注意!
この記事には、「大逆転裁判1&2」に関する重大なネタバレが含まれます。
ネタバレを見ることにより、本作の醍醐味のひとつである、初見時のプレイの衝撃と感動が著しく損なわれる可能性があります。
あくまでもこの記事は「英語版の解説をする」目的で掲載しております。
未プレイの方は、ここでそっと当ページを閉じて「大逆転裁判1&2」をプレイすることを強くおすすめします。

一晩明けて、最後の戦いのはじまりです。
基本的にシリアスなパートなので、日本語版と英語版にほとんど差はなく、英語版を紹介する身としては「ネタがない!」状態です‥‥w そこはご容赦ください。

■Trial, Part 2(法廷【その2】)

Stronghart
Well...I say to all members of the judiciary here present
on this occasion...
...that we will stop at nothing to uncover the whole truth
behind these disturbing findings!

ヴォルテックス
‥‥今日。この大法廷に集った
司法関係者に宣言する。
今日こそ。一点の疑う余地がなくなる
まで、《真実》を追求すると!


Stronghart「さて‥‥この機会に、この場にいるすべての司法関係者に宣言する。我々は、この事件の真相を明らかにするため、あらゆる手段を講じると!」
後々で墓穴を掘ることになるこのセリフ、よく覚えておきましょう。w

Ryunosuke
So the crewman let two potential assassins into the cabin
he was supposed to be guarding?
Not the most convincing of sentries, really.

ナルホド
そんな“危険人物”を
スンナイ通してしまう《警備》って‥‥
なんの意味があるのでしょう。


Ryunosuke「では、その船員は、自分が守るべき船室に、2人もの暗殺者候補を入れてしまったということですか?
見張りとしての説得力がまったくありませんね。」

マボドフ・ストロガノフことTchikin Strogenov氏、弁護士にも検事にも呆れられる図。
逆転シリーズにおいて杜撰な警備と捜査はよくあることですが、本人の居ない法廷でここまでガバガバっぷりを突っ込まれるとちょっと気の毒になってきます。w

Susato
.........
I know I shouldn't let my emotions cloud my judgement...
...but you must destroy him, Mr Naruhodo!

スサト
‥‥‥‥‥‥
時に、感情に流されそうになりますが。
シメあげてやってくださいませ!


あいつをdestroyしてやってください! とかなりきつめの口調です。デストローイ。
destroyといっても、もちろん「(物理的に)叩き壊せ」ではありません。
Susato「‥‥感情で判断を鈍らせてはいけないことはわかっているのですが‥‥
‥‥しかし成歩堂さま、打ちのめしてやってくださいませ!」

Susato
It's called 'the crown', I believe.
A watch would be quite useless without one.
Ryunosuke
The crown? Like what sits on top of a monarch's head?
That's a very grand name for such a tiny part.

スサト
『竜頭』でございますね。
時計には、なくてはならない部品です。
ナルホド
『竜のアタマ』とは‥‥また、
大げさな名前がついたものです。


証拠品「Small Component(小さな部品)」の詳細。
「竜頭」は英語で「the crown」(「王冠」などの意味合い)なので、
Susato「『the crown』でございますね。時計には、なくてはならない部品です。」
Ryunosuke「『the crown』? 王様の頭の上に載っているアレですか。こんなに小さな部品なのに、立派な名前がついているものです。」
と、日本語版とは違う会話になっています。

Jigoku
I soon took care of him with an ippon seoi throw, though.
He couldn't wait to run away after that.
(中略)
Stronghart
'Ippon seoi'...?
Jigoku
A common jujutsu martial arts technique in my country.

ジゴク
本場の“一本背負い”で撃退したがね。
英国人は、そのまま逃げていったな。
(中略)
ヴォルテックス
“イッポンゼオイ”‥‥
ジゴク
我が大日本帝国が誇る
《柔術》の大技ですな。


柔道の「一本背負い」は、日本語版のヴォルテックスのように「いっぽんぜおい」と「せ」が濁音になって「ぜ」になるのですが(連濁 - Wikipedia)、それはあくまでも日本語の法則なので、英語版では「ippon seoi」です。「ippon zeoi」ではありません。
以下あたりも参考に。
Ryunosuke
...it's out of the question that his body would have been
curled up in a ball like that!

ナルホド
このように‥‥身体を“丸めた”
状態で倒れるなど、絶対にあり得ない!


curl up in a ball:(ボールのように)丸まる
Ryunosuke「‥‥身体があんなに丸まっていたとは考えられません。」
それは4話の時点で突っ込むべきだったのでは‥‥と、プレイヤーが突っ込むのは野暮というものです。w
(逆転シリーズではよくあること)

Stronghart
Dear God! Outrageous!

ヴォルテックス
‥‥なんという‥‥ことだ!


裁判長の感動詞シリーズがとっても久々に復活‥‥といっても、この人のセリフじゃ白々しいだけなんですよね。w
  • Dear God:びっくりした時の感動詞。「おお神よ!」的な。
  • Outrageous:けしからぬ、とんでもない、法外な
この先の真相を知っていると、まさに「おまえが言うな!」ですな。

Jigoku
It's over!
My life...is over.

