ソウル、ノンヒョンドン観察ログ。
対象:専業主婦 43歳、結婚7年目。男児6歳。
キャリア:中堅企業マーケティングチーム代理まで勤務。退職後3年。

 


 

「AI主婦」

 

2025年1月18日 午後8時30分。

 

▶観察開始

子ども部屋のドアはきつく閉まっている。

 

リビングの窓は10センチほど開いている。
窓辺に手のひらほどの間接灯が一つ。
入り込む風に、かすかに揺れている。
風が吹くたび、
リビングの片側が明るくなり、また暗くなる。

 

ダイニングテーブルで静まっていたノートパソコン。
タイピングが再び速度を上げ始める。

 

ただの浮気なら、耐えようと思っていた。
コーヒーを手に立っていたキャメル色のコート。
夫の車の助手席に座っていた彼女。
二人が交わしたであろう甘い会話。
703号室。

 

むしろ嫉妬が燃え上がり、感覚はさらに鋭くなった。
ここ数日、私はどれだけ頻繁に
ひとりで自分の身体を確かめてきただろう。

 

眩暈がして、
嫉妬で熱くなり、
恍惚としながらも、
どこか苦しかった。

 

違っていてほしかった。
たとえ浮気でも、今回はやり過ごそうとした。

 

母への仕送り40万ウォン。
兄の後始末で、絶え間なく減っていった私の金。

 

亡くなった父の最後の頼みを握りしめ、
家長でもないのに家長の重さを
ひとりで背負ってきた。
手放せば、自分が崩れそうだったから。

 

義実家名義の家、養育費の支援、安定した給与、私の積立金。
その基盤の上で実家を支えていた。

 

一度くらいは耐えられた。
この均衡が崩れるほうが、もっと怖かったから。

 

 

続いていたとしても、
私は記録していただろう。
保存し、
何事もなかったように通り過ぎようとした。心から。

 

けれど。
この汚れた無存在感。
無視から始まった卑劣な嘘。

 

私をなぞり、切り分け、判断していた義母。
あの言葉のすべてが、
無断侵入で得た情報だったなんて。

 

息が詰まる。
どこまで見たのか。
このノートパソコンを、何度開いて確かめたのか。

 

私はそんなに侮られる存在だったのか。夫と、その母に。

 

父が死んだあと、
私は歯を食いしばって耐えてきた。
彼が残した、たった一言のために。

 

だから、
より良い大学ではなく奨学金が保証された場所を選び、
働きながら続けられる職を選んだ。
私が選べた最善は、
そこで止まった。

 

兄より成績も良く、留学を夢見ていたのに。
肩に乗せられた重さが、すべてを止めた。

 

このアイロニーを、この切実さを、あなたたちは分かるだろうか。

 

浮気した母を、
私の金を吸い尽くしていた兄を。

 

私は耐えてきた。
浮気の果てに崩れた父が残した一言を握りしめて。

 

ブランチでも楽しむように男を替える江南の母親たちの中で、
私は一度も
揺れたことがない。

 

こうして耐えてきた私を、
軽く見てきたということ。
何事もないように侵入してきたということ。

 

許せない。

 

バタン。

 

ノートパソコンを閉じる。
手が震える。
心臓が肩までせり上がる。

 

緊張した足取りで
子ども部屋のドアを開ける。
深く眠る寝息を確かめる。
ドアをもう一度、固く閉める。
ぎゅっと。

 

寝室のドアを開け、
固く閉める。
シャワー室のドアも開け、
力を込めて閉める。

 

洗面台の水を出す。
強く。

 

シャワーの水も最大まで上げる。
携帯の音量を上げ、適当な音楽を流す。

 

「クソ、狂ったやつら。」
「同じように…いや、何千倍で返してやる。何万倍、何億倍で」
「ア――――――ッ、アッ、アッ」

 

水が引き、再び満ちる。
シャワーを止め、
洗面台の水も止める。

 

 

もしかしたら、
私の叫びは7階まで届いたかもしれない。

 

もしかしたら、
義母と夫にとって。私はAI主婦だったのかもしれない。

 

感情のないデータ。
分析可能な生活パターン。
望めば、切って、入れる存在。

 

知らせてやる。
誰がより正確か。
誰がより徹底しているか。

 

そして、なぜ私を欺いていたのか、最後まで突き止める。

 

 


 

Ennd
by N≠N

 


 

 関連する観察ログ


この記録は、連続した観察ログの一部です。

 

・観察ログ 1|何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 2「重なり」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 3「目撃」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 4「計算」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 5「確認 #1」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

観察ログ 6「確認 #2」も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 7「感覚」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 8「有能感」も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 9「最後のカード」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 10「消えたカード、残ったカード。」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 11「閉じる」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 12|「不一致 ≠ 一致」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 13|「4〜5時間」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 14|「有能感 #2」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 15|「データセンター」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 16|「シャワー」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 17|「手がかり」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 18|「実がかり #2」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 19|「父のアングル」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 20|「父のアングル #2」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 21|「観客」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 22|「対照」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 23|「速度戦」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 24|「703号」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 25|「4桁」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 26|「今この時間に、いてはいけない人何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 27|「薬指」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 28|「顔を上げる。」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 29|「振動」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 30|「暗証番号、そのままだよな?」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 31|「AI主婦」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ(この記事)