本日、ご紹介する本はこちら。
「新・観光立国論」
●観光立国とは?
観光立国とは、観光客が使ったお金、観光から波及する雇用等、観光が国の経済を支える基盤の一つになっている国家です。
作者は、観光立国になるために必要な4つの要素を提示しています。
❶気候
❷自然
❸文化
❹食事
これら全てが整っていれば最良ですが、3つあれば十分に観光立国になれるのだそうです。
では、具体的にはどんな国があるのか?
以下は観客数が多い国ベスト7です。
①フランス
②アメリカ
③スペイン
④中国
⑤イタリア
⑥トルコ
⑦ドイツ
以下は観光収入が多い国ベスト7です。
①アメリカ
②スペイン
③フランス
④中国
⑤マカオ
⑥イギリス
⑦イタリア
これらの国は観光立国ですね。
では、日本は何位か?
日本は、観光客数で世界26位、観光収入では世界21位です。
これは高いのか?低いのか?
低いです。
例えば、アジアの中で日本より順位が高い国は、以下のとおりです。
観光客数については、
・中国4位
・タイ10位
・マレーシア11位
・韓国22位
・そして、日本26位です。
観光収入については、
・中国4位
・マカオ5位
・マレーシア14位
・韓国17位
・シンガポール18位
・インド19位
・そして、日本21位です。
タイ、マレーシア、韓国よりも、日本は観光客が少ないんです。
日本は、結構、観光客多いと思っていました。
これは、正直、意外でしたね。
●観光とGDP
GDPの高い国は、観光客数、観光収入も多いのだそうです。
GDPの高い国のベスト7は以下のとおりです。観光ランキングも併記しています。
①アメリカ(観光客数2位、観光収入1位)
②中国(観光客数4位、観光収入4位)
③日本(観光客数26位、観光収入21位)
④ドイツ(観光客数7位、観光収入?位)
⑤イギリス(観光客数8位、観光収入6位)
⑥インド(観光収入19位)
⑦フランス(観光客数1位、観光収入3位)
これを見てわかるとおり、GDPが高い国は、観光も強いんです。
日本を除いてですが。。。
GDPに対する観光収入の割合ですが、アメリカは1.2%、イギリスは1.7%、フランスは2.3%をしめます。
日本はわずか0.4%です。。。
日本は、もっともっと観光を重視するべきなんですね。
●日本が観光立国になれなかった理由
作者は、日本とタイを比較しています。
前述したとおり、観光客数は、タイが10位、日本は26位。
来訪者を国別で見ると、次のような違いがあります。
アメリカ(GDP1位)からの観光客は、タイが7万6千人で、日本が8万9千人で、日本がちょっと上です。
しかし、ドイツ(GDP4位)からの観光客は、タイが7万2千人で、日本が1万4千人で、タイがだいぶ上です。
イギリス(GDP5位)からの観光客は、タイが9万1千人で、日本が2万2千人で、これまたタイがだいぶ上。
フランス(GDP7位)からの観光客も、タイが6万3千人で、日本が8千人で、タイがだいぶ上。
先進国からの評価は、日本よりも、タイの方がよいという結果なんです。
なぜなのでしょうか?
確かに、タイ料理はスパイシーでおいしいです。自然もありますし、文化もあります。
しかし、タイは、日本に比べて、治安は良くはありません。
国内交通網も日本の方がレベルは高いはずです。
国のネームバリューも日本の方が高いはずです。
それにも関わらず、タイには各国から観光客がくる。そして、たくさんのお金を落としていくわけです。
ここまでタイと日本に違いが生じるのはなぜか?
それは、僕ら日本人が観光に力を入れてないからなのだそうです。
作者は、日本が観光に力を入れなかった理由として、次のようなものをあげています。
・サービス業ではなく、高品質、安全安心な「ものづくり」で経済大国になるという自負がある。
・観光で収入を得るのは発展途上国のやり方という偏見がある。
・江戸時代の鎖国が影響しており、外国人アレルギーがある。
確かに、日本が観光に力を入れてないのは、こうした理由があるのでしょうね。
僕としては、これら以外に追加するべきことがある考えています。
それは、日本人の「もったいない意識」 です。
日本人には、観光が贅沢という意識があると思うんです。
特に、海外旅行は高いというイメージが強いです。
倹約家の日本人にすると、観光でお金を落とすのは贅沢であり、贅沢はもったいないものという感覚があると思うんです。
自分自身が微妙だと感じることを、他人、ましてや外国人に求めることは、罪悪感がある、それ故に、日本人は外国人相手に観光で収益を得ることに抵抗がある、そう思うわけです。
●日本は観光立国になれるのか
先述したとおり、作者は、観光立国になるために必要な4つの要素を提示しています。
日本には、これら4つ全てが揃っています。
❶気候なら、日本は基本的には温暖です。しかも、北海道でスキーもできるし、沖縄で海水浴もできます。
❷自然なら、富士山、渓流、四季折々で菜の花、桜、緑、紅葉、雪景色、田園風景、動植物を見ることができます。
❸文化なら、寺院、庭園、日本画、陶芸、歌舞伎、アニメ等があります。
❹食事なら、日本料理、寿司、天ぷら、ラーメン、うどん、お茶、日本酒等があります。
日本は観光立国になれるわけです。
潜在力はかなり高いのです。
作者は、東京オリンピックのようなイベントも大事ですが、これら4つを活かしつつ、基本的な取り組みについて、海外からか学んで、観光に力を入れるべきと言っています。
具体的には、次の3つに力を入れた方がいいようです。
●ホテルを作るべき(リゾートからカジノまで)
●ガイドを用意するべき(プロもボランティアも)
●多様化するべき(お金持ちから貧乏人まで、アウトドアからインドアまで、欧米人から南米・アジア・アフリカまで、全ての人がどこかの場所で満足する)
なるほどですね。
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