またちょっと間があいてしまいました!!!
すみません!!!
第2シーズンに突入した、
妄想吹奏楽部。
前回までのお話。
こちらがその「まとめサイト」です。
では、
続きです。
ノスタルジア
「お前どんだけ負け犬やねん!」
学校からの帰宅途中、遊具の少ない小さな噴水と道なりに作られた花壇が綺麗な公園から聞きなれた関西弁が聴こえてきて国分は足をとめた。腕時計に目を落とすと、すでに20時を回っていて、辺りは街灯の明かりに照らされる時間となっていた。
「ほんま、アホやなお前は。」
イラついているのか、誰かを叱咤する主の声しか聞こえないが、公園に入って距離が近づいたからか、その声に反論(もしくは弁明か)、答える人物の声も感じとれるようになった。
その人物たちは、一番ひらけた公園の中心で、噴水を遠目に囲むように等間隔で置かれたベンチの一つに集まっていた。
一番声を荒げ、冷静になりたい気持ちと、何か怒りがおさまらずにベンチの前をウロウロする大倉忠義。右耳からの後頭部しか見えないが、ベンチで大きな身体をしぼめているのは丸山隆平だろう。その二人の間で立ったまま項垂れていて、こちらに身体を向けてはいるが小さくて顔が丁度見えないのは安田章大だろう。
「あぁ、腹立つっ!」
大倉は長い手足を振り回してその怒りを発散しようとしているように見えた。喧嘩とまではいかないだろうが、時間も時間だ。状況にもよるが仲裁に入る事にした。
「おぉい、なにしてるんだ?」
落ち着いて声をかけたつもりだったが、うわずった声になってしまい威厳のかけらもないなと思い国分はクククと笑いながら三人に近づいた。
「先生。」
ほぼ同時に安田と大倉がそう答え、丸山は振り向きながらすっと姿勢を真っ直ぐに整え、思い出したように目元を制服の袖で拭った。一瞬見えたその顔は、今にも泣きだしそうな子供の様な顔をしていた。
まず正面の安田と目が合い、こちらも何だか申し訳ない顔をしている。次に大倉に目線を送るとちらりと国分の顔を見てすぐに丸山に視線を落とす。国分の出現できょろきょろと落ち着きの無かった丸山は、大倉と目が合うとまた頭を下げる。
「丸山、悪いんだけれど外の自販機で冷たい飲み物買って来てくれる?」
国分はそう優しく声をかけると丸山の右隣に腰を掛け、カバンからお財布を取り出して千円札を顔の前に差し出した。丸山は戸惑っていたが、渋々と言った顔でベンチから立ち上がると千円札を受け取り、ふらふらと公園の出口へ向かって歩き出した。
「安田もついて行ってあげてくれる?」
丸山の後姿を心配そうに眺めていた安田は、国分からそう声をかけられると、コクリとうなずいてすぐに追いかけていった。
そんな二人の後姿を眺めてから大倉を見上げると、こちらはもの分かりがいいのか、短く息を吐き出すと観念したように国分の隣に腰をかけた。国分は、話をどう切り出そうか考えたが、以外にも大倉が先に口を開いた。
「丸、あいつひがんでばっかりなんです。」
先程の関西弁が嘘のように、大倉はさらりとそう言った。
「何に対してひがんでいるんだろう?」
「…簡潔に言えば、全部。」
全部。そう言った大倉は、今度は大きくため息を吐いた。
「誰だって自信なんてないですよね?誰かに認めてもらいたいから一生懸命頑張るんだ。」
大倉は、街灯の明かりで暗くはなりきれていない空に浮かぶ雲の先に見えるはずの星を睨むように見上げている。その横顔にうっとりしてしまう女子も少なくはないだろうなと国分は思う。
「そうだな、俺もいまだに懸命に頑張っている。」
国分は思ったままの気持ちを口にしたが、以外にも大倉は大きな口から歯をのぞかせて笑った。
「先生もまだ頑張ってる途中なん?」
