翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所
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地方でも通訳の仕事が入ってくるしくみ(どうやって通訳の仕事をとればいいかわからない人向け)

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地方とはいえ、それなりの規模の都市で翻訳・通訳の仕事をしていると、地元からの仕事の需要もそれなりにあります(自分のところに回ってくるかどうかは別として)。

 

私が生活拠点を置いている山形県鶴岡市は、規模はそれほど大きくないとはいえ、地方の中核都市圏を形成しており、人口も約12万人とまあまあの規模です。

 

産業もありますし、大学もあり、留学生も含めて定住している外国人もいますし(生活拠点を置いている人も)、ビジネスで来る人もいれば、観光資源もまあまああるので観光で訪れる外国人もいます。

 

市レベルでの海外交流も盛んなので(姉妹都市や友好都市などとの交流事業もある)、どちらかといえば通訳の需要は多い方かもしれません。

 

とはいえ、規模が小さいのは確かで、毎日通訳ガイドや会議通訳者の養成がふんだんにあるのかというと、そういうことはありません。

 

翻訳と通訳とでは、ちょっと事情が異なりますので、今日は「通訳」の仕事に絞ってお話しますが、いずれ「翻訳」の仕事についてもお話できればと思います。

 

最近は、オンライン会議も増えてきたので、通訳も、必ずしも地元にいなくてもよいという状況も増えてはきました。

 

しかし、実際には現場での通訳の要請も多く(特にコロナの流行が落ち着て以降)、それは地方であっても同じで、全体のパイが小さいので仕事の依頼件数の絶対数は少ないですが、需要は必ずあります。

 

ハチハチハチ

 

私自身、コミュニティ通訳として市に登録をしていますし、市の国際関係の部署とも直接取引関係にあるので、市レベルの話であれば、通訳需要の現状については比較的把握している方だとは思います。

 

(逆に、民間レベルではどれだけ需要があるかわかっていないかもしれませんが)

 

それを踏まえての話とはなりますが、たとえば観光客や海外からの来客を相手にするような通訳の仕事や、生活拠点を鶴岡においている人たちを相手にするような通訳の仕事の要請も、日常レベルで言ってもまあまああるのですが(ボランティア通訳も含め)、では実力や実績、資格のある通訳に仕事がどんどん回ってくるかというと、そう単純な話でもないのです。

 

でも、通訳が不足しているという現実もあります。

 

仕事はあるのに通訳に仕事が回ってこないということ?いったいどういうことなのでしょうか?

 

実務レベルのちょっと込み入った話ではあるのですが…

 

まず、私の市の場合、通訳の仕事を頼むときは「コミュニティ通訳」という制度に登録している人に優先的に仕事を頼みたいようなのです。

 

それはもっともな話ですよね。

 

私自身、今のように鶴岡市に住む前から、鶴岡市と仕事をさせていただいているのですが、業務内容によっては、私には通訳の仕事を頼めないというときがありました。

 

要するに、地元に住んでいる人に優先的に発注するというポリシーのようなものがあったのです。

 

では、どういうときに私に発注があったかと言うと・・・

 

地元の人では手におえない内容の仕事だとか、地元の人が手配できない場合などでした。

 

今でもそれは変わらないと思いますが、私自身地元に移住して、コミュニティ通訳に登録をしているので、今は仕事を依頼しやすくなったというのはあると思います。

 

では、鶴岡市に移住した今となっては、私に優先的に仕事を回してもらえるのか?というと、実はそうでもありません。

 

時と場合にもよりますが、基本的には「コミュニティ通訳」制度に登録している人たち(私も含めて)に、平等にお仕事の話が来ます。

 

鶴岡市の場合は、登録している人にメールで案内が来て、条件の合う人が(早い者勝ちで)仕事をもらえるということになります。

 

ちなみに、コミュニティ通訳の仕事は、主に以下のような内容です。

 

