妄想吹奏楽部 (連載その2) | 好きなコードはEadd9

好きなコードはEadd9

錦戸亮
デビュー後の兄組通りました
(今はストとトラジャを応援)
そして
7→6の関ジャニ∞の記録

本日2個目です。

 

 

 

以前アップした、

妄想吹奏楽部の続きです。

妄想吹奏楽部 (連載その1)

 

 

こちらがその「まとめサイト」です。

キャラクター設定、

各人の担当楽器、

演奏会でどの楽曲を演奏するかまで、細かく妄想が進んでおります(笑)


 

 

 

フランスにいらっしゃるMさんの原稿をお預かりして、私がブログにアップさせていただくことになっております。

 

 

 

 

 

 

 

では、

続きです。

 

 

 

 

@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@

 

 

プロ∞ペラ

 

 

「ファイト、ファイト、ファイト、ファイトォー。」

 四月も終わるこの季節、朝は少し肌寒かった。そんな寒さを跳ね返すように丸山隆平は声を張って走っている。

 火・木・土の朝だけ体力作りのロードワークを全部員で行っている。基本的にはランニング5km、その後に腹筋運動と腹式呼吸の強化である。

 体が温まるまでゆっくり走る者もいれば、5km以上走れる人は各自のスピードで走っていた。

 校庭は土を固めて砂利を引いた作りなので砂埃が少し気になるが、部員たちは雲の間から薄ら差し込む太陽に、眠気をかみ殺しながら淡々と走っていた。副部長の信五はランニングが得意だが、今は最近入った新入部員に付いて盛り立てるようにゆっくり走っていた。

 「体調が悪かったら言えよ!無理せんでエエからなぁ‼」

 別に体育系の部活ではないから強制はさせていないけれど、楽器を扱い始めたばかりの頃、吹き疲れをしていた信五はこのロードワークをバカにしてはいけないと一番思っていた。

 横山や渋谷のように小さい頃から音楽スクールに通っていた者は、中学生になると当たり前のように楽器を吹きこなしていたから、幼馴染の二人との差を埋める為にも信五は身体を鍛える事を日課にした。

 もともとサッカーをしていたので運動は得意であるが、腹式呼吸を心がけるのには苦労したものだ。そういえば、ひとつ年下の錦戸も渋谷に引っ付くようにいつの間にかサックスを始めていたなぁと小さくてあどけなかった錦戸の幼い頃を思い出し、今はこの新入生の団体より少し先を大倉と並んで走る姿に重ねたが、もうそれが当てはまらないほど大きく凛々しくなっていた。

 「すばるくん、すばるくん。」そうやって渋谷の後をついて回っていたのに、中学三年生の時には全国ソロコンテストの中学生部門で金賞を獲得している。いろんな高校から声がかかったはずなのに、今ここに居るのはやっぱり渋谷が居るからだろう、彼はそれで良いのだろうか?信五は理解できるような出来ないような複雑な想いに疑問を感じていた。

 一方渋谷は、小学校の高学年に上がる頃にはフルート奏者の頭角を現し、神童と周りから一目も二目も置かれていた。大人から進められて出る大会では毎回金賞と特別賞をかっさらい、市の楽団からスカウトがかかるほどの腕前だったのに、当の本人がそういった賞レースに関心がなく、中学に上がるとそういったモノを拒みはしないものの、何かの恒例行事だと思っているかのような節が見えた。

 目立つことの好きな信五は羨ましくも思ったが、何となく持てはやされる渋谷の気持ちも分からなくはなかったので、そういった話は触れないように付き合っていた。

ただ思うに、横山はどんな気持ちでそんなすばると接していたのだろうか。他人の気持ちに関心は向けるものではないけれど、いつも近くで楽器と一緒にすばると付き合っていた横山が、たまに複雑な想いを抱えているのでは?と信五は感じていた。

