WHOLE がんとあらゆる生活習慣病を予防する最先端栄養学
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先日、NHKのニュースで、ガザの停戦に関するニュースで、だれかがスピーチで「ceasefire」と言っていたのを、字幕で(戦争の)「終結」と訳していました。
ceasefire は、確かに字面を見ると「火をやめる」と言う意味になるので、ちょっと英語の知識がある人であればなんとなく意味は推測できるでしょう。
しかし、この翻訳者は「ceasefire」の本当の(正しい)意味を知らなかったようですし、また「ceasefire」という用語の戦争的・政治的な意味を理解していなかったようです。
辞書を引けばすぐにわかることですが、ceasefireは「休戦」という意味です。
もしかしたら「戦争の終結でもあながち間違いではないじゃん?」と思った人もいるかもしれませんが、「終戦」と「休戦」ではまったく意味が違いますし、これはとんでもない誤解を招きます。
特に、報道機関としては、やってはいけない間違いだと思います。
「休戦」は国際政治用語でもあるのですが、これもまた辞書を引いてもらえばすぐにわかることではありますが、「一時的に戦闘行為を中止すること」です。
大事なポイントは、戦争は終わっていないこと。
休戦の目的が完了すれば、戦闘行為はまた再開する可能性だってあるのです。
敵対関係も続いている可能性があります。敵対関係にあっても、一時的に戦闘をやめるのが「休戦」です。
NHKのニュースで「終結」という言葉(誤訳)を使った何がまずいかと言うと…
間違った情報を伝えてしまったという点です。
あるいは、「終結」という言葉(字幕)を見て「よかったね」という印象を持った人もいたかもしれません。
私は、その「印象」という点であの報道はとてもまずかったと思っています。
終結に向けた一歩になるかもしれませんが、「休戦」した時点では戦争の終わりは見えておらず、何も解決していません。
朝鮮戦争を考えれば、もしかしたらわかりやすいかもしれません。
北朝鮮と韓国を隔てている「朝鮮戦争」は、1,953年7月27日に休戦協定に署名して休戦となっていますが、戦争は終わっていないのです。
その証拠に、戦争の結果はまだ出ていない、つまりまだ解決しておらず、その犠牲になっている不幸は人はいまだに存在するわけです。
ちなみに、ceasefireは「停戦」とも「休戦」とも訳されるようですが、専門的には意味の違いがありますが、いずれにしても戦争(戦い)の終結ではないということ。どちらも一時的に戦闘行為を中止するという意味です。
英語でも、「休戦」とか「停戦」というニュアンスの言葉はいくつかあり、日本語同様、混同して使用されることが多いようですが、ceasefire, truce, armisticeといった言葉があり、それぞれ段階的に異なる意味を持っています。
ちなみに、戦争を終結させる場合は、相手が降伏するか、終戦の合意がなければならないわけですが、「平和条約」は終戦の要件とはなっていないようです。
いずれにしても、「ceasefire」は正式な国際政治用語であるので、字面だけで訳さずに、きちんと内容を理解して、どの訳語に当たるのか(停戦か休戦か、はたまた戦闘停止なのか)をよく考える必要があり、その(正しい)判断をするのが翻訳者の仕事となります。
それが判断できなければ、仕事はできないというわけです。
NHKは、その点のチェックが入っていなかったか、チェックした編集長も知識がなかったか、はたまた「視聴者にはわからないだろう」と見くびられたかのいずれかなのでしょう。
ceasefireの誤訳について、ちょっと熱を入れて長々と話してしまいましたが…
実は今日の本題はそこではなく、ここからです
通訳や翻訳を仕事にしていると、ついついやってしまうこと、その話をしようと思うのです。
このように、テレビに限らず、YouTubeなども含め、いろいろな映像をみるとき、話(スピーチ)と字幕と比較しながら見るというのが癖のようになっています。
対面で人の話を聞いているときも、そうかもしれません。
まあ、職業病と言うのかもしれませんね。
間違い探しをしながら見るほど根性は悪くはないと思うのですが、それでも、誤訳や誤字があったり、ちょっと違和感のある表現が使われていたりすると、「え、その訳にどうしてたどりついたんだろう?」とか「自分はこう思うけど、間違った用法じゃないだろうか?」とか気になって、ついつい(表現の定義や用法を)調べてしまいます。
人の訳を見たり同通の方の言葉を聴きながら間違い探しをしているわけではないのですが、ついつい「自分ならどう訳すだろうか?」とか「その訳し方は秀逸だな!」とか、いろいろ考えながら見てしまいます。
ただ、そういう意識で見ることは、翻訳や通訳を仕事とするうえでとても大事だと思っています。
自分をある程度客観的に見る練習にもなる気がします。
そして何よりも、特に通訳の現場でのよい練習(鍛錬)になります。
通訳の現場では、頭の中に常に複数の自分がいる感じです。
必死になって相手の話を聞いている自分、
訳文を頭の中で作りながら口から出力(アウトプット)している自分、
それと同時に、「今の言葉は〇〇と訳して大丈夫かな…」と、別の知識をひっぱりだしてきている自分、
時間を気にしたり、周りの人の顔色をうかがいながら自分がちゃんと喋れてるかなとチェックしている自分…
話しながら、心のつぶやきも常に流れている気がします。
こんなふうに、通訳をしていると、頭の中がいつも「雑踏」のような感じ。
それに慣れているからかもしれませんが、普段テレビを見たり人の話を聞いたりしているときも、わりと頭の中が雑踏になりがちです。
「頭の中に自分が何人かいる」と言えば、伝わるでしょうか…
UnsplashのSebastian Herrmannが撮影した写真
こんな感じ。いや、もっとたくさんいるかもしれませんねw
