【技術士対策67】上下水道に関連する目標とターゲット | 新見一郎

新見一郎

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

厚生労働省HPには水道関連のサイトがあります。このサイトでは、トピックスや通知・事務連絡等が公表されています。

水道対策 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

国土交通省HPには下水道関連のサイトがあります。このサイトでは、トピックスや新着情報等が公表されています。

下水道 - 国土交通省 (mlit.go.jp)

これらHPから、技術士に関連するものをピックアップして、説明したいと思います。

 

今回は、SDGsについてです。

上下水道に関連する目標とターゲットをピックアップして、上下水道に関する施策のうち何が該当するの説明します。

 

 

●上下水道に関連するSDGsの目標

SDGsの目標は17個あります。これらのうち、上下水道に関連する目標は、以下の6つです。


目標6 すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する


目標7 手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する


目標9 レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る


目標11 都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする


目標12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する


目標13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る

 


●SDGsのターゲット

前述したSDGsの目標は、大目標です。

この大目標は、いくつかの中目標で構成されています。

SDGsでは、この中目標のことをターゲットと呼びます。

ターゲットは、合計で169個あります。

上下水道に関連する5つの目標とそのターゲット、そして、国内における上下水道の施策を説明したいと思います。

 

 

●目標6 すべての人々に水と衛生へのアクセスを確保する

この目標のターゲットは、以下の通り、8項目あります。

 

6.1) 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。 

6.2) 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を向ける。

6.3) 2030年までに、汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物質や物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加させることにより、水質を改善する。 

6.4) 2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。 

6.5) 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。

6.6) 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。

6.a) 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。 

6.b) 水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。

 

日本国内の水道に関連する取組のうち、当該目標と関連性が高いものは、以下のようものがあります。


・水道未整備地区における水道の普及促進

・地下水の水質保全と適切な利用

・ダム等の効率的な運用による渇水対策の強化


下水道については「新下水道ビジョン加速戦略」があります。これに提示された施策のうち当該目標と関連性が高いものは、以下の通りです。


・重点項目「汚水処理システムの最適化」の施策「未普及対策の推進」


・重点項目「水環境管理」の施策「地域の水環境や生態系も考慮した戦略的な水環境管理の推進」、施策「合流式下水道の改善による良好な水環境の創造」、施策「新たな水環境のニーズに即した流総計画検討の推進」

           

 

●目標7 手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する

この目標のターゲットは、以下の通り、5項目あります。

 

7.1) 2030年までに、安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。

7.2) 2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。 

7.3) 2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。

7.a) 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い 化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資 を促進する。

7.b) 2030年までに、各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び 小島嶼開発途上国、内陸開発途上国のすべての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。


日本国内の水道に関連する取組のうち、当該目標と関連性が高いものは、以下のようものがあります。

・省エネルギー対策の強化

・再生可能エネルギーの導入


下水道については「新下水道ビジョン加速戦略」に提示された施策のうち当該目標と関連性が高いものは、以下の通りです。
・重点項目「脱炭素化の推進」の施策「脱炭素化の推進と持続可能な循環型社会への貢献」

 

 

●目標9 レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る

この目標のターゲットは、以下の通り、8項目あります。

 

9.1) すべての人々に安価で公平なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援するために、地域・越境インフラを含む質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱(レジリエント)なインフラを開発する。

9.2) 包摂的かつ持続可能な産業化を促進し、2030年までに各国の状況に応じて雇用及び GDPに占める産業セクターの割合を大幅に増加させる。後発開発途上国については同 割合を倍増させる。

9.3) 特に開発途上国における小規模の製造業その他の企業の、安価な資金貸付などの金融サービスやバリューチェーン及び市場への統合へのアクセスを拡大する。

9.4) 2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。 すべての国々は各国の能力に応じた取組を行う。

9.5) 2030年までにイノベーションを促進させることや100 万人当たりの研究開発従事者数を大幅に増加させ、また官民研究開発の支出を拡大させるなど、開発途上国をはじめとするすべての国々の産業セクターにおける科学研究を促進し、技術能力を向上さ せる。

9.a) アフリカ諸国、後発開発途上国、内陸開発途上国及び小島嶼開発途上国への金融・テクノロジー・技術の支援強化を通じて、開発途上国における持続可能かつ強靱(レジ リエント)なインフラ開発を促進する。

9.b) 産業の多様化や商品への付加価値創造などに資する政策環境の確保などを通じて、開発途上国の国内における技術開発、研究及びイノベーションを支援する。

9.c) 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるよう図る。

 

