(沼島の自凝神社の先に立つ諾冊尊像)



【古事記神話】本文 (~その12 淤能碁呂嶋)


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いよいよ本文に突入しています。
「天地開闢」から「神生み」までが前回の記事。今回は「国生み」が始まります。

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【読み下し文】
ここに天つ神に於いて 諸命以て 伊邪那岐命伊邪那美命の二柱の神に詔す この多陀用幣流の國を理を修し固め成せ 天沼矛賜りて言依さし賜ひき 故 二柱の神天の浮橋に立たし [立の訓み多多志と云ふ]  而して其の沼矛指し下して以て畫けば鹽許々袁々呂々[此の七字以て音] 畫き鳴し [鳴の訓み那志] 而して引き上げし時其の矛末より垂り落つるの鹽累積り嶋と成し是れ淤能碁呂嶋なり [淤以て下より以て音]


【大意】
天つ神(※)たちは伊邪那岐命・伊邪那美命の二柱に詔しました。「この漂える国を治め、しっかりと国土形成をしなさい」と。「天沼矛」を授けられ神託がありました。そして二柱の神は「天の浮橋」に立ち、沼矛を刺し下ろして「許々袁々呂々(※)」と書き鳴らしました。それを引き上げたところ、矛先より滴り落ちた鹽が積み上がり「淤能碁呂嶋」と成りました。


【補足】
◎「オノゴロ島」誕生の超有名な記述。重要な場面であるため短く刻みますした。
◎ナギ・ナミ神が「天の浮橋」に立ち、「天沼矛」(あめのぬぼこ)を「許々袁々呂々」(コオロコオロ)とかき混ぜ…と。そして滴り落ちた滴から「淤能碁呂嶋」(オノゴロ島)ができました。
◎「オノゴロ島」の伝承地は数多くありますが、もっとも有名なのは「沼島」(ぬしま)でしょうか。「絵島」も有名ですが。淡路島だけではなく全国に。
そもそも神話なので史実ではありません。とはいえ、どこかの場所を念頭に置いて神話を創出したわけで、やはりその場所は神秘的な霊地でなければならないと思います。伝承地はどこも納得できる素晴らしいところばかりですが。


(史跡 「天の浮橋」)