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「GIVE&TAKE」
●ギブとテイク
この本の作者は、大学教授で、組織心理学の専門家です。
僕らは、誰かから何かを得ると同時に、誰かに何かを与えています。
例えば、売買であれば、売手は顧客からお金を得て、商品やサービスを提供します。
こうした関係性以外でも、上司と部下、教授と生徒、取引先の依頼者と請負者等、人間が集まって何かをすれば、必ず、誰かから何かを得ると同時に、誰かに何かを与えることになります。
この本では、相手に与える以上に、自らが得ようとする人を「テイカー」と呼びます。
自分が得る以上に、相手に与えようとする人を「ギバー」と呼びます。
そして、実際に存在する「テイカー」と「ギバー」について、様々な事例が紹介されています。
それぞれの事例を心理学者の視点で解説してくれます。
その上で、この本の作者は、「ギバー」として生きることが、成功に直結すると説いています。
●テイカー
この本では、「テイカー」の話がたくさん出てきます。反面教師的な扱いです。
「テイカー」というのは、与えるのではなく、得ることを優先する人です。
テイカーは、損をすることを嫌います。だから、合理的です。
テイカーは、自分本位で欲張りです。だから、欲を満たすために努力はします。そして、強さを持っています。
このため、「テイカー」は、富と権力を手に入れます。
僕らは、こうした人を成功者と考えがちです。
しかし、テイカーは最終的に大きな失敗するのだそうです。
例えば、会社とか団体とかチームで、みんなで協力して取り組んで、結果、大成功することがあります。本来、これは幸せな状況のはずです。
しかし、テイカーはこれを台無しにさます。
大成功したことを発表・報告する際、リーダーがこんなことを言うことがあります。
「私が考えたこのアイデアが良かった」
「自分は本当によく頑張ったと思う」
これって、リーダーが、全員で出したはずの成果を独り占めしているわけです。リーダーがテイカーなんです。
当然ですが、周りの人は、不愉快です。
周りの人のリークにより、リーダーが独り占めをしたことが露見します。リーダーは窮地に追い込まれることになります。
このリーダーは、テイカーです。
「テイカー」の末路は悲惨です。
例えば、最近、日産のゴーンさんが逮捕されました。就任最初は違っていたのかもしれませんが、残念ながら、ゴーンさんはお金を独り占めしていました。この本で言うところの「テイカー」になってしまったわけです。
ちなみに、この本には、その人が「テイカー」かどうか見極める方法が書いてあります。
会社案内や大学案内等のパンフレットで、デカデカと社長や学長の顔写真が掲載されているものがあります。
これは、権力や権限を持ったリーダーが、自分の功績を前面に出したい心裡が現れたものなのだそうです。
つまり、「テイカー」なんです。
会社や大学のパンフレットを見て、デカデカと社長や学長の顔写真が掲載されていたら要注意ですね。
●ギバー
「ギバー」とは、与える人です。
「ギバー」は、儲け話や栄冠を授与する機会があっても、あっさりと他の人に譲ったりします。
こうした人は、様々な逆境を経験しますが、最終的には、大成功します。
この本の作者は、「ギバー」として成功することを推奨しています。
ある会社の成績を調査した結果、一番成績がいい人は、「ギバー」だったそうです。
ギバーは、会社の利益を優先するのではなく、顧客の利益を優先します。
このスタンスにより、その人の顧客が増え、成績がアップするのだそうです。
例えば、5千円のマフラーと3千円のマフラー、どちらを買うか悩んでいるとします。
店員が近づいてきたら、必ず、高い方の5千円のマフラーを勧めてきます。
商売ですからね。
でも、これは「テイカー」のスタンスです。
そもそもですが、同じ5千円のマフラー2つについて、どちらにするのか悩んでいるのではありません。
異なる価格のマフラーで、どちらにするかを悩んでいるわけです。
5千円のマフラーがいいけど、高いから買いづらいと思っていることを考慮した接客が必要です。
この場合、店員が、「ギバー」になるためにはどうすればいいのか。
まずは、お客が何を求めているのか確認する必要があります。
マフラーのデザイン、色、暖かさ、肌触り、軽さ、価格、何を重視しているかです。
暖かさ、肌触り、軽さなのであれば、防寒具としてマフラーをみています。
そうなのであれば、5千円払う価値がある品質・素材であることを、お客に説明してあげればいいと思います。
お客に対して、「買うだけの価値がある」という視点を提供するわけです。
