今回より英語版「大逆転裁判2」第3話の解説です。

■第3話 未来科学と亡霊の帰還:Episode 3 The Return of the Great Departed Soul



タイトルは直訳で「偉大なる故人の魂の帰還」。
「The Return of」の部分は、短編集第3作「The Return of Sherlock Holmes(シャーロック・ホームズの帰還)」と対になっています。
日本語版タイトルにも「亡霊」とあり、英語版の「the Great Departed Soul(偉大なる故人の魂)」と同じ意味になっていますが、この亡霊を誰と取るのかはプレイヤー次第ではないでしょうか。このエピソードの最後に戻ってくるアイツと捉える方が多いかと思いますが、アイツの父親と考えてもいいでしょうし。
英語版の「Soul」を「精神」「心」と解釈すれば、倫敦に戻ってくる寿沙都さんだって当てはまるでしょう。‥‥日本語版だと無理がありますが。

■第3話 キャラクター名

この話から登場の新キャラのみ紹介。

・ベンジャミン・ドビンボー:Albert Harebrayne
harebrainedで「とっぴな、軽はずみな」の意味。
「髪がもじゃもじゃ」「ドイツ」「科学者」という共通点からアルベルト・アインシュタイン(Albert Einstein)のAlbertが名前につかわれたのかもしれない。
実際、「大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟- 公式原画集」には、ドビンボーの髪型について「いわゆるアインシュタイン系の爆発ヘア」というコメントがあります。
ドビンボーはイギリス人なので、Albertは「アルバート」と発音するのが普通。
(あくまでもカタカナ表記で。実際の発音はネットとかで探してください))

・エライダ・メニンゲン:Odie Asman
odious(憎むべき)+manか、dieとmanを引っ掛けた何かしらか。
余談になりますが、日本語版の名前は「えらい駄目人間」というダジャレです(ニンテンドードリーム2017年10月号でも巧舟氏が触れている)。
このイカしたネーミングは、ホームズ原作短編「A Scandal in Bohemia(ボヘミアの醜聞)」に出てくる架空の人物、スカンジナビア王女「Clotilde Lothman von Saxe-Meningen(クロティルド・ロトマン・フォン・ザクセ-メニンゲン)」から取られています。
ホームズ原作登場とはいえ、英語ではダジャレが全く通じないので変更になったのかもしれません。

なお、「Saxe-Meiningen」という名字は本当にあります。
「Meningen」じゃなくて「Meiningen」ですが。
私は原作ホームズの研究家でも何でもないので、原作の元ネタはわかりませんが、ここまでそっくりだと元ネタではないかな? って気がします。もし原作ホームズで「Saxe-Meiningen」という綴りそのままだったら、「ザクセ-マイニンゲン」という日本語表記になっていたでしょうから、「大逆転裁判」にて「えらい駄目人間」が生まれることもなかったはず。
‥‥それはそれで「トテモア・マイニンゲン」とか、意味不明な名前が生まれていたかもしれない。

・仮面の従者:Masked Man
英語版公式サイトで「Masked Apprentice」と紹介されていたのに、いざ人物ファイルを開いてみたら「Masked Man」(仮面の男)だった件。いや、確かに仮面してる男性だけどさ‥‥w
Apprentice:(昔の)徒弟、年季奉公人、初心者、実習生、練習生
セリフウィンドウの名前欄は「Apprentice」。「Masked Man」ではありません。

なお、この第3話にて再登場するジーナ(Gina)も刑事としては「見習い」のため、「apprentice」と呼ばれるシーンが時々あります。

・コネット・ローザイク:Esmeralda Tusspells
名字は蝋人形館で有名なマダム・タッソー館(Madame Tussauds)のタッソーとspell(呪文)を合体させたものか。見かけが魔女っぽいのでspell?
Esmeraldaは、エメラルドを意味するスペイン語およびポルトガル語、女性名。
開発ブログによれば、「フランス語スペルのEsméralda」を使いたかったものの、諸般の事情でボツになったそうです。
ローザイクは作中で語られている通り、三年前にフランスからイギリスへやってきたフランス人であるので、フランス人らしい綴りにしたかったのだと思います。

・ヴィルヘルム・ゴッツライヒ・ジギスモンド・オルムシュタイン:Wilhelm Gottsreich Sigismond Ormstein
ホームズ原作より。
「A Scandal in Bohemia(ボヘミアの醜聞)」では、ボヘミア王が身分を隠してホームズに依頼をしますが、このボヘミア王のフルネームが「Wilhelm Gottsreich Sigismond von Ormstein」で、ドイツ語読みを日本語で表記すると「ヴィルヘルム・ゴッツライヒ・ジギスモンド・フォン・オルムシュタイン」。
「大逆転裁判1」第4話でSholmesの部屋を初訪問した時、Susatoさんが「Wilhelm Gottsreich Sigismond von Ormstein」と原作通りの「von」ありの名前を出しているのですが、こっちの少年は日本語版同様に「von」が抜けています。
「フォン」が抜けた理由は「大逆転裁判1」第4話解説を。
名前欄は「Gotts」表記。

・ルンバ・マルマッチ:Balthazar Lune
バルーン、つまり風船の綴りが「balloon」。
bal(thazar)loon。

・イーノック・ドレッバー:Enoch Drebber
ホームズ原作「A Study in Scarlet (緋色の研究)」の登場人物そのまま。

・トビー:Toby
ホームズ原作長編第2作「The Sign of Four(四つの署名)」に登場する犬の名前がトビー(Toby)。

・コートニー・シス(サイモン):Courtney Sithe (Stevens)
scytheの古い表現がsithe。scytheは大鎌。西洋の死神が持っていることで有名な大きい鎌のことですが、実際は農具(魂の収穫者という意味で死神などが持つらしい)。
Courtneyは女性の人名ですが、そもそも元の日本語版が「コート(Court:法廷のこと)に死す」というダジャレネーミングだと思われ、英語版だと「コート(Court:法廷)の死神の大鎌」ということになり、怖さがアップ。
旧姓は「Stevens」。日本語版の「サイモン」から変更。
サイモンからStevensに変更になった理由ですが‥‥実は、「逆転裁判5」で初登場の夕神迅が、英語版にて「Simon Blackquill」という名前にローカライズされたんですね。
サブキャラならともかく(カオルと薫とかね)、ライバル検事と名前が被るとややこしいから変更になったのかなぁ、とか考えたのですが。あくまでも私の推測です。
イギリス人でSimonという姓はおかしいから変更、ということはないようです。イギリス人にもSimonさんは居ます。

・クリムト・バンジークス:Klint van Zieks
由来はよくわからない‥‥(そもそも日本語版の由来もわからない。画家のクリムトからかもしれないけど)
Klintに変更になったのは、「クリムト」がイギリス人の人名っぽくないからかもしれない。

■Investigation, Part 1(探偵【その1】)

探偵【その1】は二回に分けてお送りします。

A world first! A demonstration of my
super-high-voltage instantaneous kinesis machine!

『超電気式・瞬間移動技術』‥‥
世界で初めての実験であります!


super-high-voltage:超高電圧
instantaneous:瞬間
kinesis:運動

万国博覧会(The Great Exhibition)開催。
ベンジャミン・ドビンボーことAlbert Harebrayneの壮大なる実験より第3話開始です。
(科学者として理論に自信があったのなら、この時にメガネ外してくださいって言うべきだったよね、ドビンボー博士‥‥)

もちろん冒頭シーンは英語版もボイス付きです。
下動画でちらっと見られます↓

『大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒険と覚悟-』開発ブログ第3回 英語吹替 - YouTube



お聞きの通り、日本語版のボイス担当、山口勝平さんにあわせて、声が高めな声優さんが担当しておられます。
(英語版の声優さんは、Tom Allenby氏)
最後に装置が盛大に爆発し、ドビンボー(Harebrayne)が絶叫しますが、日本語版と英語版を同時に見てみると、(声の高さも含め)シンクロしていてちょっと笑えます。

証拠品「Great Exhibition Newspaper(倫敦(ロンドン)万博の新聞記事)」は、日本語版と英語版でちょっと違います。
(証拠品に新聞記事が出てくると、ほぼ間違いなく3DS版から変更されていたり、日本語版と違いがあるので、なめるように観察するようになってしまった‥‥)

日本語版:



英語版:



裏面の見出し、英語版は「The Reaper Attacked」
日本語版は「Death Bringer Attacked」
英語版の「死神」は「The Reaper」なので変更したのでしょう。Death Bringerは「死をもたらす者」

Iris
Ah, so you're a spader, are you, Runo?
What, you want to battle it out?
Ryunosuke
(Alright, I'm not going to argue with a native English
speaker...who has some kind of gun...)

アイリス
あ! アイリスは
《シャベル》派だから。
あたしと戦う? なるほどくん。
ナルホド
(ホンモノの英国人が出てきたら、
 戦いは“終わり”のような‥‥)


スコップ・ショベル論争、2の3話前半編。
Ryunosuke(ホンモノの英国人、しかも銃を持っている子と議論するつもりはないよ‥‥)

Stronghart
And furthermore, as of next month, we shall open the
International Forensic Science Symposium.

ヴォルテックス
そして‥‥それに合わせて、来月。
『国際科学捜査大討論会(シンポジウム)』が開催される。


「International(国際) Forensic Science(法科学) Symposium(シンポジウム)」。
だいたいそのままです。

Ryunosuke
Instantaneous kinesis?
As in...moving things with a click of the fingers?

ナルホド
しゅ。“しゅんかんいどう”‥‥?


Ryunosuke「瞬間移動? 指を鳴らすだけで物体が移動するような?」
それ、手品じゃね?

Stronghart
If I ware Her Majesty's Attorney General, you can be
sure...

ヴォルテックス
そもそも。大英帝国の《司法長官》が、
もし。この私であったならば。


「Her Majesty's Attorney General」はイギリスに実際にある役職で、直訳だと「女王陛下の法務長官」。13世紀から現在まで存在しています。イギリスのAttorney Generalは王の法的助言者としての意味もあり、イギリスという国において国王(女王)の存在がいかに重要かというのがわかると思います。
法務長官 (イギリス) - Wikipedia
日本語版でもこれくらい「女王陛下の○○」的な雰囲気を押し出していてくれれば、2の5話のラストで「唐突に出てきた感」が少なくなったんじゃないかなぁ‥‥と思うんですけどね。

Stronghart
Van Zieks may have earnt himself the moniker of the
Reaper, but he is no killer.
So he will continue to prosecute on behalf of the Crown.

ヴォルテックス
バンジークス卿は《死神》だが、
決して《殺人鬼》ではない。
だから。私は彼を検事として、
大法廷に立たせている。


Stronghart「だから。彼はこれからも女王陛下の代理として、犯罪者を起訴しつづけるだろう。(So he will continue to prosecute on behalf of the Crown.)」
「the Crown」は王冠、そこから「女王陛下」のことです。
ここでも「女王陛下の○○」が出てきていますね。

Ryunosuke
(That hooded figure was so still, I hadn't noticed his or her
presence. I wonder who it is...?)

ナルホド
(完全に気配を消していた。
 ‥‥何者だろう)


Prosecutor's Office(検事執務室)へとやってきて、アイツとの邂逅。
Ryunosuke(あのフードを被った人、身じろぎひとつしないから存在に気づかなかった。何者だろう‥‥)

Van Zieks
......
I can understand, at least...
...there's merit in reminding yourself of who helped you
become what you are today.

