注意!
この記事には、「大逆転裁判1&2」に関する重大なネタバレが含まれます。
ネタバレを見ることにより、本作の醍醐味のひとつである、初見時のプレイの衝撃と感動が著しく損なわれる可能性があります。
あくまでもこの記事は「英語版の解説をする」目的で掲載しております。
未プレイの方は、ここでそっと当ページを閉じて「大逆転裁判1&2」をプレイすることを強くおすすめします。

第4話大詰め。重要人物も勢揃いです。

■Investigation, Part 2(探偵【その2】)

Iris
You were miles away!
Anyway, I've brewed a fresh pot of soothing tea for you.

アイリス
はーい、おつかれさま!
アツーい《香茶(ハーブティー)》をめしあがれ!


Iris「ぼんやりしてるよ、なるほどくん!
とにかく、《香茶(ハーブティー)》を淹れておいたからね!」
「miles away」は文字通り「何マイルも離れている」か、そこから「心ここにあらず、ぼんやりしている」の意味。

Iris
I don't believe it... I, I always thought he was just a
harmless lover of fish and chips...
Ryunosuke
But perhaps they were seasoned with something a little
more potent than salt and vinegar...

アイリス
ううう‥‥ただの“アゲモノ好き”
だと思ってたのになあ。
ナルホド
その“アゲモノ”のウラに、
なにかヒトアジ、隠していたんだね。


Iris「信じられないの‥‥ただの“フィッシュ&チップス好き”だと思っていたのになあ。」
Ryunosuke「だけど、その“フィッシュ&チップス”は塩と酢よりも強力な何かで味付けしてあったのかもしれないね。」
フィッシュ・アンド・チップス - Wikipedia
>イギリスでは、伝統的にフィッシュ・アンド・チップスには酢と塩をかけて食べる
ので、「塩と酢(salt and vinegar)」の話が出てきたわけです。

Stronghart
I see. Well...I suppose I would be in the White-Headed
League, if anything.
Ryunosuke
That sounds rather like an elderly gentlemen's club.
Stronghart
.........
Ryunosuke
(Oops, I have a feeling...)
(...I might have made a bit of a faux pas there.)

ヴォルテックス
‥‥なるほど。私ならば、
《白髪連盟》といったところか。
ナルホド
なんだか。お年寄りが集まる
倶楽部(クラブ)》のようですね。
ヴォルテックス
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
ナルホド
(もしかして‥‥ぼくは、今)
(なにか、とりかえしのつかない
 コトを言ったのではなかろうか)


ご機嫌斜めなStronghartに、新聞記事をつきつけてこんな話を振っちゃうRyunosukeはなかなかツワモノです。
英語版は日本語版とほぼ同内容となっていますが、面白いのでついつい載せてしまいたくなるんだなあ。w
faux pas:(社交上の言動の)過ち、失策。フランス語由来。

Iris
Oh, the fog will lift over London for the first time in
months tomorrow!

アイリス
明日は2週間ぶりに、倫敦(ロンドン)
霧がサッパリ晴れるカモ‥‥なの!


留置所のVan Zieks卿に会いに行ったら、割と素直だったからって、そこまで言うか!?のシーン。
英語版だと、
「わあ、明日は数ヶ月ぶりに倫敦(ロンドン)の霧がサッパリ晴れるカモ‥‥なの!」
2週間どころじゃない勢いで霧が出続けていたようです。
19世紀のロンドンで実際にどれくらいの頻度・期間で霧が出ていたものなのか、私にはわかりませんが、日本語版から変更したということは、「実際のロンドンの霧は2週間どころか数ヶ月続くものなんだよ!」っていう指摘があったのかもしれません。識者求む。

Van Zieks
She's a young woman by the name of Asa Shinn.

バンジークス
名前は、《アン・サッシャー》‥‥
若い“女”なのだ。


アン・サッシャー:Asa Shinn
とうとうあの女の本名が出ました。
日本語版が「暗殺者(アンサツシャ)」をもじったネーミング、英語版は「assassin(暗殺者)」からですね。
‥‥本名というには胡散臭いというところは突っ込んではいけないし、突っ込んでも意味はない。w
「Asa」は「エイサ」と発音するんでしょう。

Mikotoba
Well...John and Wilson are both common names, after all.