・医療関係(健診、お産、乳幼児健診など)

・免許センター市役所などでの行政手続き

・学校・幼稚園などでの教育現場での通訳

 

「日本語を母語としない地域住民の方々が、生活上の様々な出来事の中で言葉のサポートを必要とする場合」

 

コミュニティ通訳は、鶴岡市の国際交流センター(出羽庄内国際村)で依頼できます↓

 

多文化共生事業 通訳・翻訳について | 出羽庄内国際村 (dewakoku.or.jp)

 

頻繁に要請があるわけではありませんが、突発的に(曜日を問わず)お仕事の依頼がくることがあります。

 

ですので、登録している人みなさんにたくさん仕事がくるわけではないので、これだけで毎日通訳で忙しくすることは無理です。

 

では、私のような地方都市に住んでいると、通訳の仕事で生計を立てるのは無理なのか?というと、実はそうでもありません。

 

市のボランティア通訳の仕事は、鶴岡市の場合は基本的にはコミュニティ通訳が対応しますが、通訳の仕事はそれだけではありません。

 

ボランティアの方々では対応しきれない内容の仕事もあるわけです。

 

国際会議や行政レベルでの通訳の仕事など。

 

そういう場合は、コミュニティ通訳ではなく、通訳個人に直接依頼の連絡がきます。

 

ここが、プロの通訳として食べていくうえでカギになる部分だと思います。

 

コミュニティ通訳では、主に日常生活レベルの通訳の仕事にとどまります。

 

専門的な仕事だと、それなりの知識やかなりの実務経験が必要になるわけで、なかなかボランティアレベルでは対応が難しいのです。

 

ですので、コミュニティ通訳以外の人にも仕事の依頼がきます。

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

通訳の需要は、市の仕事だけではありません。

 

民間レベルでも需要はあります。

 

民間の場合は、コミュニティ通訳を利用するという手もありますが、多くの場合はプロの通訳に依頼すると思います。

 

その場合、特に市の住民を優先するとか、そういう縛りはなく、自由に(東京の人とかにも)仕事の依頼を出すと思います。

 

ただ、実務のことを考えた場合、わざわざ東京から通訳を呼び寄せるよりも、地元の人に依頼したいという場合が多いようです。

 

(交通費もかかりますしね)

 

ですので、そういった地元企業などの需要もある程度はあります。

 

企業などの仕事も含め、一般の仕事は、比較的深い知識や経験が求められます。

 

ですので、地方都市に人材はいるとはいえ、だれでも対応できるというわけではないようで、やはり実務経験のある通訳者が重宝されるようです。

 

そのため、コミュニティ通訳の枠以外でも、通訳の仕事の依頼はあります。

 

そして、その「コミュニティ通訳」以外の枠の人材が、やはりどうしても不足しがちのようです。

 

ですので、地方で通訳として「稼ぐ」うえでのポイントは、いかにして「ボランティアレベル以上の仕事をこなせるようになるか」だと思います。

 

ボランティアレベルの仕事では、ある程度の規模のある地方都市であっても、それだけで忙しくすることは容易ではないと思いますが、実務レベルの通訳ができれば、かなり仕事の依頼が増えると思います。

 

そういう意味では、東京や大阪など、大都市にいる必要もそれほどない気がします。

 

また、近くに大都市があれば(私の場合は車で3時間くらいで仙台市に出れる)、そこでの仕事の依頼もわりと入ってくるので、実は通訳の仕事をするチャンスは、地方に住んでいても少なくはないなぁというのが実感です。

 

ただ、普段から通訳の仕事をしていない人や実績のない人は、なかなかそういう機会に巡り合うことすら難しいと思います。

 

そういう場合、コミュニティ通訳のようなボランティアレベルの仕事をして、たとえば市などの窓口の人に自分の存在を知ってもらうというのも一つの手だと思います。

 

