◎「ふさひ(相応ひ)」(動詞)

「ふしあひ(節合ひ)」。「ふし(節)」が合(あ)ふ。ものであれことであれ、その特異的に感覚感のあるそれ、対象として独律化する存在感のある発生感、が合(あ)ひ、一体的に調和すること。「ふし(節)」はその項。

「ぬばたまの 黒(くろ)き御衣(みけし)を まつぶさに 取(と)り装(よそ)ひ 沖(おき)つ鳥(とり) 胸(むな)見(み)るとき はたたぎも これはふさはず(布佐波受)…」(『古事記』歌謡4:「はたたぎ」は、後世で言えば、野良着、のようなもの。「おきつとり」はその項)。

「七月の相撲も近くなれば、(円融天皇は)「これを若宮に見せばや」とのたまはすれど、大臣(藤原兼家)、少しふさはぬやうにて過ぐさせ給ふに…」(『栄花物語』:節(ふし:ことの成り行き)合はぬやうにて…)。

◎「ふさはし(相応し)」(形シク)

「ふさひはし(相応ひ愛し)」。「相応(ふさ)ふ」状態であることの感嘆的心情表明。「相応(ふさ)ひ」はその項参照。

「おほやけわたくしのいとなみしけき(繁き)身こそふさはしからね」(『源氏物語』:公私のことに忙殺される身なのでそういうことは不似合いで合わないのだが)。

「次郞(北條四郞時政の子たる次男・北条義時)は心も猛くたましひまされるものにて、左衞門督(北條四郞時政の娘(北条政子)の子たる長男・賴家)をばふさはしからず思ひて弟の實朝(北條四郞時政の娘(北条政子)の子たる次男)の君に附きしたがひて…」(『増鏡』:北条政子は鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の妻であり、その父・北條四郞時政は鎌倉幕府初代執権)。

 

◎「ふさひ(塞ひ)」(動詞)

「ふせはひ(伏せ這ひ)」。何かにを伏せる情況を、独律的に存在発生する情況を、生じさせること。それによりそのなにかは環境から、世界から、遊離する。

「故(かれ)便(すなは)ち千人所引(ちびき)の磐石(いは)を以(も)て其(そ)の坂路(さかぢ)に塞(ふさ)ひて…」(『日本書紀』:この坂は黄泉(よみ)の国との境)。