ビジネス本を紹介「新・観光立国論」 | 技術士を目指す人の会

技術士を目指す人の会

勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

本日、ご紹介する本はこちら。

 「新・観光立国論」

 

●観光立国とは?

観光立国とは、観光客が使ったお金、観光から波及する雇用等、観光が国の経済を支える基盤の一つになっている国家です。

作者は、観光立国になるために必要な4つの要素を提示しています。

 ❶気候

 ❷自然

 ❸文化

 ❹食事

これら全てが整っていれば最良ですが、3つあれば十分に観光立国になれるのだそうです。

 

では、具体的にはどんな国があるのか?

以下は観客数が多い国ベスト7です。

 ①フランス

 ②アメリカ

 ③スペイン

 ④中国

 ⑤イタリア

 ⑥トルコ

 ⑦ドイツ

以下は観光収入が多い国ベスト7です。

 ①アメリカ

 ②スペイン

 ③フランス

 ④中国

 ⑤マカオ

 ⑥イギリス

 ⑦イタリア

 

これらの国は観光立国ですね。

 

 

では、日本は何位か?

日本は、観光客数で世界26位、観光収入では世界21位です。

これは高いのか?低いのか?

低いです。

例えば、アジアの中で日本より順位が高い国は、以下のとおりです。

観光客数については、

 ・中国4位 

 ・タイ10位

 ・マレーシア11位

 ・韓国22位

 ・そして、日本26位です。

観光収入については、

 ・中国4位

 ・マカオ5位

 ・マレーシア14位

 ・韓国17位

 ・シンガポール18位

 ・インド19位

 ・そして、日本21位です。

タイ、マレーシア、韓国よりも、日本は観光客が少ないんです。

日本は、結構、観光客多いと思っていました。

これは、正直、意外でしたね。

 

●観光とGDP

GDPの高い国は、観光客数、観光収入も多いのだそうです。

GDPの高い国のベスト7は以下のとおりです。観光ランキングも併記しています。

 ①アメリカ(観光客数2位、観光収入1位)

 ②中国(観光客数4位、観光収入4位)

 ③日本(観光客数26位、観光収入21位)

 ④ドイツ(観光客数7位、観光収入?位)

 ⑤イギリス(観光客数8位、観光収入6位)

 ⑥インド(観光収入19位)

 ⑦フランス(観光客数1位、観光収入3位)

これを見てわかるとおり、GDPが高い国は、観光も強いんです。

日本を除いてですが。。。

GDPに対する観光収入の割合ですが、アメリカは1.2%、イギリスは1.7%、フランスは2.3%をしめます。

日本はわずか0.4%です。。。

日本は、もっともっと観光を重視するべきなんですね。

 

●日本が観光立国になれなかった理由

作者は、日本とタイを比較しています。

前述したとおり、観光客数は、タイが10位、日本は26位。

来訪者を国別で見ると、次のような違いがあります。

アメリカ(GDP1位)からの観光客は、タイが7万6千人で、日本が8万9千人で、日本がちょっと上です。

しかし、ドイツ(GDP4位)からの観光客は、タイが7万2千人で、日本が1万4千人で、タイがだいぶ上です。

イギリス(GDP5位)からの観光客は、タイが9万1千人で、日本が2万2千人で、これまたタイがだいぶ上。

フランス(GDP7位)からの観光客も、タイが6万3千人で、日本が8千人で、タイがだいぶ上。

先進国からの評価は、日本よりも、タイの方がよいという結果なんです。

 

なぜなのでしょうか?

確かに、タイ料理はスパイシーでおいしいです。自然もありますし、文化もあります。

しかし、タイは、日本に比べて、治安は良くはありません。

国内交通網も日本の方がレベルは高いはずです。

国のネームバリューも日本の方が高いはずです。

それにも関わらず、タイには各国から観光客がくる。そして、たくさんのお金を落としていくわけです。

 

ここまでタイと日本に違いが生じるのはなぜか?

それは、僕ら日本人が観光に力を入れてないからなのだそうです。

作者は、日本が観光に力を入れなかった理由として、次のようなものをあげています。

 ・サービス業ではなく、高品質、安全安心な「ものづくり」で経済大国になるという自負がある。

 ・観光で収入を得るのは発展途上国のやり方という偏見がある。

 ・江戸時代の鎖国が影響しており、外国人アレルギーがある。

確かに、日本が観光に力を入れてないのは、こうした理由があるのでしょうね。

 

僕としては、これら以外に追加するべきことがある考えています。

それは、日本人の「もったいない意識」 です。

日本人には、観光が贅沢という意識があると思うんです。

特に、海外旅行は高いというイメージが強いです。

倹約家の日本人にすると、観光でお金を落とすのは贅沢であり、贅沢はもったいないものという感覚があると思うんです。

自分自身が微妙だと感じることを、他人、ましてや外国人に求めることは、罪悪感がある、それ故に、日本人は外国人相手に観光で収益を得ることに抵抗がある、そう思うわけです。

 

●日本は観光立国になれるのか

先述したとおり、作者は、観光立国になるために必要な4つの要素を提示しています。

日本には、これら4つ全てが揃っています。

 ❶気候なら、日本は基本的には温暖です。しかも、北海道でスキーもできるし、沖縄で海水浴もできます。

 ❷自然なら、富士山、渓流、四季折々で菜の花、桜、緑、紅葉、雪景色、田園風景、動植物を見ることができます。

 ❸文化なら、寺院、庭園、日本画、陶芸、歌舞伎、アニメ等があります。

 ❹食事なら、日本料理、寿司、天ぷら、ラーメン、うどん、お茶、日本酒等があります。

日本は観光立国になれるわけです。

 

潜在力はかなり高いのです。

作者は、東京オリンピックのようなイベントも大事ですが、これら4つを活かしつつ、基本的な取り組みについて、海外からか学んで、観光に力を入れるべきと言っています。

具体的には、次の3つに力を入れた方がいいようです。

●ホテルを作るべき(リゾートからカジノまで)

●ガイドを用意するべき(プロもボランティアも)

●多様化するべき(お金持ちから貧乏人まで、アウトドアからインドアまで、欧米人から南米・アジア・アフリカまで、全ての人がどこかの場所で満足する)

なるほどですね。

 

 

 

 

 

 

 

●勉強本を紹介シリーズををご覧になりたい方は、以下をクリックしてください。

※212冊目は「勉強法以前の勉強体質のつくり方」。これを見たい方は、こちら をクリックしてください。

※211冊目は捨てる勉強法」。これを見たい方は、こちら をクリックしてください。

※210冊目は10年後を生き残る最強の勉強術」。これを見たい方は、こちら をクリックしてください

※209冊目は「学年ビリから東大へ進み作家になった私の勉強法」。これを見たい方は、こちら をクリックしてください。