(ひとりで)にぎやかなんです。
そして、相手の話をとても集中して聞いている(そう努めている)のですが、ときどき(仕事でないときは特に)頭の中に複数いる自分のなかの誰かが、勝手に話から脱線して、別のことを考え出したり(勝手に一つのトピックを掘り下げていたり)するので、ちょっと困るときがあります(自分のことながらww)。
そう考えると、話が脱線していってしまい、何を話していたかわからなくなることもよくあるので、普段から気を付けなければならないなぁと思いました(と、今すごく反省しています)。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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ご無沙汰いたしました。久しぶりに投稿いたします。
新年のご挨拶をして、それ以降ブログを書く余裕がありませんでした。
実は、裁判があったのです。
「裁判」と言っても、私が誰かに訴えられたとか、裁判を起こしたとか、そういうことではありません。
翻訳のお仕事です。
ある複数の事件の「判決文」を翻訳していたためです。
今回は、刑事事件の判決文だったので、1件あたりそれほど長い文章ではなかったのですが、それでも、内容の性質からかなり集中力が求められたということと、実際に翻訳をしてみないと、予定したとおり期限までに作業を終えられるかどうかわからなかったので、しばらく他のことは考えず、仕事に集中させてもらっていました。
裁判の仕事はそれほど経験豊富というわけでもないので一概には言えませんが、私の印象では、民事事件(訴訟)の判決文に比べて、刑事事件の判決文は総じて短い気がします。
まあ、事件の内容にもよりますし、事件の規模や被告人の人数にもよると思いますが、今回扱った事件は(複数でしたが)いずれも被告人が1~2名の小規模なもの。
事件の内容について書くのは控えますが、事件自体も(重罪ではありましたが)わかりやすい内容で、判決文もシンプルでした。
ただ、今回の仕事は日本語の判決文をスペイン語、ポルトガル語に翻訳するというお仕事。
そう、日本の裁判所のお仕事だったのですが、スペイン語・ポルトガル語に訳すという仕事は、比較的多くあるような気がします。
特に刑事事件の判決文は、翻訳作業としては、実はそれほど難しくないものが多いです。
犯罪の背景となった事実関係、刑罰の内容、その根拠となる法律の引用。
だいたいそんな内容です。
法律や刑などの用語集も、クライアントに用意してもらえます(私の場合は)。
ただ、用意してもらえる用語集は日英の対訳なので、それを基にスペイン語・ポルトガル語に翻訳するという作業になりました。
もちろん、その用語集自体は日英なので、法体系の異なるスペインやポルトガル、ブラジルなどの法律用語に直訳できるわけではありません。
しかし、今回の案件は、日本の裁判所の判決文だったので、基本的に日英の用語集が役立ちました。
日本法の概念を英訳した用語なので、概念としてはあっているわけです。
そのような判断は、翻訳者自身が下さなければならないので、やはりある程度の法律・裁判の知識は必要になりますね。
また、スペイン語・ポルトガル語で読んだ人に間違いなく伝わるように、辞書の用語を直訳するのではなく、状況に応じて訳し方を工夫する必要もあります。
そういう点で、用意された英語の用語集をうのみにするわけにもいかず、さまざまな用語を調べたり確認したりするために、文献んを読んだり、当事者の国の法体系をちょっと勉強したりと… 翻訳作業以外にもやることがかなりあったのと、その作業自体がかなり頭を使うものだったということもあり、この年末年始にかけての作業期間中は毎日ぐったりでした。
ちなみに、「法令用語日英標準対訳辞書」というものが内閣官房から出されていて、日本の法務翻訳者の方はこの訳語を基本にしていると思います。
インターネットで検索してすぐに出てきますが、最新版であるか確認した方がよろしいかと思います(私の場合、翻訳会社から提供されるものを使うので、それが最新版だと思うのですが… 平成25年3月改訂版が最新でしょうか…)
また、「少年審判」ではありますが、裁判所から「少年審判通訳ハンドブック」というものが様々な言語(現在、スペイン語、ポルトガル語など14言語)で公開されているので、役に立つかと思います。
リンクを貼っておきますね↓
通訳のハンドブックなのですが、もちろん翻訳にも役立ちます。
こんな用語を参考にしながら、翻訳作業をしていきます。
先ほども言ったように、それが適訳かどうか、正しいかどうかは、実は保証はないので、自分の判断で訳語を採用していく必要はあります。
間違っていたり、「それはちょっと違うだろう」と思うような訳があったり、複数の訳語があり、どれを適用すればよいか自分で判断しなければならなかったり、いろいろです。
UnsplashのWesley Tingeyが撮影した写真
以上のような事情により、ブログは(勝手に)お休みさせていただいていたのでした。
とりあえず作業が一段落し、おそらくチェック作業も無事に(問題なく)終わりそうなので、これからはこのブログも再開していこうと思います。
ご心配されていた方には(そんな方はいないかもしれませんが)申し訳ありませんでした。
そして、この2週間ほどは、ほとんどの新規の仕事をお断りしていたので、それもご迷惑をおかけしてしまいました。
これからは通常通り、新規のお仕事もお引き受けできると思います。
以上、今日は簡単な近況報告でした。
あらためまして、今年も(引き続き)よろしくお願いいたします。
(新年のご挨拶以来の投稿でしたww)
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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