2025年1月17日 昼。


ソウル、ノンヒョンドン観察ログ。
対象:専業主婦43歳、結婚7年目。男児5歳。
経歴:中堅企業マーケティングチーム代理まで勤務。退職3年。

 


 

「実がかり #2」

 

手がかりを探さなければならない。
数日後は旧正月だ。
姑と長い時間を過ごす。

 

整理されていなければ、
表情、口調、動作に先に出る。

 

子どものアレルギーも整えておく必要がある。
名節の一日は、
会っていない日の隅々まで
スキャンされる日だ。

 

時間は多くない。

 

夫と兄は、同じ大学の同門だ。
近いところから洗う。

 

子どもの塾の横のカフェ。
キャメルコートの彼女が移動した動線が、
正確に見える席。

 

視線を置いたまま、
兄が慌てて入ってくる。
やつれている。

 

「メッセージも返さないし、どうして連絡が取れない?」
「何かあった?」

 

「母さんの家……売らなきゃいけないかも。」

 

カップを持ち上げて、置く。
熱くない。

 

「そこ、8千万。私のお金だって分かってる?」
「売っても5千万も残らない。」

 

兄はうつむく。
指がカップの縁をなぞる。

 

「昨日、義弟に少し会った。」

「どうして会うの?」
「私に何も言わずに?」

 

「仕事で。」

 

その言葉で、
空気が止まる。

 

兄の電話が鳴る。
外に出て取る。

 

私は動かない。
椅子に背中をつける。
太ももが椅子の角に当たる。
姿勢は変えない。

 

かつては
有能なセキュリティ開発者。
スタートアップの代表。
今は、
崩れ続けている。

 

母も、
私も、
一緒に引き込まれた。

 

父が必死に守った家。
私の名義で縛られた金。

 

それが、
こんなふうに使われるとは。

 

兄は戻ってきて言う。
「会社に戻らないと。電話する。」

 

席を整えないまま、
出ていく。

 

夫と兄は、
大学が同じなだけだと思っていた。
兄は夫を嫌っているように見えた。
私は、そう理解していた。

 

それなのに、
仕事で?

 

これは、
手がかりだろうか。

 


 

Ennd
by N≠N

 


 

・観察ログ 1|何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 2「重なり」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 3「目撃」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 4「計算」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 5「確認 #1」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

観察ログ 6「確認 #2」も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 7「感覚」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 8「有能感」も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 9「最後のカード」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 10「消えたカード、残ったカード。」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 11「閉じる」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 12|「不一致 ≠ 一致」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 13|「4〜5時間」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 14|「有能感 #2」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 15|「データセンター」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 16|「シャワー」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 17|「手がかり」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 18|「実がかり #2」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ(この記事)