 この団体の先頭には部長の横山と、その横に引っ付きながら時に後ろ向きで後方の新入生を励ます丸山が並走している。

 「一年生頑張れぇ~こんなの何てことないぞぉ。」

 丸山は額から大量の汗を流しながらも持ち前の笑顔でニコニコと走りながら言った。

 「何てことないなら、もっと先走ってエエよ。」

 横山がへらへらする丸山を先にうながすが、声をかけられて嬉しくなったのか、丸山が覗きこむように横山の顔を見つめた。何がそんなに可笑しいのか、横山は笑をこらえるように顔をそむけながら、

 「こっち見んと、ちゃんと走りぃよ。」

 と丸山の顔を自分から遠ざけるように引きはがしていた。

 丸山が顔を傾けながら顎をしゃくる姿が気持悪いと感じた時には

 「マル!ちゃんと走れアホ!」

と、信五は言っていた。

 怒鳴ったつもりはないが、丸山は叱られた犬の用にドキリとすると、少し肩を丸めて信五の視界に入らないようにコソコソと走るようになった。部内でも大柄な奴がいったい何をやっているのだかとにやりと笑ってしまった。

 あの男は厄介な奴だ。それをとても良い意味として信五は思っていた。

 

 

 信五が二年生になった時、吹奏楽の経験などない丸山が安田と大倉の後ろについて音楽室にやって来た日。

 鍛えがいのありそうな奴が目に飛び込んできた上に経験がないと聞き信五はわくわくした事をよく覚えていた。

 三人は中学時代にスリーピースでバンドを組んでいたらしく、軽音楽部への入部を考えたが、ぜひ金管や木管も勉強したいと安田が無駄に情熱的だったのが印象に残っている。

 丸山は初めて入る音楽室をきょろきょろと見回して、壁に掛かる音楽家の肖像画を指でさしては大倉と笑いあっていた。

 「何の楽器に興味がある?」

 当時の部長が尋ねると、間髪を入れずに安田がキラキラした目で「フルートを。」と言っていた。そういえば安田は今ではクラリネットを器用に演奏しているが、どうしてそうなったのだろう?走りながらそんな疑問が浮かんだが、今クラリネットがしっくりきているのだから考えても時間の無駄だと、その疑問はグランドの隅に消えて行った。

 信五は無駄が嫌いである。現実的に物事を考えれば済むことに、「でも」や「やっぱり」の必要性を微塵も感じない。常にイエスかノーか、楽しいか楽しくないか。そうやって彼は生きている。でも、もしかしたらホルンを選んだ時はそうではなかったかもしれない。グループの一番後ろをひっそりと足を引きずるように走る渋谷の様子を伺いながらぼんやり考えた。

 そういえば、丸山にチューバを進めたのは渋谷であったなと信五は当時を思い出す。

 ホルンを丸山に持たせて演奏させようと思ったが、音など出るはずもなくゲラゲラ笑いながら

 「俺も最初はそうだったけれど、コツさえ掴めれば音は出るでっ!」

 と盛り上がっていた所に現れた渋谷が

 「何かチューバっぽい。」

とボソりと呟き、部長が

 「あぁ、似合いそうねぇ、しっくり感を感じる。」

なるほどなるほどと頷いていると

 「え?キューバ?」

丸山がボケをかました____当時はボケたと思っていたが、今思うとただ単に聞き間違えをしただけのアホな奴____のである。その時信五は反射的に丸山を思いっきりドついた。

 「後輩ドついたらアカンよ。」

 部長に言われたが、後にも先にも新入生をいきなりドついたのは丸山だけだった。

 「大倉くんはトロンボーンっぽいね?」

 と女子部員が提案した。その時やたらと黄色い声が上がっていたのも信五は覚えている。部長の堂本君と並んでトロンボーン吹いて欲しい何て雌どもがきゃっきゃ言いやがって・・・。ただ、すらりと背の高い大倉は、スライドを操るにはぴったりとハマり、そんな大倉の姿を見た女子からの強い勧めもあってトロンボーンに納まった。

 同じく黄色い声を浴びていた錦戸は、そんな声に耳も貸さずに「テナーサックスで。」と自前の楽器を持ち込んだ。

 気が付けばもうまた一年過ぎている。陽が少しずつ顔を出し始めた朝の空気は、ゆっくりと彼らの道を照らし始めていた。

 

 

 

 

続く。