【古事記神話】本文
(~その39 月讀命に夜之食國を事依さす) 




伊邪那岐命から「三貴子」(ミハシラノウヅノミコ)が誕生したのは前々回の記事

これでお役御免!ではなく…
「三貴子」に今後を委ねねばならん!

…と、先ずは天上、つまり「高天原」を天照大御神に委ねた(事依せした)のが前回の記事

次は月讀命に委ねねば…


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【読み下し文】
次に月讀命に詔して汝は夜之食國と知ろしめし所を事依せたまひき也 [食を訓み袁須と云ふ]


【大意】
伊邪那岐命は次に月讀命に夜之食國(よのおすくに)を治めることを命じました。


【補足】
◎たったの一文です。天照大御神には高天原の統治と御倉板挙之神(頚飾りの珠)を授けたという記述、建速須佐之男命に至っては海原の統治にプラスして長々と記されます。
またこれ以降は天照大御神と建速須佐之男命が主人公となり、神話が始まります。

◎「夜之食國(よのおすくに)」とはいったいどこ?何?…謎だらけ。
「黄泉国」とする説もあるのですが、これには納得できない部分も。この後、建速須佐之男命は高天原で乱暴狼藉をはたらいたとして「根の國」へ追放されますが、「根の國」こそが「黄泉国」ではないのか?…と。

◎「食す(おす)」に関しては、例えば「続日本紀」に「食國天下(おすくにあめのした)」などとあるように、「治める」と解されます。ここでも同様の解釈ではないかと。
つまりは「食國」は「治める國」であろうと。ということは「夜を治める國」と。

◎紀の本文は以下の記述になっています。
「太陽の神が生まれた。大日孁貴(天照大御神)と名付ける。あまりに光輝き天地を照らすので天に挙げた。次に月の神が生まれ日の神に次いで輝くので、日の神に添えて天を治めさせた。(蛭子は略) 次に素戔嗚尊が生まれた。いつも泣き喚いていたので人民は死に青い山々が枯れた。ついに根の國へ追放した」(大意)

◎紀の一書にはまったく異なる記述が。
「天照大神は高天原を治めるように。月讀尊は蒼海原を治めるように。素戔嗚尊は天下(あめのした)を治めるように」(大意)

◎月讀命ですが、何せ記述が乏し過ぎます。そのわずかな記述によると、天照大御神に次いで格式の高い神であるにも関わらず。
また祀られる社もあまりに少ない。内宮別宮 月讀宮や外宮 別宮 月夜見宮はあるものの、これは外宮より格下扱い。記紀に天孫降臨の随伴神としてのみ神名が表れる、豊受大神もよりも格下という扱いに。

◎月讀命については三系統があると考えています。一つは壱岐で祀られる月神(「日神と月神、対馬と壱岐…」の記事参照)。もう一つは隼人が奉斎した月神(大住の月読神社樺井月神社参照)。これら二つは同じ月讀命でも、「三貴子」の月讀命とは別のもの。

これらの神社を除くと、内宮別宮 月讀宮や外宮 別宮 月夜見宮以外でほとんど祀られていないという異常さ。まさに謎の神であると言えます。

◎あともう一つの「謎の神 月讀命」について、明確な答えを出された著書があります。
たぶん15年近く前に手にしたと思うのですが、以来、この説を信奉し続けています。「霧が晴れる」とはこのこと。謎がすべて解けました!

この方の著書には?が付くものが多いのですが、この書に関しては100%従っております。

久しぶりに夜見直して…いや…黄泉直して…いや…読み直して記事にしたいと思います。



PS.
今頃ですが、以下のように読んで下さい。
* 月讀命(ツクヨミノミコト)
* 月讀宮・月夜見宮(つきよみのみや)




過去記事一覧
■本文 11.天地開闢 12.淤能碁呂嶋 13.美斗能麻具波比 14.蛭子・粟嶋 15.大八州國前編 16.後編前半 17.後編後半 18.国生みその他主要六嶋 19.神生みの開始 20.河と海の神生み 21.大地の神生み 22.伊邪那美命は病に 23.病の伊邪那美命が生んだ神 24.伊邪那美神が神避り… 25.迦具土命を斬って神々が生まれる 26.軻具土命を斬って…続き 27.軻具突智命の遺体からも神が… 28.黄泉国へ 29.変わり果てた伊邪那美命の姿 30.「逃走中!」 31.桃の名は… 32.永遠の別れ…  33.筑紫の日向の小門の阿波岐原へ 34.禊祓で成った神々 1 35.神々 2 36.神々 3 37.「三貴子」の誕生! 38.天照大御神に高天原を事依さす

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