平成31年度、技術士試験制度の改正により、必須科目が記述式になります。上下水道部門では、上水道共通のテーマについて勉強する必要があります。そこで、新聞や雑誌で取り上げられた水循環、水道、下水道に関する記事のうち、技術士試験で出題される可能性がある事柄について解説をしたいと思います。
今日は、持続と進化について、お話したいと思います。
●持続・進化とは
下水道ビジョンの基本コンセプトは、循環のみち下水道の持続と進化です。
さて、持続と進化、これはどういう意味でしょうか。
まず、持続です。「持続」とは、将来に渡って下水道が必要な機能を維持し続けることです。これを実現するためには、数々の下水道施設を適切にメンテナンスして、最適な時期に更新を行う必要があります。これには資金が必要ですから、下水道料金や税収を確保する必要があります。
つまり、アセットマネジメントを実施する必要があるわけです。
例えば、新設時の下水道の機能が10であったとして、現在の機能が7に低下したとします。7で十分なのであれば、7という現状を維持するため必要最小限の補修を行えばいいです。ただし、新設時の10という機能が必要なのであれば、不足する3の機能を回復するため更新を行う必要があります。
次に、「進化」についてです。
7で維持したり、10に回復したりする取組が「持続」であるのに、「進化」とはどんなイメージになるのか。
「進化」とは、10を23にするような取組です。10を13にするのではなく、23にする取組です。
もう少し「進化」について話をしたいと思います。
以前読んだ本に書いてかったことです。
本郷猛というキャラクターがいます。これは、仮面ライダーの主人公です。主人公といっても、仮面ライダーに変身する前、つまり人間の時のキャラクターです。本郷猛は人間としてはとても強いです。でも、本郷猛が筋トレをしても、どんな武術をマスターしても、それだけでは怪人を倒すことはできません。
なぜなら、怪人は人間ではなく、圧倒的に強いからです。
だから、怪人に勝つためには、仮面ライダーに変身する必要があります。圧倒的なレベルアップが必要なんです。
本郷猛の状態から、仮面ライダーに変身することを「進化」と言います。
そう言えば、ポケットモンスターでも「進化」という言葉を使いますね。
つまりです。
進化するためにはレベルを変える必要があるわけです。
話を下水道ビジョンに戻します。
先程からお話しているとおり、進化するためには、レベルを変える必要があります。
人口減少や高齢化が進むに伴い、生活スタイルや産業活動のあり方も変わってきます。
国民のニーズも変容します。現在世代のニーズだけではなく、将来世代の潜在的なニーズを読み取って、下水道をより高度な状態に到達させる必要があります。
このため、下水道ビジョンでは、高度下処理、サテライト処理場、消化ガス発電等の新技術の導入を推奨します。ここまでの話であれば、高度化や向上といったフレーズで十分です。
しかしながら、下水道ビジョンでは進化という言葉を使っています。つまり、これまでにはないレベルアップが必要です。
そこで進化を遂げるためには、前述の取組だけではなく、下水管を活用したファイバー網の拡充、マンホールに設置したセンサーによる渋滞・冠水情報の提供等、新たな価値の創出を行う必要があることに言及しているわけです。
なお、新下水道ビジョンについては、こちら をどうぞ。
※「資源の循環」については こちら をどうぞ。
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※「下水道による排除・処理」については こちら をどうぞ。
※「新下水道ビジョン加速戦略」については こちら をどうぞ。
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