ミコトバ
“ジョン”も“H”も“ワトソン”も
よくある名前ではありますからね。


英語版でキャラ名が変更になった都合で、
Mikotoba「JohnもWilsonも、一般的な名前ですからね。」
となっています。

Sholmes
I certainly have no time to hide behind settees and
eavesdrop on other people's conversations.
Ryunosuke
(So that's what 'joining us for tea' meant...)

ホームズ
キミたちの後ろの席で背中をまるめて
“盗み聞き”しているヒマはないのさ。
ナルホド
(“盗み聞き”していたのか‥‥)


Ryunosukeのツッコミが、
(『お茶を一緒に』って、そういうことだったのか‥‥)
になっています。
このちょっと前にホームズが「一緒にお茶を飲んでいたじゃないか!」って言ったのに対しての返しですね。

Ryunosuke
Ah look, a pair of crutches, Before we came to Britain,
I hadn't realised they were used here as well.
Susato
I imagine they were imported into Japan from Great
Britain in the first place.
Ryunosuke
Oh, so no one in all of Japan broke a leg before their
arrival?

ナルホド
これは‥‥『松葉杖』ですね。
大英帝国にもあるのですね。
スサト
もしかしたら。大英帝国から
日本に伝わったのかもしれませんね。
ナルホド
“松葉”というぐらいですから。
日本のものかと思ってました。


「St Synner's Hospital((セント)アントルード病院)」の病室で、松葉杖を調べた時。
実は1の5話でこの松葉杖を調べた時、龍ノ介はアイリスに「これは何?」と尋ねるので、龍ノ介は「松葉杖」という存在そのものを知らなかったということがわかります。
なのに、この2の4話では龍ノ介は松葉杖を知っている上に、日本での松葉杖についての思い出話まで話し始めるというムジュンがあります。
1と2の制作の間が空いてしまったので、ストーリーには関係ないところの「調べる」の内容まで覚えてはいなかったのかもしれません。
本作でそのあたりのムジュンは特に修正されていません。

で、もうひとつ、ここに来て「St Synner's Hospital((セント)アントルード病院)」の背景での変更点に気付きました。
よく調べたら、説明がかなり長くなりそうなので別記事にすることにしました。
気になる方は御覧ください。↓

「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」解説 番外編 聖アントルード病院の背景について

Vigil
The last will and testament...of Genshin Asogi.

ミテルモン
“遺書”です。
‥‥アソーギ・ゲンシンの。


「The last will and testament」は直訳で「最後の意志と遺言」ですが、この表現で通例「遺言書」になるみたい。

Vigil
...the 'Asogi Papers'.
Ryunosuke
The Asogi Papers...

ミテルモン
‥‥《アソーギ・ファイル》と。
ナルホド
亜双義文書(アソーギファイル)‥‥


亜双義文書(アソーギファイル)」は「The Asogi Papers」。
「The Asogi File」ではありません。
日本語版での「文書(ファイル)」は、「文書をファイルしたもの」的な意味で使っているのだと思いますが、英語で「文書」は「document」や「papers」「paparwork」です(詳しくはググるか辞書を引いてね)。
亜双義文書(アソーギファイル)」は公的な文書ではありません。なので公的な文書につかう「document」より、「papers」の方が合っているのだと思います。
「手記」を「private papers」、「私文書」を「personal papers」と英語で言いますが、これらの「papers」の使い方と同じだと思います。たぶん。
日本語版の時点で「文書をファイルと言うのはおかしい、ペーパーズだ」というツッコミはあったのかもしれませんけど、日本人の感覚だと「ペーパー=紙」ですから採用はされなかっただろうと思います。

Kazuma
So you keep hold of that.
Besides, I'm a prosecutor now.
That armband would have no meaning for me.

アソウギ
それは、キサマがつけていろ。
それに‥‥
今のオレは、《検事》だ。
そいつをつけるワケにはいかぬ。


腕章をつきつけた時。最後が、
Kazuma「その腕章は今のオレにとって何の意味も持たぬ。」
と、ちょっと日本語版とはニュアンスが違うことを言っています。

Kazuma
He considers the task too important to entrust to anybody
else, so he does it entirely on his own.
Ryunosuke
(...So he's a barrel of laughs here AND in court, then.)