必ずしも市の仕事ではなくとも、市の担当者から口コミで紹介してもらえることもあるでしょうし、他のコミュニティ通訳の仲間から仕事を紹介してもらえることもあるでしょうし、意外と仕事の可能性が広がるものです。

 

そして、特に地方都市の場合は、人材も多くないですので、いったんそういう形でできたつながりは結構強くて、民間レベルでの仕事にもつながりやすくなると思います。

 

かたつむりかたつむりかたつむり

 

私自身の話をすると…

 

東京にいたときは、そんな感じで口コミや紹介で通訳の仕事をすることも多くありましたが、通訳の人材派遣会社に登録などをして仕事をもらうこともありました(現在でもそうですが)。

 

地方には、そういう派遣会社がないことも多いので、通訳の仕事をどうやってもらえばいいか、悩んでいる人も多いかと思います。

 

しかし、実際に鶴岡市に移住してみて、「コミュニティ通訳」という制度を知り、自分も登録してみて、自分の存在を(市や仲間に)知ってもらう良い機会になるなぁと感じました。

 

通訳の仕事は、物理的な制約(時間や場所)も多く、(翻訳と比べて)なかなかマッチングが難しい仕事だと思います。

 

それだけに、やはり自分の存在を(まずは)知ってもらうということが、とても大事なのではないかと感じています。

 

まずはは、みなさんの住んでいる市町村にもコミュニティ通訳のような制度がないか調べてくるとよいと思います。

 

あれば、早速登録をしてみて、まずは自分の(通訳としての)存在を地元の人(役所の担当者も含め)に知ってもらうとよいと思います。

 

そこから、市レベルの仕事だけでなく、横のつながりや口コミで、民間の仕事の紹介もしてもらえるようになる可能性は大いにあると思います。

 

さらに、通訳ガイドの資格を持っていると、さらに仕事がしやすくなると思います。

 

今では、国家資格(全国通訳案内士)がなくても「通訳案内業」の仕事をしてよいことになっていますが(以前はダメでした)、それでも資格があると、報酬が少し多かったり、いろいろと有利な点はあります。

 

当然、資格を持つくらいの知識と経験があれば、提供できるサービスの質もぐんと上がりますしね。

 

案内士の資格は、特に観光客が多くくるような場所に住んでいる方には、おすすめかもしれません。

 

こういった資格を持っていたり、実務経験のある人は、ボランティアレベル以外の仕事をもらえるようになります。

 

住んでいる市町村の中だけでは、十分な仕事量にはならないかもしれませんが、(私の場合の仙台市のように)少し離れていても大都市がある場所であれば、そこでの仕事の需要もあるので、総じてまとまった仕事量にはなると思います。

 

とはいえ、実務通訳の場合は、やはり経験値がものを言いますし、専門知識も必要となってきます。

 

いかに勉強と経験を積むかがカギとなると思います。

 

しかし、どこに住んでいるかは、実はあまり問題ではないということは今日お話しした内容でお分かりいただけたかと思いますし、実際に、私も実感するところです。

 

機会は意外とあるものですし、地方の場合は、通訳の人材が少ない分、むしろ仕事のチャンスが多いという感じもします。

 

また、自分の住んでいる市町村内だけで仕事をしようとするとなかなか難しいですが、近隣の大きめの都市も仕事の範囲に含めると、意外と仕事の量も幅も多くなり、地方都市に住んでいても、通訳の仕事については絶望的ではないということがわかると思います。

 

UnsplashAnnaが撮影した写真

 

 

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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田舎の翻訳屋が潰れない理由

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「フリーランスとして自宅で仕事をしています」とか「自営業でやってます」とか「翻訳の仕事を自宅でやっています」というお話をすると、「仕事は十分にありますか?」とか「仕事をとるのは大変でしょう…」とかご心配の声を(少なからず)いただきます。

 

