2025年1月6日 午後
ソウル、ノンヒョンドン観察ログ。
対象:専業主婦 43歳、結婚7年目。男児5歳。
経歴:中堅企業マーケティングチーム係長まで勤務。退職3年。
「 確認 #2」
冷蔵庫の取っ手に手が触れると、
あの頃の震えが伝わってくる。
「お母さん、この冷蔵庫、
私が中学生の頃に買ったっけ?」
「そうだったかしら?」
「新しい冷蔵庫が来たって、
すごく嬉しかった記憶がある。」
「それ、あなたが喜んでただけじゃない?」
「お父さんが海外勤務に出るから、
お母さんに何か買ってあげなきゃって…」
「そうね…また、申し訳なくなる。」
「しばらくは冷蔵庫が
いっぱいで、
よく開けてたよね…」
食べ物より、
上段の取っ手の高さが合っていた。
扉を開けると、
取っ手の下の角が
私の中心に、正確に当たる。
ずしりと。
初めて感じた、
ピリッとした感覚。
一度。
二度。
繰り返し。
必要のない時は、
左手で冷蔵庫を開けていた。
「ねえ、でもどうして
一、二か月経った頃から
中身が減っていったの?」
「お父さんがいなかったから、
材料が減るのは当然でしょ。」
「それでも、私とお兄ちゃんもいたのに。
寂しかった…」
「もう大きかったでしょ。
何が寂しいの。」
「お母さんも寂しかった。
お父さんに。
あの頃は。」
父が海外勤務に出てから、
二か月ほど過ぎた頃。
学校から帰ると、
母がいない日が多かった。
友だちと旅行に行くことも多かった。
他のお母さんたちより。
「そんなに寂しかった?」
「いっぱいの時は重くて、
右手で開けてたけど、
軽くなったら、
左手でも開けられた。」
「お父さんに、申し訳なかった。
とても。」
冷蔵庫の扉を少し開け、
自分の中心に、
重たい角を合わせてみる。
あの頃の身長と同じだ。
ゆっくり扉を開くと、
重さと冷たさが
一緒にやってくる。
ピリッとした感覚は、
さらに濃い。
[観察メモ]
観察の依頼は、
確認の過程である。
日常はいつも、
先に決断を迫り、
決断の後の展開は、
思っているより早い。
※更新は、基本的に定期的に行っています(状況により前後する場合があります)。
続きも読んでいただけたら嬉しいです。
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by N≠N
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