バンジークス
‥‥‥‥‥‥
しかし。
おのれの“立脚点”を忘れぬため、
身につけることには、意味がある。


本作の「勲章」の項目に加わったので、ここで証拠品「腕章」をつきつけた方は多いと思います。
Van Zieks「少なくとも‥‥今のおのれを支えてくれた者のことを忘れぬよう心がけるのは、悪いことではなかろう」
ちょっと日本語版とはニュアンスが違う感じだけど、これはこれでいいですね。

Iris
Perhaps he made it take his mind off the sadness of
being too busy to attend in person?
Ryunosuke
Or perhaps he's too embarrassed to queue up for a ticket.
Van Zieks
Surely it's obvious that I'm using it as an investigative aid!

アイリス
忙しくて、万博に行けないさみしさを、
コレでまぎらわせてるのかな。
ナルホド
それとも、行列に並ぶのが恥ずかしくて、
行きたくとも行けないのかもしれない。
バンジークス
‥‥どう考えても、今回の事件を
検討するために決まっているだろう!


ここのやりとりは楽しいですね。4話以降の重苦しさを思えば、3話の探偵パートが最後のほのぼのタイムであるかもしれない。
英語版の意味合いは日本語版とほぼ同じですが、龍ノ介のセリフが
「それとも、チケットの行列に並ぶのが恥ずかしいのかもしれない。」
になっています。そうか、まずチケットを買わないと入れなかったのか。
階級別の入場料 | 第1部 1900年までに開催された博覧会 | 博覧会―近代技術の展示場
こちらによると実在の1851年開催のロンドン万国博覧会の入場料は月曜日から木曜日は1シリング、金曜日は2シリング半、土曜日は5シリングだったそうです。
以前、「1ペニーが現在の約100円」説を紹介しましたが、それで計算すると、1シリング≒1,200円。博物館や動物園の入場料みたいなものだと思えば、妥当な金額でしょうか。

Van Zieks
He's a contemporary of mine.
We were at university together.
(中略)
After graduating from the University of London, he
moved to Germany to carry out research, that's all.

バンジークス
倫敦(ロンドン)大学時代の‥‥
私の同級生だ。
(中略)
倫敦(ロンドン)大学を卒業してから、
研究のために独逸(ドイツ)へ渡ったのだ。


日本語版も英語版も、「University of London(ロンドン大学)」出身ということになっています。
ロンドン大学(University of London)は実在していて、1836年に設立されています。
ロンドン大学 - Wikipedia
ロンドン大学はカレッジ制の連合大学で、19世紀末に加盟していた大学はキングス・カレッジ・ロンドンやユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンなど。現実世界と同じなのであれば、バンジークス(と、ドビンボー)はこのどちらかで学んでいたのかもしれません。実際、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンには19世紀末にはLaw(法学部)、Science(科学部)があったようです(英語版Wikipediaより)。
余談。実在の夏目漱石が明治政府から派遣された先はユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンであり、英文学の授業を聴講したことがあるそうです(だが、授業料を払って聞く価値はない、と聴講をやめてもいる)。

余談の余談というか個人的な感想‥‥バンジークス家は貴族だということがわかるのもこの第3話です。イギリスで貴族階級が出る学校となると、19世紀も現代もオックスフォード大学かケンブリッジ大学か、というイメージがありますが、バンジークス卿はどちらの大学にも通っていなかったようです。そもそも大逆転裁判世界はフィクションなのでそこらへんの学歴事情は現実とは異なるかもしれませんが。

Van Zieks
I'm a Crown prosecutor and a mortal like any other.
I'm no demigod.

バンジークス
私は検事であり、ただの人間だ。
あらゆる意味で“神”ではない。


「Crown prosecutor」は、英連邦王国の地域(イギリス及び、オーストラリアやニュージーランド、カナダなど)で用いられている、検事の称号のこと。これもいわば「女王陛下の検察官」の意味になるのかな。
Crown prosecutor - Wikipedia
「demigod」はそのままだと「半分(demi)が神(god)」、「半神半人」。そこから「神格化された英雄」などの意味にもなります。

Harebrayne
ARE YOU GOING TO DEFEND MY HYPOTHESIS?!

ドビンボー
ワタシの理論を
弁護してくれるのですかッ!


ベンジャミン・ドビンボー博士こと、Albert Harebrayne登場。いきなり大文字で叫ばれます。
ドイツに渡って研究をしていたという設定ですが、だからといってドイツ語を織り交ぜて喋ってきたりしません。私も安心。w
(後々で他のドイツ語キャラが登場します)
なお、胸の名札は日本語版・英語版で文字が違います。
牢屋に居ると鉄格子がジャマ(名札が一部隠れてしまう)なので、他のシーンでスクショを撮っています。



日本語版だと「Benjamin Dobinbough(※公式原画集による綴り)」、英語版だと「Albert Harebrayne」と書かれているはず‥‥なのですが、正直、頭文字以外は意味不明ですがな。w

Harebrayne
Ah, yes, it's newly established here in Britain.
The Special Dispensation for Scientific Equipment Act.

ドビンボー
‥‥ハイ。この国の新しい制度
《科学技術保護特例》だそうです。


科学技術保護特例:The Special Dispensation for Scientific Equipment Act
「The Special Dispensation(特別制度) for(~のための) Scientific(科学) Equipment(機器) Act(法令)」ですね。
条例名が長いので、これだけでセリフウィンドウ一列を占めてしまいます。

Harebrayne
He said he wanted to invest in my immaculate hypothesis.
I thanked my lucky stars!

ドビンボー
ワタシのカンペキな《理論》に
《投資》したいと! おほォ神よッ!


thank one's (lucky) stars:幸運に感謝する
昔、「星々が正しい配置にあると幸運がおとずれる」と信じられていたことが由来らしい。

Ryunosuke
I'm talking about the cold-hearted, merciless prosecutor
Barok van Zieks...
What was he like when he was at university?

ナルホド
冷酷な“新人弁護士イジメ”で
おなじみのバンジークス検事ですけど‥‥
さて。どんなヒトでしたか?


Ryunosuke「冷酷で情け容赦のないBarok van Zieks検事についてですけど、大学時代はどんなヒトでしたか?」
『新人弁護士イジメ』のくだりが変更になりましたね。別に龍ノ介は新人だからいびられているワケじゃないし。

Harebrayne
When I went to live in Germany after I graduated, I
learnt something very important.
Nationality, class, lineage...none of that matters. As long as
you try your hardest, you can achieve anything.

ドビンボー
大学を卒業して、独逸(ドイツ)に渡って
わかったことがあります。
“生まれ”や“国”など、関係ない。
全力で闘う者が、大きな仕事をすると!


Harebrayne「大学卒業後、独逸(ドイツ)に移住してから、大切なことを学びました。
国籍、階級、血統‥‥どれも重要ではありません。一生懸命頑張れば、何でも達成できるのだと。」
このセリフ、「あのキャラやあのキャラに聞かせてやりたい‥‥」と思った方は多いのではないでしょうか。陪審員とか、陪審員とか、陪審員とか。w

ということで、今回はここまで。
次回、万博会場へ。

次 探偵【その1】(2)



英語版「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」解説

・英語版「大逆転裁判1」解説はこちら

・Escapades(番外編 ランドストマガジン)解説へ

■大逆転裁判2

○Episode 1 The Adventure of the Blossoming Attorney(第1話 弁護少女の覚醒と冒險)

1.法廷【その1】
2.法廷【その2】

○Episode 2 The Memoirs of Clouded Kokoro(第2話 吾輩と霧の夜の回想)

1.探偵【その1】~探偵【その2】
2.法廷【その1】
3.探偵【その3】
4.法廷【その2】
5.法廷【その3】

○Episode 3 The Return of the Great Departed Soul(第3話 未来科学と亡霊の帰還)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】(1)
 探偵【その2】(2)
5.法廷【その3】
6.法廷【その4】

○Episode 4 Twisted Karma and His Last Bow(第4話 ねじれた男と最後の挨拶)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】

○Final Chapter The Resolve of Ryunosuke Naruhodo(最終章 成歩堂龍ノ介の覺悟)

1.法廷【その1】
2.探偵【その1】
3.法廷【その2】
4.法廷【その3】
5.終幕
第2話クライマックス。
ビリジアン・グリーンこと、Olive Greenが法廷に登場です。

■Trial, Part 3(法廷【その3】)

Soseki
ARGH!
HERR LOCK SHOLMES!
May you drink my tepid tea and fall forever silent!

ソーセキ
うおおおおおおおおッ!
アノシャーロック・ホームズ!
貴様‥‥我が紅茶を飲んで、
永遠に黙りこくるがいいッ!


相変わらずの「Herr Lock Sholmes」呼ばわり。
英語版だと「吾輩の生ぬるい紅茶を飲んで、永遠に黙りこくるがいいッ!(May you drink my tepid tea and fall forever silent!)」となっていて、「茶は熱いうちに飲め」と対照的になっています。

Shamspeare
Verily, I know not thy prickly, pea-pigmented personage.

ペテンシー
このペテンシー。ミドリでふくよかな
淑女(レディ)に、知り合いはございません‥‥


prickly:怒りっぽい、やっかいな
pea-pigmented:pea(豆)っぽい色の
personage:登場人物
「prickly, pea-pigmented personage」で見事に「P」で韻を踏んでいます。
シェークスピア役者くずれは伊達じゃない。

Green
That's, that's right! I happen to like the crumbling look of that part of town.
Susato
Perhaps 'quaint' would have been a less...grating term...

ビリジアン
そ‥‥そうなんです! あたし‥‥
ああいう、しなびた感じが大好きで!
スサト
“ひなびた”と言ったほうが
カドが立たないかと思われますが‥‥


crumble:もろく崩れる
quaint:古風で趣のある
「crumbling」だと「ボロい」とかのちょっと悪いイメージになるので、「quaint」の方がカドが立たないでしょう、とSusatoさんは言っているわけです。

Shamspeare
'To be, or not to be, that is the question...'
...Ah, pray, forgive me. The great bard's words springeth
from within me with ne'er a thought.
Ryunosuke
(Don't tell me... It because you're possessed by
Shakespeare's spirit, right?)

ペテンシー
“生きるべきか、死ぬべきか。
 それが問題なのだ‥‥”‥‥
ああ‥‥失礼。思わず
シェークスピアが出てしまいました。
ナルホド
(‥‥“思わず”で
 それが出てくるか‥‥)


Shamspeare「“生きるべきか、死ぬべきか。それが問題なのだ‥‥”おお、許してください。偉大なる詩人の言葉は、ワタシの中から自然と湧き出てくるものなのです。」
Ryunosuke(まさか、シェークスピアの魂がとりついている、なんて言うつもりじゃ‥‥?)
‥‥そんなワケないでしょ。w

Shamspeare
You did wha—Sorry— Thou hast WHAT?!
You broke—I mean— Thou were in MY ROOM?!

ペテンシー
おい、オマ‥‥いや、そなた!
オレ‥‥いや、このワタシの部屋に!