特に、私が今住んでいる山形県鶴岡市のような、産業も限られていて、大都会から遠く離れているような「田舎」では、そんなご心配も大きいのだと思います。

 

先日も、たまたまお会いした方に、翻訳を仕事としていることには大いに感心されたようなのですが、一方で「あそこにも仕事があるかもしれない」とか「市に掛け合ってもっと仕事をたくさんもらえるようにしたほうがいいよ」とか「県とかからも仕事がもらえるかもしれないから、だれだれを紹介しましょうか?」とかありがたいお言葉をいただきました。

 

ご心配はありがたいですしうれしいですし、可能であれば仕事を1つでもご紹介いただければ、それはそれで幸いです。

 

確かに、こんな産業も限られていて、特に外国とはあまり縁のないド田舎で仕事をしている私を見ると、「十分に食べていけているのかしら…」とご心配になるのだと思います。

 

そして、ご自身が知っているあらゆる知識を総動員して、「外国」と関係のありそうなところや、「英語」を使う仕事に結びつきそうなところの「ご提案」をしていただくのだと思います。

 

(実際にご紹介いただけることは、ほとんどないですが)

 

私自身、頻繁ではありませんが、鶴岡市をはじめとして、地元の自治体や企業からお仕事をしていただくことがあります。

 

先日も、地元の企業様からお見積もりの依頼がありました。

 

しかし、(ご心配いただくとおり)それだけで十分に食べていけるかというと、あるいは事務所の経営が成り立っていくかというと、それほど多くのお仕事はいただけていません。

 

ほんと、ご心配のとおりなのです。

 

ただ、地元から仕事をいただかなくても、実際のところは十分に食べていけていますし、(ありがたいことに)毎日手に余るほどのお仕事をいただき、納税もさせていただいています。

 

では、翻訳者はどこから仕事をもらっているのでしょうか?

 

このブログでもたびたびお話をしていますが、私の場合は、翻訳の仕事の収入の柱となっているのは、10年以上仕事をいただいている翻訳会社です。

 

正直なところ、今たくさんお仕事をいただいている翻訳会社はいくつかあるのですが、1社だけでも十分食べて所得税や消費税を払っていけるだけのお仕事は入ってきます。

 

ただ、いろいろなリスクを考えると、1社集中(1社専属)というのは自営業としてはあまりにも危ないですので、複数社と仕事をしています。

 

また、仕事が少なかった時代から取引をさせていただいている会社なので、ある会社の仕事が多くなったからといって、他の会社を切るというわけにもいきません。

 

さらに、翻訳会社それぞれが抱えているクライアントも違いますので、それぞれから面白いお仕事をいただけるので、1社にわざわざ絞るのももったいない話なのです。

 

1社専属にしなくてもいいのが、フリーランスの特権かと思います。

 

ということで、ド田舎で仕事をしていて、地元から仕事がいただけなくても、経常的に十分(以上)に仕事が入ってくるので、実のところ、仕事にはそれほど困っていないのです(生意気に聞こえたら申し訳ないですが、そういうつもりはありません)。

 

田舎にいて、毎日ブログを書いて、ウォーキングや筋トレをして、昼からカフェでケーキを食べて、暇そうにしているので、もしかしたらご心配いただくのかもしれません。

 

また、翻訳の需要など、非常に限られていて、地元で翻訳や通訳の仕事をやりたいと思っていてもなかなか仕事がなくて困っているという人材がたくさんいるので、それを見て、私についてもご心配いただくのだとは思います。

 

実際、英語力を生かして仕事をしたいとか、空いている時間を有効活用するために自宅で翻訳をしたいとか、ちょっとした(簡単な)通訳の仕事をしてコミュニティの役に立ちたいといった人たちは、たくさん(鶴岡市にも)いて、仕事を求めているのも事実です。

 

私も、そんな風に(翻訳・通訳の)仕事を求めていたら、おそらく今ごろ仕事がなかなかなくて苦労していることでしょう。

 