関西弁になったところをみると、どうやら張りつめていた緊張はほぐれたようだ。大倉は先程の二人が消えた先を振り向き、国分とまた目を合わせるともう一度ニコリと笑いベンチから立ち上がった。国分も身体をひねってその道へ目を向けるが、二人が戻ってくる気配はまだない。
「俺だと追い詰めちゃうんで、丸の話、聞いてもらえると助かります。」
大倉はそういうと、お辞儀のかわりだろう、目を軽くふせて口の端をキッと結んだ。
「もちろん。顧問として、生徒の話を聞くのは私の務めである。」
国分がフンっと鼻を鳴らして胸を張って見せると、大倉は笑顔のまま「はい」と言った。その返事がなんとも若々しくて、国分は痛快な気分になった。きっと大倉はいつでも辛いと思う道を選び続けるタイプなのだろう。いつか何かに詰まる日が来たのなら、今感じた気持ちをそのまま伝えてやろうと国分は思った。大倉が相談に来るだけの先生に自分がなれるかは分からないが…。
ベンチから立ち上がっていた大倉が軽く手を上げて誰かに合図を送っている。どうやら二人が帰って来たようで、先程と同じように振り向くと少し先に安田の姿が見え、丸山はその後ろをトボトボと歩いていた。安田は二人と目が合うと、嬉しそうに空いた方の手をぶんぶんと振って軽くかけて戻って来た。
「先生はお茶でイイですか?」
小さく息を切らしながらそう言うと、麦茶のようなボトルと緑茶のようなボトルを国分の前に並べた。国分が「じゃあ緑茶」と言ってボトルを掴むと安田は嬉しそうに笑い、空いた手で肘に挟んでいたC○レモンを器用に掴むと大倉に「はい」と言って渡した。丸山は三歩ほど離れたところにつっ立ったまま、所在なさげにだらりと下げた両腕を右に左に身体と一緒に揺れている。その右手には三○矢サイダーが握られていた。
「じゃ、先生、そういう事で、さようなら。」
大倉はぺこりと頭を下げると「あ、ごちそうさまです。」とペットボトルをこちらに見せるように持ち上げ、反対の手に持っていたカバンを肩に担ぐと、二人が帰って着た方向に歩き出していった。
丸山の横を抜ける時ちらりとだけ首を向けたが、特に声をかける事もなく、出された歩調のままに大倉は行ってしまった。安田だけが大倉の後姿とこちらの様子を何となく気にしていたので、反射的に「安田、大倉を宜しく。」そう伝えると、安田は丸山の顔を一度見上げ決心したように「分かりました」と言うと、後ろ姿の見えなくなった大倉を走って追いかけた。少し行ったところで安田は振り向くと「先生、丸、また明日。」と大きな声で言った。
夏が終わり、日が沈むのも早くなった9月の公園は、たまに犬の散歩をする人が通るくらいで、国分と丸山を怪訝そうに見る目はなかった。ただ丸山は制服だから、あまり夜遅くに返すのはさすがにまずい。さて何て話そう…国分はぼんやりと草の間をなめるように走る車のライトを眺めた。車道を横切る車の音とライトだけがやけにリアルに聞こえて、気をそらすといつまでも黙ったまま時間が過ぎてしまう事は目に見えていた。丸山の不安はなんだろう?そう思ったと同時に、それは口をついていた。
「不安な事ってなんであんなに次から次へと襲ってくるんだろうね?」
国分はつい愚痴をこぼすように話し始めてしまった自分に少し笑いながら、それでも言葉を続けた。
「まさか、コンサートホールから「取りやめてもらえますか?」なんて言われると思ってなかったよ。相手が申し訳なさそうに何度も言うんだ「すみません、誠に申し訳ない」って。」
学校にいないからか、どうやら先生という皮を脱いでしまっていたようで、その間をつくうようにペットボトルの蓋を開けてお茶を一口飲んだ。喉を流れる冷たい感覚が熱をおび始めようとしていた躰を元の場所に戻してくれた。そういえば、日本の自動販売機は最後の一本になったら売り切れサインが出るようになっているらしい。なぜなら、次に補充した時に初めの一本は必ず冷えているようにという配慮らしい。きっとホットも同様なのだろう。そんなことにまで気を遣うのはこの国くらいだろう。逆をいえば、買ったのに冷えていなかったら憤慨するような人種なのかもしれない。「どうして私だけ冷えた飲み物が買えなかったの?」と。どうして私だけ…。