一人称や二人称の種類が豊富な日本語に対して、現代英語は基本的に一人称単数が「I」、二人称単数が「you」しかないので、一人称や二人称を変えて個性を出したり雰囲気を出したりということがやりにくいのですが‥‥
この場面では、これまでも説明した古い英語での「汝(Thou)」がうまく使われていて、「You」といいかけて「Thou」と言い直すことでShamspeareの動揺を示しています。

Shamspeare
In the name of Beelzebub, what were they?!
Fairies, perchance, from a Midsummer Night's Dream,
come to taunt me?
Ryunosuke
I think they were just flies...

ペテンシー
‥‥嗚呼。あれこそは、もしやッ!
‥‥『真夏の夜の夢』にて飛び回りし
いたずら坊主の《妖精(パック)》の化身なのか。
ナルホド
‥‥《妖精(パック)》さんに失礼だと思います。


ペテンシーがペパー亭に行ったらハエにたかられた、の話。

Shamspeare「かのベルゼブブの名において、彼奴らは何だったのか?
『真夏の夜の夢』にて飛び回りし妖精たちが、ワタシを愚弄するためにやってきたのか?」
Ryunosuke「ただのハエだと思いますよ‥‥」

Ryunosukeのツッコミが冷静でいいですね。w
ベルゼブブ(Beelzebub)はキリスト教における悪魔、ヘブライ語で「ハエの王」の意味。
ベルゼブブ - Wikipedia
アニメや漫画、ゲームなど、日本のサブカルチャーでもそこそこ有名かもしれません。

Ryunosuke
...I'm no Shakespearean actor, Miss Susato.

ナルホド
‥‥ぼくは、
シェークスピア役者じゃありませんから。


Shakespeare(シェークスピア)に-anがくっついて、「シェークスピアの」とか「シェークスピア風の」の意味。または名詞として「シェークスピア学者」の意味。
将来、子孫がシェークスピア役者を目指しかけて結局弁護士になったりするので、逆転シリーズをプレイしてきた方向けのファンサービスとも言えるセリフです。といっても、シェークスピア役者の話は「逆転裁判4」限定版に付属していた「逆転裁判事典」の中でしか触れていない、マニアックな設定ですが‥‥

Green
Duncan showed me once how to unlock the door with
some turps and a piece of wire.

ビリジアン
以前、ダンカンが教えてくれました。
テレピン油と針金でカギをあける方法。


turps:テレビン油。正確には「turpentine」で、省略して「turps(イギリス英語)」
「テレピン油」「テレビン油」どっちが正しいんだよ、という話は、
テレピンかテレビンか | | とりロジー
などをどうぞ。広辞苑には「テレビン油」で載っているそうです。お手持ちの辞書でもご確認ください。

Shamspeare
A great detective?
Is that some kind of joke?
Do you really think I'm going to be daunted by a man
with such a ridiculous title?
Sholmes
 I should think the 'great bard' ought to recognise such a
    title when he hears one, Mr 'Sham'-speare!
Perhaps we should compete for the honour of most
ridiculous title?

ペテンシー
《メータンテー》‥‥?
笑わせないでもらえますか?
そんな、冗談みたいな“肩書き”に
屈するペテンシーではございませんよ。
ホームズ
   ‥‥そりゃ、そうだろうねえ
   ミスター・ハーレキン‥‥
モチロン‥‥そんな肩書き。
“冗談”に決まってるじゃないか!


まず日本語版の「ハーレキン」の意味ですが、これは「道化役」のこと。
綴りは「harlequin」で、たぶん、「ハーレクイン」という表記の方が知っている方が多いと思います。
「harlequin」は英語表記。フランス語ではアルルカン(Arlequin)、イタリア語だとアルレッキーノ(Arlecchino)。
欧米では道化役者の代名詞になっています。
アルレッキーノ - Wikipedia

で、これに対して英語版では、「Mr 'Sham(ぺてん師)'-speare」と、Shamspeareの名前の中に「ぺてん師」の意味が含まれていることをからかったSholmesが、
Sholmes「ボクたちは、最も馬鹿げた肩書きの名誉を賭けて競い合ってもいいんじゃないかな?」(Perhaps we should compete for the honour of most ridiculous title?)
と皮肉るという、なかなかいい感じの英国ジョークになっています。

Green
...it's not to be. That is the answer.
You deserve to die for what you've done.

ビリジアン
貴方はね。
‥‥死ぬべきだったのです。


に続いて、

Ryunosuke
Well...personally...I'm glad of your being here,
Miss Green.
(中略)
And I'd like to believe...
...that it's a blessing Mr Shamspeare didn't die when he
ingested the poison.
For your sake, at the very least.

ナルホド
ぼくは‥‥あなたが、今。
生きていてよかったと思います。
(中略)
‥‥そして。
《毒》を飲んだペテンシーさんが、
一命をとりとめたのも‥‥
あなたにとって“よかった”‥‥
ぼくは、そう思いたいです。


この龍ノ介のセリフ、成歩堂龍ノ介という人間がとってもよくわかる、すっごく良いセリフだと思うんですよね。
龍ノ介はビリジアンに対して「(例え相手が憎い仇だったとしても)死ぬべきだったなんて言っちゃだめだ」とは言わない。
ただ「どちらも生きていてよかった」と言うあたりに、度量の広さが見えるなぁと。
ということで、英語版の解説とは別に、個人的に好きなセリフというだけで紹介しておきました。
英語版のセリフの意味合いは、日本語版と同じです。

Susato
Then of course there's this emblem here...
A large letter 'B' and a small crown...

スサト
あと‥‥こちらは《紋章》でしょうか。
‥‥大きな『B』の文字と、
小さな『冠(クラウン)』の意匠(デザイン)でございます。


例のシーン。
英語版でもバスカビルは「Baskervilles」でイニシャルは「B」ですから、そのままです。

ということで回想メインの第2話終了。
いよいよ本格的にストーリーが動き出す第3話は次回。

第3話解説へ



英語版「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」解説

・英語版「大逆転裁判1」解説はこちら

・Escapades(番外編 ランドストマガジン)解説へ

■大逆転裁判2

○Episode 1 The Adventure of the Blossoming Attorney(第1話 弁護少女の覚醒と冒險)

1.法廷【その1】
2.法廷【その2】

○Episode 2 The Memoirs of Clouded Kokoro(第2話 吾輩と霧の夜の回想)

1.探偵【その1】~探偵【その2】
2.法廷【その1】
3.探偵【その3】
4.法廷【その2】
5.法廷【その3】

○Episode 3 The Return of the Great Departed Soul(第3話 未来科学と亡霊の帰還)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】(1)
 探偵【その2】(2)
5.法廷【その3】
6.法廷【その4】

○Episode 4 Twisted Karma and His Last Bow(第4話 ねじれた男と最後の挨拶)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】

○Final Chapter The Resolve of Ryunosuke Naruhodo(最終章 成歩堂龍ノ介の覺悟)

1.法廷【その1】
2.探偵【その1】
3.法廷【その2】
4.法廷【その3】
5.終幕
第2話の法廷パート2回目開始。

■Trial, Part 2(法廷【その2】)

Susato
And in my own small way, I shall do everything I can to
help you.
Ryunosuke
...I always appreciate your help, Miss Susato.

スサト
わたしも。ササヤカですが、
全力でお助けいたしますとも!
ナルホド
‥‥寿沙都さん‥‥


Ryunosuke「‥‥いつも助かっています、Susatoさん」

日本語版では、
「寿沙都さん‥‥」
(寿沙都さん‥‥)
「成歩堂さま‥‥」
「(人名)‥‥」
といった、名前だけをつぶやくセリフが多数あります。
名前だけ呼びかけるといっても、それまでの話の流れや、キャラの表情・動きで何を言いたいのか、どういう気持ちか推し量ることはできますし、解釈がプレイヤーごとに違うとしても、それもまた面白い。
なのですが、英語版の場合、「名前だけつぶやくセリフ」のほぼ8割くらいは、上のように具体的な内容にローカライズされています。たぶん意図的にやっているんだろうと思うんですが、理由はよくわかりません。

Juror No. 4
Arrest him, I say! Arrest him at once!
And let him feel the sting in my tail!

4ゴウ
逮捕よ! 今すぐ逮捕して!
瓦斯(ガス)でパンパンの部屋に放りこんでやる!


the sting in my tail:直訳で「尻尾で刺す」、最後に一撃くわせてやる、ということで「後味の悪さ、皮肉、驚くような内容」の意味あい。
Juror No. 4「逮捕よ! 今すぐ逮捕して! 後悔するような目に合わせてやる!」
ということで、日本語版とは全然別の話になっているのですが、海外向けにも発売することを踏まえれば配慮が必要な箇所だったと思います。
ガス室 - Wikipedia

Shamspeare
'I know thee not, old man. Fall to thy prayers.'
Do I know thee, or know thee not?
Methinks 'tis all I can know that thy destiny mingles with
mine.
Ryunosuke
You lost me at the first 'thee'.
Shamspeare
Zounds, sir! Thou must learn the English tongue afore
thou turns thy hand to lawyering!
Ryunosuke
(I did. But I must have missed the Archaic Elizabethan
lecture...)

ペテンシー
“おまえなど知らぬ、老人よ。
 お祈りでもしているがよいだろう”
‥‥我は汝を知り、
そしてまた、我は汝を知らず。
ただただ数奇な運命だけが、
我らを結びつけていたのです。
ナルホド
‥‥すみません。なにを言ってるのか、
サッパリわかりません。
ペテンシー
おお。法律の前に、まずは英国語(イングリッシュ)を
学ぶことをオススメするしだい。
ナルホド
(‥‥それなりに
 勉強してきたつもりだけど‥‥)


ちょっと長めに引用しました。
これまでも解説した通り、Shamspeareは古い英語(参照:初期近代英語 - Wikipedia)で喋るので、龍ノ介じゃありませんが「なにを言ってるのかサッパリわかりません」と言いたくなります。w
英語版だと、Shamspeareのセリフの後、
Ryunosuke「最初の『thee』の後からサッパリわかりません。」(You lost me at the first 'thee'.)
と、正直に答えています。w
「thee」は「汝を」の意味、昔の英語の二人称ですね。
最後の心の声は、
Ryunosuke「英語の勉強はしてきたけど、昔のエリザベス朝の英語についての講義は受けそこなってしまった‥‥」(I did. But I must have missed the Archaic Elizabethan lecture...)
大学では英語学部の龍ノ介ですが、実用的な現代英語を勉強してきたってことなのでしょうか。難易度の高いコックニーもきちんとリスニングし理解できている時点で、やっぱりすげぇやと私は思ってしまうんだけども。

Van Zieks
As a rule, I fill my hallowed chalice up to seven times
during any one trial.
Ryunosuke
(You might want to keep that information to yourself.)

バンジークス
‥‥私は、審理中に重ねる
《神の聖杯》は、7つまでと決めている。
ナルホド
(けっこう重ねるな‥‥)


Ryunosukeのツッコミが「その個人情報、おおっぴらにしなくてもいいんじゃないかな‥‥」ですね。w

Shamspeare
I assure you, I'm not such a buffoon that I have to kiss
pipes!

ペテンシー
瓦斯管(ガスパイプ)と“接吻(キッス)”をかわすほど
ひょうきん者ではないッ!


英語版だと「ひょうきん者」のところが「buffoon(道化師)」になっています。役者っぽい表現になっていますね。

Van Zieks
Objetion!
...This is no summanation examination.
This is a farce.