アソウギ
大切な《樽》をヒト任せにできぬと、
全部、自分で並べようとするからな。
ナルホド
(‥‥なんなんだ)


部屋の右側の樽を調べた時の会話。
英語版だとRyunosukeが「‥‥つまり、彼はここでも法廷でも笑いのネタ(a barrel of laughs)になるということだ。」と、樽(barrel)に引っ掛けたダジャレを言います。
「樽のようにたくさん」的な意味から、「a barrel of laughs」が「たくさん笑う」などという意味合いになるそうです。

Kazuma
It was Professor Mikotoba.
Your father, Susato-san.

アソウギ
御琴羽教授‥‥
貴女(あなた)の、お父上だった。


日本語版では、亜双義は寿沙都のことを「御琴羽法務助士」と呼び、英語版でも「Judicial Assistant Mikotoba」とほぼ日本語版そのままの呼びかけをするのですが、英語版ではここで初めて「Susato-san」と名前を呼んでいます。
亜双義と寿沙都は幼い頃から知り合いですから、亜双義は寿沙都が法務助士になる前は「御琴羽法務助士」ではない呼び方をしていたはずですが‥‥英語版から推測するに普通に名前を呼んでいたということかな。

Kazuma
Karuma is said to have been forged by a master
swordsmith during the Sengoku warring states period.
(中略)
Apparently, one of my father's apprentices even took the
blade's name for a surname.

アソウギ
名刀《狩魔》‥‥戦国乱世に
名匠が打ち出したという。
(中略)
父の弟子の中に、その名をとって
《姓》とした者もいると聞く。


ここの意味は日本語とほぼ同じです。
前にも解説した通り、英語版逆転シリーズでも、「狩魔豪」「狩魔冥」のローカライズされた名前は「Manfred von Karma」「Franziska von Karma」と、そのまま「Karma」が用いられています。
なので、英語版においては、日本人の「Karuma」が海を渡ってアメリカで「Karma」を名乗るようになった‥‥というように考えてもいいわけです。

Gorey
That's not my fault!
Ryunosuke
Oh!
(That made me jump.)

グーロイネ
‥‥それ。
ロイネのせいじゃないから。
ナルホド
え。え‥‥ッ!
(“ロイネ”‥‥“グーロイネ”か)


英語版だとGoreyは普通に「I」や「my」といった一人称を使うので、Ryunosukeは(That made me jump.)、つまり「びっくりした!」と心の中でつぶやいています。
逆転シリーズにおいて、日本語版で「一人称を自分の名前にしているキャラ」の場合、英語版だとほぼ間違いなく一人称に名前を使うことはない(「I」や「my」になる)んですよね。個性を出せる機会なのになんでだろうなーと思ったら‥‥
三人称 - Wikipedia
>英語など一人称の役割のはっきりした言語でイリイズム(自分を三人称として扱うこと)は「誤った」言語の用法だとして問題視されることが多い
‥‥とあるので、個性うんぬんよりも、「文法的にダメ!」だから使わないのかな。
まあ、日本でだって、あくまでも創作物などのキャラ付けでやっていることがほとんどで、大人になってもリアルでやっている人はそう居ないだろうけど。w

Gorey
So this lab — Mama's lab — was instrumental in some of
the country's most important events.
Ryunosuke
(She really is proud of her mother.)

グーロイネ
この《処置室》は‥‥
英国司法の“歴史”そのもの。
ナルホド
(やはり。グーロイネさんにとって、
 ドクター・シスは“誇り”なのだ‥‥)


Gorey「この処置室――ママの処置室は、この国の重要な事件に貢献してきたの。」
と、英語版ではちょっと表現が変わっているので、Goreyが母親を誇りにしていることがより強調されています。

Gina
I was pretty miffed about it, so...
...I sneaked a peek at wot it said anyway.
Ryunosuke
(That's our Gina!)

ジーナ
ちょっと、くやしかったから‥‥
ちょっと、中身を
盗み見てやったケドね。
ナルホド
(‥‥さすが、ジーナさん‥‥)


Ryunosukeの心の声が「さすが、我らのジーナさん!」と、ノリがよくなってます。w

Ryunosuke
Ugh...the bump on my head is throbbing sweetly
enough, don't worry.

