技術士合格法(10 口頭試験対策)(R4.11.3更新) | 技術士を目指す人の会

技術士を目指す人の会

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

●口頭試験の配点

第二次試験実施大綱によると、口頭試験は、以下のような配点になっています。

 

(技術士としての実務能力)

コミュニケーション、リーダーシップ = 30点

評価、マネジメント =  30点

(技術士としての適格性)

技術者倫理 = 20点

継続研鑽 = 20点

 

つまり、口頭試験では、これらの項目について質問されるわけです。

ただ、これだけ読んだだけでは、何を質問されるか分かりません。

そこで、これから口頭試験対策を述べていきます。

これを読んで、合格を引き寄せてください。

 

 

●口頭試験で質問されること

昨年、試験を受けた会員さんに、口頭試験でどんなことを質問されたのか聞いています。

概ね、以下の1~5の項目の質問をされるようです。

これらの質問に対する答えを作成して、口頭試験までに憶えてください。

 

1 業務内容について

・業務内容の詳細について修正や補足するところはありますか。

・業務内容の詳細について概要を説明してください。

・業務内容の詳細のうち、内容が分かりにくい部分、疑問がある部分に関する各種質問。

 

2 コミュニケーション・リーダシップについて

・今までの業務においてコミュニケーション能力を活用した事例を教えてください。

・様々な関係者と調整をする中で、意思疎通のやり方についてどのようなところに注意しましたか。

・今までの業務においてリーダーシップを発揮した事例を教えてください。

・リーダーシップを発揮するためには、明確なビジョンがあると思いますが、その辺を含めてもう少し具体的に教えて頂けますか。

 

3 評価・マネジメントについて

・あなたが実施した業務においての評価を教えてください。

・あなた評価したことは、現在の業務においてどのような影響を及ぼしていますか。また、今後、どのように繋げていくつもりですか。

・この業務に当たっては、期限やコスト等、様々な要求事項を守らなければいけない場面があったと思いますが、その際に、配分はどのようにされましたか。

・今まで行った業務において、マネジメントを実施した業務について教えてください。

・業務においては様々な発注者や関係者より要求事項がありますが、そういった要求事項との利害関係を調整し、取り纏めた経験や業務はありますか。

・実際に運用してみて、更新とか、不具合の発生とか、そういった点はいかがでしょうか。

・市民や顧客からの問い合わせに対応することもあると思いますが、アカウンタビリティについては、どのようにお考えですか。

・メール等でコミュニケーションをとる場合には、一方通行になりがちだと思います。理解を得るために、どのようなことが大切だと思いますか。

 

4 技術者倫理について

・今まで行ってきた業務では倫理面をどのように考えてきたか具体的に教えてください。

・今後、技術士として、どのようなことに意識して、行動していこうと思われますか。

・公益とは何でしょうか。

・業務を続ける中で、コスト削減が求められる一方で、安全確保等の公共の利益と相反するといったこともあると思います。そのような場合、技術者倫理の観点から、どのように行動されましたか。

・技術士法における、3義務2責務を言ってください。

・3義務2責務のうち、最も重要なのは何だと思いますか。

 

5 継続研鑽について

・技術者倫理で、なぜ、資質向上が求められているのだと思いますか。

・これまでに、どのように資質向上を図ってきましたか。

・今後、どのように継続研鑽をするつもりですか。

・最近参加した講習会やセミナーはありますか。

 

 

●技術士法における義務と責務

義務と責務に関する法文は、以下のとおりです。

信用失墜行為、秘密保持、公共の福祉、名称表示、資質向上というキーワードは、必ず、憶えてください。

 

第四十四条 技術士又は技術士補は、技術士若しくは技術士補の信用を傷つけ、又は技術士及び技術士補全体の不名誉となるような行為をしてはならない。

第四十五条 技術士又は技術士補は、正当の理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。技術士又は技術士補でなくなつた後においても、同様とする。

第四十五条の二 技術士又は技術士補は、その業務を行うに当たつては、公共の安全、環境の保全その他の公益を害することのないよう努めなければならない。

第四十六条 技術士は、その業務に関して技術士の名称を表示するときは、その登録を受けた技術部門を明示してするものとし、登録を受けていない技術部門を表示してはならない。

第四十七条の二 技術士は、常に、その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ、その他その資質の向上を図るよう努めなければならない。

 

 

●技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)

口頭試験対策として、技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)を理解しておくことは必須です。

資質能力とは、以下の❶~❼のです。

これらは以下の説明では、少し分かりにくいです。

僕が解説をしていますので、読みたい方は こちら をどうぞ。

 

❶専門的学識

・技術士が専門とする技術分野(技術部門)の業務に必要な、技術部門全般にわたる専門知識及び選択科目に関する専門知識を理解し応用すること。

・技術士の業務に必要な、我が国固有の法令等の制度及び社会・自然条件等に関する専門知識を理解し応用すること。

❷問題解決

・業務遂行上直面する複合的な問題に対して、これらの内容を明確にし、調査し、これらの背景に潜在する問題発生要因や制約要因を抽出し分析すること。

・複合的な問題に関して、相反する要求事項(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)、それらによって及ぼされる影響の重要度を考慮した上で、複数の選択肢を提起し、これらを踏まえた解決策を合理的に提案し、又は改善すること。