バンジークス
異議あり!
‥‥日本人よ。これはもはや、
《最終弁論》とは呼べぬ。


Van Zieks「これはもはや《最終弁論》とは呼べぬ。《喜劇》だ。」
ここも役者くずれのShamspeareに合わせた表現になっています。

Juror No. 4
I agree. This month's edition of 'Engineering Thumbs' was
quite fascinating.

4ゴウ
たしかに‥‥今月号の『技師の親指』も
たいそう、おもしろうございました。


ホームズ原作ネタですね。短編集第1作「The Adventures of Sherlock Holmes (シャーロック・ホームズの冒険)」に収録された短編「The Adventure of the Engineer's Thumb(技師の親指)」から。
ここは指痕の話をしているシーンですが、『技師の親指』は指紋も指痕も登場しない話です。

Van Zieks
A term found only in second-rate novels featuring
third-rate 'great detectives'...my Nipponese friend.

バンジークス
“名探偵”が活躍する三文小説でしか
聞かない、安いコトバだ‥‥日本人。


「真犯人(true culprit)」という言葉について。
Van Zieks「三流の『名探偵』が活躍する、二流の小説の中にしか出てこない言葉だ」
と、さんざんな言われようの末にビリジアンの召喚に成功。次回に続く。

次 法廷【その3】



英語版「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」解説

・英語版「大逆転裁判1」解説はこちら

・Escapades(番外編 ランドストマガジン)解説へ

■大逆転裁判2

○Episode 1 The Adventure of the Blossoming Attorney(第1話 弁護少女の覚醒と冒險)

1.法廷【その1】
2.法廷【その2】

○Episode 2 The Memoirs of Clouded Kokoro(第2話 吾輩と霧の夜の回想)

1.探偵【その1】~探偵【その2】
2.法廷【その1】
3.探偵【その3】
4.法廷【その2】
5.法廷【その3】

○Episode 3 The Return of the Great Departed Soul(第3話 未来科学と亡霊の帰還)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】(1)
 探偵【その2】(2)
5.法廷【その3】
6.法廷【その4】

○Episode 4 Twisted Karma and His Last Bow(第4話 ねじれた男と最後の挨拶)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】

○Final Chapter The Resolve of Ryunosuke Naruhodo(最終章 成歩堂龍ノ介の覺悟)

1.法廷【その1】
2.探偵【その1】
3.法廷【その2】
4.法廷【その3】
5.終幕
「大逆転裁判」シリーズでは初めての、法廷パート後の探偵パートです。
「大逆転裁判1」は、3話以降、探偵パート→法廷パートで各エピソードが終わっていましたからね。

■Investigation, Part 3(探偵【その3】)

Kazuma
Karuma guides me.
I truly believe that.
Ryunosuke
So its name compels its wielder to slice evil in two?
Not that you would need much compelling...

アソウギ
コイツが、オレを支えてくれる。
‥‥そう、信じている。
ナルホド
悪を“一刀両断”する‥‥
オマエらしい心意気だな。


Ryunosukeのセリフが「その名の通り、悪を一刀両断できるのか?」になっているので、「Karuma」が、「日本語だと『悪を一刀両断』という意味なんだろうな」と、海外プレイヤーにもわかるようになっています。
日本語版の場合は「狩魔」という漢字で一目瞭然なので(日本語の漢字は文字のひとつひとつに意味がある表意文字なので)、特に説明をしなくても、龍ノ介の「悪を“一刀両断”」の意味がわかるようになっています。
‥‥ふと気づいたけど、英語版だとぱっと見、「Kazuma」と「Karuma」の字面がそっくりで見間違いをしそうになります。

Ryunosuke
'Buck up, Runo'
...What is this?

ナルホド
『しっかり、なるほどくん』
‥‥なんだこれは。


buck up:(イギリス英語、命令形で)元気を出しなさい、しっかりやりなさい
アイリスの思いつき黒板に書かれていた、来月号のタイトル案。
もうひとつのタイトルは「The Beryl Coronet(緑柱石の宝冠(ティアラ))」、原作ホームズネタですね。

Sholmes
No, what I am researching is skin prints!

ホームズ
今、ボクが研究しているのは。
‥‥たとえば、“指痕”とかね。


指痕検出装置:Skin Print Seeker (gun)
大逆転裁判1の第2話冒頭アニメで使っていたのはこれだった、ということがこのシーンでわかります。ホームズの説明を聞く限り、ハイテクってレベルじゃねーぞっていう技術です。

Sholmes
Personally, I often stumble when there's nothing obvious
to trip over.
Susato
...I think that's something only a great detective would do,
Mr Sholmes.

ホームズ
ボクは、よく、なにもないトコロで
つまづいて転んだりするけどね。
スサト
‥‥それはきっと、ホームズさまが
特殊なのだと思われます。


Susato「‥‥それはきっと、偉大な探偵だけがすることだと思いますよ、Sholmesさま」
寿沙都さんの人を褒めたりおだてたりする能力の高さは見事だなぁ。

Sholmes
If there's one thing I know about this man, it's that he
blows with the wind! As fickle as the weather!
Gregson
Oi! Stop makin' me out to be some kind of nut!

ホームズ
このオトコ。こう見えて、
1秒ごとに気分が変わるからね!
グレグソン
‥‥勝手にヒトを
“情緒不安定”にするな!


blow with the wind:気まぐれに行動する、横道にそれる
Oi!:イギリス英語。コックニー表現。元は「Hoy!」(驚いた時の間投詞)で、コックニーは「h」を発音しないので「Oi!」になった。偶然ながら、日本語の「おい!」と同じような意味になっている。
nut:Gregsonのセリフの最後の「nut」はスラングで「イカレている」「頭の変なヤツ」「オタク」などの意味。

Sholmes「このオトコについてひとつ知っていることがあるとすれば、彼は天気と同じくらい気まぐれだってことだ!」
Gregson「おい! ヒトを変人扱いするな!」

・セルデン:Selden
死刑囚の名前。
ホームズ原作の長編第3作「The hound of the Baskervilles(バスカヴィル家の犬)」に登場する、脱獄囚のSelden(セルデン)から取られたと思われます。

証拠品「死刑囚の新聞記事」のサムネイルが、3DS版から少し変更。
私も今回初めて気づいたのですが、3DS版→スマホ版の時点でサムネイル画像が変わっていたんです。
といっても、新聞の切り抜きの形状がちょこっと変わっただけですが。‥‥変えた目的・理由はいまいちわからない。

3DS版↓



スマホ版(iOS版)↓



本作(PS4版)↓



そうそう、「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」公式サイトのTwitterアイコン配布ページ、最後のオッサンは誰だよ、と思っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、このサムネイルでわかるとおり、実はセルデンだったのです。セルデンにもこんなちゃんとしたイラストが設定されていたんですね‥‥w

Ryunosuke
Why don't we call it, um...Wagahai?
You know, like Mr Natsume refers to himself in Japanese.

ナルホド
とりあえず‥‥“ワガハイ”と
いうことにしておきましょうか。


Ryunosuke「とりあえず、“ワガハイ”と呼ぶことにしましょうか。漱石さんは日本語で喋る時に、自分のことを『吾輩』と言いますから。」
と、英語版だと「Wagahai」の意味を教えてくれるようになっています。
順当にプレイすると、「大逆転裁判1」の第5話で唐突に猫の名前が「Wagahai(ワガハイ)」だとわかるようになっていますよね。
日本人なら「吾輩からワガハイか」とすぐに名前の由来がわかりますが、英語版の場合は「日本語らしいけど、Wagahaiってなんだよ」ということになってしまう。英語の一人称は「I」のみで、英語版ではSosekiさんも「I」を使って喋っているからです。
それがようやく、この「大逆転裁判2」第2話で解決するわけです。
2作品が同時収録だから、1の5話の時点でWagahaiの意味を詳しく説明しなくても大丈夫、という判断なのかな?

Susato
Oh, wonderful! Well then, Wagahai...here's something
delicious I bought for you from the cat's meat man!

スサト
では、ワガハイさま。猫肉屋さんで
買ってきた“ごはん”でございます!


私は初プレイの時、この「猫肉屋」なるものを知らなかったので、「えっ、まさか‥‥」とヒヤヒヤしましたが。
猫肉屋 - Wikipedia
>猫肉屋(ねこにくや、英:cat's-meat man)は、家庭でペットとして飼われている猫や犬の餌(ペットフード)として屑肉を巡回販売する小売業。「猫を殺してその肉を売る職業」ではない。18世紀から19世紀にかけて、ヨーロッパや北アメリカの都市部に見られた。
という説明を読んでほっとしたものです。w そしてまたひとつ雑学が増えました。

Soseki
Might I ask, Locum Student Mr Naruhodo Esquire, that
the next time you visit me...
...you bring scores of super-soft soaps!

ソーセキ
とにかく、留学生代理。
今度、面会にくるときは‥‥
うなるほどのセッケンの
“差し入れ”を所望するものであるッ!


英語版は「scores of super-soft soaps」(たくさんのとっても柔らかいセッケン)で韻を踏んでいますね。
四字熟語で韻を踏むSosekiさんにはこの程度たやすいこと‥‥なのかな。

Soseki
The next time someone gives me soap as a present, it's...
   Friendship Finished Firmly Forever!

ソーセキ
これから、お中元でセッケンを
送ってくるような輩がいたら‥‥
   即 刻 絶 縁 ッ!


まあ、上のセリフの後に証拠品の「セッケン」をつきつけるとこんな会話になっちゃうんですけどね。
「Friendship(友情) Finished(終了) Firmly(断固として) Forever(永久に)!」

Garrideb
No, no, not at all. He was a lodger here once.
Duncan Ross was his name.

ガリデブ
いやいや。これは下宿人ですな。
‥‥ダンカン・ロスくん。


Duncan Rossはホームズネタ。短編集第1作「The Adventures of Sherlock Holmes (シャーロック・ホームズの冒険)」に収録された短編「The Red-Headed League(赤毛連盟)」の登場人物です。
この第2話全体が、いわゆる「赤毛トリック」という、「赤毛連盟」から生まれたトリックが元になっています。
「赤毛トリック」というのは、「犯罪者がある場所に潜入するため、その場所に居る人物を何かしらの方法で外出させ、そのスキに犯罪者が目的の場所に侵入し悪事をはたらく」というトリックのこと。

Shamspeare
Lo, a Shamspeare dance to celebrate!

ペテンシー
‥‥ペテンシーの舞ッ!


Lo:古語。「見よ!」「そら!」といった意味の間投詞。
「見よ! Shamspeare、喜びの舞ッ!」ってところでしょうか。

Sholmes
...Reading personal correspondence can have its merits,
you see, Miss Susato.
Ah ha ha ha hah!

ホームズ
‥‥これだから。ヒトの手紙を
勝手に読むのは、やめられないのさ。
あーっはっはっはっはっはっはっはっ!


Sholmes「‥‥ヒトの手紙を読むという行為には、それなりの価値があるのさ、ミス・スサト。」
そうだね、英国から日本への秘密通信をこっそり読むのとかね。

'Come to The Slug and Salad on Briar Road at 5 p. m. on
17th.'