しかし、実際には翻訳会社という強い味方がいて、寝る時間ももらえないほどの(仕事の)供給をいただけているのです。

 

おそらく、その辺は周りからは見えないところでしょう。

 

実際に、翻訳者がそんな風に仕事をもらっているなんて、特に国内外の地元以外の会社から仕事を定期的に供給されているなんていう翻訳業界の事情は、普通の人には見えないと思います。

 

しかし、仕事のない田舎で、しかもフリーランスで仕事をしていても、実際には仕事に困ることはありませんし、一見(英語の)仕事がまったくなさそうな田舎で翻訳事務所を経営していても、決してつぶれることはないのです。

 

それは、見えない「仕事を回してもらう仕組み」があるからなのです。

 

ハチハチハチ

 

ということで、ド田舎の翻訳者であっても「ご心配には及びません」という話なのですが…

 

このことを考えていて、ふと思い出したことがありました。

 

それは「田舎の商店街で個人経営をしていても、文房具屋はなぜつぶれないのか?」という問題です。

 

学校の近くとかに、1軒くらいありますよね。おばあさんがよっこらしょって中から出て来てくれて、ちょっと誇りを被ったような学習帳とか縄跳びとかを売っているような商店が…

 

今では大型ショッピングセンターの文房具店やネット通販があって、いよいよ商店の文房具屋は終わりかとおもいきや、実は生き残っているんですよね。

 

なぜだかご存じですか?

 

実は、店舗で文房具を販売しているのは「ついで」だったりするのです。

 

実は、市内の学校とかと供給契約を結んでいて卸しているとか、通信販売の代理店になっていたりとか…

 

実は、我々が店舗を見て心配している以外のところで、太い契約があって、商店としてはそちらで十分に成り立っているのです。

 

自宅兼店舗で販売しているのは、在庫があるついでであったり、近所の子たちを相手にその在庫を分けてあげる程度の話であり、売り上げとしては、やはりそれだけでは不十分で、それでも本業(学校との供給契約など)があるので、まったく心配には及ばないというわけです。

 

同じような商売の仕組みを持っている商店は他にもたくさんあって、地域のさびれた商店街でも続いている商店なんかがだいたいそうだと思うのですが、外から見ると「経営は成り立つのかしら…」と心配になるような商店でも、実はその表の姿は本来の商売の姿ではなく、バックボーンになるビジネスモデルがちゃんとあるのです。

 

他には、たとえば近所の自転車屋さんとか洋品店とか。

 

東洋経済に、そのような話をテーマにした記事がありました。この話をしていて、私なんかよりも説得力があるので、よろしければこちらを読んでみてください。

 

商店街の洋品店や書店が潰れそうで潰れない理由 「勉強せずに起業で成功した人たち」の共通点 | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン (toyokeizai.net)

 

 

 

そういえば、昔「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」という本がベストセラーになり話題になったことがありましたね。

 

このさおだけ屋の場合は、顧客単価を上げる仕組みがあったり、さおだけ屋を営む金物屋さんの出張のついでにあちこちを回るだけだったり、それなりに仕組みがあるようなのですが、やはり私たちが心配するように、さおだけの売り上げだけでやっていけるわけではなく、他にちゃんと仕組みがあるということでした。

 

さおだけ屋の話は、大和総研さんが記事で公開していたので、興味ある方はこちらを読んでみてもよろしいかと思います。

 

『さおだけ屋は、なぜ潰れないのか』で解決するものは? 2006年12月14日 | 大和総研 | 中島 節子 (dir.co.jp)

 

 

まあ、実際に「さおだけ屋」の書籍を読んでみるのが一番よいかもしれませんが。

 

 

 

ちなみに、数年前に私もこんな記事を書いていますので、興味がある方はこちらもご参考になさってみてください↓

 