ジゴク
慈獄政士郎も……ここまでか。


Jigoku「おしまいだ! 我が人生も……おしまいだ。」
英語版は英語版で、シンプルな感じがいいですね。
狙ったわけじゃないけど、日本語に訳したら五七五の辞世の句みたいになってしまいました。

Kazuma
The prosecution hereby formally accuses the man in the
dock, Barok can Zieks...

アソウギ
検察側は、今こそ“告発”する。
被告人バロック・バンジークスこそ‥‥


「dock」というと、ぱっと思い浮かぶのは船が点検を受ける「ドック」の方ですが、「被告席」の意味もあるそうです。
なので上の文章の「the man in the dock」は「被告席に居る男」のこと。

Kazuma
Then let justice decide...Load van Zieks.

アソウギ
望むところだ。
バロック・バンジークス卿‥‥


Kazuma「しからば、正義の裁きを‥‥van Zieks卿。」
というところでしょうか。

Stronghart
Enough dilatory chatter. Counsel for the Defence, proceed
to cross-examine the witness.

ヴォルテックス
‥‥それでは。
弁護側に《尋問》を命ずる。


英語版だと、
Stronghart「くだらないおしゃべりはもう充分だ。弁護側に《尋問》を命ずる。」
になっています。
というのは、この前に、亜双義が龍ノ介に「弁護席に立つ理由は何だ」と問いかけて、龍ノ介がそれに答えるというやりとりが繰り広げられていたんですね。プレイヤーが龍ノ介の成長にぐっと来る場面です。
‥‥が、Stronghartはそのやりとりを「くだらないおしゃべりはもう充分だ(Enough dilatory chatter.)」と注意します。
ヤツの本性が見え隠れする、いいローカライズだと思います。

Van Zieks
...I didn't want to believe it.
He was a personal acquaintance. We'd worked on cases
together in the past.
Ryunosuke
(A friend...even?)

バンジークス
‥‥信じたくはなかったが。
私にとっては、共に捜査をする
“仲間”だと思っていた。
ナルホド
(‥‥“仲間”か‥‥)


Van Zieks「‥‥信じたくはなかったが。彼とは個人的な知り合いだった。過去に一緒に事件に取り組んだこともある。」
Ryunosuke(友人‥‥のような?)
と訳してみましたが、ここでの「friend」は日本語における「仲間」とした方がいいのかもしれません。
日本語の「友達」「友人」「仲間」はちょっとずつ意味合いが違うと思うので、こういう時、どう解釈するか難しい‥‥。

Van Zieks
.........
Where to buy good fish and chips...and suchlike.
Ryunosuke
(Well..that was convincing.)

バンジークス
‥‥‥‥‥‥‥‥
美味なるフィッシュ・アンド・
チップスの屋台‥‥などだ。
ナルホド
(‥‥ムリヤリ
 ヒネり出した感じがあるな‥‥)


バンジークス卿がグレグソン刑事から教わったことの話。このシリアスなパートでほぼ唯一と言っていい笑える場面です。
Van Zieks「‥‥美味しいフィッシュ&チップスが買える場所‥‥などだ。」
Ryunosuke(え、ええと‥‥説得力ある答えだな) ※やや呆れ顔で

Sholmes
You need only recall your own words from the opening
of the trial to answer that question. If I may...
'We will stop at nothing to uncover the whole truth
behind these disturbing findings!'

ホームズ
思い出してみるがいいよ。
ご自分で《宣言》したじゃないか。
『今日こそ。一点の疑う余地がなくなる
 まで、《真実》を追求する』‥‥


Sholmes「その質問に答えるためには、開廷時のご自分の言葉を思い出すだけでいい。よろしいかな?
『我々は、この事件の真相を明らかにするため、あらゆる手段を講じると!』」

最後にホームズが乱入しますが‥‥
「非公開の法廷でStronghart(ヴォルテックス)が発言したことを、なぜSholmes(ホームズ)は一語一句間違えずに知っていたのか?」と、誰も突っ込まない。
※一語一句間違えていないのは、この記事の最初のセリフでご確認ください。
龍ノ介はじめ、法廷に居る人たちは切羽詰まってますから、ホームズが「知らないはずのことを知っている」ことについて気が付かないのも無理はないのですが‥‥
つまりこのホームズのセリフは、「ホームズはこの裁判を一部始終覗き見している」ことの伏線だったりもするのです。

ということで次回、法廷パートクライマックス。

次 法廷【その3】



英語版「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」解説

英語版「大逆転裁判1」解説はこちら

Escapades(番外編 ランドストマガジン)解説へ

■大逆転裁判2

○Episode 1 The Adventure of the Blossoming Attorney(第1話 弁護少女の覚醒と冒險)

1.法廷【その1】
2.法廷【その2】

○Episode 2 The Memoirs of Clouded Kokoro(第2話 吾輩と霧の夜の回想)

1.探偵【その1】~探偵【その2】
2.法廷【その1】
3.探偵【その3】
4.法廷【その2】
5.法廷【その3】

○Episode 3 The Return of the Great Departed Soul(第3話 未来科学と亡霊の帰還)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】(1)
 探偵【その2】(2)
5.法廷【その3】
6.法廷【その4】

○Episode 4 Twisted Karma and His Last Bow(第4話 ねじれた男と最後の挨拶)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】

○Final Chapter The Resolve of Ryunosuke Naruhodo(最終章 成歩堂龍ノ介の覺悟)

1.法廷【その1】
2.探偵【その1】
3.法廷【その2】
4.法廷【その3】
5.終幕