『17日午後5時、ブライヤーロードの
 パブ《ペパー亭》に来てください』


「ペパー亭」は「The Slug and Salad」。
検索してみたところ、「Slug and Lettuce」というパブのチェーン店が、ロンドンをはじめイギリス南東部に実在するのだそうです。
Slug & Lettuce(公式サイト)
たぶん、このチェーン店の名前をもじったのでしょう。
「Slug and Lettuce」の1号店があるロンドン・イズリントンの建物は19世紀半ばから後半にかけ建設されたそうですが、パブ「Slug and Lettuce」の設立は1985年。19世紀末にはなかったお店です。
Slug and Lettuce, Islington - Wikipedia
それにしても「怠け者(Slug)とレタス(Lettuce)」‥‥謎の店名だ。

Ryunosuke
All that's left is to remain focused and keep fighting for
Mr Natsume's cause until the very end.

ナルホド
あとは‥‥目をそらさずに、
最後まで、闘いぬくだけです。


と、決意を語ったところで探偵パート終了。法廷パートへ続く。

次 法廷【その2】



英語版「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」解説

・英語版「大逆転裁判1」解説はこちら

・Escapades(番外編 ランドストマガジン)解説へ

■大逆転裁判2

○Episode 1 The Adventure of the Blossoming Attorney(第1話 弁護少女の覚醒と冒險)

1.法廷【その1】
2.法廷【その2】

○Episode 2 The Memoirs of Clouded Kokoro(第2話 吾輩と霧の夜の回想)

1.探偵【その1】~探偵【その2】
2.法廷【その1】
3.探偵【その3】
4.法廷【その2】
5.法廷【その3】

○Episode 3 The Return of the Great Departed Soul(第3話 未来科学と亡霊の帰還)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】(1)
 探偵【その2】(2)
5.法廷【その3】
6.法廷【その4】

○Episode 4 Twisted Karma and His Last Bow(第4話 ねじれた男と最後の挨拶)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】

○Final Chapter The Resolve of Ryunosuke Naruhodo(最終章 成歩堂龍ノ介の覺悟)

1.法廷【その1】
2.探偵【その1】
3.法廷【その2】
4.法廷【その3】
5.終幕











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「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」 発売中!

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9月22日
9月下旬
10月1日~10月18日
企画展「CAPCOM vs. 手塚治虫CHARACTERS’」池袋PARCOで開催、「逆転裁判」の20周年を記念したコーナーを新規増設

10月8日~11月18日
カプコンカフェ×「逆転裁判」シリーズ20周年コラボ 埼玉県越谷市イオンレイクタウン店で開催

10月上旬
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ペテンシー登場の法廷パート開始です。

■Trial, Part 1(法廷【その1】)

Juror No. 3
Oh...well I rather like how you're wearing your hat.
I think the ruthless look is very fetching, actually...

3ゴウ
おお‥‥ボクは、そんな貴方の
カカトでコロされてみたい‥‥


お隣の2ゴウさんのセリフ「帽子の角度が決まらない日はよりザンコクですのよ!」の後、3ゴウ氏が上のように、何故かマゾい発言をするのですが、英語版は、
Juror No. 3「ああ‥‥貴方の帽子をかぶっている姿は素敵だ。
非情な表情がとても魅力的だと思うんだけどな‥‥」
と、違う方向で危険な発言をしています。

Gregson
Mr Shamspeare collapsed in his room as a result of
poisonin' by strychnine.

グレグソン
被害者は、猛毒・ストリキニーネによる
中毒を起こし、自室に倒れました。


ストリキニーネ:strychnine
実在のストリキニーネ(strychnine)の綴りそのままです。英語だと「ストリックニン」みたいな発音です。
「ストリキニーネ」という表記・発音は、オランダ語からだそうです。
ストリキニーネ - Wikipedia

Soseki
Argh! NO! We weren't friends!
Not at all! NOT AT ALL!
Never...ever!

ソーセキ
親しくはないッ! ええ、もう。
決して、親しくはないですぞッ!
Never, and everッ!


漱石先生に学ぶ、英語での否定の仕方。
日本語版の「Never, and everッ!」は、英語版でもほぼそのままです。

Soseki
So we battled it out! In a Greco-Roman style, naturally.

ソーセキ
戦ってみたのである。‥‥もちろん、
グレコローマンの試合形式(スタイル)でッ!


ツッコミどころしかない、ペテンシーと漱石さんのレスリング。
グレコローマンスタイル(Greco-Roman style)とは - コトバンク
グレコローマンスタイル - 語源由来辞典
グレコローマンスタイルのレスリングはちょうど、19世紀のヨーロッパで人気のスポーツだったそうです。

Soseki
In my great homeland — the Empire of Japan — we have a
saying:
'Drink tea while it's hot!'

ソーセキ
我が祖国・日本には、
こんなコトワザがあるんです。
『茶はアツいうちに飲め』!


大切なことなのでメモ。

Van Zieks
'There is nothing more refreshing than cold tea.'

バンジークス
『冷えたお茶にこそ、女神は微笑む』


『茶はアツいうちに飲め』に対して、Van Zieks『冷えたお茶ほど爽やかなものはない』
英語圏のことわざなのか? これ。w
(検索しても出てこないから、バンジークスの創作かな‥‥)

Shamspeare
William Shamspeare, My Lord. Alas, 'twas I, undone by
these bitter events. I...am the victim!

ペテンシー
‥‥ウイリアム・ペテンシー。
この事件の《被害者》でござい。


ペテンシーこと、Shamspeare登場。
前に書きましたが、ウィリアム・シェイクスピア(William Shakespeare)の作品は16世紀から17世紀の、古い英語で書かれています。
英語版ではShamspeareが、この古い英語を混ぜて喋ることがあり、解読が大変‥‥w
上だと、「Alas」は古語で悲嘆の「ああ」、「'twas」は古語でit wasの短縮形、「undone」は堅めの表現で「破滅した、没落した」のこと。

Metermann
Oh, um...the name's Metermann.
Adron B. Metermann.
I work for the Altamont Gas Company, East End branch
office.

ミターマン
ええ‥‥あっしは、その。
デカーゴ・ミターマンと言います。
職業は《アルタモント瓦斯(ガス)会社》
イーストエンド営業所に勤務しとります。


デカーゴ・ミターマンことAdron B. Metermannも登場。
こっちはコックニーで喋りますが、さほど頻繁ではない(Gregsonと同じくらいかな?)ようで、ingがin'になる程度です。
「Altamont(アルタモント)」は原作ホームズから。短編集第4作「His Last Bow(シャーロック・ホームズ最後の挨拶)」に収録された短編「His Last Bow(最後の挨拶)」の登場人物の名前です。

Shamspeare
Behold, you have only to rearrange the letter of my
name to see that 'me's a seraph'! An angel, indeed!

ペテンシー
ペテンシーの“テンシー”は、
『天使』が宿る、そのあかし。


英語版ではどうなるのかな? と思っていた「ぺ天使」ネタですが、
Shamspeare「おお見よ、我が名前の文字を並べ替えるだけで、『我は天使』となるのです!」
と言っています。

Shamspeare
↓アルファベットを入れ替える
meSaseraph
↓
me's a seraph(私は天使だ)
※seraphは熾天使のこと 熾天使 - Wikipedia

アナグラムで「天使」にしちゃいました。w
ローカライズ担当の方、すごいなぁ‥‥

Ryunosuke
(They're actually taking this 'seraph' anagram idea
seriously...?)

ナルホド
(‥‥陪審は、あの“天使”の
 味方、というワケか‥‥)


Ryunosuke(‥‥陪審はみんな、あの“天使”のアナグラムをホンキにしているのか?)
そりゃ、Ryunosukeとしてはそうツッコミたくもなりますよね。

Van Zieks
How many other short little round-backed Nipponese
with a moustache do you think there are in London?!

バンジークス
背が低く猫背でヒゲの東洋人だぞ。
ほぼ断言しているではないかッ!


Van Zieks「背が低く猫背でヒゲの日本人が倫敦に何人居ると思っているッ!」
日系イギリス人 - Wikipedia
>最初の移住は、19世紀後半に教育を受けた自費留学の日本人教授や生徒、その召使いの到着とともに始まった。1884年には約264人がイギリスに住み、その大半は官吏と学生であった。
1884年というと「大逆転裁判」の舞台である19世紀末。264人も日本人が居たら、『背が低く猫背でヒゲ』はその中に10人くらいは居そうな気もしますが‥‥ここでVan Zieks卿が言いたいのは、そういう屁理屈じゃないから。w

Juror No. 4
I'm the wife of Augustus Altamont, owner of the Altamont
Gas Company.

4ゴウ
ワタクシの夫は、バルブ・アルタモント。
《アルタモント瓦斯(ガス)会社》の社長ですの。


バルブ・アルタモント:Augustus Altamont
日本語版での「バルブ」は配管のバルブ(valve)から取ったネーミングだと思いますが、英語版では「Augustus」に変更されました。valveという人名はないだろ、ということなのか、奥さんの「Quinby」と釣り合わないということでの変更かな。
Augustusはローマ帝国初代皇帝アウグストゥス、のちに「尊厳」の意を持つローマ皇帝の尊称ですが、現在では人名として普通に使われています。奥さんのQuinby(Queen bee)とも対になっている感じがします。
ダジャレネーミング的な意味では、「Ah! Gas」ってことじゃないのかな。瓦斯(ガス)会社だけに。

Juror No. 5
...Finnish Lass, that's what it's about.

5ゴウ
‥‥《ビリー・ノローマ》‥‥


5ゴウが競馬で賭けた馬の名前。
「Finnish Lass」は、そのままだと「Finnish(フィンランドの) Lass(少女)」なのですが、「finish last(最後に到着)」からのダジャレでもあるようです。まっとうな馬の名前っぽく見えて実はダジャレという、日本語版と似たようなネタ。言うまでもありませんが、フィンランドに対しての悪口では決してありません。

Ryunosuke
No wonder they call you Metermann...

ナルホド
持ち歩いているんですか!


ミターマンが「Gas Meter(瓦斯(ガス)計量器(メーター))」を持っていると聞いた時の龍ノ介の反応。
Ryunosuke「(メーターを持ち歩いているなんて)メーター男(Metermann)と呼ばれるのも納得ですね‥‥」

Ryunosuke
Oh...?
Look at this bar of soap.
There's a circular depression on this side.
About two centimetres across.
Susato
Or...three-quarters of an inch—
Ah! Do you think...?

ナルホド
おや‥‥?
この、セッケン‥‥見てください。
ここに、丸い“くぼみ”があります。
直径‥‥ちょうど、2糎(センチ)ぐらいの‥‥
スサト
直径、2糎(センチ)ぐらい‥‥
あ! それは、もしかして‥‥


Altamont
About three-quarters of an inch across.

アルタモント
‥‥直径2糎(センチ)ほど、ですわね。


日本語版ではひたすら「2センチ」と述べられていた3ペンス硬貨の直径ですが、英語版では一部、「three-quarters of an inch」、つまり「4分の3インチ」に変更されています。
海外版は、アメリカなど今でもヤード・ポンド法が主流な地域でも販売されていますので、そちらに配慮したのかな?
といっても、19世紀はイギリスとアメリカでヤードの長さがちょっぴり違い、統一されたのは1958年だそうです。
現在では1インチ=2.54センチメートル(「≒」ではない)のですが、19世紀の頃は1インチ≒2.539センチメートル‥‥
そんなに変わらないや。w
ヤード - Wikipedia
ということで、4分の3インチは当時でもだいたい、1.905センチメートルです。

Judge
...that the man was eating the soap, was he?
Van Zieks
Pardon me for disagreeing with Your Lordship, but...
...certainly not.
Susato
He didn't beat about the bush there, did he?