街の文房具屋に学ぶ、翻訳者の「潰れない仕組み」 | 翻訳で食べていく方法★プロの翻訳者養成所 (ameblo.jp)

 

 

そういう意味では街の八百屋さんや酒屋さんもそうなのでしょうね。

 

最近はやはりネットスーパーや格安販売店に押されているかもしれませんが…

 

ただ、私もいつもお酒を買わせてもらっている近所の酒屋さんがるのですが、いつも配達で忙しそうにしています。

 

長くやっているお店なのですが、それなりのふと客がいるのでしょうね。

 

そういうお店を見ると、やはり商売は「人」だなぁとつくづく思います。

 

 

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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プロの翻訳者が日々勉強しているのはソース言語 or ターゲット言語?

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「翻訳者になるには、何を主に勉強したらいいですか?」

 

セミナーや講演会でお話させていただくと、このご質問が一番多いかもしれません。

 

実際に翻訳者がどういう勉強をして翻訳の仕事を獲得したか、気になりますよね。

 

私の答えはいつもたった一つです。

 

「自由自在に文章を書けるように、ターゲット言語を徹底的に磨いてください」ということです。

 

「ターゲット言語」とは、翻訳の「訳文」としてアウトプットする言語のことです。

 

その対義語は「ソース言語」で、こちらは翻訳の「原文」が書かれている言語のことになります。

 

もちろん、ソース言語も大事ですし、ターゲット言語も大事です。

 

しかし、現実問題としては、どちらもまんべんなく完璧にスキルアップすることは難しいですし、時間が無限にあるわけでもありません。

 

完璧になるのを待っていたら、いつまでたっても仕事はできません。

 

じゃあ「どちらかを犠牲にするの?」「それで仕事ができるの?」と思われるかもしれません。

 

実は、犠牲にしなくても、ちゃんと翻訳の仕事はできます。

 

そして、(あらかじめ断っておくと)自分ひとりで完璧な訳文を書くことはなかなか難しいですし、現場ではそんなリスクの高い状況で仕事はしていません。

 

間違えないように、何人かの目を通して、品質を担保します。

 

それでも、あまりにミスが多い翻訳者では仕事ではつかえませんし、できる限りスキルを伸ばしておく必要があります。

 

そういう制約があるなかで、どうやって最適な状態でスキルを伸ばしていったらよいか?というのが命題となるわけです。

 

ハチハチハチ

 

翻訳の仕事をするのでれば、ターゲット言語の勉強の方が断然優先です。

 

「ターゲット言語を磨いても、原文が正しく読み取れなかったらダメじゃないの?」

 

ごもっともなことです。

 

確かに、原文がうまく読み取れなければ、間違った解釈をしてしまう恐れがあります。

 

間違った訳文をお客様に提供しては、翻訳者の仕事は成り立ちません。

 

もちろん、すべて正しく読み取る能力は必須であり、そのためにどんな文章でも読みこなせるように「ソース言語」を勉強することも大事です。

 

しかし、「どちらが優先か?」と言われれば、私は断然「ターゲット言語」と答えます。

 

理由は、ターゲット言語を自由自在に書けるようになるころには、翻訳する対象となる文書の内容をほとんど理解できるようになっていると思います。

 

つまり、その分野や業界に関する知識が十分に身についていると思います。

 

そうすると、原文の意味がいまいち取れないとき、あるいは取りづらいときでも、その知識をもとに「原文はこういうことを言っているのではないか?」と推測できます。

 

その知識をもとに原文を読むと、逆に原文の意味が理解できるようになります。

 

その検証として、当初原文で理解できなかった単語にそういう風な意味がないか、分からなかった表現にそういう慣用的な意味がなかったかどうかを辞書やネットなどで調べればよいのです。

 

どうしてもそう解釈する余地がなければ、もしかしたら自分の(ターゲット言語での)知識に不足や穴があるのではないか?あるいは、原文が間違っているのではないか?と疑うことができます。