「何か力になれたらイイんですけれど…。」
ぼそりとそう言うと、丸山は肩を丸めるように小さくなってしまった。この生徒は優しいのだ。自分の力量を判断して足りないと決めつけているのかもしれないが、丸山は十分に良くやっている。先輩からも後輩からもあんなに暖かく見守られるムードメーカーには誰かれなれるものではない。なのにまだ足りないと現状に満足していないのか、理想を高く設定しているのだろう。高いにこしたことはないが、高すぎる壁は越えるのに時間がかかる。それだけ時間をかけすぎるとマイナスで己を痛めるか守るか、そこまで考えて先程大倉の言った「ひがんでいる。」という言葉が頭をよぎった。それはどっちなのだろう?自分に向けて物事を曲げているのか、物事を曲げる事で状態を保っているのか。
「でも、僕、実は…ちょっと安心しちゃったんです。あ、やらないんだ、良かった。って。」
ぽつりと話し始めた丸山は下唇を噛みしめながらつい先ほど起こっただであろう場面振り返るように空ろな目をしていた。
「だって、ユーフォで手がいっぱいなのに、さらにベースもやれって、半ば何か強引な感じでポンポン話が進んじゃって。」申し訳なさそうに小さくなった丸山は、ちらりとだけ国分に目線を送り、目が合うと隠し事をする子供のように素早く顔を下げてしまった。
「亮ちゃん」その声はとても小さくて、国分はしかっりと聞き取れた自信がなかったので「うん?」と聞き返した。すると躰を起こして国分を睨むような、泣きそうなのを我慢するような顔で大きく呼吸を何度かすると「亮ちゃんは、いつも強引に、強い口調で、みんなを束ねていくんです。」
突然のカミングアウトで国分は処理に時間を取られてしまった。これは、文句なのか称賛なのか、軽んじた返答をしてはいけないと身を構えた。
「でもそれって、才能がある人の特権じゃないですか?同じラインを凡人に求めないで欲しい!」
丸山はそれが言いたかったのだと言わんばかりに右手の拳で右の腿を叩いた。明らかに興奮しているのが分かったので国分もひとつ呼吸をすると、捲し立てる丸山とは対照的にゆっくりと 「そっか、錦戸はどんな風な要求をするの?」と質問をしてきた。
「それは、個人練習を積めとか、周りの音を聴けとか、ユーフォの音がふわぁんふわぁんとか、なのにベースやれるんやね!宜しく‼とかあの笑顔で頼まれたら断れないじゃないですかぁ…」
「おぉ」国分は賛同したつもりでそう言ったわけではないが、「亮ちゃんって、そういう奴ですよね?」と人差し指を立てると「あ、あと唐揚げ食べるか?って聞かれたから、一個ちょうだいっていったら、取りに来い!とか言うんですよぉ。もうズルいでしょ、イケメンでツンデレって。それで最優秀賞とか受賞しちゃう才能もあって、いや、努力してるのはもちろん分かっていますよ。ただ、元が違いすぎる!器用な人はちょちょっと出来ちゃう事も、不器用な俺からすれば、んもー時間と体力のいることには変わりないんだ!!」
眉根にしわを寄せていたが、まんざらでもないのか丸山は「むふふ」と笑った。
「で、なんの話だっけ?」国分は逸れ出し始めた話を元に戻すと「要するに、丸山は出来ない要求をしてくれるな、と。自分が出来るからってホイホイ簡単に言うな、と?錦戸に言いたい?」確信を突いたつもりはないが、丸山はバツの悪そうな顔をしながらもコクリと首を縦に振った。