サイバンチョ
“食べようとした”とか‥‥?
バンジークス
閣下にこんなコトを言うのは
恐れおおいが‥‥
それはない。
スサト
‥‥一刀両断でございます。


beat about the bush:獲物を狩り立てる、遠回しに探る
※aboutを使う場合は主にイギリス英語。アメリカ英語だとaroundを使うことが多い
Susato「まったく遠慮せずにおっしゃいましたね、Van Zieks卿は‥‥」

Van Zieks
I was throwing my hand up in despair...
...and happened to catch my hallowed bottle on the way.
Pray, forgive my maladroit mistake.

バンジークス
投げるべき“さじ”が
手近に見当たらなかったゆえ‥‥
《神の瓶》に手を伸ばした暴挙。
‥‥どうか、お許し願いたい。


Van Zieks「絶望のあまり手を挙げたところ‥‥
偶然にも《神の瓶》を手にとった暴挙。
どうか、お許し願いたい。」

throw one's hands up:お手上げだと諦める、降参だと手を挙げる
ここまでの法廷の流れが脱線していたことに対して(あまりにくだらなくて)絶望した。という意味でしょうね。
と絶望したところで、石鹸から新たな証拠を発見。
次回、探偵パートへ続く。

次 探偵【その3】



英語版「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」解説

・英語版「大逆転裁判1」解説はこちら

・Escapades(番外編 ランドストマガジン)解説へ

■大逆転裁判2

○Episode 1 The Adventure of the Blossoming Attorney(第1話 弁護少女の覚醒と冒險)

1.法廷【その1】
2.法廷【その2】

○Episode 2 The Memoirs of Clouded Kokoro(第2話 吾輩と霧の夜の回想)

1.探偵【その1】~探偵【その2】
2.法廷【その1】
3.探偵【その3】
4.法廷【その2】
5.法廷【その3】

○Episode 3 The Return of the Great Departed Soul(第3話 未来科学と亡霊の帰還)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】(1)
 探偵【その2】(2)
5.法廷【その3】
6.法廷【その4】

○Episode 4 Twisted Karma and His Last Bow(第4話 ねじれた男と最後の挨拶)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】

○Final Chapter The Resolve of Ryunosuke Naruhodo(最終章 成歩堂龍ノ介の覺悟)

1.法廷【その1】
2.探偵【その1】
3.法廷【その2】
4.法廷【その3】
5.終幕
■逆転裁判123HD(アプリ) | カプコン 製品・サービス情報 | CAPCOM
https://www.capcom.co.jp/product/detail.php?id=246

Android版「逆転裁判123HD」の不具合が修正され配信が再開されました。
セーブデータの復旧方法については、上の公式サイトに詳しく書いてありますのでご参照ください。

■CAPCOM vs. 手塚治虫CHARACTERS’ | PARCO FACTORY | PARCO ART
https://art.parco.jp/parcomuseum/detail/?id=722

逆転裁判シリーズの展示も行われる展覧会「CAPCOM vs. 手塚治虫CHARACTERS’」ですが、本日いろいろと新情報が発表されたので、主に逆転シリーズ関係についてお知らせします。

○クリエイター直筆サイン入り複製原画を受注販売

・CAPCOM vs. 手塚治虫CHARACTERS キーアート
クリエイター:ベンガス
価格:88,000円

・CAPCOMvs手塚CHARACTERS‘ キーアートカウンターイラスト
クリエイター:つのがい
価格:88,000円

・アトム(水野佳祐)、火の鳥(北島サブミッションType D)、サファイヤ(日暮竜二/片岩ゆり)、ロック(実田千聖)、百鬼丸(森気楼)、ブラック・ジャック(塗和也)、ロックマン、リオレウス、春麗、レオン、伊達政宗、成歩堂龍一(つのがい)、ヒョウタンツギ(たみお)、炎(ベンガス)、デビル メイ クライ(つのがい)、逆転裁判20周年記念(つのがい)
価格:各44,000円

各20枚限定。
作品の発送は会期終了後、2022年1月頃のお届けを予定。

○展覧会ノベルティ

以下ノベルティに「逆転裁判」イラストが含まれます。

・展覧会チケット
展覧会入場チケットは、全2種(キーアート・カウンターイラスト)をランダム配布いたします。
※絵柄は選べません

・入場特典特製
ポストカードを全6種(VSカプコンクリエイターイラスト)から1枚ランダム配布いたします。
※有料入場者のみ対象
※絵柄は選べません
※無くなり次第終了

○前売券

会期は2021年10月1日(金)~10月18日(月)ですが、10月1日(金)~10月3日(日)については前売券をプレイガイド「e+(イープラス)」にて販売します。
10月4日(月)からの入場券は、会場入口にて販売します。
CAPCOM vs. 手塚治虫CHARACTERS’ - e+(イープラス)
前売券料金:一般600 円 学生500円 小学生以下無料

■企画展「CAPCOM vs. 手塚治虫CHARACTERS’」

○イベント期間:2021年10月1日(金)~10月18日(月) 11:00~20:00
※入場は閉場の30分前まで ※最終日18時閉場
※営業日時は感染症拡大防止の観点から入場数の制限、営業時間の変更及び休業となる場合があります。詳しくは池袋PARCOの営業日時をご確認ください。 
池袋PARCO HP:https://ikebukuro.parco.jp/
※場内混雑緩和の為、物販コーナーに進まれますと展示コーナーへ戻ることができません。

○会場:PARCO FACTORY(池袋PARCO 本館7F)

○入場料:一般600円、学生500円 ※小学生以下無料



今回より英語版「大逆転裁判2」第2話の解説です。

■第2話 吾輩と霧の夜の回想:Episode 2 The Memoirs of Clouded Kokoro



1の4話「The Adventure of the Clouded Kokoro」と同様に「Clouded Kokoro」が使われているのは、やはり夏目漱石が被告人の事件だからでしょう。そのあたりは、1の4話の解説の冒頭に色々と書きましたので、ご参照ください。

それと、色々ネタに書いたこともありますが、「大逆転裁判2」の各話英語タイトルは、原作ホームズシリーズの短編集のタイトルと対になっています。
第2話だと「The Memoirs of」の部分ですね。
ゲーム本編も、回想(Memoirs)が大半を占めています。

■第2話 キャラクター名&地名

この話から登場の新キャラのみ紹介。

・ウイリアム・ペテンシー:William Shamspeare
William Shakespeare(ウィリアム・シェークスピア)と、英語の「sham」(偽物、ぺてん師、詐欺師の意味)を組み合わせたダジャレ。

・デカーゴ・ミターマン:Adron B. Metermann
Adron BはA drone bee(雄蜂)
Metermanで(ガス)メーターの検針作業員ということかな。

・アルタモント夫人:Quinby Altamont
日本語版ではフルネームが不明だったアルタモント夫人ですが、英語版では名前が判明しています。
QuinbyはQueen bee(女王蜂)。
Altamontはホームズ原作短編「His Last Bow(最後の挨拶)」の登場人物の名前そのまま。
ミターマン&アルタモント夫人のデザインが蜂からであることは「大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟- 公式原画集」にも書かれています。
ミターマンの立ち位置は働き蜂(Worker bee)ですが、働き蜂は雌の蜂なので、雄蜂がネーミングに用いられたのだと思います。

・ダンカン・ロス:Duncan Ross
ホームズ原作短編「The Red-Headed League(赤毛連盟)」の登場人物名そのまま。

・セルデン:Selden
ホームズ原作「The hound of the Baskervilles(バスカヴィル家の犬)」の登場人物、脱獄囚Selden(セルデン)そのまま。

■Investigation, Part 1~2(探偵【その1~2】)

探偵【その1】は、回想シーンが始まるまでの冒頭のみなので、今回は探偵【その1】と探偵【その2】をまとめて紹介します。

Ryunosuke
The office spade...
Now that Susato-san's gone, the shovellers aren't
represented to correct me.
........
Maybe I'll have to do it myself.
'That's not a spade, Naruhodo-san; it's a shovel!'

ナルホド
スコップがある。
寿沙都さんがいない今、
《ショベル》派は圧倒的に劣勢だ。
‥‥‥‥‥
なんだか、ちょっと。
張りあいがないな。


Ryunosuke「spadeがある‥‥。
Susatoさんがいない今、《ショベル》派がぼくの言葉を訂正してくれることはない。
‥‥
だからぼく自身でやるしかない。
『それはspadeではございません、成歩堂さま。shovelでございます。』」

探偵【その1】でのみ見られる、龍ノ介のさびしい独り言。
スコップとショベルとシャベル論争については大逆転裁判1第5話 探偵【その1】(1)で詳しく書いています。

Ryunosuke
Ah, yes, this is where you note down ideas, isn't it, Iris?
What's in the melting pot today?
Hm, 'The Blue Carbuncle'...?

ナルホド
この黒板には、アイリスちゃんの
“思いつき”が書いてあるらしい。
今日は‥‥『青いガーネット』か。
なんのことだろう。


原作ホームズネタですね。短編集第1作「The Adventures of Sherlock Holmes (シャーロック・ホームズの冒険)」に収録された短編「The Adventure of the Blue Carbuncle(青いガーネット)」からです。

ここからInvestigation, Part 2(探偵【その2】)です。

・聖(セント)バーソロミュー病院:St Bartholomew's Hospital
1の4話の復習。
聖(セント)バーソロミュー病院はイギリスのロンドンに実在する病院で、原作ホームズでは、シャーロック・ホームズとワトソンが初めて出会った場所になります。通称「Barts」。
病院名が「St Bartholomew's Hospital」とフルで表示されるのは、この探偵【その2】で、初訪問時の地名表示がされた時になります。
ホームズから電報で呼び出されることになる龍ノ介と寿沙都ですが、その電報にも「Hurry to Barts at once!(至急バーツに来られたし!)」と書いてあります。電報だから文字数の節約もあったのかもしれません。

Green
Well... No, that's not right, is it?
What I mean is, I'm trying to be an artist.
Well, what I really mean in, I desperately want to be an
artist.

ビリジアン
あ‥‥いえ!
“画家のタマゴ”っていうか。
ムシロ、いつかは画家に
なれればいいな、っていうか。


ビリジアン・グリーンこと、Olive Greenと初対面。
セリフウィンドウの名前欄はOliveではなくGreenです。
Green「あ‥‥いえ!
つまり、画家になろうとしているというか。
いえ、もっと言えば、必死に画家になろうとしているというか。」

Ryunosuke
(With that kind of attitude, maybe her surname should be
'Blue' not Green...)

ナルホド
(やれやれ‥‥)


後ろ向きなGreenに対して、
Ryunosuke(この人、GreenというよりBlueって感じだよな‥‥)
日本でも「気分がブルー」というとおりに、blueには憂鬱、悲観という意味もあります。

Green
I mean, I'm a student of art, really.
At the Thorndyke Academy of Fine Arts.