ナルホド
うううう‥‥
“たんこぶ”がうずきます。


「龍ノ介のお茶は砂糖抜き」と言われたあとのセリフ。
Ryunosuke「うう...頭の上のたんこぶは充分ほどほどに(sweetly)ズキズキしていますが、ご心配なく。」
「sweetly」をかけたシャレ。
それだけ気の利いたシャレが言えるならRyunosukeも大丈夫だとSusatoさんも思ったんじゃないかな。

Susato
...Is a gramophone, still rarely seen in our own country.

スサト
我が国では、まだ珍しい
蓄音機(グラモフォン)》でございます。


蓄音機はアメリカ英語で「phonograph」、イギリス英語で「gramophone」。日本語版の時点で、蓄音機には「グラモフォン」とルビが振られています。
gramophoneは、ドイツ出身のアメリカの発明家エミール・ベルリナーが開発した円盤式蓄音機で、いわば商品名なのですが、イギリス英語では商品名が円盤式蓄音機そのものを一般的に表すようになったのだそうです。

Sholmes
Thus concludes Herlock Sholmes's great deduction...
of this painful puzzle...

ホームズ
以上。シャーロック・ホームズの
《名推理》でした。


コーヒーカップを割られたのでどんよりな決め台詞です。
Sholmes「以上。Herlock Sholmesの辛く悲しい謎の《名推理》でした‥‥。」

Ryunosuke
Thus concludes Ryunosuke Naruhodo's great deduction...
of this punchy puzzle!

ナルホド
‥‥以上。成歩堂龍ノ介の
《名推理》でした。


どんよりなSholmesに対して、
Ryunosuke「以上。成歩堂龍ノ介によるパンチの効いた《名推理》でした。」
もちろん、「punchy」には鉄箱の仕掛けのパンチと、「力強い」の意味合いのパンチがかかっています。

ということで「本当の」ホームズの相棒が登場します。
英語版でも、ふたりは互いに名字で呼び合います。
(原作ホームズでも、ホームズとワトソンは互いに名字で呼んでいます)

Sholmes
So, get your coat, ********!
The game is afoot!

ホームズ
そう‥‥ムカシのようにね。
さあ、上着をとりたまえ****!


‥‥ネタバレありの解説のつもりでおりましたが、やはり彼の名前は出せませんので伏せました。
決め台詞「The game is afoot!」(さあ、ゲームの始まりだ!)が炸裂しています。

Mikotoba
Yes, Naruhodo. Good luck in battle.
...And in reaching a decision.

ミコトバ
‥‥成歩堂くん。
健闘と‥‥“検討”を祈りますよ。


日本語版ではダジャレですが、英語版ではダジャレではなく、真面目なセリフです。
というところで第4話解説終了。
次回、とうとう最終話突入です。

次 最終章 法廷【その1】



英語版「大逆転裁判1&2 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-」解説

英語版「大逆転裁判1」解説はこちら

Escapades(番外編 ランドストマガジン)解説へ

■大逆転裁判2

○Episode 1 The Adventure of the Blossoming Attorney(第1話 弁護少女の覚醒と冒險)

1.法廷【その1】
2.法廷【その2】

○Episode 2 The Memoirs of Clouded Kokoro(第2話 吾輩と霧の夜の回想)

1.探偵【その1】~探偵【その2】
2.法廷【その1】
3.探偵【その3】
4.法廷【その2】
5.法廷【その3】

○Episode 3 The Return of the Great Departed Soul(第3話 未来科学と亡霊の帰還)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】(1)
 探偵【その2】(2)
5.法廷【その3】
6.法廷【その4】

○Episode 4 Twisted Karma and His Last Bow(第4話 ねじれた男と最後の挨拶)

1.探偵【その1】(1)
 探偵【その1】(2)
2.法廷【その1】
3.法廷【その2】
4.探偵【その2】

○Final Chapter The Resolve of Ryunosuke Naruhodo(最終章 成歩堂龍ノ介の覺悟)

1.法廷【その1】
2.探偵【その1】
3.法廷【その2】
4.法廷【その3】
5.終幕