 

その疑いをもとに、正しい文章を導き出すことができます。

 

実は、翻訳の現場ではこういう「疑義」が生じることがよくあります。

 

それを「勝手に自分の解釈」で訳すのではなく、徹底的に疑問点をつぶして、間違いがないことを確認したうえで、最終的に訳文は完成します。

 

(結構大変なんです)

 

そういう点で、やはり大事なの「ターゲット言語」(自分が表現をする言語)の知識です。

 

(文章力の裏付けとなるのは、知識や経験です)

 

「ターゲット言語」の勉強を徹底的にしておくと、それが原文理解の大きな助けにもなります。

 

ともかく、翻訳の現場では、最終的に「正しい訳文」を出すことが最重要課題です。

 

現場の本当の問題として、主に次の三つがあります。

 

1. 原文の誤字脱字

 

2. 原文の著者による間違い(誤解や理論の破綻など)

 

3. 原文の著者が自分の言いたいことをうまく表現できていないこと

 

これは、(翻訳の)学校やテストとの大きな違いかもしれません。


現場では、原文の間違いを訳文にもそのまま再現することは基本的に許されません。

 

原文を翻訳して書き写すことが翻訳者の仕事ではないのです。

 

3つ目の点に関しては、どこまで翻訳者が書き直すかという問題が出てくるのですが、それは発注者と相談しながら進めていくのです。

 

このような原文の問題をクリアしながら訳文を作っていきます。

 

ですから、当然のことながら、原文を正しく理解することが前提なのですが、その理解のために必要なことというのが、実はソース言語の運用力というよりも、ターゲット言語の運用力になるのです。

 

もちろん、ソース言語の運用能力が高ければ高いほど、翻訳の仕事では役立ちます。

 

ミスを防ぐための強力な能力になります。

 

しかし、「どちらにより力を入れるべきか?」と言われれば、私は断然「ターゲット言語」と答えるのです。

 

実際に翻訳の仕事をしていると、勉強することは無限にあります。

 

すべてを勉強することはできないのですが、現場での仕事でなるべく自分の力を発揮しようとすれば、やはりターゲット言語の能力が最も重要になると考えています。

 

さらに、翻訳をする題材、分野の知識や業界や実社会の状況は、日々変化しています。

 

その変化についていきながら、自分の能力や知識をアップデートしていこうとすると、どうしても「ターゲット言語」の方をアップデートしていく方が実務的だということだと思います。

 

 

UnsplashObi - @pixel8propixが撮影した写真

 

 

ちなみに、私の「ターゲット言語」は「日本語」と「英語」の両方あるので、実は英語の文書も毎日(勉強として)かなりの量を読んで書いています。

 

勉強の時間は限られているので、なかなか思ったようはできないのですが、主に次のことをやっています。

 

・読書をする(主に自分が翻訳で扱っている分野の本や資料が多いですが、まったく関係のない小説なども読みます)

 

・写経をする(要するに、翻訳で扱うターゲット言語の文書や資料などをあちこちからあさってきて、ひたすら書き写すのです。これで表現力や語彙力が意識的・無意識的に身に着くのを狙っています)

 

・実際の翻訳の仕事で扱った文書の辞書(グロッサリー)を作成する

 

実際に一番勉強になっているのは、3つ目の「現場でグロッサリーを作る」ことだと思います。

 

現場で扱う言語が、とにかく最新の言語ですし、自分で選ばずともとにかく勉強になる単語や表現がいっぱいです(つまり、自分の知らない単語や表現)

 

とにかく、仕事をしながら、仕事の合間にいかにたくさん勉強するかが、翻訳者として長く現役でいるために欠かせないことだと思っています。

 

アスリートの人たちが、日々トレーニングや研究を欠かせないのと、ちょっと共通するかもしれませんね。

 

少しでも、翻訳者を目指している人の参考になれば幸いです。

 

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 

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