◎「そそり」(動詞)

「そそ」の動詞化。「そそ」の情況動態化。

・「そそ」が「為を為を(しをしを)」の場合(→「そそかし」の項・7月18日)

自動表現も他動表現もあり、自動の場合、自己が動態を促されそわそわしたような状態になり、他動の場合、他者をそういう状態にする。「末のうるふ(閏)におひぐりてまだ肌寒(はださむ)き川風を、酒にしのぎてそそり行」(「浄瑠璃」『女殺油地獄』:自動。「おひぐり」は、追ひ繰り、であり、前から来るものを後ろへおくりやるようなことをすること)。「サァお急ぎとそそれば」(「浄瑠璃」:他動)。

・「そそ」が「瀬を瀬を(せをせを)」の場合(→「そそかし」の項)

なにかを水の流れに入れ、攪拌などし、その何かの中のなにかを選別したり濾し取るようなことをしたりする。この「そそり」は、漉り・汰り・精り、などと書く。「尋(すなは)ち復之を(ソソリ)て熱き鉄の地上に置きて」(『妙法蓮華経玄賛』)。「沙 ソソル エラブ」(『伊京集』)。

 

◎「そそり(聳り)」(動詞)

「せをそり(背を反り)」。背を反(そ)らせて見上げるほど高い情況になること、背を反らせて手で何かをあげること、を意味する。「そそり立つ」、「そそり抱(いだ)く」、「そそり上げ」。

「朝日さし そがひに見ゆる 神ながら 御名に負(お)ばせる 白雲の 千重を押し別け 天(あま)そそり 高き立山(たちやま)…」(万4003)。

 

◎「そそやき(囁き)」(囁き)

「そよそよよわはき(そそ弱吐き)」。「そよそよ」は弱い、柔らかな風の吹くことを表現する擬態。そうした柔らかな風をさらに弱く吐くような言語活動をすること。意味は「ささやき(囁き)」にほぼ同じ。

「𠽴 喘  …ソソヤク」(『類聚名義抄』)。

 

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