ビリジアン
いえむしろ、より正確には‥‥
ソーンダイク美術学校の生徒です。


公式開発ブログ最終回にもあった、1920年~1930年代の探偵小説のオマージュネタ。オースティン・フリーマンの推理小説「ソーンダイク博士(Dr John Evelyn Thorndyke)」シリーズからですね。

Green
I don't deserve it, but I have a little flat on Brixton Road.

ビリジアン
こんなあたしがナマイキですけど、
ブリクストン通り(ストリート)のアパルトマンに‥‥


ブリクストン通りは原作ホームズにも何度か登場している通りの名前で、「Brixton Road」という綴りです。原作ではホームズとワトソンが初めて出会う「緋色の研究」から様々な短編にまで、そこそこ登場している、実在の通りの名前です。
ちょうど上で紹介したばかりの「The Adventure of the Blue Carbuncle(青いガーネット)」の中にもあります。

“Excuse me, I know everything of it. You are endeavouring to trace some geese which were sold by Mrs. Oakshott, of Brixton Road, to a salesman named Breckinridge, by him in turn to Mr. Windigate, of the Alpha, and by him to his club, of which Mr. Henry Baker is a member.”

「失礼ながら、私はすべて知っているんですよ。あなたは、ブリクストン通りのオークショット夫人からブレッキンリッジという卸屋に売られ、更にアルファという店のウィンディゲイト氏に売られ、ヘンリー・ベイカーという名前の人物が居るクラブに渡ったガチョウをお探しでしょう?」

また、ビリジアンのセリフにある「アパルトマン」はフランス語。
日本での「アパート」「マンション」の使い方と、海外での使い方はかなり違う、というのも有名な話ですが、改めて。
「集合住宅」を意味する英語は、apartment(アメリカ英語)、flat(イギリス英語)です。
(実際には色々と分類があるらしいので、Apartment - Wikipediaなどをお読みください)
「アパート」ではなく「apartment」でないと通じません。
「mansion」は英語だと「豪邸」や「お屋敷」のことなのでご注意。
ということで、イギリス在住のGreenはflatを用い、「a little flat」(小さな集合住宅)と言っています。

Is there a Mr Narrowfodder here?
Mr Narrowfodder?!
(中略)
It's a message from a Mr Saucy Nutsmeg.

‥‥ミスター・ナーホドー!
いらっしゃいますかッ!
(中略)
ソーセキ・ナツメから
アナタに《伝言(メッセージ)》だそうです!


病室にやってきた警官のセリフ。
日本語版でも「ミスター・ナーホドー」と名前を間違われていますが、英語版は「Mr Narrow(狭い)fodder(飼料)」と、音としてはなんとなく似ているけど、意味は全然違う間違われ方になっています。
その上、英語版では夏目漱石の名前まで間違っていて、「Mr Saucy Nutsmeg」となっています。
Saucyは「生意気な、ずうずうしい」の意味。
Nutsmegは、nutmegで「ナツメグ」のこと。

Soseki
AAAAAAAAAAAARGH!!!
Not the horrible HERR LOCK SHOLMES!

ソーセキ
うっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!
キサマ、アノシャーロック・ホームズ!


アノシャーロックことHerr Lock Sholmes、再来。
アノシャーロックが英語版でどうなったか? の解説はこちら。
Sholmesはすっかり「Mr Moustache(ミスター・ヒゲ)」呼ばわりだし、お互い様というところ‥‥なのかな?

Ryunosuke
So, the victim lived here on the ground floor, and your
room is just one storey up, isn't it?

ナルホド
被害者の部屋は、この1階。
漱石さんの部屋は、上の2階でしたよね。


もう何度か説明した、「イギリスでは階数の数え方がアメリカや日本とは違う」の例ですね。
「the ground floor」はアメリカや日本での「1階」。
「the first floor」はアメリカや日本での「2階」‥‥ということになるとややこしいので、上のセリフも、
Ryunosuke「被害者の部屋は、ここの地上階。漱石さんの部屋はそのひとつ上の階ですよね?」
と、数字で表現するのを避けています。
ガリデブ夫妻が住む3階についても、「top floor(最上階)」と表現して、プレイヤーを混乱させないようにしています。

Gregson
...but I thought it would be prudent to take a statement
from the culpri— I mean, cohabiter.
Ryunosuke
You nearly said 'culprit' there, didn't you?

グレグソン
ただ、まず日本人の下手人‥‥あ、いや。
下宿人からハナシを聞こうと思ったのだ。
ナルホド
‥‥今。ちょっと
“下手人”って言いましたね。


cohabiter:共同生活を営む人、つまり同じ下宿に住んでいる人のこと。
「culprit(犯人)」と言いかけて「cohabiter」と言い直す、というネタです。

Sholmes
Hah! You need only observe to know it, my dear fellow.
Investigating naturally!
Ryunosuke
...There's nothing natural about that pose.

ホームズ
はっ! 見ればわかるだろ?
いわゆる“調査”というヤツだよ。
ナルホド
‥‥見てわからないから
聞いたのですけど。


Sholmes「はっ! 見ればわかるだろ? いつもどおり、調査をしているのさ。」
Ryunosuke「そのポーズ、全然いつもどおりじゃないんですけど。」
確かにあのシーンのホームズはいったい何の目的であのポーズをしていたのか、まったくわからん。
(よくネタにされるセミのポーズは一応、理由があったけど。w)

Shomles
Let the theatrical tragedy before us be unravelled by my
great deductions, presented for your pleasure in two acts!

ホームズ
悲劇の『一幕』を《名推理》で読み解く
‥‥それもまた、一興ですからね。


英語版が「two acts(二幕)」になっているのは、共同推理がいつも「Topic 1」「Topic 2」のふたつに分かれているからです。
実際、今回の共同推理の最中、Sholmesは「Act One!(第一幕!)」と言ったりします。
共同推理の対象が役者のShamspeare(ペテンシー)だからでしょうね。

Shomles
Thus concludes the final act of Herlock Sholmes's great
deduction!

ホームズ
‥‥以上。シャーロック・ホームズの
《名推理》でした。


だからシメのセリフが、「the final act(終幕)」ってなっています。

Ryunosuke
Wa-Wa-Wa-Wa-Wa...
...WALKING DEEEEEEEEEEND!!!

ナルホド
‥‥い。い。い。い。い。い。
生き返ったあああああああああッ!


英語版でまず「Wa-Wa-Wa-Wa-Wa...」って表示された時に「いったい何を言うつもりなんだ?」と首を傾げ‥‥
「...WALKING DEEEEEEEEEEND!!!」って叫んだ時には笑ってしまった。w
「ウォーキング・デッド」、つまり、生ける屍、ゾンビのことですね。やっぱり龍ノ介はオカルトマニアでは‥‥
と、笑った後で、「あっ、もしかしてこれ、プロフェッサーの事件の伏線‥‥」と気付き息を呑む私でした。

Susato
Well, it's true that British snowman are usually made
with two balls of snow. Perhaps this is a foreigner.
Ryunosuke
And now we're looking at him as if he's strange.
Poor man. I know how he feels.
Susato
If anything, it's Japanese and British two-ball snowmen
that are the strange ones, isn't it?
After all, real people do have three sections: head, torso
and legs.

スサト
西欧(ヨーロッパ)では、《スノウマン》と呼ばれ、
3段重ねが一般的のようでございます。
ナルホド
おかしいですよ。《スノウマン》のヤツ、
“三頭身”なのでしょうか。
スサト
まあ、それを言い出しますと‥‥
ダルマさまは“二頭身”だったのか?
という、ややこしい議論になるかと。


ブライヤーロードで雪だるまを調べた時のやりとり。英語版では、

Susato「イギリスの雪だるまは、雪玉ふたつで作るのが一般的ですから、外国の方がお作りになったのかもしれませんね。」
Ryunosuke「そしてぼくらは今、彼を奇妙な目で見ています。ぼくらが外国人に奇妙な目で見られるように。かわいそうに、気持ちがわかりますよ。」
Susato「どちらかといえば、日本やイギリスのような、雪玉ふたつの雪だるまの方が奇妙なのかもしれません。人間は、頭、胴体、足の3つに分かれておりますから。」

となっています。
日本語版だと「ヨーロッパだと雪玉3つが一般的」と説明されていますが、英語版にて、実はイギリスは例外なんだよ、ということがわかるのです。
海外ウェブサイトSiliconeraで、ローカライズディレクターのジャネット・スー氏が、この雪だるまの会話について言及していました。
「大逆転裁判1&2」ジャネット・スー氏インタビュー(海外ウェブサイトSiliconera)
※意訳
>ジャネット・スー:一番苦労した台詞ではありませんが、ネタバレではない部分について、こんな話があります。2作目の第2話では、龍ノ介と寿沙都がブライヤーロードの雪だるまについて楽しい会話をしています。日本語版では、「2頭身」「3頭身」の高さに関連したジョークなのですが、これは英語版ではあまりうまく翻訳できず、あまり笑えませんでした。また、龍ノ介のダルマを調べた時の会話では、だるまの意味を知っているかどうかも重要な要素です。さらに、イギリスの雪だるまは、アメリカのように3つのパーツで構成されているわけではなく、日本の雪だるまと同じように2つの雪玉で構成されているという事実が、事態を難しくしています。翻訳者と私は、より事実に忠実に、より言語的知識に頼らず、かつユーモアを交えて書き直しましたので、機会がありましたら、ぜひご自身で調べてみてください。

Garrideb
Anyone wanting to live in a place like that is either broke
or has bally screw loose.
Ryunosuke
(So hard to choose which category Soseki-san would fall
into...)

ガリデブ
こんな下宿に喜んで住みつくのは、
よほどのビンボー人か、変わり者だけだ。
ナルホド
(‥‥漱石さんは“変わり者”の
 ほうかもしれないな‥‥)


Ryunosuke(漱石さんがどちらにあたるのか、選ぶのは難しいな‥‥)
この後留置所で、漱石がこの下宿に引っ越した理由は「部屋代が安かったから」だと説明するので、正解は「よほどのビンボー人」の方なのですが‥‥まあ、どちらなのかというと、どちらでもあるのではないか、という気もします。

Soseki
Make up your mind! Are you dead or alive? If you were
going to come back to life, why bother dying?
   Wickedly Wishy-Washy William!

ソーセキ
生き返るぐらいならば。
最初から死ぬなッ!
   優 柔 不 断 ッ !


四字熟語が、
「Wickedly(意地悪で) Wishy-Washy(決断力のない) William!」
ペテンシーの名前「William Shamspeare」に引っ掛けて「W」でそろえ、「優柔不断なWilliam!」みたいな意味になっています。

Soseki
Romeo! And Juliet! Who was the stronger?
...It was a delightful debate!