日本国内の水道に関連する取組のうち、当該目標と関連性が高いものは、以下のようものがあります。

・ICTの利活用


下水道については「新下水道ビジョン加速戦略」に提示された施策のうち当該目標と関連性が高いものは、以下の通りです。

・重点項目「アセットマネジメント・下水道 DX」の施策「下水道DXの取組」


・重点項目「下水道の活用による付加価値向上」の施策「住民の生活利便性の向上」


・重点項目「水インフラ輸出の促進」の施策「推進体制の整備」、施策「国内・国外一体となった戦略に基づく効果的な海外の案件形成の加速」


また、少し拡大解釈すれうば、以下の施策も関連してきます。

・重点項目「官民連携の推進」の施策「コンセッション事業等を始めとする多様な PPP/PFI の促進」

・重点項目「汚水処理システムの最適化」の施策「効果的な導入技術の開発」

なお、目標の中にレジリエントなインフラ整備という文言があります。レジリエントという表現から災害事故関連が想起されますが、これについては、目標11の「包摂的で安全かつレジリエントで持続可能な都市及び人間居住を実現する」でクローズアップされるべきだと考えます。

 

 

●目標11 都市を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする

この目標のターゲットは、以下の通り、10項目あります。

 

11.1) 2030年までに、すべての人々の、適切、安全かつ安価な住宅及び基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善する。

11.2) 2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者及び高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセ スを提供する。

11.3) 2030年までに、包摂的かつ持続可能な都市化を促進し、すべての国々の参加型、包摂的かつ持続可能な人間居住計画・管理の能力を強化する。

11.4) 世界の文化遺産及び自然遺産の保護・保全の努力を強化する。

11.5) 2030年までに、貧困層及び脆弱な立場にある人々の保護に焦点をあてながら、水関連災害などの災害による死者や被災者数を大幅に削減し、世界の国内総生産比で直接的経済損失を大幅に減らす。

11.6) 2030年までに、大気の質及び一般並びにその他の廃棄物の管理に特別な注意を払うことによるものを含め、都市の一人当たりの環境上の悪影響を軽減する。

11.7) 2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する。

11.a) 各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する。

11.b) 2020年までに、包含、資源効率、気候変動の緩和と適応、災害に対する強靱さ(レジリエンス)を目指す総合的政策及び計画を導入・実施した都市及び人間居住地の件数を大幅に増加させ、仙台防災枠組 2015-2030に沿って、あらゆるレベルでの総 合的な災害リスク管理の策定と実施を行う。

11.c) 財政的及び技術的な支援などを通じて、後発開発途上国における現地の資材を用いた、持続可能かつ強靱(レジリエント)な建造物の整備を支援する。

 

日本国内の水道に関連する取組のうち、当該目標と関連性が高いものは、以下のようものがあります。

・風水害対策の強化(豪雨、台風、土砂、高潮、落雷)

・地震対策の強化


下水道については「新下水道ビジョン加速戦略」に提示された施策のうち当該目標と関連性が高いものは、以下の通りです。

・重点項目「気候変動等を踏まえた防災・減災の推進」の施策「流域治水の着実な実施」、施策「雨天時浸入水対策の促進」、施策「効果的な耐震化、耐水化等の推進」

 

 

●目標12 持続可能な消費と生産のパターンを確保する

この目標のターゲットは、以下の通り、11項目あります。

 

12.1) 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、すべての国々が対策を講じる。

12.2) 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。

12.3) 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。

12.4) 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物資やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

12.5) 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発 生を大幅に削減する。

12.6)特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。

12.7) 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。

12.8) 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。

12.a) 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。

12.b) 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可 能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。

12.c) 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応 じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対す る非効率な補助金を合理化する。

 

これらターゲットについて、日本国内の上下水道の施策で該当するものとしては、以下のようなものがあります。

日本国内の水道に関連する取組のうち、当該目標と関連性が高いものは、以下のようものがあります。

・省資源の推進(汚泥の有効利用、薬品使用量の抑制等)


下水道については「新下水道ビジョン加速戦略」に提示された施策のうち当該目標と関連性が高いものは、以下の通りです。

・重点項目「下水道の活用による付加価値向上」の施策「下水汚泥資源の肥料利用拡大」

 

 

目標13 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る

この目標のターゲットは、以下の通り、5項目あります。

 

13.1) すべての国々において、気候関連災害や自然災害に対する強靱性(レジリエンス)及び適応力を強化する。

13.2) 気候変動対策を国別の政策、戦略及び計画に盛り込む。 

13.3) 気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。

13.a) 重要な緩和行動の実施とその実施における透明性確保に関する開発途上国のニーズ に対応するため、2020年までにあらゆる供給源から年間 1,000億ドルを共同で動員するという、UNFCCC の先進締約国によるコミットメントを実施し、可能な限り速やかに資本を投入して緑の気候基金を本格始動させる。

13.b) 後発開発途上国及び小島嶼開発途上国において、女性や青年、地方及び社会的に疎外されたコミュニティに焦点を当てることを含め、気候変動関連の効果的な計画策 定と管理のための能力を向上するメカニズムを推進する。

 

日本国内の水道に関連する取組のうち、当該目標と関連性が高いものは、以下のようものがあります。

・風水害対策の強化(豪雨、台風、土砂、高潮、落雷)


下水道については「新下水道ビジョン加速戦略」に提示された施策のうち当該目標と関連性が高いものは、以下の通りです。

・重点項目「気候変動等を踏まえた防災・減災の推進」の施策「流域治水の着実な実施」、施策「雨天時浸入水対策の促進」、施策「効果的な耐震化、耐水化等の推進」

 

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