「まず。出来ないならハッキリ断った方がイイ。この先、それこそ大人の世界になったらなおさら理不尽で厄介なことばかりだ。今から゙断る゙ということも身に着ける事は悪くない。」
丸山は頭ごなしに叱られるとでも思っていたのか、意外だとばかりに国分を見つめていた。「でも、」そこで言葉を切ると、丸山はいよいよかとばかりに両の拳に力を入れて背筋を伸ばした。
「出来ると信じているからそう言っているんだと思うよ。」
「へっ?」身構えていた丸山は口をポカンと開けたまま動かなくなってしまった。
「錦戸って器用だからすんごい広い範囲まで色んなものが見えちゃうの。でさ、見えたけれど、まいいかってならないのよ。見えちゃった以上他人が求めている事をこなしくるし、そのために努力も惜しまない。」
丸山は首をゆっくり縦に振りながら「そうやと思います、はい。」と答えた。きっと『努力を惜しまない』というフレーズに引っ張られているのかもしれない。
「だからか、小さい頃はよく揉めてたよ。」そこで思わず昔を思い出して笑ってしまうと、丸山が「意見が食い違うとか、そういう事でですか?」としごく真面目な顔で尋ねるものだから、国分は口元が緩むのを感じた。
「なんせ、錦戸の見つめる先には、あの神童すばるが居たからね。あんな風にならなあかんねん!なんて小学生のなんちゃって音楽団の中で声を大にしたところで、誰も分かった何て言わないよ。すばるの凄さはさ、小学生でも肌で感じるくらいいわゆる恐いモノだったんだ。」
「渋谷先輩には、何て言うか恋しちゃうそんな感じあります。」
ケロッと答えたその言葉は国分以外の教師が聞いたらまず変な方向に捕らえかねない発言であるが、言葉足らずなりにもごもっともな事を彼は答えている。国分はふむふむと反応を示すと、「あ、変な意味じゃないですよ。」と少し顔を赤くしてしまった。
「分かるよ。でね、錦戸も年を重ねるごとにきっと色々な経験を経て少しずつ折り合いを見つけるようになったんだ。殻にこもるようになってた時期もあると思う。持って生まれたイケメンだから、周りからはクールなんて言われていたいかもしれないけれど、あいつはあいつで凄く葛藤している。」
「はい。」丸山は聞き漏らさないようにと、解釈にとまどっているのかもしれない。国分はシンプルに「こいつなら出来るって奴にはとことん甘えちゃう性格なんだよ、錦戸は。」そう言うと、国分はそっと丸山の背中に手を乗せゆっくりさすってやった。その感覚に驚いて丸まり始めていた背筋を起こすと、今度は逸らすことなく国分を見つめた。ただその瞳は、責任に押しつぶされそうな気の優しい青年の戸惑いをおびた眼だった。人のせいにも、世間のせいにしているわけでもない。ただ、誰かの為になりたい。それは人間のもっともシンプルな生きる理由である。必要とされることに人はどれだけ力をもらえることか、国分も十分に理解している。
「日本はさ、右向け右で詰め込み教育を善しとしているけれど、それはただいう事を聞くだけのロボットを作りたいのかね。」
何かに心を奪われていたのだろう。空ろに揺れていた瞳は、突然に変わった議題を身体が受け止めきれていない結果、右往左往と絵に描いたように迷子になっていた。「え、え、え?」と壊れたカセットテープのように丸山は爪のかからない歯車をぐいぐいと回していた。
「ごめんごめん、いやさ、俺の昔の仲間が最近も言ってたんだ。そっちに自由はあるか?って、個人がイマジネーションを爆発させる場はあるかい?って。」
それは、国分が若い頃にデビューを本気で考えたバンドのメンバーの一人の言葉だった。
