於いて蝉の蛻のごとし 人事共洽し 東國へ虎步したまひき


【大意】
飛鳥清御原宮で大八州をしろしめした(天武)天皇の御世でしたが、(皇太子の時分から既に)天子の素質を持っていました。ある夜、「雷しきりにして期に応ずる」という夢に聞いた歌を皇位を継ぐものだと解し、夜の川に身をおきそれを承ることを決めました。

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ところがまだ期は熟しておらず、蝉の脱け殻のごとく南の山(吉野)へ脱出、そして軍を整え虎が歩むが如く東国へ進軍しました。


【補足】
・いよいよ天武天皇の条となりました。とはいってもまだ「序文」であり、簡略に記しているに過ぎません。
ところが太安万侶の天武天皇に対する思いは、ここにこそ顕れているように思います。「蝉蛻」(蝉の脱け殻)や「虎步」などの表現はなかなか面白いものです。
・今回もかなり苦戦したので短めに区切ってしまいました。大まかにはズレていないと思われますが、自信の無いところも少々あります。
・途中に挟んだ「*****」はちょっとブレイク(休憩)させただけで、特に意味は無くもちろん原文にもありません。