(近江国粟太郡 佐久奈度神社)



【古事記神話】本文 (~その19 神生みの開始)



ついに6月中に一本の記事も上げられませんでした。ずいぶんご無沙汰に…。

前回までで「国生み」は終了、今回より「神生み」が始まります。

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【読み下し文】
既に國を生みしを竟へ 更に神を生みき 故に生みし神の名は大事忍男神 次に生みしは石土毘古神 [石の訓みは伊波と云ふ 毘古の二字は以て音 下は此れに效ふ也] 次に生みきは石巢比賣神 次に生みきは大戸日別神 次に生みきは天之吹上男神 次に生みきは大屋毘古神 次に生みきは風木津別之忍男神 [風の訓みは加邪 木の訓みは以て音] 次に海神を生みき名は大綿津見神 次に水戸神を生みき名は速秋津日子神 次に妹 速秋津比賣神 [大事忍男神自り速秋津比賣神に至るまで并びて十神]


【大意】
(伊邪那岐命・伊邪那美命は)国生みを終えたので、さらに神生みを始めます。まず大事忍男神を生みました。次に石土毘古神を生みました。次に石巢比賣神を生みました。次に大戸日別神を生みました。次に天之吹上男神を生みました。次に大屋毘古神を生みました。次に風木津別之忍男神を生みました。次に水戸神を生みますが、名は速秋津日子神。次に速秋津比賣神を生みました。


【補足】
◎生まれた神を整理します。
大事忍男神(オオゴトオシヲノカミ)
石土毘古神(イワツチビコノカミ)
石巢比賣神(イワスヒメノカミ)
大戸日別神(オオトヒワケノカミ)
天之吹上男神(アメノフキヲノカミ)
大屋毘古神
風木津別之忍男神(カザモクツワケノオシヲノカミ)
大綿津見神
以上の十柱。大綿津見神は海神、速秋津日子神速秋津比賣神は「水戸神(ミナトノカミ)」

◎大事忍男神は大事を成し遂げたという神とされますが、果たして…。宣長は事解之男命を間違ってここに入れてしまったと推理していますが、そんなことがあるのでしょうか?
◎石土毘古神と石巢比賣神は夫婦神。「家宅六神」の一神、石と土(砂という説も)を神格化した神とされます。
◎大戸日別神も「家宅六神」の一神、「戸(門という説も)」を神格化した神とされます。宣長は大直毘神と混同されたとしていますが…。
◎天之吹上男神も「家宅六神」の一神、「屋根」を神格化したとされます。宣長は気吹戸主神と同神としていますが…。
◎大屋毘古神も「家宅六神」の一神、建物そのものを神格化したとされます。五十猛神の別名とされる大屋毘古神とは別神であろうとされます。個人的には木の神とされる五十猛神と、木との関連が強い大屋毘古神とが習合されたのであろうと考えています。
◎風木津別之忍男神も「家宅六神」の一神、神名から「防風林」や「生垣」の意味ではないかとされますが不明。宣長は底筒男神や速佐須良姫神と同神としていますが…。



(伊勢国度会郡 水戸神神社)