デザイン、色を重視なのであれば、少し違ってきます。ファッションアイテムの一つとしてマフラーをみています。
そうなのであれば、例えば、「他のショップで似たよう商品が3千円程度であるかもしれないですね。いろいろ探してみてはどうでしょうか。それで、当店のマフラーの肌触りとか軽さを思い出していただけるようであれば、また買いにきてください」と言えばいいと思います。
お客に対して「お客さま目線の誠実な対応」を提供するわけです。
おそらく、この客はリピーターになります。
もちろん、これって難しい対応だと思います。
特に、店員一人の判断では行動できないでしょう。
だから、これを実現するためには、経営者の判断で、会社全体が「ギバー」になることをミッションステートメントにする必要があります。
もちろん、こうした素晴らしい組織に在籍していないとして、相手がプラスになるようなプランを考え、それを提供することで、自分自身もプラスになるという考え方というのは、とても大切なことだと思います。
●プラスマイナスゼロ発想は良くない
プラスマイナスゼロの発想。
例えばです。
僕らは、お歳暮やお中元を受け取った際、同等の物を贈ったりします。
プラスマイナスゼロになるよう調整しているわけです。
僕らは、ツイッターとかで相手をフォローしているのに、相手からのフォローが解除されると、こちらもフォローを解除したりします。
プラスマイナスゼロになるよう調整しているわけです。
僕らは、こちらが挨拶をしたのに相手から返事がないと、次から、挨拶をやめてしまったりします。
プラスマイナスゼロになるよう調整しているわけです。
プラスマイナスゼロになるよう、ギブアンドテイクをする。これは、一見、理性的でとてもバランスがとれた行為に見えます。
物をもらったのだから、ちゃんとお返しをしたいという発想はいいです。
しかしながら、あげたのだから、見返りが欲しいという発想につながると、これは良くないのだそうです。
なぜなら、見返りは、相手から何かを奪いたいわけですから、「テイカー」につながる発想だからです。
あくまでも、作者は、「ギバー」として、自分が得る以上に、相手に与えることを推奨しています。
というわけで、プラスマイナスゼロになるような計算をすることは、あまりよくない、というわけです。
●自己犠牲は良くない
この本では、「ギバー」になって成功することを推奨しています。
ここで、注意が必要です。
「ギバー」は、自分が得る以上に、相手に与えようとする人です。
相手から何も受け取らず、与え続ける、つまり自己犠牲を推奨しているわけではありません。
自己犠牲を払うことは、人間的に素晴らしいことだと思います。
しかし、自己犠牲だけでは、成功にたどり着けないのです。
例えば、先程の、マフラーの話で考えてみます。
5千円のマフラーと3千円のマフラー、どちらを買うか悩んでいるお客への対応です。
店員が、お客に同情してしまい、5千円のマフラーを2千円値引いて3千円にしたとします。
お客は喜ぶでしょうが、店側にとっては損失です。
これが自己犠牲です。
こうした自己犠牲を続けたら、お客は喜ぶでしょう。でも、その店員のせいで、利益が落ちたら、お店は潰れてしまいます。
あるいは、その店員はクビになるかもしれません。でも、その店員がいなくなった後、別の店員が、その店員とは正反対の対応をするようになり、店の評判はガタ落ちです。結果、潰れてしまいます。
強欲で他者に厳しい人より、無欲で優しい人の方がいいです。
しかし、優しすぎると、自らの時間と労力と金銭を他者に注いでしまい、自らがやせ細ってしまいます。
さらに、こうした損失が自分だけではなく周りの人を巻き込んでいく可能性もあります。
先程、マフラーの店員のように、自らがクビになるだけではなく、お店が潰れてしまう可能性があるわけです。
優しいことはとても良いことです。
しかし、自己犠牲という行為は課題があるわけです。
だから、得るべきもの得た上で、それ以上に相手に与えることが大切です。
「テイカー」は、自らをプラスにして、相手をマイナスにするわけですから、WIN-LOSEです。
「自己犠牲」は、自らをマイナスにして、相手をプラスにするわけですから、LOSE-WINです。
「ギバー」は、相手をプラスにすることを優先するだけで、自らもプラスになるわけですから、WIN-WINなんです。
「ギバー」として生きていくためには、全体でのWINを考える必要があります。
そして、成果を配分するときは、他者分を多めにしてあげる度量を持つ、こうした心づもりが重要なんでしょうね。
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