出会いは正直覚えていない。自分よりも年下だったはずの彼は、紹介の紹介をかいして大学のサークルの輪の中にいつの間にか入っていた。といっても課題の多い音大の劣等生が集まるようなサークルで、彼はいつもその大きな身体と豪快な笑顔で場を明るくしていた。いつも金がなく、腹が減ったと野良犬のような足取りでふらふらと現れたと思ったら、人の心配なども気にせずまたどこかに行ってしまう。そんな細身からは想像も出来ないほどの太くて力強い歌声は、どこか昭和臭ささえ感じさせてくれた。
その彼から一本の八㎜ビデオテープが届いたのは、八幡高校の教職について最初の学期末テストに悩んでいた時だ。懐かしい不器用な文字と、どこか遠い国の空の絵葉書は今も音楽準備室に貼ってある。今はそれが四枚目になったところだ。もしかしたら、この風景も彼が撮っているのかもしれない。絶妙にピントを合わせずにぼんやりと光が滲むその景色は、国分の心を底から掻きまわすという妙に心地の良い幻想へいざなってくれる。その時作っていたテストの最後の問題を書き換えたのは、彼のスピリットに刺激された事は大きい。賛否は分かれているが、国分はその問題を毎年一学期に出題し続けている。その問題とは、ある曲を聴いて、感想なり解説なりの何かが書いてさえいれば丸を付けるという単純なものだった。その時、同時に思い出したのは国分が中学生の時、国語のテストでおぼろ月夜について述べる問題があり、中途半端に三角の採点を貰ったのも根に持っているかもしれない。国分の回答をみたクラスの秀才は言った「そんな個人の意見を交えた答えは良くないなぁ。あの先生が欲している正解を書いておけば点数は採れるんだ。国語何てそんなもんだよ。」そういってそいつは国分の背中を叩いた。教師になった今なら当時先生が採点に何かしら基準を作っていただろう事は分かるが、その同級生の言葉は「何かを表現する事への恐れ」を国分に植え付けるには十分だった。それと同時に、気持ちを押し殺すいい子ちゃんにはなりたくないと思った事と、そうしないとこれからも点数が取れないのかもしれないというジレンマがしばらく頭に住み着いた。
「そいつは、もう何年も前からたぶん海外で暮らしているんだ。今は多分ドイツかオランダにいる。凄いよね。日本語でもこんなにコミュニケーションに困っているのにさ、そいつは「伝えたいって思いがあれば、言葉なんていらない。気持ちは分かりあえるんだ」って言うんだよ。それが本当かは、日本以外で働いた事の無い俺には分からないけれど、そいつが言うとそうかもしれないって思っちゃうから困ったもんだよ。」国分はそこで言葉を切って、吸い込んだ空気をはぁと音を立てて吐き出した。もう秋が来ていたようで、その息は薄く白い姿で空中に舞った。あぁ、早く話を切り上げて丸山を自宅に帰さなければ、こんな所を誰かに目撃されて学校に連絡でもされたら、柄にもなく報告書を提出しなくてはならなくなってしまう。相変わらず、俺は型に収まった世界に生きているよ、長瀬。風神の長瀬は今、どんな世界を見ているんだい?また、君からのおすそ分けを待っているよ。
「丸山、続きはお前の家に向かいながら話そうか?」
国分はベンチから勢いよく立ち上がったつもりでいたが、その腰はすでに固まり出していて、よっこいしょと声が漏れた事に少し落ち込んでしまった。
「先生、もうおっさんじゃないですかぁ。」
瞬間的におもちゃを見つけた子供の様に丸山は大きな声ではしゃいだ。ただ、その声が大きかったという自覚はあったのか、咄嗟に口を両手で覆って周りを伺った辺りが彼の年齢を表している。
「おぉ!?お前、言ったなぁ。覚えとけよ、俺には風神雷神が付いてるんだからなぁ。」
「えぇ?どういう事ですかぁ?」丸山はまたニヤニヤと笑った。
どうやら少しは元気になったようである。
「お前も、友達の事をもっと知らなきゃいかんな。」そういって丸山の肩に手を掛けてみたが、思った以上に大きくてその手は丸山の肩甲骨を叩いて終わった。
国分と丸山は街灯が眩しい夜道を並んで帰る事にした。