❸マネジメント

・業務の計画・実行・検証・是正(変更)等の過程において、品質、コスト、納期及び生産性とリスク対応に関する要求事項、又は成果物(製品、システム、施設、プロジェクト、サービス等)に係る要求事項の特性(必要性、機能性、技術的実現性、安全性、経済性等)を満たすことを目的として、人員・設備・金銭・情報等の資源を配分すること。

❹評価

・業務遂行上の各段階における結果、最終的に得られる成果やその波及効果を評価し、次段階や別の業務の改善に資すること。

❺コミュニケーション

・業務履行上、口頭や文書等の方法を通じて、雇用者、上司や同僚、クライアントやユーザー等多様な関係者との間で、明確かつ効果的な意思疎通を行うこと。

・海外における業務に携わる際は、一定の語学力による業務上必要な意思疎通に加え、現地の社会的文化的多様性を理解し関係者との間で可能な限り協調すること。

❻リーダーシップ

・業務遂行にあたり、明確なデザインと現場感覚を持ち、多様な関係者の利害等を調整し取りまとめることに努めること。

・海外における業務に携わる際は、多様な価値観や能力を有する現地関係者とともに、プロジェクト等の事業や業務の遂行に努めること。

❼技術者倫理

・業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮した上で、社会、文化及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代に渡る社会の持続性の確保に努め、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること。

・業務履行上、関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること。

 

 

●業務内容に自信のない人がやるべきこと

口頭試験で、最も厳しい質問は、以下の質問です。

「提出していただい業務内容ですが、この業務のなかで高等な技術力としてアピールできる部分はどこですか?」

 

この質問は、かなりやばいです。

受験申込の段階で提出した「業務内容の詳細」の内容が、試験官の視点からすと、極めて一般的過ぎると考えられているからです。

技術士試験は、自らが高い技術力を有することを証明することで、合格できる試験です。

このため、こうした質問を受けるということは、かなりのピンチです。

でも、大丈夫です。

対策はあります。

 

まず、「業務内容の詳細」に記した業務が、技術的には高くないものの、オリジナリティには自信がある場合です。

この場合、「業務のなかで高等な技術力としてアピールできる部分はどこですか?」という質問に対して、次のような回答で、対応できると思います。

 

「△△の部分は、過去数年分のデータを集計し、技術的な分析を行った結果に基づくものです。当該業務で用いた技術は、私どもの組織では、これが初の試みであり、組織内で高く評価され、十分な効果も得られています。」

 

オリジナリティを主張します。

この後、いろいろ質問されますが、その質問に対して答えることができれば、大丈夫です。

 

次に、「業務内容の詳細」に記した業務が、技術力にも高くなく、オリジナリティにも自信がない場合です。

この場合、かなり厳しい状況に立たされます。

では、何をすればいいのか?

業務の再評価です。

「業務内容の詳細」で記した結果は変えようがありませんが、後年になって、その業務内容を再評価するため、技術的な検証をすることはできます。

つまり、この数か月で、業務内容について、技術的な根拠固めをするんです。

そして、その業務の妥当性を説明するわけです。

試験官から、「業務のなかで高等な技術力としてアピールできる部分はどこですか?」という、厳しい質問をされた時、受験生は次のように回答するわけです。

 

「△△の部分は、私どもの組織では、これが初の試みであり、組織内で高く評価されています。

さらに、この業務内容を実施した時には確認していませんが、後年、業務の妥当性を再評価しています。

この業務実施前のデータと、業務実施後のデータについて分析を行っており、技術的に妥当性を確認しています。

それから、この業務で採用した技術的アプローチについて、別の案件についてシミュレーションしたところ、良好な結果が得られ、応用性が高いことを確認しています。」

 

口頭試験において、こうした説明をすることは可能です。

もちろん、こうした検討をするためには労力が必要です。

それに、業務内容の詳細に書いてないことを言うのは、勇気がいることです。

しかし、後年に再評価したことを、正直に宣言した上で、技術的な説明をすることは可能なはずです。

試験官というのは不合格にさせるために意地悪な質問をしているわけではありません。

技術士になれるだけの努力をしたかどうか確認したいだけなんです。

筆記試験に合格している受験生です。技術レベルの高さは確認できているわけです。

だから、「業務内容の詳細」の技術レベルが芳しくない受験生に対して試験官が求めているのは「合格したいという情熱」が重要になってくるんです。

 

大丈夫です。

受験生の皆さんが、「合格したいという情熱」をちゃんとアピールできれば、合格を手繰り寄せることができるはずです。

 

 

●最後に

仕事は、自分ひとりでやってきたことではありません。

仲間と一緒に汗をかいて、得られた成果です。

自分の仲間と自分の仕事を信じてください。

 

また、受験生の皆さんは、技術士試験に合格するために相当な努力をしてきました。

そのために投じてきた時間と労力は、自らを大きく成長させたはずです。

今の自分の実力を信じてください。

 

これまで頑張ってきたわけです。

だからこそ、あともう少しだけ、頑張ってください。

試験官が質問しそうなことを、とことん考えてください。

そうすれば、望む結果を得ることがきます。

それでは、試験当日、皆様がベストコンディションで挑めることを祈っています。

 

 

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●二次試験の過去問と解答例

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●口頭試験について

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