【技術士対策16】河川の分類 | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

新聞や雑誌で取り上げられた水循環、水道、下水道に関する記事のうち、技術士試験で出題される可能性があるテーマ、継続研鑚の観点から勉強するべきテーマについて解説をしたいと思います。

今回は7月2日付けの『水道産業新聞』からです。テーマは「河川の分類」です。

 

『1級水系の全ダムで協定締結/洪水調節容量を倍増/新たなダム運用』

政府は、近年の水害の激甚化を受け、既存ダムの洪水調整機能強化に向けた仕組みの構築を進めており、出水期に合わせ、事前放流のルールなどをまとめたガイドラインに基づく新たなダムの運用を開始した。

河川管理者やダム管理者、利水者の間で、1級水系のダムのある全99水系を対象に、治水協定が締結されたことを受けたもの。国土交通省が管理する570のダムに加え、これまで治水に使われてこなかった900の利水ダムが新たに洪水対策に活用できるようになり、有効貯水容量152億6300万立方mに占める洪水調節容量の割合は、約3割の46億立方mから約6割の91億立方mへと倍増。この増加分は八ッ場ダムの50個分に相当する。

 http://www.suidou.co.jp/200702.htm

 

 

 

●河川の分類

河川は、一級河川、二級河川、準用河川、一般河川の4種類に分類できます。 

一級河川は、河川法第4条に定めがあります。

具体的には、「国土保全上又は国民経済上特に重要な水系で政令で指定したものに係る河川」です。

これが法律上の一級河川です。 

これでは分かりにくいので、もう少しかみ砕いて説明します。

河川というのは、海や湖まで注ぐメインの「本流」と、本流に注ぐ小さな「支流」があります。

水系とは、本流と支流を含めて、繋がっている河川全体を示すものです。

河川法第4条に、「国土保全上又は国民経済上特に重要な水系」というフレーズがあります。

水系の中でも「特に重要な水系」が存在するわけです。

具体的には、全国で109の水系が指定されています。

この指定は、内閣主導のもと政令により定められたものです。

これら109の水系を、通称、一級水系と呼びます。 

一級河川は、一級水系の一部をなすもので、本流と主な支流を指します。

一級水系は法律用語ではありませんが、一級河川は法理上の用語です。

ただし、一級河川は本流と支流を全部カウントすることになるので、膨大な数になってしまいます。

このため、一般的には、一級水系の名称を一級河川と呼んでいます。

例えば、広島県には、太田川、芦田川、小瀬川が一級水系に指定されていますが、これらのことを一級河川と呼んでいるわけです。

 

次に、二級河川です。

二級河川についても、河川法上の定めがあります。

一級河川と同様に、水系が存在します。

簡単に言うと、一級水系よりも小さな水系で、2713水系が指定されています。 

 

河川法には、一級河川、二級河川以外に、準用河川に関する定めがあります。

準用河川は、市町村が指定するもので、河川法を準用して管理するものです。 

これらが、河川法上の河川です。

河川を構成する河床、河岸、ダム、流水等は、適切な状態に管理させる必要があります。

管理者は、一級河川は国、二級河川は都道府県です。

管理者は、河川区域内での工事、構築物の設置、水利権等の許認可を行います。

 

 

●普通河川

これまでに述べてきたのは、河川法上の河川です。

河川はこれだけではありません。

一級河川、二級河川、準用河川以外にも、全国には小さな河川が無数にあります。

これらは河川名が看板に示されているわけではないですが、河川というのはたくさんあるわけです。

これらは普通河川と呼ばれています。 

 

ただし、普通河川は、河川法上、河川ではありません。

 

河川法上の河川は国や都道府県が管理する義務があります。

普通河川はこうした義務がありません。

この辺のところを勘違いしがちです。

 

普通河川については、市町村が管理しています。

普通河川に関する基準は、市町村が条例を作る必要があります。

ちなみに、普通河川については、条例で河川法以上に強力な規制をすることはできません。

このことについては、行政書士試験でも出題されたことがあります。

それから、道路を占用するのと同様、普通河川の占用申請すれば、橋を架けたりすることはできます。

普通河川の流水を取水することもできます。

ただ、一級河川や二級河川のように、水利権を設定することはできないわけです。

 

●新たなダム運用

新たなダム運用とは、豪雨に備えて、ダムの水位をあらかじめ低くすることを指します。

あらかじめ低くするためには、水道、電気、農業等の利水者の協力が必要です。

このため協定を結ぶわけです。

なお、ダム運用については、こちら で詳しく述べています。

 

●前回の【技術士対策】

※前回を読みたい方は こちら をどうぞ。

 

●必須科目対策に必要な下水道の基礎

※マネジメントサイクルについては こちら をどうぞ。

※アセットマネジメントとストックマネジメントの違いについては こちら をどうぞ。

※「持続と進化」については こちら をどうぞ。

※「資源の循環」については こちら をどうぞ。

※「水の循環」については こちら をどうぞ。

※「下水道による排除・処理」については こちら をどうぞ。

※「新下水道ビジョン加速戦略」については こちら をどうぞ。

 

●試験と解答例

※令和元年の試験問題と解答例を見たい人は、こちら をクリックしてください。

 

●試験対策

※ 令和2年の予想問題を見たい方は、 こちら をどうぞ。

※ 技術士合格法のテキストを最初から見たい方は、 こちら をどうぞ。