ビジネス本を紹介「ワーク・シフト」 | 技術士を目指す人の会

技術士を目指す人の会

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

本日、ご紹介する本はこちら。

 「ワーク・シフト

 

●未来について

作者はリヴァプール大学の教授です。

この本には、未来の仕事のあり様が書いてあります。

では、未来とはどれくらい先の話か?

この本で描く未来は2025年です。そんなに先ではない。

実は、この本、日本では2012年に出版されたものなんです。今から6年前です。

ですから、この本は、2012年から見た13年後の未来について言及されているわけです。

 

作者は、2025年はどんな世界になると考えているのか?

具体的には、①誰もがスマートフォンを持ち、②クラウドにによりいつでもどこでもデータにアクセスすることが可能になり、③AIが翻訳してくれるので外国語を習得する必要がなくなり、AIが秘書をするようになり、④世界中の人がアバターを通じて会話をすることができるようになると書いてあります。

 

現在、2018年。①、②は完全に達成されています。

③もSiriがあれば可能ですよね。

④もネットゲームの世界では一般化しています。Amebaでもアバターありますね。

作者の語る未来、見事に現実になっています。

今現在、世界中の人がアバター経由で会話をしているわけではありません。

作者の予想どおり、2025年にはそうなっているかもしれません。

 

こうしたテクノロジーの進化によって、外国が外国ではなくなるのだそうです。

誰かが、日本語でしゃべっても、インターネット空間では、AIが英語に変換し、自らのアバターが流暢に英語をしゃっべてくれます。

そうなると、場所と言葉の垣根がなくなるわけです。

グローバル化が急速に進みます。

テクノロジーの進化とグローバル化が進めば、自宅にいながら、デンマークの人やブラジルの人と仕事ができたりします。

その副産物として、新しい価値観、新しい倫理、新しいルールが出来上がります。

自ずと、社会が変わるわけです。

 

少し話は変わりますが、僕が中学生の頃、友人の勧めで、アイザック・アシモフのSF小説を読みました。

その小説の舞台になっている惑星では、全てのコミュニケーションを立体映像によって行っています。

だから、その星では、人は「直接会う」ことをしない。試験管ベイビーなら、一生誰とも「直接会う」こともないケースもあり得る。

そんな中、殺人事件が起きる。人と人が「直接会う」はずのない世界で。

この謎の事件を、主人公の刑事と相棒のロボットが解決する。

細かい設定は違うかもしれませんが、概ね、こんな話だったと思います。

当時は、設定が面白いなぁって思いながら読んだものです。

でも、2025年になったら、「直接会う」を辞める人が出現するかもしれませんね。

 

●ワークシフトについて

この本には、こうした未来を見据えて、別の働き方に移行することを推奨しています。

具体的には、3つのシフトについて述べられています。

 

 

1つ目は、ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へのシフトです。

誰でもどんな情報でも検索できるようになり、AIが過去の傾向に基づいて最適解をはじき出すようになると、広く浅い知識を持ったゼネラリストは必要とされなくなる。

よって専門家が必要になる。

しかも、時代と社会の変化にあわせて、求められる専門性も変化するから、専門分野をシフトさせる必要があるというわけです。

ダブルスタンダード(2つの分野のスペシャリスト)を推奨した書籍はありましたが、この本は、そのさらに先を行っていますね。

10年で1つの部門を信ぴょう性のある専門性を習得する。でも、30年働くのであれば、3つの分野のスペシャリストになれるよう、努力を重ねる必要があるようです。

どんなに便利な時代になっても勉強は続くわけです。

 

2つ目は、孤独な強制から「協力しておこすイノベーション」へのシフトです。

どんなに専門性を磨いても、連続スペシャリストになったとしても、一人ではイノベーションを起こせません。

イノベーションが起こさなければ、仕事が仕事として成立しなくなります。

つまり、未来において仕事を続けるためには、複数の人間が協力することが不可欠というわけです。

ただ、複数の人間が協力することが重要であることは、今も昔も同じことです。

今と未来が異なるのは、リアル空間だけではなく、グローバル化が進んだインターネット空間が存在する点です。

まずもって、インターネット空間では、地域や国という単位での結びつきは不要で、同じ目的、同じテーマについて結びつきがあれば、仕事上の協力は可能です。合理的、効率的な協力です。

さらに、自宅で仕事をする人間が増えると、基本的には独りで仕事をするようになります。

そうなると、同じ会社にいて、上司からの指示・命令によって仕事をするのではなく、信頼できるちょっとした知り合いと役割分担をして仕事をするようになります。

濃い結びつきにより、薄い結びつきが重視されるわけです。

もちろん、2025年までに全ての仕事がこういうスタンスになるわけではないでしょう。

でも、こうした未来を踏まえて、これからの働き方、コミュニケーションを考えた方がいいというわけです。

 

3つ目は、大量消費から「情熱を傾けられる経験」へのシフトです。

高級車、ブランド品、高級料理、大量消費を望むが故に、僕らはお金を欲します。

こうした欲望を抱えたまま、未来を迎えるとどうなるか?

未来では、①誰もがスマートフォンを持ち、②クラウドにによりいつでもどこでもデータにアクセスすることが可能になり、③AIが翻訳してくれるので外国語を習得する必要がなくなり、AIが秘書をするようになり、④世界中の人がアバターを通じて会話をすることができるようになります。

 

こうなると、世界の誰かとオンライン状態になります。

当然ですが、地域によって、時差がありますから、24時間365日、オンライン状態になります。

 

スマートフォンを持っていれば、いつでもどこでも仕事ができる。

秒単位、分単位で業務をこなす未来が待っているのかもしれません。

これは忙しいでしょうね。

そうなると、何のために働いているのか?これを自問自答することになります。

消費という欲望を満たすだけのために働き続けることができるわけではありません。

 

というわけで、仕事を通じて得られる経験を重視する必要があるわけです。

 

僕らは、生きている間に、どんな経験をしたいのか?

僕らは、どんな仕事に情熱を傾けることができるのか?

 

これは、昔も、今も、未来も、同じです。

永遠のテーマですね。

 

 

 

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