ソーセキ
ロミオとジュリエット、どっちが強い?
‥‥非常に興味深い議題であった。


そのまま「ロミオ! そしてジュリエット! 強いのは誰だ!」ってなっています。w
ということで、次回は法廷パートです。

次 法廷【その1】



英語版「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」解説

・英語版「大逆転裁判1」解説はこちら

・Escapades(番外編 ランドストマガジン)解説へ

■大逆転裁判2

○Episode 1 The Adventure of the Blossoming Attorney(第1話 弁護少女の覚醒と冒險)

1.法廷【その1】
2.法廷【その2】

○Episode 2 The Memoirs of Clouded Kokoro(第2話 吾輩と霧の夜の回想)

1.探偵【その1】~探偵【その2】
2.法廷【その1】
3.探偵【その3】
4.法廷【その2】
5.法廷【その3】

○Episode 3 The Return of the Great Departed Soul(第3話 未来科学と亡霊の帰還)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】(1)
 探偵【その2】(2)
5.法廷【その3】
6.法廷【その4】

○Episode 4 Twisted Karma and His Last Bow(第4話 ねじれた男と最後の挨拶)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】

○Final Chapter The Resolve of Ryunosuke Naruhodo(最終章 成歩堂龍ノ介の覺悟)

1.法廷【その1】
2.探偵【その1】
3.法廷【その2】
4.法廷【その3】
5.終幕
第1話後半戦、豆籾平太ことRaiten Menimemoが登場。

■Trial, Part 2(法廷【その2】)

Rei
The trouble is, it's a completely new
laboratory-synthesised blend of alkaloids.

ハオリ
でも。あれって、化学的に合成された
新種のアルカロイドだから‥‥


アルカロイド - Wikipedia
>アルカロイド(英: alkaloid)とは、窒素原子を含み、ほとんどの場合塩基性を示す天然由来の有機化合物の総称である。
その他、小難しい話はリンク先をどうぞ。w
また、
>「アルカロイド」(ドイツ語: Alkaloide)という名称は、ドイツ人化学者Carl F.W. Meissnerによって1819年に導入された。
だそうですので、明治時代には既に存在していた名称ということになりますね。

試薬:Chemical Reagent
詳細で見てもラベルの文字は相変わらず「ドイツ語」で読めないまま。

Menimemo
Raiten Menimemo of the Shoyu News.
I'm what people like to call a journo!
Ryutaro
What's a 'journo', Father?
Do you know?
Mikotoba
It's simply a contraction of 'journalist'.

マメモミ
豆籾平太。《大黒新報》に
その人ありと言われた、ブンヤ一匹!
ナルホド
‥‥あの、おとうさま。
“ブンヤ”というのは‥‥?
ミコトバ
『新聞屋』から取って“ブンヤ”。
いわゆる、新聞記者のことです。


journo:イギリス英語(口語)でjournalistのこと。

Menimemo
'Female student up to foul play defended by curiously
handsome young lawyer in supreme Court...'
The readers will lap this up! We'll set it above the fold at
72 point in a five-leg format for the morning edition!

マメモミ
『悪辣ナル婦女子学生ノ無実ヲ叫ブ、
 妖シキ美少年弁護士、大審院ニ立ツ』
これは! 読者にウケますぞ!
72ポ、5段ブチ抜きで明日の朝刊にッ!


日本語版の「72ポ、5段ブチ抜き」の時点で業界用語のため、「なんかわからんけど、なんかすごいんだろうな~」っていう方が多いのではないかと思いますが‥‥
  • 「72ポ」は「72ポイント」のことで、文字の大きさの単位が「ポイント」、省略して「72ポ」。72ポイント=1インチで、1インチは約2.54cm。
  • 1段は、1ページを天地でいくつかに分割したうちの1つ分。
  • 「ブチ抜き」は、段や面をまたいで書かれた記事や見出しのこと。
になります。
英語版の「72 point in a five-leg format」も、たぶん同じ意味合いかな。

Menimemo
That's what I call...my Menimemoism!

マメモミ
‥‥それこそが。
我が《豆籾主義(マメモミズム)》なのでして。


日本語版の「~ズム」がそもそも「~主義」を表す英語「-ism」なので、そのまま「Menimemoism」になりました。
なお、「豆籾手帳(マメモミメモ)」は「Menimemo memo pad」。メミメモメモパッド。

Menimemo
The beach hut was made of shoddy old reed screens, so
there were plenty of gaps I could see inside through.

マメモミ
小屋の四方は“よしず”で囲まれており、
そのスキマから、中が見えたのです。


hut:掘っ立て小屋
reed:葦(アシ/ヨシ)

Menimemo
'Run a risk one day, run a scoop the next!'
That's Menimemoism in a nutshell!

マメモミ
『特ダネは、ネジ撮れ!』
それが《豆籾主義(マメモミズム)》なのですね。


in a nutshell:きわめて簡潔に言えば、要するに
「ナッツの殻の中に入ってしまうほど少なめに言うと」から生まれた慣用句なんだそうです。
穀物に因んだ言い回しを使うあたりが上手いですね。

証拠品「Beach Hut Plan(事件現場の上面図)」ですが、逆転シリーズではおなじみ、上面図で被害者と犯人の動きを見せるシーンがあります。
そういえば「大逆転裁判」だとあまり登場しませんね。
これまでだったら、日本語版で被害者の「被」が英語版では「V」一文字になっていたり(victimの頭文字)、犯人の「犯」が「K」(killer)、「C」(culprit)、「M」(murderer)、「A」(assassin)など多彩だったりで、英語が苦手な私は大混乱していました。
ところが今作は‥‥



なんと日本語版のまま、上に英語で説明が入っているじゃないですか。
この第1話は「『全員が日本語でしゃべっている』様子を英語で描いている」ので、上面図もこういう仕様にしたのだと思います。
私には非常にありがたい仕様ですが、ちょっとシュールな気もします。

なお、「事件現場の上面図」は、3DS/スマホ版とはちょっとだけ違いがあります。
iOS版↓



PS4版↓



このままではわかりにくいので、重ね合わせて縮尺を同じにしてみると‥‥



※スマホ版のスクショをやや薄めにして、PS4版スクショに重ねました。
わかりにくいですが、「犯」マークと「被」マークの大きさが異なり、3DS/スマホ版の方がちょっとだけ大きめです。
サイズ変更する必要があったかっていうと‥‥
解像度が低かった3DS版ではマークを大きめに表示する必要があったのかもしれません。
「1&2」移植で画面上のバランスなどを見てサイズを変更したのかも。推測ですが。

Soseki
B-B-But...
'FIDDLESTICKS,' I say!
Judge
This is not a British court of law.
You will respond in Japanese.

ソーセキ
ち。ち。ち。違うッ!
の。の。の。“のー”なのですッ!
サイバンチョ
‥‥《証言》は
日本語で述べるように。


fiddlesticks:間投詞。((やや古))軽い落胆や苛立ち、軽蔑を表す。
しつこいようですが、この第1話は「『全員が日本語でしゃべっている』様子を英語で描いている」のです。
だから、「『全員が日本語でしゃべっている中で突然英語で喋った漱石を、裁判長が日本語で喋れと命じた』様子を英語で描いている」のです。
ややこしいわい!!

Ryutaro
(Naruhodo-san would never give up.
And I'm a Naruhodo now...)

ナルホド
(“成歩堂”の名を名乗りながら
 この場で引くなど、あり得ないこと)


Ryutaro(成歩堂さまは決して諦めない。そして今、わたしは“成歩堂”なのだから‥‥)
これはこれでかっこいい。

Ryutaro
That...was a Ryutaro Takedown.

ナルホド
これは‥‥
《龍太郎投げ》でございます。


ということでシメ。

Auchi
For that is the true path to Auchiisum!
(中略)
'Sprig of my topknot...the time is right for farewell...
Hope is lost forever.'         —Taketsuchi

アウチ
我が《武土道(たけつちずむ)》と見つけたりッ!
(中略)
ざんぎりの 吹けば飛ぶよな 希望とて
 いざ成る程の 別れをつげん   武土


「たけつちずむ」は「Auchiisum(あうちいずむ)」になりました。
日本語では「成る程」と「成歩堂」をかけているのですが、英語版はもしかすると‥‥
「right」と「Wright」(成歩堂龍一の英語版名、Phoenix Wright)をかけているのかも。

Rei
We're friends! Equals! And the trial's over.
So no more of this formal, super humility nonsense!
It's time to celebrate with swagger!
To throw caution to the wind!
(中略)
'I'm the great defence lawyer, Ryutaro Naruhodo!
And I'm taking you out to a milk bar tomorrow!
...Or something.

ハオリ
寿沙都ちゃんとムラサメ、
セッカク“同い年”なんだから。
カタ苦しいの、やめて。
もっと、ココロのままに行こうよ!
(中略)
オレ、弁護士の成歩堂龍太郎!
キミをミルクホールにさらっていくぜ!
‥‥みたいな。


日本語版だと、寿沙都がもともと丁寧な口調で、葉織にも「さま」付けであることを「カタ苦しい」と言っているのだと思いますが、英語版では、
Rei「あたしたちは友達だよ! 対等な立場じゃない! 裁判も終わったんだから。カタ苦しいの、やめようよ!」
と、『裁判が終わって元通りの立場になったんだから、堅苦しいのは終わりにしよう』という雰囲気になっていますね。
ミルクホールについては以下を。
ミルクホール - Wikipedia
Milk bar - Wikipedia

Soseki
I had no idea, Miss Susato-san Esquiress, that you were
Locum Student Naruhodo-san Esquire's cousin!
  Astonishingly Astounding Ace Attorney!

ソーセキ
まさか。寿沙都殿の正体が‥‥
あの成歩堂氏の“イトコ”だったとは!
  驚 天 動 地 ッ !


Sosekiさんが「驚天動地の名弁護士!(Astonishingly Astounding Ace Attorney!)」と、ここで英語版タイトル「Ace Attorney」を回収してくれました。

Judge
I was coming to tell you that the rickshaw has arrived,
Yujin. And it's a good job I came by.

サイバンチョ
たまたま、迎えにきてよかった。
‥‥人力車が来ているぞ、ミコトバ。


サイバンチョこと慈獄ことSeishiro Jigoku登場。
Mikotoba教授とは「親友」の関係なので、お互い、「Yujin」「Seishiro」と名前で呼んでいます。
このあたりも、欧米では「親友なんだから名前で呼び合うのが普通」というのが一般的な考えだからなのでしょう。
Jigokuは寿沙都のことも「Susato」と呼びます。

ちなみに「ジゴク投げ」は「Seishiro Sling」です。「S」で韻を踏んでます。

ということで‥‥いろいろと動き出した英語版「大逆転裁判2」第1話解説はここまで。
次回から、第2話解説です。

次 第2話 探偵【その1】~探偵【その2】



英語版「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」解説

・英語版「大逆転裁判1」解説はこちら

・Escapades(番外編 ランドストマガジン)解説へ

■大逆転裁判2

○Episode 1 The Adventure of the Blossoming Attorney(第1話 弁護少女の覚醒と冒險)

1.法廷【その1】
2.法廷【その2】

○Episode 2 The Memoirs of Clouded Kokoro(第2話 吾輩と霧の夜の回想)

1.探偵【その1】~探偵【その2】
2.法廷【その1】
3.探偵【その3】
4.法廷【その2】
5.法廷【その3】

○Episode 3 The Return of the Great Departed Soul(第3話 未来科学と亡霊の帰還)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】(1)
 探偵【その2】(2)
5.法廷【その3】
6.法廷【その4】

○Episode 4 Twisted Karma and His Last Bow(第4話 ねじれた男と最後の挨拶)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】

○Final Chapter The Resolve of Ryunosuke Naruhodo(最終章 成歩堂龍ノ介の覺悟)

1.法廷【その1】
2.探偵【その1】
3.法廷【その2】
4.法廷【その3】
5.終幕