2025年1月9日 未明

 

ソウル、ノンヒョンドン観察ログ。

対象:専業主婦 43歳、結婚7年目。男児5歳。

経歴:中堅企業マーケティング部・代理まで勤務。退職後3年。

 


 

閉じる

 

今、外は氷点下10度。風が吹いている。

なのに、暑い。

いや、寒い。

クラッチバッグに、冷えが残っている。

番号を押して、扉を開けるのが怖い。

確率は、ほとんど閉じている。

 

幸い、夫は眠っている。

午前4時20分。

入った途端、脚に力が抜ける。

どこでもいい、横になりたい。

幸い、明日の子どもの塾はすべてキャンセルした。

 

どこでも倒れたい。

まぶたが、自然と閉じる。

扉が、すべて

閉まっている。

 

「ピ──ピ──」

午前5時30分。

携帯のアラームで目が覚める。

閉まっていた。

なぜ。

 

昨夜、確かに20cm開けておいた寝室の扉が閉まっていた。

ソファから飛び起き、走って確認する。

確かに、閉まっている。

 

夫は普段、扉を閉めて寝ない。

それなのに、私が外に出ていた二時間半の間に、扉が閉まった。

支えがなければ動くのも辛い状態で、

わざわざ、扉を閉めた?

 

私が出たことを知っているのだろうか。

それとも、無理をして起き、水でも飲んで戻ったのだろうか。

 

なぜ、閉めた。

クラッチバッグを隠さなければ。

早く。

 

洗わなければ。すべてを、元どおりに整えなければ。

 

シャワーを浴びながら考える。

塾の向かい、午後。とても見覚えのある車が停まっていた。

その車から、キャメル色のコートを着た若い女が降り、

コーヒーを二杯買って、また乗り込んだ。

その時間に、そこにあってはいけない車だ。

 

夫は何の連絡もなく、ギプスをして現れた。

ギプスには、小さな数字が、印のように書かれている。

病院が書いたはずがない。

夫の車のドライブレコーダーのメモリーカードが消えた。

20cm開けておいた扉が、閉まっている。

 

家の中には

風が

吹かない。

誰かが閉めた。

 

氷点下10度。風の強い冬だ。

 

私には指紋がある。

確定するには、家の中はまだ安全地帯とは言えないかもしれない。

 


 

[観察ノート]

 

記録するということは、官能に近い。

記録された瞬間、感覚は固定される。

その場面が、官能だ。

官能になる瞬間たち。

 


 

Ennd
by N≠N

 


 

 連する察ログ
この記録は、連続した観察ログの一部です。
 

・観察ログ 1|何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 2「重なり」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 3「目撃」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ
・観察ログ 4「計算」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 5「確認 #1」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

観察ログ 6「確認 #2」も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 7「感覚」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 8「有能感」も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 9「最後のカード」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 10「消えたカード、残ったカード。」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ

・観察ログ 11「閉じる」何も起きていない、ただ観察が始まっただけ(この記事)