通訳が「付帯業務はやらない」と翻訳の仕事を断っているとむしろ損をするかも | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所
2023-12-13 15:08:32

通訳が「付帯業務はやらない」と翻訳の仕事を断っているとむしろ損をするかも

テーマ:翻訳の仕事をたくさん取る方法

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通訳の仕事をしていると、付帯業務的に翻訳の仕事が発生することがあります。

 

それを有料で受けるか、通訳の仕事の一環としてサービスするかは、それぞれの自由かと思いますが、私の場合、次の仕事が期待できそうなときはもちろん無料で(通訳の業務の範囲内の業務として特に追加料金をいただくことなく)翻訳をやります。

 

たとえば、先日の仙台での商談会のお仕事で、私が担当したバイヤーさんから当日の商談記録を英語でほしいと頼まれました。

 

特に業務の内容に含まれていませんし、それをまとめる時間を別途とらなければならないので、人によっては「有料」でなければやらないという人もいるでしょう。

 

私の場合は、基本的には、その現場から派生する仕事であれば、付帯業務として無償でやってしまいますし、今回はむしろ、どらかというと私の方から「まとめてあげようか?」とそそのかしたくらいです。

 

もちろん、これには意図や目的はあります。

 

それは、次の仕事につながる可能性があるからです。

 

多くの人は、「私は翻訳もやっているので、何か翻訳の仕事があったら直接連絡ください」などと営業をすることでしょう。

 

しかし、それでは頼んでもらえる可能性は低いです。

 

まず、通訳の仕事で出会っただけですから、先方は私の翻訳の実力はまったく分かりません。

 

(翻訳と通訳はまったく別の能力だということは、国際的にビジネスをやっている人であれば分かります)

 

そして、当日の通訳の現場でよっぽど印象に残る活躍をしない限り、数時間通訳を担当しただけの私のことはいずれ忘れてしまうでしょう。

 

それから、通訳の現場で、こうした付帯業務を提案して、当日、担当したバイヤーさんがノートを取ったり記録をしたりする手間を省いてさしあげることができます。

 

そういう提案をされたことも、現場での私の印象につながるでしょう。

 

そんな効果もあって、通訳を担当したクライアントに、しっかりと爪痕を残すことができるでしょう。

 

ハチハチハチ

 

とはいえ、今回担当したバイヤーさんから、今後何か仕事が来るかどうかは分かりません。

 

そんな保証はどこにもありませんし、そもそも今回の仕事の目的はそこではありません。

 

当日の通訳の仕事をしっかりこなして、その目的を達成することが第一です(それを失敗してしまっては、元も子もありません)。

 

あくまでも、付随的な営業効果を狙っての付加価値サービスに過ぎません。

 

だから無償でやるというのもあります。

 

ただ、こうした「種まき」は、絶対に効果がないということもありませんので、やっておいて損はないでしょう。

 

私の場合、実際に次の仕事につながった事例がいくつもあります。

 

あるベンチャー企業の海外プロモーションで、私は社長の通訳として雇われたことがありました。

 

まあ、その社長はもともと私に翻訳もやってもらうつもりではいたようなのですが、最終的にはその会社のホームページの英訳から英文広告の作成、海外からの問い合わせなどの日々の業務に関わる文書の和訳など、海外展開に関わる業務の翻訳を、通訳の仕事が終わったあとも長期にわたり担当させてもらいました。

 

もちろん、バランスは必要だと思いますが、あまり目先の業務にすべて「お金、お金」と言っていると、その後の大きなチャンスを逃してしまうこともあるのではないかという考えがあり、そのため、私は可能な限り、通訳の仕事で派生するような翻訳の仕事を、積極的にやらせてもらうことにしています。

 

 

UnsplashMina Radが撮影した写真

 

 

 

ただ、これをやるときに注意が必要な点もあります。

 

それは、通訳の現場で知り合ったクライアント(通訳を担当する人)と、別途、ビジネス関係を持つことが禁止されている場合もあるからです。

 

これは、自分の通訳業務契約書をよく読んで確認する必要があります。

 

あるいは、通訳派遣会社など、自分が雇われている会社に確認してもいいでしょう。

 

今回の仙台の仕事で商談記録の英訳を直接やるという話は、私も通訳派遣会社(私を雇ってくれた会社)に確認をとりOKをいただいたものです。

 

今回は「丸山さんがクライアントへ直接メールで渡してほしい」と許諾をいただいたのです。

 

会社によっては、その通訳派遣会社を通してやってほしいというときもあります。

 

また、通訳を担当した相手と業務外で直接連絡を取ることを禁止するところもあります。

 

いずれにしても、自分の契約をよく確認してから行動を取らないと、大きな問題になってしまうこともありますので注意が必要です。

 

 

こんな風にして翻訳の仕事や通訳の仕事が広がっていくこともあるので、私は企業案件(ビジネスに関係する仕事)が好きです。

 

当日の通訳の現場でも、そうした良い関係を作りながら仕事をすると、ただビジネスライクにやるよりも楽しくなりますし、何よりも担当した人(クライアント)の顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)向上につながります。

 

通訳の現場が成功するには、一番はクライアントが楽しんでくれること、良い時間を過ごしてくれることです。

 

そうすれば、商談など、仕事自体の良い結果にもつながることでしょう。

 

こういう自由なところがある点も、私が商談などの通訳の現場が好きな理由かもしれません(テレビの同時通訳などとはちょっと違うところ)。

 

ただ、こうして楽しく仕事をするためにも、ルールはきちんと守らなければなりません。

 

契約書を勉強することはもちろんですが、ビジネスでのルールを勉強しておくことも大事です。

 

特に通訳の場合は、日本だけでなく外国のルールや商習慣を知っておくことも大事ですね。

 

勉強することはたくさんですが、それも成果につながると思えば軽い労力ですし、楽しいものです。

 

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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